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North Angler’s編集部2025年8月22日

ふらっと手軽に渓魚と遊ぶ、札幌市内の川で楽しむ「テンカラ釣り」

50cm級の大ものに照準を定めるガチなマス釣りでなければ、テンカラ釣りはいかがだろう。近年は若い世代を中心に愛好者が増えつつあるようだ。札幌市内を流れる川は入門に最適のフィールドで、気軽に挑戦できるのが魅力だ。今回は、このテンカラ釣りについて釣り方やタックルなどを解説する。

50cm級の大ものに照準を定めるガチなマス釣りでなければ、テンカラ釣りはいかがだろう。近年は若い世代を中心に愛好者が増えつつあるようだ。札幌市内を流れる川は入門に最適のフィールドで、気軽に挑戦できるのが魅力だ。今回は、このテンカラ釣りについて釣り方やタックルなどを解説する。

Photo & Text by Hiroki Hirasawa(North Angler’s

North Angler’sとは?:北海道での釣りを満喫するための情報誌。北海道の自然を体感するキャンプの情報や、フィールドを守るための環境問題にも光を当て、多角的な視点からアウトドアライフを提案している。誌面と連動したウェブサイト『つり人オンライン』での記事展開に加え、好評放送中の『ノースアングラーズTV』や公式動画チャンネルである『釣り人チャンネル』を通じても、北海道の釣りの魅力を発信している。

手軽な道具で楽しめるテンカラ釣り

海でも川でもフィールドを問わず、気軽に釣りを楽しみたいのならノベザオが一番だろう。リールの費用を抑えることができて敷居がグッと低くなるだけでなく、スピニングリールならベイルを起こす、ドラグを締めるといった構造を理解する必要はなく、ロッドのガイドにラインを通すこともない。釣り始めるまでの作業が多くなるほどトラブルはつきもの。その点、シンプルなノベザオはスムーズに釣りをスタートできる。

本州では人気のテンカラ釣りの愛好者が、近年道内でもじわじわと増えているようだ。ノベザオの先に毛バリを結ぶテンカラ釣りは、日本が生んだ手軽なゲームフィッシングのスタイル。これまで道内で注目度が低かったのは、大型トラウト志向の強いアングラーが多かったせいかもしれない。

50cmを超えるニジマスやアメマス、ブラウントラウトは、リールのドラグ機能をフル活用し、ラインを出すことでランディング率を上げられる。一方、リールのないノベザオはファイトの難易度が高い。

その難しさに挑む人もいるが、大型トラウトを確実に取り、そしてダメージの少ない状態でリリースするなら、リールでやり取りできるルアー&フライフィッシングをすすめたい。とはいえ、釣れる渓魚の平均サイズが20cm前後、大きくても30~40cmなら、テンカラ釣りという選択肢は大いにアリだ。

ニジマス-2

札幌市内の身近な川で楽しむ

札幌市の岡部裕司さんは普段支笏湖で大型トラウトを狙っているが、支笏湖がオフシーズンに入る夏場はもっぱら近くの川でテンカラ釣りを楽しんでいる。

「メインターゲットはニジマスで、30cmを超えたら上出来。テンカラで挑むにはピッタリのフィールドです」

そう話す岡部さんのテンカラ釣り歴は8年ほど。ノベザオによるエサ釣りは函館在住時の子どもの頃から親しんでいて、たまにエサではなく毛バリを付けて釣っていた。そんな経緯もあり、あまり良型は望めない札幌市内の川を釣ろうとしたとき、テンカラが思い浮かんだそうだ。

「ひょっとしたらリール付きのタックルを使い、遠投したり深場をねらえば大きな魚に出会える可能性もあるのかもしれません。でも、リールを使わない、ある意味"縛られたスタイル"にゲーム性の高さを感じます」少ない道具で気軽に始められるだけでなく、「手返しがよい」、「ダイレクトに魚とのファイトを味わえる」こともテンカラ釣りの魅力という。

ターゲットはヤマメ、イワナ、ニジマス

札幌市を流れる川には、古くから『一般社団法人北海道山女魚を守る会』が放流を続けてくれているのもあり、ヤマメの魚影が多い。とくに石狩川水系豊平川の最大支流である厚別川、新川の支流で西区を流れる琴似発寒川、南区を流れる真駒内川は有名で、釣り人の姿をよく見る。

岡部さんが通う豊平川本流には、市内としては珍しくニジマスが主体になるエリアもあるようだ。「僕がよく行く場所には、ヤマメとイワナはほとんどいないらしく、釣れたらニジマスです」とのこと。

豊平川
札幌市内を流れる川にはヤマメが多いが、豊平川本流はニジマスもいる。流れの利いた岩盤の際やスリット(溝)に魚が付いていた

テンカラ釣りのタックル

快適な釣りのためにサオとラインは専用をそろえたい。サオはフィールドの規模にもよるが、市内の川で遊ぶなら3.6m前後がよいだろう。あまり長いとサオを振ったときに頭上や後方の木に毛バリを引っ掛けるなどのトラブルが多くなる。

