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North Angler’s編集部2025年8月9日

ヤマメを狙うなら“瀬”を撃つ!ニジマスと釣り分ける、尺ヤマメへの近道【北海道・十勝の渓流釣り】

夏は大型のヤマメが期待できる絶好機。9月は産卵態勢に入る個体が多いので、一年で一番のチャンスは8月だ。夏の十勝といえば川のニジマスと海サクラのイメージが強いが、近年はヤマメを追う人も見られる。ニジマスだけじゃない!

夏は大型のヤマメが期待できる絶好機。9月は産卵態勢に入る個体が多いので、一年で一番のチャンスは8月だ。夏の十勝といえば川のニジマスと海サクラのイメージが強いが、近年はヤマメを追う人も見られる。ニジマスだけじゃない!

Photo & Text by Hiroki Hirasawa(North Angler’s

North Angler’sとは?:北海道での釣りを満喫するための情報誌。北海道の自然を体感するキャンプの情報や、フィールドを守るための環境問題にも光を当て、多角的な視点からアウトドアライフを提案している。誌面と連動したウェブサイト『つり人オンライン』での記事展開に加え、好評放送中の『ノースアングラーズTV』や公式動画チャンネルである『釣り人チャンネル』を通じても、北海道の釣りの魅力を発信している。

北海道・十勝のヤマメ釣り

2007年に十勝川本流の千代田堰堤右岸に造られた千代田新水路により、サクラマスの遡上が増え十勝南部は海サクラのメッカとも呼ばれている。しかし近年は、釣れ始めるのが遅くなっているだけでなく、海況が悪く低迷気味の期間も多い。

そんな状況にやきもきしているソルトアングラーの中には、川に目を向ける人が出てきている。7月上旬に61cm&62cmという大型の海サクラを2尾釣った帯広市の熊谷陽介さんもそのひとり。熊谷さんは7月10日の夕方、自宅近くの川に入り、短時間の釣行で25cm級を頭に数尾のヤマメ(地方名:ヤマベ)をキャッチ。「十勝は昔に比べると、随分とヤマメが釣れるようになったと感じます」と話す。

ニジマス河川として人気の音更川や然別川でもヤマメのヒット率が上がっていると言う。その背景にあるのは千代田新水路と考えられるが、十勝川支流の札内川では中札内村が『ピョウタンの滝やまべ放流祭』というイベントを長きにわたって開催している他、広尾町などでも放流が盛ん。十勝は全国的にニジマスが知られるが、実はヤマメ釣りのフィールドとしても面白いエリアだ。

千代田堰堤のサクラマス
幕別町にある『魚道観察室ととろーど』ではサクラマスが元気に遡上していた

ヤマメとニジマス、釣り分けもできる?

7月16日、熊谷さんと芽室町の長谷部吉彦さんに同行し、帯広市内の川を釣り歩いた。この川をチョイスした熊谷さんによると「昔、ほとんどヤマメは見られなかったのですが、2016年の連続台風で魚道のない下流の堰堤が決壊してから徐々に釣れるようになりました。魚影は濃くないものの、サイズがいいのが魅力。友人が先週、27~28cmを釣っています」とのこと。

熊谷さんも長谷部さんも海で“二尺ヤマメ„を射止めている海サクラのエキスパートだが、最近は川の尺ヤマメにも興味津々(一尺は30.3cm)。2人ともベイトフィネスのスタイルで、熊谷さんは4フィート10インチのウルトラライト・ロッドを手に持つ。長谷部さんはヤマメ用に4フィート8インチを導入する予定が、この日に間に合わず残念そう。

霧雨が降る中、午前5時半から入川して釣り上がる。「1日だけ晴れ間がのぞきましたが、あとは1週間、ずっとこんな天気が続いています」と熊谷さん。通常より5~10cm水位が高いと言うが、アピール力で勝負するルアーにとっては好条件といえそうだ。

が、あちこちに比較的新しい釣り人の痕跡。「海がダメなら川。皆考えていることは一緒ですね」と長谷部さんは苦笑い。それでも開始早々、長谷部さんが小型のニジマスをヒット。ヤマメとニジマス、どちらも生息しているのは十勝らしい。

ニジマス-1
大型ニジマスもいる川だが、取材時にロッドを絞ったのは25cm前後

ニジマスは40~50cm級も釣れるようだが、「活性の高い小型は瀬にいることもあっても、良型は流れが緩く深い淵にいることが多い。ある程度釣り分けることが可能です」と熊谷さん。一方、ヤマメは瀬に入っていると言う。ところが、肝心のヤマメが釣れない。「入川した橋の前後は先行者が釣った後なのかも……。もう少し釣り上がったら大丈夫だと思いますが」と話しつつも、熊谷さんはこの日の天気のように表情を曇らせる。

