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つり人編集部2026年1月12日

【月刊つり人80周年】誌面で振り返る「アジング」の歴史。黎明期から現代のジグ単まで

1946年創刊の雑誌・月刊『つり人』は80周年を迎えた。その歴史のなかで多くの釣りやターゲットを取り上げてきた。今回はアジングにフォーカスし、本邦のルアーフィッシング史におけるアジという魚がゲームフィッシュになるまでを誌面から振り返ってみたい。

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まとめ◎つり人編集部

1946年創刊の雑誌「月刊つり人」を始め、数々の釣りに関するコンテンツを作成してきたつり人社の編集部。

日本のルアーフィッシング史

日本に西洋のルアーフィッシングが持ち込まれたのは太平洋戦争敗戦の後、アメリカから進駐軍としてやってきた兵士や高官が余暇に楽しむレクリエーションとしてであった。そこから現在に至る80年近い歴史のなかで、その魅力はバトンのように日本人にも受け継がれ、日本人ならではの凝り性を発揮した本邦のアングラーたちはタックルやテクニックを独自に発展させてきた。ターゲットにおいてもトラウトやバスといった西洋人になじみ深い対象魚のほかにも好敵手を見つけ出し、あらゆる水域に金属や樹脂や木製のルアーを泳がせてきた。

アジングというジャンルが確立したのは近年

翻ってアジをルアーでねらうアジングというジャンルが確立したのは00年代半ば。90年代の後半ごろにその萌芽が生まれ、10年代までにかけてキャロやフロートなどさまざまなリグが考案された。20年代からはシンプルなジグ単の釣りをより掘り下げて楽しんだり、オフショアでのバチコンの人気が高まったりと、ディープな楽しみ方をする人が増えている時代と言えるだろう。

そんなふうに今でこそゲームフィッシングのターゲットとして脚光を集めているアジだが、それまではビシアジなど船釣りのターゲットとしてか、サビキ釣りなどでねらう堤防のファミリーフィッシングの対象魚という扱いをされている期間が長く続いた。ビギナー向けの釣りの教科書や沖釣りの釣果情報には真っ先に登場するが、表紙を飾るようなゲームフィッシュとしてはなかなかお呼びがかからない存在だったのだ。

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創刊第2号となる1946年8月号では日本画家の岸波百草居による挿絵にアジが登場している。創刊者の佐藤垢石が添えたエッセイには、誰にでも簡単に釣れると思っていた小アジだが、小網代で出会った老船頭が自身より圧倒的に釣るのを見て驚き、対象魚としての魅力に気づいた様が綴られている

黎明期のターゲットはバスとトラウト

ルアーフィッシングの枠で見ると、日本の釣り人にルアーを使った釣りが認知されていったのは1960年代から70年代にかけてだ。小誌でルアーフィッシングの特集が組まれるようになるのも70年代初頭であった。しかし、日本のルアーフィッシング黎明期であったこの時期、そのターゲットとして脚光を浴びていたのはニジマスやブラックバスといった淡水の外来魚だった。西洋から持ち込まれた文化だから、入門書も洋書の和訳から始まったのであり、対象魚もまずはその故郷で釣られていた魚から始まったのは必然だ。もちろん日本の身近な魚にも果敢にルアーにアタックしてくる魚は淡水海水問わずいたわけだが、当時のルアーマンが憧れたメインストリームはバスとトラウトだったのだ。

淡水からソルトへ。70年代に西山徹が記したアジの可能性

日本ならではのターゲットを探そうという機運もあった。『つり人』1971年8月号では「ルアーで海にアタック!」という特集が組まれ、ルアーフィッシングの伝道師として著名な西山徹(1948~2001)が「海でルアーを引こう」と題した記事を書いている。しかしこの記事でメインになっているのはそのタイトルのとおりライトなトローリングで、対象魚はソウダガツオ、シイラ、イナダ、サバ、スズキなどであった。

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『つり人』でルアーフィッシングが盛んに取り上げられるようになったのは1970年代だが当時のターゲットはトラウトやバスだった。1971年1月号は特集が「ルアーで海にアタック!」にもかかわらず表紙はニジマス

73年の書籍にアジングの草分け的な仕掛けが登場

ただ、あの西山さんがショアからのソルトルアーを試していないわけがなく、その知見は1973年出版の著書『海のルアー・フィッシング』(つり人社)で存分に紹介されている。メインのターゲットはシーバス(当時は和名のセイゴ、フッコ、スズキが使われている)、ヒラメ、イナダ、ソウダガツオなどだが、なんとこの本のなかで早くもアジが対象魚として取り扱われてるではないか。

