毛バリを水面に浮かべるドライフライ・テンカラはビギナーにも分かりやすく、この釣りの魅力を存分に知ることができる。魚が水面を割り、毛バリをくわえ込む瞬間は、脳裏に焼き付くほどのスリルがある!
フライとテンカラのクロスオーバー
写真と文◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2021年7月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
毛バリを水面に浮かべるドライフライ・テンカラはビギナーにも分かりやすく、この釣りの魅力を存分に知ることができる。魚が水面を割り、毛バリをくわえ込む瞬間は、脳裏に焼き付くほどのスリルがある!
目次
テンカラに適した水深
ポイント選びは水深も関連する。 「ずばり釣りやすい水深は30cm~1mまで。毛バリを浮かせて釣るなら浅ければ浅いほど有利ですただし魚が水面直下まで浮いていれば、どれだけ深い水深でもヒットする可能性はあります。特に反転流の生じた壁際に浮かぶ魚はねらいめです」
たとえば水深が3mくらいの大淵で魚影が見えても川底にしかいないのなら、その魚は水面を意識しておらず、毛バリに反応させるのは困難といえる。また深場にいる魚は浮上するまでに時間を要す。真上毛バリを流せたとしても、魚が浮上する間に捕食しやすい筋からズレやすいのだ。
新緑に染まった薄川。テンカラをするなら小渓流からまず始めてみよう
取材当日のようす
話を5月初旬の当日のようすに移す。気温は10℃に満たず、薄川の水温は6℃前後と低い。虫は飛んでいるが魚は浮きにくい状況である。おまけに連休明けとあって警戒心も強いようす。それでも結果からいえば、大沢さんは美形ヤマメを数尾キャッチした。会心の1尾は段々瀬落ち込みで来た。水深は40~50cm。落ち込んだ白泡が消えて水面がフラットになるピンスポットで躍り上がった。
パーマークが鮮やかなヤマメ。20cm クラスがこの日の最大
羽虫が飛び交う夕マヅメ。期待が高まる
午後からは小森川に移動した。薄川よりもやや川幅が広く変化に富む。しかし入渓しやすい激戦区ゆえハイプレッシャーな状況。サオ影が伸びただけで魚影が走る。それでも西日が濃くなると各所でライズが見られるようになった。しかし毛バリを落とせば浮いた魚は沈んでしまう。なかなか1尾が手にできないなか、水深40㎝ほどの瀬のヒラキでピシャリとヤマメが毛バリを食った。イブニングは毛バリ釣りの最良の時合。ぜひスリル満点な水面の釣りを楽しんでほしい。
ぽっかりと浮かんだ毛バリ。ヤマメが飛び出た時の興奮ときたらない