ジャリメ、イワイソメなど虫エサを使うことが多い投げ釣りだが、ねらいもの、あるいは時と場合によっては魚、エビ、イカなどの身エサを用いることもある。虫エサとはひと味違った釣趣が味わえるし、大型が期待できるのが最大の魅力。そんな身エサの使い方やターゲットなどについて考えてみよう。
シマノジャパンカップV5という偉業を成し遂げた王者、友松信彦。彼は普段の釣行において、あえて魚影の薄い磯へと挑む。厳しい状況から「価値ある一尾」をいかにして引き出すのか。その思考とテクニックを磨く釣行に密着した。当日は予期せぬ良型のマダイも飛び出す劇的な展開に。トップトーナメンターたる所以、その強さの秘密を解き明かす。
写真と文◎つり人編集部
試行錯誤して引き出した “価値ある一尾”に出会いたい
シマノジャパンカップを5度も制したカリスマトーナメンター、友松信彦さん。沖磯はもちろん地磯、堤防と一年を通じてメジナ(グレ)を追い続け、トーナメントの頂点を日々目指している。
あんな堤防や、こんな岸壁で!?そんな声が聞こえてきそうな場所で、次々と良型グレを連打する。その秘密は、普通のアングラーならサオを出さない釣り場での日々のトレーニングに隠されていた。「“価値ある一尾”に出会い、そこから連打するプロセスに魅力がある」そう語る、友松さんのグレ釣り強化釣行に密着した。
友松信彦プロフィール
1983年兵庫生まれ。神奈川県在住。近畿大学水産学部を卒業後グレ釣り競技会で頭角を現わす。2007年、24歳の若さで「シマノジャパンカップ磯(グレ)釣り選手権全国大会」の最年少優勝記録を塗り替え優勝。その後も2011年、12年、18年、19年、そして22年とV5を達成。トーナメント以外でも堤防から離島まであらゆる場所を幅広く釣りこなし、四季を問わずグレを追い求めている。
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あえて魚影の薄い湾内の地磯へ釣行
今回訪れたのは、静岡県西伊豆・田子。通常であれば確立沖磯に渡るところだが、友松さんは違った。
「私はトーナメントで優勝することを目標に日々釣りをしていますが、もうひとつ目標があります。魚が非常に薄い場所で、魚をしっかりと釣れる釣り人。すなわち、どんな状況でも対応できるオールラウンダーな釣り人になることです」
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そう言って訪れたのが、潮通しが非常に悪い田子湾内の地磯「チョッポリ」。水深は足元で5m前後となり、沖は砂地が広がっている。明らかにグレ釣り場としては厳しそうだが、どのようにして魚を引き出すのだろうか。
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思わぬゲストは良型マダイ!?これだからウキフカセ釣りは面白い
「朝イチは足元の磯の切れ目。大体5~10mまでの距離です。この足元についているグレがマキエにつられて少し沖に出ていくのですよ。その出ていくグレを釣るために、まず足元からやってみます」
湾内とはいえ、潮は若干右に流れているようす。マキエを撒いても、まだエサ取りなど魚の姿は見えない。
序盤の仕掛けは0号のウキにG5をハリス上部に打っている。仕掛けが馴染んでも、あまり沈まない状態だ。これでアタリがなければ、少し浮力を落としてウキごと沈めていく釣りへと展開していく。
ポイントを沖目の根際に移し、風と潮の状況に合わせて仕掛けを調整。徐々にアタリが出始め、カワハギなど魚の気配を感じ始めた8時50分。友松さんのサオが大きく曲がった!
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妙に叩きながら沖へと走る魚は、どうやらグレではない。ようやく水面に浮かせた魚体は50cmはあるだろうか……。
「マダイ!? こんな湾内の際で?」
無事タモに収まったのは、赤い魚体が美しい良型のマダイ(55cm)。この規格の魚は沖磯でも希な存在。こんな奥まった湾内でも釣れるとは、友松さんも驚きだった。
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マダイ登場後、果たして湾内の気難しいグレを攻略できるのか!? 続きはぜひ動画で!