かつて地磯や沖磯はメジナやイシダイねらいの磯釣りファンの独壇場だった。 しかし今やロックショアと呼ばれるジャンルが完全に定着。 青物を筆頭にヒラスズキやロックフィッシュをねらうルアーマンが急増。 とりわけジギングは、飛距離、レンジ幅、対象魚の多さで他を圧倒する。
かつて地磯や沖磯はメジナやイシダイねらいの磯釣りファンの独壇場だった。 しかし今やロックショアと呼ばれるジャンルが完全に定着。 青物を筆頭にヒラスズキやロックフィッシュをねらうルアーマンが急増。 とりわけジギングは、飛距離、レンジ幅、対象魚の多さで他を圧倒する。
写真と文◎藤原武史
ロックショア開拓途上の地、黒島へ
現在、多くのアングラーが新たなポイントを求めて各地へ足を運び、新規開拓を行なっている。特に近年は海水温の変化などもあり、今まで釣れなかった魚が釣れるようになった場所が現われ、冒険心にあふれたアングラーが心新たに新規スポットでロッドを振っている。こうした開拓は心踊ることだが、誰もがそれをやっているわけではない。あまり知られていない、いるのかどうかも分からない場所でポイントを探し回るのは、よほどの好き者しかやらないことだ。
沖磯においては人跡未踏の場所というものはそうそうない。しかし、そのポイントを開拓するということは、さまざまな季節や条件で試してみなければ意味がないし、実際のところ骨の折れる作業だ。 現在、それが行なわれている場所が鹿児島にあるという。鹿児島県の枕崎沖にある黒島などの島嶼群といくつかの瀬はまだまだ開発途上の場所だ。
「黒島周辺は黒潮が近づくと季節を問わず爆発的な釣果がみられるのですが、黒潮が遠いと、本当に同じ場所なのかと思えるほど釣れなくなるそうです」
熊本在住のアングラー、松永昌己さんの言葉の端々からは、まだまだ情報が集まっていない場所であることが伝わってきた。
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ロックショアでメタルジグを使うメリット
現在、ショアからの青物ねらいにはダイビングペンシルなどのプラグを使う場合が多い。フッキングすると根に走るヒラマサなどの魚はボトム付近で掛けるより海面で掛けたほうがキャッチできる確率が上がるからだ。
一方、ショアジギングは、ボトム付近で掛けると根に巻かれやすくキャッチ率が下がる。また、止めると沈む性質上、とにかく疲れることもあり、現在は、磯でメタルジグを投げる人よりもプラグを投げる人が多いと感じる。
しかし、ショアからの青物ゲームはメタルジグを使うことから始まった。当初は飛距離が重視されたように、ショアから魚に近づくには有効な手段である。しかも以前と比べメタルジグも進化しており、海中での引き抵抗も減り、以前よりも重労働ではなくなっているという。
そんな中、自他共に認めるショアジギング好きが松永さんだ。
「はい、僕は自他ともに認めるジギング派です(笑)。ボトムのみならず海面まで全層を探れる非常に優れたルアーだと思います」
松永さんいわく、ショアジギングの利点に多彩な魚種をねらえる点があるという。ボトムを取ってからシャクリ上げていく釣り方は、根魚から青物まで多くのフィッシュイーターに有効だ。
「この海域で言えば、1回のキャストでスジアラやタマン、そしてカンパチ、シイラなどの青物までのたくさんの魚にアピールできます。本命は青物ですがスジアラを含めたハタ系の魚もターゲットとして考えています。ねっ、ジグっていいでしょう?」
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ダイワ「アンバージグ」のコンセプト
いたずらっ子のように笑う松永さんにショアジギングのコツを聞いた。
「僕のタックルちょっと気になりませんでしたか?PE4号にリーダーがフロロの80ポンド、スペーサーなし。プラグをぶん投げている人からすると少しライトな感じですよね。けど、ジグを操作する上でこれよりも太いラインはジグの動きを妨げてしまいます。そのギリギリで設定することがコツといえばコツですね」
このラインシステムで松永さんは多くの青物を釣りあげている。決して力不足のラインシステムではない。だが、PEの5号や6号が主流となっている中では細いと感じてしまう。
「4号と5号の間にはジグを操作する上で大きな差があります。4号でキビキビ動いていたジグが5号になると途端に動かなくなり、その差は釣果に大きく作用します」
このことを踏まえ、自身のラインシステムでよりマッチする動きを追い求めた松永さんが監修したのが9月に発売されたばかりのアンバージグ。
左右非対称の肉厚ボディーが空気抵抗を最小限に抑え、抜群の飛行姿勢で遠投を実現。遠距離で大きなロッドアクションを入れてもジグはそんなに動かないものだが、このアンバージグは遠距離でもロッドアクションに忠実に反応して、シャクった瞬間、大きく跳ね上がったのち水平姿勢へ。フラッシングしながらヒラヒラとフォールさせたのち、テンションを抜けば一気に高速バックスライドして、遊泳力の高い青物に対して強烈にアピールをしてスイッチを入れるという。
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短時間勝負で50cmバラハタ
枕崎港を出た船は2時間ちょっとで目的の黒島に着いた。黒島の南面は瀬が取り囲むように存在しており、その中のひとつに渡礁した。メタルジグを使った釣りであることを伝えていたので瀬の周辺が深い所に乗せてもらった。
空が明るくなるのを待ってジグを投入していく。少々凪いだ海面はあまり変化がない。流れもあまりないようだ。 危険な暑さのため、熱中症予防で11時回収という短期決戦で臨む。そのため松永さんはひたすらキャストを繰り返す。それがもともとの松永さんのスタイルなのかキャスト回数はとにかく多い。
回収間際にひったくるようなアタリがあった。フッキングまでには至らなかったが、その後、少し潮が動いたタイミングで2〜3kgのネリゴ(カンパチの若魚)のチェイスがあったので、ネリゴだったかもしれないが、結果的にフッキングが決まったのは50cmほどのバラハタだった。
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瀬替わりでヒットも無念のバラシ
大きく場所を変えて湯瀬という絶海の孤島のような一級磯に瀬替わりした。現在の場所より潮が動くことを期待しての移動だったが、ここで30分ほどの移動は致命的にも思えたが、わずかな希望に賭けたのだった。
湯瀬に渡った松永さんは朝以上のペースでひたすらジグを投げ続ける。この執念が実を結び、待望のバイトのあと、ロッドが曲がった! が、無念のバラシ……。
船長と常連客が言うには、5月頃のこの海域にはカンパチが産卵に集まってきて「海の中が凄いことになっている」そうだ。カンパチは年間を通じてねらえ、10月はハイシーズンを迎えるという。しかしこの海域は季節よりも黒潮の寄りが大きく影響するという。ハイリスクではあるがハイリターンも充分ありえる夢ある海域に行くなら、ぜひアンバージグを持参してほしい。
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※このページは『つり人 11月号』掲載の記事を再編集したものです