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つり人編集部2024年3月12日

リトルプレゼンツのブレないモノづくり

渓流釣りに欠かせないウエーダーやベスト。今でこそ定番となったアイテムや構造をいくつも編み出し続けているメーカーがリトルプレゼンツだ。

渓流釣りに欠かせないウエーダーやベスト。今でこそ定番となったアイテムや構造をいくつも編み出し続けているメーカーがリトルプレゼンツだ。

写真と文◎編集部

自分が欲しいから作る

渓流釣りを楽しむ際に欠かせない装備と言えばなによりウエーダーだろう。水に濡れずに川の中を歩けるようになり、行動範囲は一気に広がる。エサ釣りではクロロプレン製のタイトなウエーダーが一般的だが、ルアーアングラーには透湿防水の生地を使用したナイロン製のものを使うことがほとんど。解禁初期などの寒い時期にはクロロプレン製という選択肢もあるが、オールシーズンでナイロン製を使う人が近年増えつつある。

渓流用ウエーダーを作っているウエアメーカーのひとつにリトルプレゼンツという会社がある。川崎市に事務所を構え、1999年の創業から3人の社員で切り盛りしている小さなメーカーだ。代表であり、製品デザインの大半を担当している古賀陽一さんは、元々婦人服のアパレル関係企業に勤めていたという。長崎県出身で幼いころから釣りはしていたが、サラリーマン時代にフライフィッシングに出会い、渓流や湖に通いこむようになった。当時、古賀さんが理想とするフィッシングベストがなく、創業して最初に作った製品が『シェルターベスト』だ。このベストは湖に立ち込んだ際にベストの下部が浸かってもボックスが濡れないように防水仕様になっている。その頃は芦ノ湖や本栖湖へ足繁く通っていたそうで、自分が欲しいものだから作ったんだと古賀さんは話す。商売っ気はまったくなかったと言うが、実用性の高さとおしゃれなデザインが人気を呼び、今ではフィッシングベストだけでなく、ウエーダーやウエーディングシューズ、バッグなどさまざまなアイテムをリリースしている。

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製品第一号は湖で立ち込む際にボックスが濡れないようにしてあるシェルターベスト(右)。第二号は極小フライでライズをねらうマッチザハッチの釣り向けのスローハンドベスト(左)

 

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スローハンドベストにはストマックポンプやシャーレを入れるための専用ポケットなど細かな便利機能が搭載。リトルプレゼンツ製品の特徴である高い機能性は創業から変わらない

 

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創業当時のロゴ。モチーフはヤマメ

 

 

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価格と機能性を両立できるワケ

リトルプレゼンツの製品は釣り初心者が最初のアイテムとして選ぶ際でも手の届きやすい価格帯のものばかり。それでありながらベテランアングラーも納得する充分な性能を持っている。なぜそんな製品づくりができるのか。

「どんなに性能がよくても手に取りたいと思えない価格では意味がないと思っていますから。高性能でありながら多くの人が喜んでもらえるような価格設定を目指しています」

当然、試作や見積もりの段階で価格が想像を大きく上回ることもある。折り合いが付けられずに中止になったサンプルも多いと笑い飛ばすが、その姿勢は創業から一貫して変わらない。

さらにアングラー目線で作り込まれているというのもリトルプレゼンツ製品の魅力のひとつだ。世に出すからにはどんなものでも既製品とは少し違うものにしたいと考える古賀さんは、機能性とデザインの両立をかなり重視している。試作品ができれば鏡の前で試着して少しでも使いにくかったり動きにくかったら調整していく。そうして改良できたサンプルでもフィールドテストをすると新たな問題点が見つかるそうで、納得いくまでテストと調整を繰り返していく。「ダメなものはダメなので妥協はしません」

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図面は手書きで行なわれている。D 環ひとつとっても実寸大で描かないとわからないことがたくさんあるんですよと古賀さん

 

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ウエーダーの耐久性はシーム位置で変わる

一般的にウエーダーにはブーツフットタイプとソックスタイプの2種類あるが、足もとが不安定な渓流釣りでは足首が固定されフィット感もよいソックスタイプのユーザーが多い。ルアーの場合はテンポよく釣り上がっていくことも多く、運動量が多くなりがちなので生地は透湿性のあるものだと快適だ。透湿性がないと汗で内部が濡れてしまい、不快なだけでなく汗冷えを起こしてしまう。

