“お祭り男”として長くオールスターに華を添えてきた最多勝タイ記録保持者の河辺選手ですが、今年のオールスターは出場すら危ぶまれる状態でした。というのも、2019年から発症した腰の故障による手術を、大会の1ヵ月半前に終えたばかりだったからです。
オカッパリ&レンタルボートでも真似できる出場選手のメインパターン
2022年10月29~30日にかけて利根川・霞ヶ浦水系で行われたBasser Allstar Classic2022。トーナメントの釣りには、オカッパリやレンタルボートの釣りに生かせるヒントが詰まっています。今回は河辺裕和選手の釣りを紹介します。
◎まとめ:編集部 ◎写真とフットステップレポート:DAY1&DAY2プレス/石村優
河辺裕和選手のプロフィール
河辺 裕和(かわべ・ひろかず)
1958年生まれ
主な戦歴:
1995、1999、2006年 Basser Allstar Classic優勝
2005年 JB TOP50 旧吉野川戦優勝
2007年 JBクライマックスエリート5優勝
腰の手術を乗り越えて
河辺選手のメインルアー
■エグダマタイプカバー3.5g(レイドジャパン)+ヤマタヌキ(ゲーリーインターナショナル)
■SV-3 3/8oz(メガバス)
“お祭り男”として長くオールスターに華を添えてきた最多勝タイ記録保持者の河辺選手ですが、今年のオールスターは出場すら危ぶまれる状態でした。というのも、2019年から発症した腰の故障による手術を、大会の1ヵ月半前に終えたばかりだったからです。
河辺「最後の最後までオールスターに出れるかわからない状態でした。一番ひどいときは激痛でベッドからも出られないほどの症状で、初回の手術のときは1カ月半では回復しなかったからね。でも、今回はなんとか、シートポールを使いながらなら2日間戦えるぞっていうところまで持ってこれた。それも、応援してくれるファンの皆さんがいるから。なんとしても出るぞ、っていう気持ちになれました」
スモラバを軸にトップウォーターも
河辺選手のプランは霞ヶ浦本湖と新利根川、そして利根川をフライト順や状況に合わせて回るというもの。ルアーはスモラバのカバー撃ちをメインに、巻きはスピナーベイト。そして初日はポッパー(ポップX)も多投しています。
河辺「晩秋にポッパーってあまりイメージがないかもしれないけど、僕的には11月中旬くらいまでは全然アリ。もちろんハイシーズンよりバイトは減るけど、この時期は水面に出せたらとにかくデカい。メインはスモラバだったけど、勝つためにはこういうルアーでデカいのを混ぜていかなきゃいけないなと。ほかのトップでなくポッパーである理由? 好きだから(笑)」
メインのスモラバはアーキ―タイプのエグダマタイプカバーにヤマタヌキの組み合わせ。これをベイトフィネスタックルで使用しました。
河辺「意識としては、ヤマタヌキが主役です。トレーラーというよりも、ヤマタヌキにラバーをプラスしたイメージ。ヤマタヌキはどんな動かし方をしてもテールのピコピコした動きとゲーリー素材でバスを誘ってくれる。自重が5g以上あるので、スモラバと合わせたらキャストもかなりしやすくなります。リールが回転性能のよいベイトフィネス用なら、ロッドは結構硬めのMHとかでも全然OK」
また、注目すべきはアクションの多彩さです。
河辺「撃ってフォールで誘うのはもちろん、いろいろやりますよ。ただ回収するんではなくて着底からのスイミングとか、ボトムでのシェイクとか放置とか。スモラバと言えば中層での一点シェイクで誘う人が多いと思うけど、僕はあんまりやらないかな。というのも、スモラバの誘いでバイトを増やすコツとして『モノに沿わせる』というのがあると思っていて。だから、基本的にはボトムとか、マットカバーの天井の直下とか、中層にレイダウンが入っていれば枝に這わせてとか、そういう誘い方を大事にしてる。そのほうが、何もない中層で誘うよりバイトが増えると思います。また、レンジを上から徐々に下げて刻む人が多いけど、一度ボトムに落としてから引き揚げてくるのも釣れます。これもやっている人が少ないと感じるから、ぜひ試してください」
[タックル]
■エグダマタイプカバー3.5g用
ロッド:F3-610X 飛燕 Bait Finesse(メガバス)
リール:スティーズCT SV TW(ダイワ)K.T.F.チューン
ライン:ガノア アブソリュートAAA 14Lb(バリバス)
■SV-3 3/8oz用
ロッド:プロトモデル
リール:スティーズCT SV TW(ダイワ)K.T.F.チューン
ライン:ガノア アブソリュートAAA 14Lb(バリバス)
河辺選手のフットステップ
DAY1
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▼スタート前~直後
フライト順は最後。
「メインエリアは霞ヶ浦と新利根川だけど、フライト順的に最初の閘門通過は無理だから、まずは利根川をやります。大潮の減水のタイミングだから、下流のアシエリアは水深が浅くてよくないと思う。消波ブロック帯をおもに探ります。
新利根川ではサイズは選べないながらも数は釣れて、ここが機能すればいいなと。ただ、オールスターはプラ通りに試合が運ぶことなんてない。『これで釣れたから』っていうノリで行っちゃダメなんだろうね。