ラインはダイワのテンカラ専用がベター。適度な重さがあって風に強く、ビギナーでも投げやすい。またフローティングタイプゆえ、浮くタイプの毛バリ(=ドライフライ)を使用して遠くのポイントをねらうとき、毛バリを自然に流すための操作であるメンディングをしやすい。なお、ラインの長さはサオと同じくらいが投げやすい。

ハリスはナイロン1.2号。ヤマメやイワナが相手なら1号以下でも大丈夫とはいえ、ファイトの強いニジマスには1.2号が安心。岡部さんの場合、ドライフライがメインならハリスの長さは1m前後だが、深場でニンフ(=水生昆虫の幼虫に似せた沈めて使う毛バリ)を結ぶときは2mほどと長くすることもある。

テンカラのサオ
・岡部さんの愛竿
写真上は東京の老舗釣り具メーカー・櫻井釣漁具とのトリプルコラボレーションとして製作された『Supreme SOUTH2 WEST8 Tenkara FishingRod』。下は1万円前後で購入可能ながら、テンカラ釣りに求められる基本性能を高次元で実現したダイワ『テンカラRT』。どちらも全長は約3.6m。低価格帯のタックルが充実しているのもテンカラ釣りのよさ

毛バリはドライフライとニンフの2種類

毛バリはドライフライとニンフの2種類を用意。前者はエルクヘアカディス、後者はビーズヘッドニンフがメイン。どちらも道内のフライフィッシングで数十年、定番として君臨しているパターン。岡部さんは自分でも巻くが、市販品を購入することもある。フックサイズは魚のアベレージに合わせて10~12番を選択。水面に浮かぶドライフライは問題ないが、ニンフの場合は視認性を上げるためハリスに蛍光色のマーカーを付けている。

テンカラの毛バリ
フライはドライとニンフ、最低2パターンを携帯したい

また、ドライフライは浮力を持続させるため、フライフィッシング用のフロータントは必需品。ジェルやパウダータイプなどがあるが、下の写真は高い浮力を得られるパウダー式の定番、ティムコ『シマザキ ドライシェイク』。リーダーに結んだフライをボトルに入れ、カシャカシャとシェイクするだけでOK。

フロータント

キャスティングは「12時10時」を意識

テンカラ釣りにおけるキャスティングの基本は前後に振ってラインを伸ばすが、大振りしすぎないのがコツ。「12時10時」と言われ、サオを後ろに振るときは12時、つまり真上を意識してストップ。前に振るときは10時くらいの角度を心がけたい。

ラインが後方に伸び切らないうちに前に振り始めるとラインは飛ばない。後方にサオを振って止めたとき、少し間を置いて前に振り始めるとよい。ラインを振るスピードは後ろに振る(=バックキャスト)ときは力強く、そして真上でしっかり止めるイメージで行ないたい。

テンカラのキャスティング

釣り方のコツは、毛バリを自然に流すことに徹する

8月中旬の真夏日が続くなか、朝6時に待ち合わせたが、岩盤底を縫うように流れる川を前に、「先日下見に行くと、釣り人が数人いました。今日はどうでしょうか」と首をひねる。

釣り上がり、数ヵ所の実績ポイントを打つも反応はナシ。「いつもなら釣れるんですが……。抜かれているのかも」と心配顔。今夏は雨が多かったが、意外にも低い水位が低活性に拍車をかけているようだ。それでもある程度の距離を歩くと、ようやくドライフライが吸い込まれた。すかさず岡部さんはサオを立てる。姿を現わしたのは20cmほどのニジマス。

ニジマスとのやり取り

安堵の表情を浮かべて「自分の気配を悟られないように静かにポイントに近づいたら、あとは毛バリを自然に流すことに徹するだけです。ラインが流れに持っていかれてフライが不自然に動くと、魚が出てもフッキングしないことがあります」と話す。

毛バリを自然に流すには上流側へキャストする。ポイントにもよるが、上手く操作できれば1~2mは自然に流せるだろう。その間は集中あるのみ。ただし、下流側にキャストするのも一手。その場合、ラインにタルミをつくった状態で毛バリを送り込み、流れの抵抗を利用し、スーッと横切らせてアピールする。自然に流してダメならば試してみたいテクニックだ。

1尾目を釣った上流側のエリアは釣り人がしばらく入っていないのか、しだいにアタリが増えてきた。8時を過ぎて青空が広がると、時折ライズも起きる。深場はニンフに替えながら遡行を続ける。ニンフも上流側へキャストして自然に流すのが基本だが、サオを立ててラインを張るとアタリが取りやすい。

8時40分頃、大きくサオが絞り込まれた。下流に走る魚を追って岡部さんも駆ける。リールのドラグ機能はないから自分が動くしかないが、これもテンカラ釣りならではの面白さ。最後にランディングネットですくったニジマスは余裕の30cmアップ。「このサイズが出てくれたら満足です」とニッコリ。

「いつも朝から昼まで、あるいは昼から夕方まで、ふらっと行ってマスに遊んでもらっています。疲れが残っている休日でも札幌市内なら気軽に出かけられます。そんな釣行にテンカラ釣りは合っています」と言ってしめくくった。

ニジマス (2)
テンカラ釣りの相手としてはグッドファイター。自然産卵由来の野生魚らしく各ヒレはピンと伸び、頬の朱色も鮮やかだったのが印象的
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