当時のタックルでどうやって……?と気になる仕掛けは、7~28gのシンカーの先にリーダーを設け、3~5gのスプーン、スピナーもしくはバケを結ぶキャロライナリグか、14~28gのスプーンまたはジグの手前に枝スを伸ばしてバケを結ぶ、いまで言うジギングサビキのリグが推奨されている。

西山さんの時代から現在のアジングシーンまでは時間的にもタックル的にも大きな隔たりがあるわけだが、アジをルアーでねらうという発想は確実に存在し、その時代ごとの道具で人知れず試行錯誤を続けいい思いをしていたアングラーは多くいたに違いない。

そういったアングラーのなかから加来匠さんや渡邉長士さんといったアジングというジャンルを世間に広める役割の中心を担った人々が登場するのである。

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西山徹は1973年の著書『海のルアー・フィッシング』で早くもルアーターゲットとしてアジを紹介していた

アジングの払暁。00年代のパイオニアたち

『つり人』でアジングを取り上げた最初期の記事が2006年5月号に掲載された「フィッシュイーターとしてのアジ」だ。アングラーは渡邉長士さんで、渡邊さんはその8年前(1998年)からアジングを始めていたことが語られている。ただ2006年時点でライトソルトと言えばメバル・カサゴのロックフィッシュがメインで、まだまだアジは対象魚として盛り上がってはいなかった。この記事に踊る「あえてソフトルアーで」「何を酔狂な……」「小もの釣り新境地」といったワードが当時の空気感を伝えている。翌月の2006年6月号では「海の国ニッポンのソルトウォーターゲーム」という特集が組まれているが、ここにアジは登場しない。

タックルもまだ確立されていないから、渡邉さんが使っていたのは6フィート7インチのトラウトロッド。ちなみにこのころの渡邉さんはエリアトラウトの名手・松本幸雄さんとともにアジングの研鑽をしていたそうだ。そうした模索期の本記事で紹介されているスーパーボールを飛ばしウキに使う仕掛けは今見てもかなり興味深い。

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『つり人』誌面でアジングが取り上げられた最初期のもの(2006年5月号)。アングラーはご存じ渡邉長士さん

00年代後半から10年代半ばまでの10年はアジングが広がりを見せるなかで、多様な仕掛けや楽しみ方が考案されていった時期だ。2009年1月号の第2特集「餌木もメバルもアジングも お手軽! 陸っぱりソルトルアー」にも渡邉さんが登場。ここではダイワのフロート「月下美人月ノ雫」を使用したフロートリグが解説されている。また、2010年7月号では家邊克己さんがMキャロの遠投性能を駆使して大アジを手中にする記事が掲載。2013年11月号では巻頭記事で瀬戸内海離島のアジングを紹介。アングラーはそれまでも本誌に登場している加来匠さんで、ジグ単のほかプラグ、メタルジグ、メタルバイブ等多彩な釣りを展開した。

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アジング用の仕掛けの小物も次々登場。家邊克己さん登場した2010年7月号に踊る文字は「Mキャロの衝撃」
『つり人』アーカイブに見るアジング史の節目
掲載時期/発行年 内容・トピックス
1971年8月号 特集「ルアーで海にアタック!」
(西山徹氏による海のルアー釣り提唱)
1973年発行 書籍『海のルアー・フィッシング』
(キャロ的リグ等でのアジ攻略を紹介)
2006年5月号 記事「フィッシュイーターとしてのアジ」
(渡邉長士氏が登場。スーパーボール等を活用)
2009年1月号 特集「お手軽! 陸っぱりソルトルアー」
(フロートリグ「月ノ雫」の解説)
2010年7月号 Mキャロによる遠投大アジ攻略
(家邊克己氏が登場)
2013年11月号 瀬戸内海離島のアジング巻頭特集
(加来匠氏による多彩なルアー戦略)

それ以降現在に至るまでのアジングの発展はみなさんご存じのとおり。ルアーフィッシングが舶来文化として日本に根を下ろしてから半世紀以上。その間に、数多のアングラーがターゲットの幅を広げ、未知の可能性を探り続けてきた。それに応えるように釣り具メーカーも非常の努力を重ね、他国の追随を許さないロッド、リール、ライン、ルアーを生み出してきた。軽いリグで群れを探り、繊細なアタリを感じ取るという洗練されたスタイルは、アングラーの探究心と職人気質の結晶なのである。

その長い挑戦の結果として、アジは日本人にとって最も身近で誰もが楽しめるゲームフィッシュとして確固たるポジションまで押し上げられた。もしこの世界にまだ触れていないならもったいない。ぜひ本邦ルアーフィッシング史の最前線に参加してほしい。

※このページは『つり人 2026年1月号』の記事を再編集したものです。

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