2004年から発売され、今なお人気の高いN 3チェストハイウエーダーはC.F.S(カーブド・フロント・シーム)というオリジナルのカッティング構造が採用されている透湿性のある3レイヤーウエーダー。この製品は足にあるシーム(縫い目)を内側から前方に移動させることで固いシーム同士の擦れによるダメージを防止している。従来のシームが内側にあるウエーダーはどうしてもシームが擦れることですぐに穴が開いてしまい、レイヤーを増やすなど各社が苦心していたのだが、その欠点を克服した画期的なモデルだ。今では他社ウエーダーでも採用される定番のシーム位置となっているが、リトルプレゼンツのN3ウエーダーが先駆けなのである。

 

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2004 年から続くロングセラーのN3 チェストハイウエーダー。前方にシームを配置したことで耐久性が向上し、さらに膝も曲げやすくなっているのが特徴

 

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ウエーダーのシーム部分はどうしても固くなってしまい写真のように角ができてしまう。そこが擦れることで穴が開いてしまうのが長年の課題だった

 

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ウエーダーでは暑い盛夏はウエットウエーディングスタイルがおすすめ。タイツに『ウエットゲーター』を装備することで足の保護にもなり軽快に遡行できる

 

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ゲーターの裏には滑り止めのシリコンがプリントされていてズレ防止に一役買っている

 

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クロロプレン製のウエットゲーターはパンチング加工をすることで水抜けが良好。今ではどのメーカーでもやっている加工だが、先駆けはリトルプレゼンツだ

 

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山岳渓流には足首とソールが軟らかいシューズが◎

ソックスタイプのウエーダーの場合、必要となるのがウエーディングシューズと呼ばれる靴だ。渓流で使うのであればまずはフェルトソールのものを選べば間違いない。ラバーソールはコケのほとんどない源流部では滑りにくく快適だが、里川などコケの多い川ではかえって滑るので要注意。

リトルプレゼンツのライトウエイトWD シューズもウエーダーと並び2004年から続くロングセラー。発売当時、既存のウエーディングシューズは斜面を登ったりヘツったりするような上流域を釣り歩くには不向きな重く硬いものばかりだった。特に渓流を下る場合は足首が動かないと踏ん張りがきかず危険である。そういったエリアで釣りをすることが多かった古賀さんが必要性を感じ、ソールと足首周りの柔軟性を確保した山岳渓流向けの軽量ウエーディングシューズを開発したという。

今ではゆとりのあるワイドタイプのライトウエイトWD シューズⅡも登場しており、よりフィットしやすいものを選べるようになっている。なお、リトルプレゼンツのウエーディングシューズはウエーダーのソックスの厚みを踏まえたサイズとなっているため、普段履いている靴のサイズ表記と同じものを選べばよい。

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ライトウエイトWD シューズも2004 年から続くロングセラー。ソックスの厚みを考慮したサイズ表記なので普段履いている靴のサイズで選べる

 

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ソールと足首が軟らかいことで斜面を登ったりヘツったりしやすくなる。何より軽い

 

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幅広タイプのライトウエイトWD シューズⅡも登場し、甲高や幅広な人でも最適なシューズを選べるようになった

 

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ベストのトレンドはシンプルでクラシック

渓流釣りでウエーダーに次いで欠かせないのがルアーケースなどの小物を持ち運ぶ手段だ。近年ではショルダーバッグなどのバッグ類を使う人も増えてきたが、フィッシングベスト派もいまだ健在。とはいえ、誰もが想像するポケットがたくさんあるデザインのベストは5~6年前から人気がなくなってきているそうだ。代わりに台頭してきたスタイルが、シンプルでクラシックな見た目のベスト。おしゃれを意識する渓流ルアーマンから支持されているという。リトルプレゼンツでは『TRクラシックベスト』や『ストラップベスト ネオ』が人気で、中でもユーザーの要望を元に考案したというルアーボックスを縦向きで仕舞えるポケットは使い勝手がよく便利だ。

渓流ルアーのファンには魚を釣ることそのものだけでなく、取り巻く自然環境や各々の世界観、ファッション性を重視する人が増えてきている。今までのウエアでは物足りないと感じている人は、ぜひ機能性とデザインを両立させた渓流ウエアを創り出すリトルプレゼンツにぜひ注目してほしい。

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シンプルでクラシックな見た目のベストがここ数年の流行り。ストラップベストTC は愛用者の多いリバーシブルケースに合わせたポケットサイズの設計だけでなく、背面の収納まで考え抜かれて作られている

 

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クラシックスタイルのストラップベストネオはルアーケースが縦に入れられるのが便利だとルアーマンから人気が高い

 

 

 

 

※このページは『つり人2024年3月号』を再編集したものです。

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