大阪府在住のアジング名手、藤原真一郎さんはアジを求めて全国津々浦々を釣り歩いてきた。中でも心底惚れ込んだのが新潟県・佐渡島である。面積約850平方km、周囲約260km、わが国では沖縄本島に続いて2番目に大きな島は、全域にアジの存在を感じられる楽園だった。
写真と文◎編集部
佐渡島はなぜアジングの楽園なのか?
藤原真一郎さんが初めて佐渡島を訪れたのは8年前。透き通る紺碧の海に何万尾というアジの群れが泳いでいた。その光景は一ヵ所にとどまらず、島の東西南北にある港のいたるところで見られ、サイトフィッシングを楽しんだ。
「水が本当にきれいで、日中にアジの動きを見ながら釣れるんです。群れの数はすごいのに反応しないアジも実に多い。だからこそおごることなく、アジと真剣に向き合える。以来、この島に惚れ込んで春夏秋冬、季節ごとに訪れてアジだけでなく四季折々のルアーフィッシングを楽しむようになりました」佐渡島の海は豊かである。アジだけでなく、キジハタを中心としたロックフィッシュ、アオリイカがどこでも釣れる。汽水湖の加茂湖ではクロダイやマゴチ、サーフではヒラメ、そして磯ではヒラマサやブリといった大型青物までねらえる。まさしくルアーフィッシングの夢の島なのだ。
家を購入するほどに惚れ込んだアジの海
そんな藤原さんの佐渡島探釣はいつしか月イチペースになっていく。そして3年前には、ついに島に家を購入したのだ。
「島内でも辺境の地の港の目の前に、いい感じの家屋を見つけたんです。お風呂とトイレがきれいにリフォームされており、手ごろな価格だったのが決め手でした。近いうちにこの家をゲストハウスにして、ガイドサービスをしたい。釣り人だけでなく、子ども連れのお客さんも歓迎です。佐渡には海も山も川も汽水湖もあって、自然が盛りだくさん。いろんな冒険が楽しめる最高の場所です」
日中にランガンして目視で群れを見つける
記者が藤原さんを訪ねたのは10月下旬。北西の爆風が吹き、海はあいにくの荒れ模様。未明までは大雨だった。
「佐渡島にはアジが周年います。島全域で釣れるのは4月から1月くらい。これからの季節はシケる日も多いですが、ほとんどの場所でアジが釣れる。冬の荒れ狂う日本海でも風裏があるからどこかで必ずサオをだせるのも島の強み。アジの探し方は、日中にランガンして群れを見つける。数ヵ所回って『どこにでもおるやん』となることも珍しくありません。なにせ島が大きいので、まだ探り切れていない釣り場や試したい釣法がたくさんあります」
この日は北西の風を避け、島の東岸へ。両津港から車で20分ほどの大川周辺をまずは探ることにした。
佐渡島アジング攻略のコツ
佐渡島でサイズをねらうなら夕マヅメが断然有望だと藤原さんは語る。夜ももちろん釣れる。外灯のある場所ならアジはどこにでもいる可能性が高い。両津や小木、沢根町のように明るい外灯がある港では良型が混じるが、外海府のような外灯の少ない水辺では小型が主体になるそうだ。
「佐渡島では25cm前後から尺クラスまでの群れが入り、連発することがあります。40cmはまだ釣っていませんが、38cmまでは出ています。だから40cm以上も確実にいると思っています。夕マヅメのラッシュが始まると、アジの群れにヒラマサが付いてドパーン!と食ってくることもあるんですよ。そんな時には泳がせ釣りもしちゃいますね(笑)」
港内がメインポイント
アジは基本的に外海には群れず、青物やアオリイカなどフィッシュイーターの多い外洋を避けている。
「外海に出ようとした群れが、結局また港に戻ってくるのを足もとで何度も見ています。入江の中や港内を探したほうがアジは見つかりやすいです」
藤原さんが手にするサオは「ラグゼ宵姫爽弍S53FL」。軽量で高感度、1g前後のジグヘッドリグを精密に操れるモデルだ。ジグヘッドは「宵姫AJカスタムTGラウンドタイプ」の1.5g、ワームは「宵姫エクボ」2.2インチ、カラーはチートチャートである。
「デイやマヅメの釣りで、佐渡では重めのジグヘッドを使うことが多いです。5m前後の水深なら1.5gのタングステンがパイロットです。日中は速いアクションで反応しやすいんです。逆にナイトはスローな誘いが基本で、1g以下で漂わせる釣りも多用します」
デイはサイトで反応を確認
日中のサイトゲームでは、アジが反応する瞬間が見える。ワームのカラーやサイズ、アクションの違いで、群れの中のたった1尾だけが反応することも少なくない。
「群れのすべてに食い気のスイッチを入れられれば、それはもう完全なパターンです。でも現実は、1尾だけがピューッと寄ってパクッと食うことのほうが多い。ワームが少しズレているだけで食わないこともある。アジという魚が恐ろしくなるくらい見切ります。アクションの速さや方法、ワーム姿勢の安定性ひとつで反応がまるで変わる。こうした反応をサイトで観察しておくと、ナイトやディープの釣りでも海中を想像できるようになります」
フグの猛攻をかわして良型連発
この日は底荒れで濁りが強く、サイトフィッシングは不可能だった。開始早々クサフグの猛攻が続き、ワームが投げるたびにちぎられる。そこで「宵姫ノレソレ」1.8インチにチェンジ。弾力のあるエラストマー素材で、フグ対策と豆アジ攻略に最適だ。カラーはクイーンオブザブルースグロー。さらに速い動きでフグをかわすため、ジグヘッドをタングステン2gに変更した。
ようやくアジらしいバイトが出たのは、ミオ筋の反転流。泡が帯状に浮かぶボトム付近でチョンチョンと誘い上げてフォールを繰り返すと、モソッという感触。合わせるとしなやかなバットが弧を描き、18cmの本命が浮かび上がった。続けて同サイズを数尾キャッチ。

