食い渋るアジをどう釣る?北九州・門司エリアを訪れたクリアブルー本岡代表が直面したタフコンディション。彼が選んだ打開策は「スプリットショットリグ」だった。シンカーの重さとリーダーの長さを調整し、本命を引き出す。その思考とテクニックを解説。
本岡利將(もとおか・としまさ) プロフィール:広島県出身・奄美大島在住。クリアブルー代表を務め、ソルトルアーシーズン中は青森から九州まで各地のショップイベントやメディアのロケをこなす多忙な日々を送る。
写真と文◎編集部
北九州・門司エリアで直面した「食い渋り」&「サバ猛攻」
10月下旬、本岡利將さんらチーム・クリアブルー一行が訪れたのは北九州市の門司エリア。同社の代表として、各地で開催される店舗イベントの合間を縫ってプライベートの釣行や製品テスト、メディア取材までをこなす本岡さんにとって、今回も長崎・福岡の釣具店でのイベントのために九州入りしているタイミングでの釣行となった。
当初予定していたのはデイアジングで釣果が見込めるポイントだったのだが、日が近づくにつれて天気予報が悪化。釣り座へもろに当たる強い向かい風の予報に。釣り自体が満足にできなさそうな状況となり、それでも念のため前日に下見に入った本岡さんだったが、全くと言っていいほど反応が得られず、アジが消えてしまった感触だけを得ていた。
「2~3日前にがくんと冷え込んだでしょう。あれで魚が抜けてしまった印象です」と本岡さん。そこでエリアを大きく変更することになり、好調との情報があった門司エリアに白羽の矢が立った。
関門海峡を挟んで対岸に下関を望む門司エリアの岸壁に集合すると、すでに本岡さんと現地スタッフでもある有馬義昭さん、川鍋涼子さん、柴田良一さんが釣りを始めていた。仲間同士横並びで釣りができるのもアジングの醍醐味だ。博多在住の柴田さんによると
「普段は博多湾をホームにしていますが、水温が下がったことで博多湾でも外洋に面した潮通しのいいエリアではなく、湾奥の船着き場などに入ってきているタイミングです」という。
関門海峡は日本海と瀬戸内海の干満差によって、幅が最も狭い和布刈周辺ではときに流速10ノットを超える激流となるが、それでもスポットごとに見れば潮通しに変化がある。今回のポイントは海峡の幅がやや膨らむところで、流速がマイルドになりそうな場所だ。 ここでは8mほどの水深の全層にベイトが群れているようだった。
「全長5cmくらいの小魚です。イワシかな。この周辺のエリアでは毎年この時期になると常夜灯の下に集まっているのをよく見かけます。今日も何度も水面でボイルしていますね」と本岡さん。
表層から底層までサバだらけ
だが、記者が到着するまでの釣果はサバのみ。近くに停泊中の大型客船の灯りが煌々と水面を照らしており、どうやらこれで高活性のサバが集まって来て、全レンジで捕食活動をしているらしい。サバとのねらい分けがアジを手にするキーになりそうだ。
「もうサバばっかりですよ。でも正直この状況だとねらい分けられないですよね……。普通はサバの群れの下にアジがいることが多いので、レンジを変えればアジだけねらうこともできるんです。ただこれだけサバが元気だとアジがビビッて口を使わなくなってしまいます。サバが散ってくれればアジのバイトも出ると思うんですが」と本岡さん。
その証拠に、セオリーどおりボトム付近まで落として探ってもサバがヒット。「むしろ上のレンジか?」と中層でカウントを止めてテンションフォールさせてみてもヒットしてくるのはサバばかり。
普段は博多湾のシャローを0.4~0.6gのジグ単でねらっているという柴田さんはここでも使い慣れた0.6gのジグ単で8mのボトムをスローに誘う作戦。この日は小潮で海峡の潮もあまり動いていないため、このウエイトでも釣りになっているのだが、これで出たバイトもガツガツとしたサバのもの。これには柴田さんも「俺の70カウントを返して~(泣)」と悲鳴のようなコメント。どうにも状況の好転を待つばかりの展開になってきた。
タックルはジグ単とスプリットショット用を用意
ここで本岡さんが持ち込んだタックルを見てみよう。今回はジグ単とスプリットショット用を用意していた。なるべく高感度のロッドを使うことでアジングの楽しみが増えると話す本岡さんが手掛けるロッド「クリスター」シリーズは、トレカT1100G、M40Xといった最新の高弾性カーボン素材を全身に使い、肉抜きされたカーボンリールシートにブランクが直接密着するようにバット部が急激に太くなるテーパーデザインなど、感度向上のためのあらゆるデザインがふんだんに盛り込まれているのが特徴。ユーザーからもその違いが体感できると評価が高い。
ジグ単用タックル