十勝の渓流
ヤマメとニジマスが生息している場合、比較的流れが緩く、水深のあるポイントにはニジマスが潜んでいることが多い

ヤマメは瀬の中にいる

流心をアップで探るその後は結果から言うと、見事な良型ヤマメのショーだった。熊谷さんの読みどおり、ある区間から魚の反応が急に増え、最初に顔を見せたのは23cm。ホッとする熊谷さんに続いたのは長谷部さんで、何と25cmを連発。負けじと熊谷さんが23cm&25cmをゲット。その間にも20cm級が数尾、さらに小型のニジマスも混じり、あっと言う間に正午を過ぎて終了予定の橋までたどり着いた。

ヤマメが好む早い瀬
遮るものが何もない早瀬に真っすぐアップでキャストし、トン・トン・トンとトゥイッチを加えてヒットさせた。このポイントでは小型のニジマスもきた

もちろん釣った魚はすべてリリース。この日の釣りを振り返り、2人が感じたこと。それはやはりヤマメは瀬の中にいること。かなり速い瀬にも入っていた。次に、流心に対してアップのキャストがよいこと。熊谷さんはクロスでキャストすることも多かったが、断然アップのほうがヤマメのヒット率は高かった。

上記をふまえて、アップでもアピール度の高いルアーを選ぶのが重要と実感。2人とも5gのスプーンをメインに使ったが、ボディーが薄く、アクションの大きいタイプに反応がよかった。その中でも長谷部さんが多用した、アップのアプローチに特化したスプーン『ド・アップ』は抜群に効いた。

ド・アップで釣ったヤマメ
背中の黒点の多さが特徴的な25cm。『ド・アップ』5gの蛍光ピンクヤマメを食ってきた。このスプーンに替えてから長谷部さんは絶好調モードに突入

7~8月は海でも川でもヤマメが狙える

最後に「ヤマメは今、中流域に多くいるはずですが、これからサクラマスが遡上してくると、それを迎えにいくように下流域へ移動します。そして、サクラマスと一緒に少しずつ上流域へ遡上します」とは熊谷さん。

ヤマメ釣りでは時季に応じたエリアの選択も釣果のカギを握る。熊谷さんは秋、ニジマスねらいで30cmを超えるヤマメを釣ったことがある。が、魚体にはサビが入り、そのときはあくまでも“外道„だったため喜びは半減。しかしヤマメに照準を定め、サビていないピカピカの魚体を、繊細なタックルで釣ったらどうか。海の二尺ヤマメと同じように感動すると思っている。

熊谷さんも長谷部さんも、今後はよりヤマメを意識したタックルを検討している。道東のヤマメの解禁日は7月1日。一日の釣行で、海でサクラマス、川でヤマメという二刀流のプランを組めるのも十勝の魅力といえるだろう。海が荒れて釣りが難しくても川なら楽しめることは少なくない。十勝に遠征を考えているなら海と川のタックルを用意して損はない。海で二尺、川で尺に出会えれば最高の思い出になるのは間違いない。

タックル
使用タックル:写真上は長谷部さん。ロッドはフィッシュマン『ビームス ローワー6.2L』、リールはダイワ『アルファスAIR TW 8.6L』、ラインシステムはPE1号+ナイロン14ポンド。

下は熊谷さん。ロッドはメジャークラフト『トラパラ ネイティブ ベイトモデルTXSB4102UL』、リールはシマノ『SLX BFS RIGHT』、ラインシステムはPE0.6号+ナイロン10ポンド
ルアー
当日のヒットルアー:写真左から。強く重い流れの中でも浮き上がりにくく、水深のある場所にも適している『デベロップ・シェル』(40mm5g・G.チャート/グリーン)。フックはヴァンフック『ドリフトフックDRB-56F』#8で自作。

メタル素材のテールを備え、独特なキレのある泳ぎを披露する『マニア』(50mm5g・G.レッド/オレンジ)。ボディーはワイドなウォブロールアクション、テールはキビキビとしたアップ&ダウンでアピール。フックはヴァンフック『スプーンエキスパートフックSP-41MB』#6。

ネーミングどおり直線的なアップストリームで釣るために開発されたスプーン。テストを重ね、この長さ・幅・板厚・カーブ形状を採用し、ド派手な泳ぎでアピール度が高い『ド・アップ』(50mm5g・蛍光ピンクヤマメ)。フックは丸セイゴ15号で自作

※このページは『ノースアングラーズ2022年9月号』を再編集したものです。

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