「沖のカケアガリに良型が付いていそうですね。本当は大きいワームで安定した水平姿勢でフォールさせたいけど、フグが多くて難しい」
その言葉どおり、少し沖めにキャストすると23〜25cmが連発。光量が落ちるにつれサイズは上がり、両津地区の17時の時報であるビートルズの「イエスタデイ」が鳴り終わるころには尺アジがラッシュ。宵姫爽弍が美しい弧を描き、次々とアジを抜き上げた。
汽水湖、河口、磯、サーフ……島内に多彩なフィールドが存在
ナイトゲームの舞台は、両津港近くの加茂湖と海を繋ぐ水道。加茂湖は周囲約17km、新潟県最大の湖であり、日本の離島では最大の湖でもある。ルアーでクロダイ、マゴチ、スズキが釣れ、藤原さんのお気に入り釣り場だ。両津港はこの加茂湖の砂州上に造られており、水道部にはさまざまな魚が出入りする。そして明るい外灯が照らすスポットにはアジが付いている。

「ここでは流して食わせるドリフトの釣りをしていきます」 藤原さんは1gのジグヘッドに宵姫エクボのチートチャートをセット。手前がシャローになっており、ブレイク際を流すようにキャスト。暗部に投げ入れて流し、時おりチョンチョンとシェイクさせてジグヘッドの位置を確認しながら再び流す。 開始2投目。すぐにロッドが弧を描いた。上がってきたのは23cmクラス。時合に入ったようで、続けざまに25cmも舞い上がった。
「でかい島なので、すべての釣り場や季節ごとのパターンは確立していません。この加茂湖との水道や小河川の河口といった流れの強い釣り場もあれば、港、磯、ゴロタ、サーフ、水深20mの深場もあり、釣り場は多様です。いろんなパターンの釣りを楽しめるからこれからも飽きることはないでしょうね」
佐渡島の懐は底なしに深い。アジング探求者には、ぜひとも訪れていただきたい楽園だ。
藤原真一郎さんの佐渡島アジングタックル
最後に藤原さんの佐渡島で使っていたタックルを深堀りする。
ロッドは2026年新作「ラグゼ宵姫爽弍」

