「1色だけでもアジは釣れるかもしれませんが、それではもったいない!」と熱弁するのは、ケイテックの営業マンであり、大のアジングフリークである中川隆紀さん。アジングにおけるカラーローテの意義と効果を改めて教わった。
解説◎中川隆紀
中川隆紀(なかがわ・たかのり)プロフィール:いつでも最良を求めるストイックさで関西圏を釣り歩く熱血アジングフリーク。釣り場へは常時20色を携行するという。
ワームのカラーローテーションがアジの動きを可視化
状況に応じてルアーの色を変えていくカラーローテーション。アジングに限らずどんな釣りでも行なわれている、釣果を伸ばすためのテクニックです。では、1色しか持っていなかったらアジは釣れないのかというと、決してそんなことはなくて、アジングは成立すると思います。でも、1色を使い続けるだけというのは非常にもったいない。なぜもったいないかというと、釣果をより伸ばすという面も当然ありますが、その色で釣れなかった魚の存在に気付けないからです。
アジの動きは周囲のさまざまな条件で変わります。それを釣果という形で可視化し、追いかけていくのがアジングの面白さです。カラーローテーションはそういった魚や自然の変化を感じ取るためのひとつの手段。その時々のベストなカラーや釣り方を見つけるまでの過程や見つけた時の喜びが、アジングにおけるルアーフィッシングとしての魅力を大きくしてくれます。
ローテで得る経験がアイデアや自信へ
自分自身の好きなスタイルを貫くタイプのアングラーは、カラーや釣り方も絞り込む人が多い印象ですね。また、多くの釣り場を訪れることができる方も、色や釣り方は絞り込んでいるように感じます。それはそれで一つの楽しみ方であり、合理的です。一方で、私はカラーローテーションによって自然や魚の変化を感じながら、より強く深いアタリを出せることができるのか?という挑戦を楽しんでいます。
実際にカラーローテーションによって導き出されたカラーチョイスの自信はルアーフィッシングでの最大級の武器になり得ると思っています。また、あえてセオリーとは真逆のカラーローテーションをすると意外な発見も多く、ローテーションする度にワクワクします。特に変えて一投目のヒットは思惑通りで嬉しいものです。そういった経験の積み重ねが、新しいカラーのアイデアや釣り方のキッカケになったりしていると感じています。

ワームを効率的に選ぶ方法
カラーローテーションは悩みどころでもあり、特に軸ができあがっていない初心者の方は迷宮に入り込んでしまう可能性もあります。
どんなカラーを用意すればいいか迷っている方に勧めたい考え方があります。1985年に刊行されたヒロ内藤さんの著書『バスプロのスーパーバッシング』の中に書かれていたディフェンシブ・ルアー・セレクションという考え方で、持ち込めるタックルに重量制限があった時代、アメリカのバスプロが用いたトーナメント用タックルボックスの組み方なんです。
まずはタックルボックスの一角を、どんな条件下でも魚をねらえる自信のあるプライムルアーで揃えます。そして、残りのスペースにその釣り場の過去の実績ルアーを入れていくという考え方です。私はこの思考が好きで、今でもずっと活用しています。この考え方をカラーに置き換えてみると、アジングでもルアーローテションがスムーズかつ効率的になると思っています。荷物をコンパクトにしたいという方にもおすすめな考え方です。

アピール力はグロー<UV<クリア
アジング用ワームには膨大なカラーパターンがありますが、私はクリア系、グロー系、UV系の3系統に大きく分類しています。もちろん、この系統に入らないカラーもあります。この3系統のアピール力は、グロー<UV<クリアの順に弱くなると考えています。まずは3系統でローテーションしてみて、アタリがよく出た系統があれば、その系統の中でさらに細かく色を変えていきます。すると、やはりちょっとした違いで反応が大きく変わることが多くてとても面白いです。

光量を意識することが重要
ローテの順番は、デイ、ナイト、光の強弱、潮の濁り具合、レンジなどの条件で変わりますが、その状況下で手堅いと思われる色から使っていきます。光が強いならクリア、光が弱いならグロー、潮が澄んでいるならクリア、濁っているならグローが手堅いというイメージですね。光や濁りの程度によってその中間であるUVからスタートすることももちろんあります。最も重要な条件は光の入り具合だと感じていて、そこを念頭に色を選んでいくとわかりやすいと思います。

ボトムと同系統の色が効果的なことも
反応が悪ければ変えていくのが基本ですが、私はその日のヒットメーカーを探すのも楽しみなので反応がよくても次々に交換していきます。1色を長時間使い続けることはありませんね。反応がよい時にカラーを変えるのは勇気がいるかもしれませんが、新しい発見に繋がることが多いです。一番反応のよいカラーが見つかったら、ワームサイズやジグヘッドの重さを変えて、リグ全体のベストバランスを探します。
カラーローテの締めにはパール系を必ず試していて、堰を切ったように釣れだすことも度々経験しています。
また、底質を意識することも多いです。たとえば、藻が多い場所では、藻や岩礁帯に同化するような色もローテの合間に挟みます。砂地ならクリア系ですね。底質の判断は目視だったり引っ掛かってきた海藻などですが、バチコンなら着底の感触で岩か砂かが分かると思います。

口を使わせる最後の決め手は色
アジングにおいて反応が悪いというのは、アタリがない時はもちろん、明確なアタリの割にアワセが決まりにくい時もそういった状態だと考えて、すぐにカラーを変えてみます。ヒット直後のバラシが多発する時はカラーというよりもタックルバランスなどによるものだと思います。
対して、反応がいい時というのは、金属的で明確な小さなアタリが出た時、ぐっと抑え込まれるような優しくも重く力強いアタリが出た時、違和感のようなアタリでもアワセを工夫するとしっかりフッキングする時だと考えています。ローテーションを経てこういったアタリを感じた時は喜びもひとしおです。
また、アジングで厄介なのが他魚の存在です。特にワームを食いちぎってしまうフグは迷惑千万で、カラーローテでは正直かわしきれない感じです(笑)。オカッパリなら100~150m離れた場所への移動をおすすめします。グロー系やラメ量の多いカラー等に反応していることがあるので、控え目な色調に交換してみます。サバも同様に地味なカラーにすることでいくらか避けることができる場合があります。
愛読書の『バスプロのスーパーバッシング』にはもう一つ印象的なPattern within Pattern(パターンの中のパターン)という言葉が紹介されていました。ルアーフィッシングは主にアプローチやアクション、タイプによってヒット率が変わる可能性が高いと思いますが、この言葉の意味する「わずかな違いで魚の反応が変わること」を私は常に念頭に置いています。アジだけではなくあらゆる魚に対して、最後の決め手(=わずかな違い)はカラーという可能性があると思っています。
アジングは、状況に合わせた釣りができたかどうかが釣果数ではっきりと表われるパターンフィッシングです。カラーローテーションを考えることで広がるアジングの可能性をより深く楽しんでいただければと思います。

※このページは『つり人 2026年1月号』の記事を再編集したものです。



