タイラバの釣果は「ヘッドとネクタイの選び方」で劇的に変わる。タイラバ歴25年、大阪の遊漁船キャプテンを務める田中亜衣さんに、釣れる仕組みを徹底解説してもらった。TG(タングステン)と鉛の比重による使い分けから、紫外線量で読み解くカラーローテーション、ネクタイの動きを殺さないフックセッティングまで一挙公開。

解説◎田中亜衣(たなか・あい)
写真と文◎松本賢治
タイラバ黎明期より、全国のタイラバシーンを追求し続け、現在は遊漁船『F×F KI X』(大阪・田尻漁港)のキャプテンとして活動。大阪在住。
目次
タイラバヘッドのタングステンと鉛の使い分け
私は25年ほど前から、それこそタイラバという言葉がない時から、この釣りにハマっています。タイラバの発祥ともいわれる徳島県鳴門へジギングで通っていて、船長と話しているときに座席にあった鉛のきたないモノが目に入って(笑)。それが最初のタイラバやった。
鳴門で『フラフラ釣り』って呼ばれるビシマ糸で使う釣りで船長に教えてもらってやったのが私のタイラバの始まりですね。「ヘタくそやな〜。アワセたらアカンで!」なんて言われながらやっていました。当時のジギングはPE2号が主流でしたが、カワハギ用のPE0.6号が出たばっかりで、細いかなと思ってやってみたらできた。それから、ヘッドも自分で鉛を溶かして作って、ジギング船の後ろでタイラバをやらしてもらって。船長からは「何やっとるん? マダイなんかよりメジロ釣ってるほうがオモロイのに」なんて言われる時代でした。それから3年くらいは自分でヘッドを作って楽しんでましたね。
タングステンのメリットはノイズが減ること
当時から動かない(揺れない)ヘッドが正義だと思ってました。よく釣れるから。今、私が愛用している丸型ヘッドの『TGビンビン玉』を使っていてもその素晴らしさを改めて感じます。形状もそうですが素材のタングステン(TG)は比重が高いから、動きにくいし何よりノイズが出ない。TGのヘッドは20年ほど使っていますが、私のタイラバのベースとなっています。TGにするとシルエットが小さいので潮の抵抗も少なくフォールスピードも速いから操作性も上がり、何よりノイズが出ません。一方、鉛はTGに比べて比重が低いから沈みが遅い。ヘッドの体積も大きくなって潮や巻き抵抗も大きくなる。だから、多くのノイズを拾うことになります。
ノイズとは、潮の抵抗やアタリ以外の余計な情報のこと。タイラバは当たりレンジを探る釣り。シビアな状況にそのレンジを知るためにノイズはないほうが釣りの精度が上がるんです。ヘッドが揺れないことが魚にとっていいのではなく、アングラーにとって情報量が増えてアタリが取りやすいということです。
鉛は大型魚に強波動でアピールできる
でも、鉛もデメリットばかりではありません。体積がある分、水押しが強くて小型魚を寄せ付けず、中層で単独行動している大型魚に強波動でアピールできるんで釣れればサイズがいい傾向があります。だから、私の船で上がっている70cmオーバーの6割は鉛での釣果です。
ヘッド形状のローテーション術
次はヘッドのタイプの話です。先に言っておくと、丸型ヘッドと涙型ヘッド、両方ともバーチカルでもドテラ流し、キャスティングのナナメ引きのいずれでも使えます。
ヘッドの使い分けとしては、バーチカルでは、丸型ヘッドの『スライド』からスタートしてようすを見ます。大抵の状況をカバーしてくれますが、潮が緩くなったり止まったりしてマダイの食いが悪くなったときは、涙型ヘッドの『スライド雷流』へローテーションするのも手です。丸型ヘッドは揺れませんが、涙型ヘッドの『スライド雷流』は緩いS字を描くので活性を下げたマダイの食い気のスイッチを入れるチャンスが増えます。
もうひとつはナナメ引きでの使い分け。ボトム付近をリフト&フォールさせるなら、浮き上がりにくい丸型ヘッドの『スライド』。対して涙型ヘッドの『スライド雷流』は浮き上がりやすい形状のため、同じ距離をトレースするにしてもより多くのリフト&フォールが可能となります。だから、浮いている魚をねらうなら『スライド雷流』が使いやすい。
イワシパターンに効くヘッド
ホームの紀淡海峡では例年6月からカタクチイワシが入ってくると、マダイも浮きやすくなる。そういう時に『スライド雷流』はいい。でも、もっとイワシ食いに合うのが、シルエットがコンパクトな『スイッチ』です。ネクタイと並行にセットしている珍しい吊り下げ型でヘッドバイトがすごく多いのが特徴です。
