食べても美味しく誰にでも釣れるハゼはエサ釣りが王道だが、関西の淀川では、ハゼクラの人気が密かに広がっている。

解説◎田中良樹 写真と文◎松本賢治
大阪府在住。アジングをメインにチニングやハゼクラなどライトゲームを得意とする。
目次
淀川はハゼクラ発祥の地。エサ釣りの陰でファンは多い
ハゼ釣りと聞けば、東京湾をメインとした関東エリアのイメージが強いかもしれない。江戸前のハゼとして江戸の食文化とも深いつながりが形成され、それは今現在も続いている。一方の関西、特に大阪の淀川でも江戸時代にはハゼ天ぷら船や料理店が並ぶなど人気があり釣り人も多かったようだ。しかし、一時の水質悪化によりハゼの食文化は薄れてしまった。後にインフラが整い水質が改善されたため、ハゼの漁獲量も増え現在はハゼ釣りを楽しむ人も多い。
エサ釣りの激戦区でもハゼクラは各地に広がっている
「ノベザオのエサ釣りでねらっている人は、ポイントによってはすごく多いですよ。激戦区になります。皆さん食べるために釣っていますから、よく釣る人だと3ケタは釣っていると思います。僕も食べるために釣っていますよ(笑)。むっちゃ美味しいですからね」
と話すのは大阪在住で淀川をハゼ釣りのホームグラウンドとする田中良樹さんである。
「淀川でハゼクラをする人は結構います。ハゼクラ発祥の地でもありますからね、ファンは密かに多い。チニングやシーバスの合間にやる人もいる。僕は和歌山や兵庫の河川にもたまに行きますけど、そこでもちょこちょこハゼクラをやっている人を見かけますね」
どの川でも圧倒的に数が釣れるエサ釣り人口のほうが多いためあまり目立たないが、ハゼクラフリークが各地にいることは事実。ハゼクラでもすぐに数が釣れるため丸一日やっている人は少ないことも、あまり目立たない理由かもしれない。
淀川ハゼクラの基本は水深1m未満のランガン
「エサの人は深いところもねらうんですけど、僕らは水深1mまでのシャローだけをねらいます。ボウズはないですよ。どんなに条件が悪くても10尾は絶対に釣れますね。だから食材確保で必死になることもなく、ゲーム性を楽しんでいます」
浅場でもウエーディングで探る範囲を広げる
深く立ち込んでもヒザまで。基本的にはスネまでというシャローウエーディングスタイルでハゼクラゲームを、田中さんは毎年7月上旬から11月上旬まで楽しんでいる。
そんなに浅いところなら立ち込まなくてもいいのでは?と思った方もいるかもしれない。田中さんがハゼクラをするポイントは砂地に石が点在する遠浅の場所。開けていてスニーカーで横移動できるサーフのようなところならいいが、大抵のポイントは水際にアシが生えており、エントリーできる岸の広さが限られているためだ。そして、その1mという水深のエリアを丁寧に横方向や斜めにトレースするためにはウエーディングしたほうが圧倒的に探る範囲が広がりチャンスが増える。だからこそ、ボウズがないのだ。
石が点在する場所を小移動のランガンで探す
「完全に砂地だけのエリアにもいるんですが、いいサイズが出にくいこととハゼのストック量も少なめ。いいサイズほど石などのストラクチャーにタイトに着くんで、石がある程度点在しているところを細かく攻めたい。エサ釣りの人を見ていると分かるんですが、ハゼはどこにでもいることはいる。でも、クランクに食ってくるハゼは限られているんです。食ってくる場所がある。エサみたいにどこでも食ってくることはない。だから、そこを探す必要があるんです」
ハゼは干満差や水温変動で頻繁に移動する。1ヵ所で粘っても釣れるが、当たりスポットが存在するため基本的には小移動のランガンがオススメだと田中さんは言う。
「ハゼクラ」はスローに巻いてカラーを替える
田中さんが使うクランクは2026年夏に発売されたハゼクラ(ダイワ)。これは、ハゼクラにより特化したクランクベイトで、ボディーサイズやリップ、アクションはもちろん、アシストフックを採用しフッキング率が高くなっている。
巻き速度はハンドル1回転1~2秒が目安
「ハゼって好奇心旺盛でチェイスもよくあるんですが、クランクが石にスタックして20~30cm弾いたり巻き手を止めて急浮上したりして大きく動いちゃうと、それ以上、追わない。だから、そうならないように改良されたのがハゼクラなんです。さらにリアにアシストフックを着けました」
浮上スピードを大幅に抑え、さらにスタック後もヌメっと石にまとわりつくように回避する。これによりバイトチャンスが大幅に増えた。ただし、このアクションを出すにはリトリーブスピードがカギを握るという。
「ハゼクラは速く巻くと泳ぎが破綻するので、できるだけスローに巻く。ハンドル1回転を1~2秒が目安ですね。その範囲でスピードを変えたりして反応をうかがいます」
潮の上げ下げより水深を気にする
ポイントは波静かで流れの緩い河口が理想。堰がなければ淡水域にも上がっていくが基本的には汽水域がメイン。海側にもいるが水深や波がありハゼクラは成立しにくい。では、潮的なタイミングはどうだろうか?
