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つり人編集部2026年3月15日

アジの胃袋から深海魚?専門家が解説するマアジの多様なエサと食性

マアジの食性はサイズや生息域によって大きく変化する。本稿では海や魚の専門家・工藤孝浩氏が、アジが捕食する多様なエサ(ベイト)を分類群ごとに解説。初期成育を支える「動物プランクトン」、釣りの鍵となる「小型甲殻類」、大型個体が追う「魚類」まで。アジの捕食対象の変遷から、その生態とメカニズムを紐解く。

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解説◎工藤孝浩
海や魚に関する書籍やテレビ番組などの監修も数多く手がけるスペシャリスト。

海を漂う微小なエサ「動物プランクトン」

アジが幼魚から成魚になるまで、海中を浮遊する微小な動物プランクトンは欠かせないエサとなる。

地球最大のバイオマス「カイアシ類」

全世界の海に分布する主要な動物プランクトンで、地球上で最大のバイオマスがある動物とも言われている。いわゆる「ケンミジンコ」のことだ。大きさは成体で0.3~10mmと種類によってさまざまだが、アジの主要なエサとなっているものは1~2mmの小型種である。

ふ化仔魚が最初に食べる「ノープリウス幼生」

エビやカニなどの甲殻類は成長に伴って脱皮や変態を経て姿を変えていき、それぞれに名前がある。ノープリウス幼生は甲殻類に共通する最も初期の幼生である。卵型の体に3対の脚をもつシンプルな形で、大きさは0.1~0.2mm。アジに限らず多くの魚類のふ化仔魚が最初に食べる最も重要なエサである。

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アジをルアーで釣る「アジング」ではクリアカラーにラメ入りのワームが定番。アジにはラメがプランクトンの集合体に見えているのかもしれない

マヅメ時に海底で捕食される「ソコミジンコ類」

カイアシ類の多くは海を浮遊するプランクトンだが、ソコミジンコ類は海底の砂の間隙に棲むカイアシ類である。マアジはマヅメ時になると海底付近でパクパクと盛んに口を動かすようすが確認されている。これは暗くなると海底から泳ぎだすソコミジンコ類を食べている行動だと考えられている。

外洋域での主要なエサ「ヤムシ類」

毛顎動物門という分類群に属する肉食性のプランクトンで、外洋域では大きなバイオマスを誇っている。体は細長く大きさは3~12mm。さまざまな仔稚魚を襲って食べるほど強力なプレデターだが、外洋域におけるマアジの主要なエサでもある。

底層から中層に群れる「小型甲殻類」

アジングなどでも意識されることが多いのが、アミやエビといった小型の甲殻類だ。海中に群れているこれらは、格好のターゲットとなる。

底層を遊泳する「アミ類」

エビ類やオキアミ類に似るが背甲が小さく、雌の胸部にある育房内で幼生を保護するのが特徴。大きさは5~30mmで濃密な群れを形成して底層を遊泳する。雲のようなアミ類の群れにアタックするマアジは壮観である。

撒きエサの正体「オキアミ類」

エビ類に似るがエラが脚のつけ根にあって背甲内に収まらないことで見分けがつく。撒きエサの「アミエビ」はアミ類ではなくオキアミ類のツノナシオキアミである。ツノナシオキアミは太平洋東北沿岸に多く生息し、当海域における主要なエサとなっている。

浅海域の重要なエサ「ヨコエビ類」

エビと名がつくが、分類的にはむしろダンゴムシに近い。横倒しになって泳ぐのでその名がついた。大きさは5~15mmで海藻の茂みや海底に棲む。アマモ場などの浅海域で成長するマアジの幼魚や未成魚の重要なエサである。

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ヨコエビ類。アマモ場など海藻のある浅い場所に多い(写真提供:工藤孝浩)

相模湾ではサクラエビも!「エビ類」

海底徘徊性と遊泳性とに大別され、大きさ20~40mmの遊泳性のエビ類がよく食べられている。春季の相模湾では、定置網で獲れたマアジのほとんどがサクラエビを食べていた事例がある。

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サクラエビは遊泳性のエビ。アジに捕食される機会も多い(写真提供:工藤孝浩)

成長とともに積極的に捕食する「魚類」

成長したマアジは、シラスをはじめとする小魚も積極的に追い回して捕食する立派なフィッシュイーターとなる。

1歳魚以上のレギュラーメニュー「シラス類」

言わずと知れたマアジの好物で、1歳魚以上のレギュラーなエサである。シラスとは細長く無色透明なイワシ類やハゼ類の仔稚魚の総称で、季節や海域によって構成種は異なる。内湾ではコノシロ、サッパやカタクチイワシ、外洋ではイワシ類が主である。

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上からカタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシ。生きている時は透明なシラスはアジの好物。アジングでもクリアカラーは定番でよく釣れる(写真提供:工藤孝浩)

フィッシュイーターの大好物「カタクチイワシ」

内湾から外洋にかけての広い海域に棲み、表・中層を大きな群れで遊泳するフィッシュイーターたちの大好物。仔稚魚期のシラスはもちろん、6cm前後までの未成魚もアジは好んで食べている。

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カタクチイワシも小型であればアジのエサになる

夜間に表層へ浮上する「ハダカイワシ類」

水深100m以深の深海に優占して生息する小型魚。体に多数の発光器を持っていて、はがれやすい鱗に覆われる。外洋において夜間にエサを求めて表層へ浮上してくるので、その際にマアジに捕食されている。

日本海の沖合で多く捕食される「キュウリエソ」

水深50~300mの底層に生息している小型魚。最大でも8cm程度で体の腹面に発光器が並ぶ。ハダカイワシ類が少ない日本海では、中深層において優占する魚類でもある。そのためか特に日本海の沖合ではマアジに多く捕食されている。

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キュウリエソ(上)とセンハダカ(下)。夜になると浅場に浮上してくる深海魚もベイトの一つ(写真提供:工藤孝浩)

中層を浮遊遊泳する「サイウオ」

タラ目に属する10cm前後の小型魚で、タラ目としては例外的に中層を浮遊遊泳すると考えられている。一般的にはなじみのない魚だろうが、相模湾で採捕されたマアジの胃内容物としてしばしば出現している。

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タラ目のサイウオ。相模湾では時折アジの胃内容物として出てくる(写真提供:工藤孝浩)

アジ 魚種別釣りガイド

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列島をゆるがすコロナウイルス。けれども、日増しに暖かくなる春の日を、じっと家にこもって過ごすのはやっぱり体によくない。その点、手軽な海の釣りは、風も気持ちよく、大人も子どもも、思い切り深呼吸しながら時間を過ごせる。ウミタナゴ、メジナ、クロダイ、カレイ、アオリイカ、カサゴ……。元気な魚たちが泳ぐフィールドで、がんばろう、ニッポン! そのほか、3名手の渓流解禁レポート、里川で見つかる美味しい道草、みちのくタナゴ旅など旬の釣り満載でお届け。

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