たとえば熊本の天草もベイトパターンのタイジグが盛んですが『スイッチ』を使っている方も多い。紀淡海峡では、タイジグは敷居が高いと思っている方も多く使用率が低いので、イワシの時は『スイッチ』で対応しています。『スイッチ』は基本バーチカルで使います。ライン角度が45度以上になるとヘッドが揺れてしまいますが、ヘッドの揺れが発生しにくい45度までなら許容範囲なのでナナメ引きでも使えます。
45度以上の角度でナナメ引きをやるなら、同じくコンパクトな吊り下げ型で丸型ヘッドの『スイッチキャンディ』が向いています。これは揺れないナナメ引き特化型です。
着底後の動作はボトムから剥がすイメージで
タイラバのフォール中にマダイが追尾しているケースも珍しくないんで、着底後は速やかに巻き上げるのが基本です。だから、着底を感じたらラインスラックも含め速巻きを心掛けている人も多いんですが、そこで注意が必要です。着底後、すごい勢いでタイラバが跳ね上がったらマダイも驚いて散ってしまうし、視界からも消えてしまう。そして、速すぎるとネクタイが機能しないからアピールにならない。だから食わない。私はよくお客さんに『ボトムから剥がすように』って言っています。着底したらボトムから剥がすように持ち上げる。するとネクタイもちゃんと最初から動いてバイトもする。だから、着底直後のバイトをねらうなら立ち上がりの早いネクタイを選ぶことも重要です。
たとえば、ボトムから10cmで動き出す短いネクタイとボトムから30cm離れないと泳ぎ出さない長いネクタイとでは、動き出しまでに必要な距離が違うでしょ。やっぱり、ボトムでは立ち上がりの早いネクタイのほうが反応はいい。さらに言えば、ヘッドの長さも考慮する必要がある。丸型ヘッドだとすぐに持ち上がるけど、細長い『スイッチ』だと倒れているのを起こしてから泳ぎ出すことになる。こういうことを実現させるためにもノイズのないTGヘッドはオススメですね。
ネクタイのカラー選び:紫外線量とアピール力の関係
では、次はネクタイのカラーです。オレンジと赤ってよう釣れるイメージあるでしょ? マダイからよく見えているらしいんです。でも、オレンジってひと言で言っても、赤寄りのオレンジもあれば黄寄りのオレンジもある。蛍光(UV・紫外線)のオレンジは人間が見るよりも鮮やかに見える。つまり、太陽の紫外線の量で見え方も変わる。水深はもちろん、太陽の角度でも変化します。
虹を思い出してほしいんです。赤から始まりオレンジ、黄、緑、青、藍、紫。人間が認識できる可視光線です。その両端(赤と紫)に寄るほどシルエットが濃く出ます。魚から見た強い色。だから、いいタイミングで使わないと。俗に言う、好かれるけど嫌がられる色。紫はよく言うケイムラ(蛍光ムラサキ)。潮色や深さや天気と関係してきますけど、朝と日中とでは紫外線の量が変わってくるので、朝釣れていたネクタイも陽が高くなると釣れなくなることが多々あって、そこがカラーの替え時でもあります。
紫外線量を考慮して控えめなアピールにする
カラーもアピールが強い(目立つ)と警戒されるため、ぼんやり見えている控えめなアピールがいいですね。たとえば、晴天で潮が澄んでいるまだ早い朝だと、黄寄りの蛍光オレンジが効果的。太陽が高くなり紫外線が強くなってきて、誰かが赤で釣れ始めると蛍光オレンジは終わりやなとか。でも、人の釣果を見てからネクタイを替えたくない人は、表が蛍光オレンジで裏が赤っていうネクタイもある。だから、蛍光オレンジの量をどれくらい使うかをカラーの基本にしています。
釣果を左右するフックセッティング:ネクタイの「腰」に収める
釣果のすべてはフックのセッティングで決まります。ネクタイがクネクネ動き始める腰(カール部)の部分って見れば大体分かるじゃないですか。その腰までにフックを収めることが大切。ハリスが長いほうが掛かりもいいという意見もありますけど、腰よりもハリを長くしてしまうとネクタイの動きを邪魔してしまってネクタイの本来の性能を出せないんです。でも、なかなか説明しても分かってもらえない。ネクタイがちゃんと動いてなくても当たったら掛かるから。そもそもアタリが少ないことに気付けない。ネクタイがちゃんと機能していたら、もっとアタリが出て釣れるチャンスが増えるんですけどね。
最後にフックの数ですが、最近は3本バリを使っている方が多いんですが、3本あると若干、ネクタイの動きが悪くなるのでバイト数が減ると考えています。でも、フッキングしてからファイト中に残りのフックが口の周りに掛かってバレにくくはなるメリットはある。使いどころは、魚が掛かっても10〜15秒後にバレてしまうようなフッキングの浅い超低活性時ですね。
いろいろお話ししましたが、実際に釣り場でこれらのことを試してもらって体感してもらえたら私も嬉しいです!
