全国おすすめ釣り場ガイド。東北・宮城県亘理町の「仙台湾のカレイ釣り」をご紹介します。
複数種のカレイが個性を競う仙台湾
解説◎道下 裕
この記事は月刊つり人2020年3月号の記事を再編集しています
全国おすすめ釣り場ガイド。東北・宮城県亘理町の「仙台湾のカレイ釣り」をご紹介します。
道下 裕
昭和39年生まれ。仙台市在住。「次代への釣り文化継承」をライフワークとし、仙台を拠点にフリーマガジン「月刊フィッシング・フリーク」を刊行。近年はスポーツや教育を通じて、子どもたちを取り巻く環境とも向き合っている
カレイに始まり、カレイに終わる
仙台湾で釣れるマガレイのアベレージは上がっており、40cmクラスも珍しくない
「大型漁礁のカレイ釣り」。もし、あなたが仙台近郊での商談で話題に困ったら、この単語を出してみるとよい(相手が釣り好きであることが前提だが)。きっと会話の潤滑剤になるに違いない。
かつてローカルの釣り番組や地方釣り雑誌で取り上げられた反響からか、当地ではいまだに沖釣り=カレイ釣り、大型漁礁と結びつけることが多い。
たしかに仙台湾、宮城県北部から岩手沿海の三陸の沖釣りは、久しく「カレイ」に依存してきた。比較的容易に釣果を得られ、釣りものが限られる北国の冬場を埋めつつ、釣期が長いなどの特徴によるものだろう。ヒラメやマアジ、マダイ、海サクラマス、タチウオなどの注目株が加わった今でも、主役のポジションは揺るがない。
快適な釣りをサポートする遊漁船の環境(設備)、比較的簡単に釣果を得られることからか、冬場でもカレイ釣りは女性ファンが絶えない
特に仙台湾のマガレイはよく釣れた(あえて過去形にしているが、現在のクオリティーが劣化しているわけではない)。「大型漁礁」が独り歩きした当時は「手のひらサイズ」と揶揄されながらも、上手い人なら三桁に手が届く状況。全盛期の大会では200尾前後の釣果が記録されたこともある。
「釣りはフナに始まり、フナに終わる」というが、仙台湾では「フナ」が「カレイ」に置き換えられる。それだけ身近な存在だ。
仙台湾で「カレイ釣り」といえば、メインはマガレイ(写真上)とマコガレイ、イシガレイ(写真下)。たまにヒガレイ(ムシガレイ)、ソウハチも混じる
冬場の出船時間はおおむね5時半から6時。40分ほどの航程で、水深40mエリアに到着
数からサイズねらいへ
「年明け早々にサオをだしてきたんですが、まだ暖機運転ですね(笑)。水温が高いのか、本来の活性ではない感じ。ただ、20尾弱の釣果のうち半数が抱卵したメス。産卵が本格化するに従い、活発に捕食するはずです。伸び代はあると思いますよ」と、沖釣りのプロショップ・フィッシングカンパニーのスタッフ、小泉哲さんがいう。
一方、カレイ釣りにこだわりを持つ、蔵王丸の大友船長は「だいぶ水温が下がってきましたが、もうひと押し。一時は水深60mエリアまで足を延ばしていましたが、やっと本来のフィールド、水深40mエリアに落ち着きつつある。ベストな海況に恵まれていないのでなんとも言えませんが、底荒れやウネリが収まれば勝負できそうな気配ですけどね」と含みを持たせる。
例年、仙台湾のカレイは11月下旬〜12月頃からシーズンを迎え、雪代が流入する3〜4月に中弛みし、海水温が天井に達する9月前後からオフになる。
良型の入れ食いに遭遇すると、あっという間にバケツが埋まる。35〜40ℓクラスのクーラーボックスを愛用するユーザーが多い
なお、先に「仙台湾のマガレイはよく釣れた」と書いたが、現在は数よりもサイズにシフトしている。20〜30ℓクラスのクーラーで事足りたものが、30〜40ℓクラスが主流になったといえばそのボリュームがご理解いただけるだろう。「30尾が三桁に匹敵する」というのは口が過ぎるが、満足度はかなり高い。
イチオシギア
小型水中ライト東北のカレイ釣り仕掛けには、昔から夜光ビーズやケミホタルなどの「光りモノ」が配されてきた。その進化版として定着したのが「小型水中ライト」である。水中に入れることで通電、高輝度LEDの点滅によってカレイを誘う
フィッシング カンパニー
住所=宮城県仙台市若林区卸町2-12-2
営業時間=9〜18時半(日曜日・祝日定休)
問合先=☎022・239・1771
閖上(ゆりあげ)漁港
交通●東北自動車道・仙台南IC から仙台南部道路を経由し、仙台東部道路へ。閖上漁港へは名取IC を降りて、県道129 号で
問合先●蔵王丸(☎ 022・289・4013)
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