今回は身体のコンディション的なことも含めて、正直なところ勝てるとは思っていない。そんなに甘いメンバーじゃない。優勝できるときって、前日とかになんかわかるんだよね。そういう意味でも、今回優勝はないな(キッパリ)。ただ、応援してくれている人のために全力でやるだけ」
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▼利根川・水郷大橋下流 千葉県側
6:40
クランク(ナックル)を数投した後、レイダウンにスモラバ(エグダマタイプカバー+ヤマタヌキ)を撃つ。
「スモラバはフォールさせた後スイミングでも誘ってる。秋の横の動きに反応がいいバスに効くんじゃないかと」
要所にポッパーも多投。
「トップで釣れたら楽しいね」
釣りをしながら水面を注視する。
「エビが跳ねないね」
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▼利根川・水郷大橋上流
アウトサイドベンドにある消波ブロック帯。下流に点在する消波ブロック帯に複数の選手が入っているのが確認できる。
「利根川組はみんなテトラやってるな」
7:25
プラで1500gクラスが釣れたスポットで、スモラバにねらい通りのバイト! しかしキャットフィッシュ。
「オレのキッカーがキャットに変わっちゃった」
7:52
「バズベイトでもやるか」
ストレージからバズベイトタックルを取りだし、ゲーリーバズをキャスト。
「エビが逃げたりしてくれると期待大なんだけどね」
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▼新利根川
9:30
南岸の流れが当たるストレッチに入ろうとするが、週末でレンタルボートが多く、思ったスポットに入れない。
「40分もかけてきたのに、やる場所がない。マズい……」
要所のカバーではパワーポールを降ろし、スモラバでじっくり撃つ。
「フットボールをトントンしてみるか」
ダブルテールグラブがセットされたフットボールでボトム~ブレイクをチェック。
9:50
かなり悩んでいるようす。
「利根川に戻るかな……」
10:25
新利根川河口の水門にレッグワームのダウンショットをキャスト。
10:31
洲の野原の真珠棚でスピナーベイトを巻く。
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▼霞ヶ浦・柏崎
11:30
矢板のインサイド・アウトサイドをスモラバで撃つ。ときにはヤマタヌキのノーシンカーも投入。フォールではなく、水面直下でドッグウォークさせて引いてくる。
11:45
他のアングラーが残した杭に絡んだラインやルアーを回収する。
矢板に沿ってスピナーベイトをトレース。
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▼小見川閘門
12:40
閘門を通過して利根川へ。対岸の阿玉川閘門付近をスモラバで探る。
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▼利根川・津宮
13:15
テトラをクランクとスモラバで探る。
「水温が18℃もある。食ってくれー」
13:40
近くに今江選手が入る。
「彼は僕の近くにくるとよく釣るんだよね(笑)」
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▼利根川・横利根川河口
13:50
沖のハードボトムをチェックしたところでストップフィッシング。
DAY2
▼スタート前~直後
「今日はずっと利根川でやります」
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▼利根川・常総大橋上流の消波ブロック帯 茨城県側
6:10
利根川を上流に10分ほど走り、ファーストスポットの消波ブロック帯に到着。利根川を効率的に回るプランを組み立てるため、ほかの選手の動きを気にしているようす。
「水温が15.4℃だ。利根川は水温15℃がバスの動きというか、ポジショニングの分岐点なんだよね」
スモラバ以外にも、クランク、プロトスイムベイト、スピナーベイトとローテーション。
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▼利根川・常総大橋
7:01
ブッシュを撃つとスモラバにバイト! しかしカバーから引き抜く前にフックアウト。
「うわーまじか……」
7:20
シャッドにチェンジ。
「いろいろ試すぞ」
ここからは利根川を上流に釣りあがっていく。
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▼利根川・ゆうゆう公園付近
9:51
下流に下る決断をする。
「まだ3~4人は上にいるから、これ以上上るのはやめよう」
ここから正午にかけて各所をランガンしながら釣り下る。メインはカバーと消波ブロック帯でのスモラバ。
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▼利根川・常総大橋
12:27
朝にバイトがあったスポットに入りなおすも、カレントが強くなりすぎており不発。
13:30
帰着。
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Basser Allstar Classic2022 最終成績表