「上げ下げは関係ないですね。上げ下げで魚のポジションは大きく変わるんですが、気にするのは水深だけ。水深が1mまでのところを常にねらえればいい。ポイントが決まればあとはカラーローテーション。水の色によってハゼのカラーへ対する反応が大きく変わるんです。だから、1尾釣れる度にカラーを変えて早い段階でその日の反応のいいカラーを探していきます」と田中さんは頻繁にカラーローテを繰り返した。ハゼクラは全部で8色あり、細かいローテが可能。
必須はゴールド系。クリア系と膨張色を使い分ける
| 系統 | カラー | 使いどころ |
|---|---|---|
| ゴールド系 | クロキン、アカキン | 必須。マヅメのローライト時や濁りに強い |
| クリア系 | クリアゴールドスジエビ、クリアボルドー | ゴールド系の次にそろえたい |
| 膨張色 | クマノミ、TBピンクヘッドクリア、クラシックレッドヘッド | 晴れの昼間や日中の濁り時 |
「絶対に必須なのはゴールド系のクロキンとアカキン。どちらかは持っていたい。マヅメのローライト時や濁りにも強いです。次にクリア系。クリアゴールドスジエビとクリアボルドー。そして、膨張色の白を使ったクマノミやTBピンクヘッドクリア、クラシックレッドヘッド。これらは晴れの昼間や日中のにごり時にも効果的です」
ハゼクラは低活性といえどもチャンスの多い釣りなので、釣れたカラーを使い続けるのは、当たりカラーを見つけてからでも遅くない。積極的にカラーローテーションをしていこう。
十三エリアで実釣。低活性でも短時間で釣れる
8月上旬、淀川の十三エリアのシャローへ立ち込んだ。
「この釣りはライトゲームのタックルでできるところがいい。僕もアジングのタックルでやっています。トラウトロッドやチニングロッドでもできますが、張りのあるソリッドが面白いですね。20cmを超えるハゼもいるんですが、大きいのは深場やテトラ、石畳の中に入っているんでハゼクラではねらえないんですよね。今のところ僕の最大は18cmです。水温が下がるほどにサイズはよくなるんですが、活性が下がってルアーを追わなくなるんですよ」
と少し立ち込みチョイ投げをする。投げても15mほどの近距離戦。正面へキャストすることはなく横か斜めばかり。数投でさっそく、ハゼがヒット。アシストフックに掛かっていた。
低活性の日は釣り歩いて1尾ずつ拾う
「ずっと晴れ続きだったじゃないですか。でも、昨日雨が降ってくれて少し濁りが入って水温も下がって、状況はよくなると思ったんですが、活性は低めですね。活性が高いとちゃんと口の中に掛かるんです。2、3尾チェイスはしてきていたんですが……。連発しないので釣り歩いて拾っていく釣りになるかもしれません」
低活性ながらも好奇心でチェイスしてくるケースだとバイトに至らず反転し、頭や背掛かりになる。こういうケースは珍しくない。
出勤前の短時間勝負でもしっかり釣れる手軽さ
「同じ立ち位置から、釣れ続けることもあって、2~3時間で20~30尾釣れることも普通にある。今日は1回で2、3尾のチェイスばかりだったんですが、活性が高いと投げるごとに10尾くらいチェイスしてくる。見ているだけでテンション上がりますよね。軽く投げてゆっくり巻くだけの釣り。食べても美味しい魚だしみなさんにやってほしい釣りですね」
「ハゼクラは出勤前の短時間勝負でもしっかり釣れます。休日はエサ釣りの人がズラリと並ぶようなポイントも空いていて、お手軽に楽しめますよ」
と田中さんは少しの移動を繰り返して丁寧に探り、各ポイントから1尾ずつ拾っていった。仕事前の朝練的ハゼクラはこの日も充分に楽しめたようだ。
※このページは『つり人 2026年10月号』に掲載した記事を再編集したものです。

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