使用ロッドは、「ラグゼ宵姫爽弍」。ビギナーから中級者まで高い評価を得ているラグゼ宵姫のエントリーモデル「爽」が2026年にバージョンアップしたモデルだ。
「大きく変わったのはリールシートです。ラグゼが完全オリジナルで新設計し、より軽く、握りやすい形状となっています。リールシートやグリップエンドは感度に大きく影響します。それこそブランク以上に感度の向上に寄与していると思うことがある。アジングは軽いジグヘッドの引き感や、アジがワームを吸い込む瞬間の微かなアタリが伝わってこそ面白い。“何をしているか”が感じ取れないとビギナーもつまずいてしまいます。2万円台とお求めやすい価格帯で使った瞬間『これ、めっちゃええやん』と思える完成度を追求しています。気軽に手軽にアジングの醍醐味を味わってほしいです」
ラインナップは53FL、58FL、63UL、69UL、73L、78Mの6機種。すべてのモデルにチタンフレームガイドとソリッドティップを採用している。
今回藤原さんが使用したのは「S53FL-solid」。シリーズ最短・最軽量で、よく曲がる。手にした瞬間に感じるのは、軽さからくるシャキッとしたブレのなさ。アンダー1gのジグヘッドの引き感もよく分かり「ハイエンドモデルに迫る感触」と藤原さん。よく曲がるので力を入れなくてもキャストしやすく、尺クラスの引きをいなして抜き上げられるパワーもある。
ブランクも各モデルで最適化され、53FLはよりしなやかに進化。身近な小アジも気持ちよくねらえる一本に。58FLはスタンダードな性能で、1g前後のリグが使いやすい。63ULは強い流れにも対応できるよう張りを強化。69ULはユーザーから要望の多かったスプリットショット向けの追加モデル。73Lはゴロタ場や小磯、足場の高い釣り場でのキャロやスプリット、ジグなどの多彩なリグに対応。78Mは遠投性能を高め、よりパワフルでシャープな操作感を実現し、エギングやロックフィッシュゲームにも対応する。
デイゲームのジグヘッドは重めのタングステンジグ

佐渡島のデイゲームでパイロット的に使うのは「宵姫AJカスタムTGラウンド」1.5g。タングステンはシルエットが小さく速い動きでのリフトやフォールができることからリアクションを誘いやすい。
「オープンゲイプなのに線径が太くて強い。なんぼアジを釣ってもハリが開きにくく鈍りにくいのが魅力です。ナノアルファというフッ素メッキ加工がしてあるので軸が太くても貫通力は高いです」
藤原さんのワーム使い

パイロットワームは「宵姫エクボ」2.2インチ。鉛でもタングステンでも、0.2~3gまですべてのジグヘッドに合わせられるボリューム感。カラーについては日中でも夜でも最も使用頻度の高いカラーが写真手前の「チートチャート」だと言う。
「夜のアジは色を認識せず白黒で世界を見ているそうです。チートチャートをグレースケールにして見ると、黒か白かといえばちょうど真ん中くらいの色に見える。人間の目には派手に見えても、白くもないし黒くもない。中間で透け感もあって、そういう色はすごく釣果が安定している気がします。日中の視認性の高さも魅力です」
フグが多い時や小アジ対策にはエラストマー素材の「宵姫ノレソレ1.8 インチ」を使う。キビキビと動かす、ちょっとした変化を付けるのがやりやすい。
※このページは『つり人 2026年1月号』の記事を再編集したものです。