ロッド:クリスター60FOCUS-Evolver(クリアブルー)
リール:エアリティLT2000S-P(ダイワ)
ハンドル:エアーステア33mm(DLIVE)
ライン:エステルライトゲーム0.3 号(山豊テグス)
リーダー:シーガーグランドマックス0.5 号(クレハ合繊)
ジグヘッド:サイコロヘッドACE TG 1.0g(クリアブルー)
ワーム:ナミィ2.0in(クリアブルー)
ジグ単用のロッドにはクリスター60フォーカスエボルバーを合わせた。豆アジから尺クラスまでアジのサイズを問わず射程に収めるバーサタイルなモデルで、この秋、前身の60フォーカスから5年ぶりのリニューアルを果たした。ソリッド部の素材がより弾性率の高いT1100Gの33tカーボンとなり、操作感のクリアさがさらに向上したという。
スプリットショット用タックル

ロッド:クリスター72FINDER(クリアブルー)
リール:イグジストLT2000S-P(ダイワ)
ハンドル:エアーステア33mm(DLIVE)
ライン:エステルライトゲーム0.3 号(山豊テグス)
リーダー:トルネード松田スペシャル ブラックストリーム0.8 号(サンライン)
シンカー:TG パラソルシンカー1.0g(クリアブルー)
ジグヘッド:サイコロヘッドACE TG 0.6g(クリアブルー)
ワーム:シャッディー2.0in(クリアブルー)
スプリットショット用には同72ファインダーを準備。遠投性に優れる7フィート2インチのレングスでありながら、0.2gのジグ単も扱える繊細さも備えるモデルだ。
なぜこの状況で「スプリットショット」なのか?
状況的に本命視しているのはスプリットショットのほうで、食い渋るアジをウエイトが分散したリグでナチュラルに探り、口を使わせられないかと期待した。
「これからの季節はスプリットショットの出番が多くなります。季節風の中での操作もしやすいのがひとつ。また、釣れるアジのサイズもよくなってくるのでラインを太くしたい場合に、操作性を確保するためにリグの総重量を上げても食わせやすい」と本岡さん。
シンカーはタングステン製のTGパラソルシンカーをセット。断面が5角形の多面体形状が水切れよく、その比重の高さと相まって素早いフォールと障害物に接触したときの感度の高さで、リグの状態を把握しやすい。本岡さんは1.5gのシンカーに0.6gのジグヘッドの組み合わせで釣りをスタートした。
リーダーを長くしナチュラルに誘う
22時を過ぎて停泊していた大型船が離岸して、周囲の灯りは常夜灯だけになった。サバの猛攻が落ち着いてくれればと期待が高まる。 1gのジグ単で探っていた有馬さんは「そんなに流れていない」と0.8gにウエイトチェンジ。下関側には航行する船舶のために潮の流れの速さと方向をリアルタイムで表示する下関導灯があり、この日の釣り場からも小さく見えている。有馬さんによれば流速が2ノットを超えるタイミングでアジの食いが立つことが多いという。この日は0~1ノットの範囲にとどまっており、2ノットに達することはなかった。
そういった状況で何とか口を使わせたいときにもスプリットショットは有効で、本岡さんはシンカーウエイトを1gに下げ、リーダーを40cm程度の長めにとった。シンカーから離せば、そのぶんジグヘッドの動きにはナチュラルさが出るからだ。「いつもは30cmくらいなんですけど、食いがあまりよくない気がするので」と本岡さん。
しばらくは引き続きサバに悩まされる時間帯が続いたが、23時を過ぎたころ、柴田さんに待望の本命がヒット。そして、その直後に本岡さんもアジのバイトをとらえた。
「ロッド操作でふわっと浮かせて、テンションフォールで3~4秒くらい待っていたら『コッ』というバイトが出たのでアジだとわかりました。釣れてよかった」
ワームはセクシービー2インチの「ホタテの塩辛」カラーだ。
ワームチェンジで数を伸ばす
サバと比べてアジのほうが繊細なアタリが出る。これを掛けていくのが楽しい。ボトムはとっていないがカウントは40秒ほどとって深めの中層をねらっている。この調子で本岡さんは2尾目を手中に。さらにバイトが遠のくとワームをナミィ2インチにチェンジして3尾目を引き出した。
それを見た有馬さんもリグを1gシンカー+0.4gジグヘッドのスプリットショットに持ち替え今日イチサイズの27cmをキャッチすることに成功。このアジが食いついたのはセクシービー2インチの「クールオレンジ」カラー。

このカラーの考案者は今回も同行中の川鍋さんなのだが、ちょっと苦戦中。川鍋さんはあえてジグ単を使ってこの日のアジを食わせられないかと試していたのだ。
チャンスが回ってきたのは真夜中を過ぎた0時30分。この時間はスプリットショットでもバイトが遠のいて反応が得られない状況だった。そんななか、1.2gのジグ単にバイトが出た。活性が変化してダイレクトな速めの動きに反応がよくなったのかもしれない。
このようにリグの総ウエイトが似ていてもアクションの質でバイトの出方が変わることがあること、仲間と一緒にサオをだすことでそんな変化にも楽しく気づける。これもアジングの魅力だ。
※このページは『つり人 2026年1月号』の記事を再編集したものです。



