小野選手が2日間メインにしたエリアは利根川の流入河川「根木名川」でした。どのような釣りを展開したのでしょうか。
オカッパリ&レンタルボートでも真似できる出場選手のメインパターン
2022年10月29~30日にかけて利根川・霞ヶ浦水系で行われたBasser Allstar Classic2022。トーナメントの釣りには、オカッパリやレンタルボートの釣りに生かせるヒントが詰まっています。今回は小野俊郎選手の釣りを紹介します。
◎まとめ:編集部 ◎写真とフットステップレポート:DAY1&DAY2プレス/大澤悠平
小野俊郎選手のプロフィール
小野俊郎(おの・としろう)
1967年生まれ
主な戦歴:
1998年 JBワールドチャンピオン
2008年 JBクライマックスエリート5 優勝
2004、2013年 Basser Allstar Classic優勝
「巻き物にしか反応しない魚がいる」
小野選手のメインルアー
■スーパーイラプション jr. 3/8oz(ジャッカル)
■ヤミィ4.5 ARカスタム(ジャッカル)
+モスキート #2(バリバス)
+ネイルシンカー 0.9g(ジャッカル)
小野選手がメインにしたエリアは利根川の流入河川「根木名川」でした。どのような釣りを展開したのでしょうか。
小野「本当は秋らしく、スピナーベイトやシャッドなどの巻きの釣りでハメたかったんだけど、巻きの釣りで釣れる魚をプラで見出すことができませんでした。厳しい状況のなか、一番反応があった根木名川をメインエリアに選びました。主に釣っていたスポットは200mくらいのストレッチ。水深は1.5~2mくらいで、根木名川の中でも水深が深いエリア。水温が低下しても魚が溜まりやすい場所です。プラでは、波動が控えめなストレートワームやプロトのエビ系のワームをドリフトやスイミングを織り交ぜて使うとバイトが出ました。テナガエビが減っているからなのか、最近の霞・利根川水系の傾向として、バスは小さいエビを食っているような印象があります」
小野選手はネコリグやダウンショットリグ、ジグヘッドリグなどソフトベイトを主軸に、シャッドやクランク、スピナーベイトなどルアーを頻繁にローテーションしていました。
小野「メインはソフトベイトで、ヤミィ4.5ARカスタムをネコリグで、プロトのエビ系ワームをジグヘッドリグやダウンショットリグで使いました。波動が弱めのルアーを使っていても、リグを変えた途端に反応が出ることがよくあります。釣っていたストレッチに魚は確実にいると思ったので、魚を飽きさせないように、こまめにルアーチェンジしてバスが反応しやすいルアーやリグを探りました。試合当日の根木名川は魚のポジションが深くて、岸やブレイク沿いを回遊している魚は少なく、深いところの地形変化に付いているような印象でした」
1尾目の430gをヤミィ4.5ARカスタムの0.9gネコリグでキャッチすると、その後、スピナーベイトにローテーションして同スポットからキロフィッシュをキャッチ。記者の感覚からすると、ワームのあとに巻き物を入れるのがとても不思議なのですが……
小野「魚のいる場所が絞れてさえいれば、ソフトベイトのあとに巻き物を入れた方が、結果よく釣れると僕は思っています。どれだけワームを入れたあとでも、『巻き物にしか反応しない魚』がいるんだよね。今回は強烈なパターンにすることはできなかったけれど、改めてそう感じました。だけど諸刃の剣みたいなもので、巻き物ってパワーがあるから、最初に入れると場を荒らしてしまう。ワームで釣れたはずの魚にまでプレッシャーを与えてしまう。だからまずは波動の弱いワームで釣って、そのあとワームでも食わなかったのでスピナーベイトで横の動きを試したら2尾目が釣れました。『巻き物を通してからフォローでワームを入れる』っていう一般的なセオリーとは逆だけど、釣れる魚が増えるのでぜひ試してみてください」
[タックル]
■スーパーイラプション jr. 3/8oz(ジャッカル)用
ロッド:プロトモデル
リール:メタニウムHG(シマノ)
ライン:レッドスプール 12Lb(ジャッカル)
■ヤミィ4.5 ARカスタム(ジャッカル)ネコリグ用
ロッド:ポイズンアルティマ2511UL(シマノ)
リール:ステラ C2500SXG(シマノ)
ライン:レッドスプール 4Lb(ジャッカル)
小野選手のフットステップ
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▼スタート前~直後
「今日のメインは根木名川。自分がプラをした中では一番魚が濃かった。プラは直近の土曜~木曜日の5日間入ることができた。目標ウエイトは2500g。まずは1本だけど3~4本釣って入れ替えができれば。この釣れていない状況で2500gは相当いいウエイトだと思う」
「2番スタートなので根木名川に直行します」
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▼根木名川
6:39
利根川との合流地点から上流へ約数100m。根木名川下流がファーストスポット。水深は1m程度で岩が沈んでいる。川の中央にボートをステイさせる。プロトワームの2.8gジグヘッド、プロトワームの3.5gダウンショットリグ、チャブルSR、ヤミィARの0.9gネコリグ、ソウルシャッド58SPをローテーションして探る。
「仕上げだ」
ブラストボーンJrをキャストして移動。
7:21
根木名川下流から1本目の橋脚
「今日の本命スポット。ここは他より水深があってベンドもしている。橋脚もあるし、沈み物もある。流入から魚が抜ける時期だけれど、ここには魚がいる」
パワーポール、エレキのスポットロックを使いながら橋脚周りをじっくりとねらう。ヤミィ450ARカスタム0.9gネコリグ、チャブルSR、ソウルシャッド58SP、プロトワームジグヘッド、プロトワームダウンショットを頻繁にローテーションしていく。
8:03
ヤミィ450ARカスタム0.9gネコリグ(カラーはグリパンミミズ)で430gをキャッチ。
8:30
スーパーイラプションJr 3/8oz タンデムウイロー(パールチャート)で1000gをキャッチ。使い方はボトムすれすれを通すスローローリング。1秒間にハンドル1回転くらいの巻きスピード。
「これがバスフィッシング!スピナーベイトはプラでは除外していた釣りだったけど、時期的にこれだろうとひらめいた。ひらめきは大事!」
9:27
ノンキーパー、280gをキャッチ。
「これは小さいね……」
10:06
アタリを感じるもフッキングに至らず。
「くそお~今のは魚だろ。小さいのか?」
しゃがみこんで悔しさをあらわにする。
11:12
反応のない時間が続く。
「ブチ切れそう……ブチ切れそうだよ~ん。気分転換。こういうので釣れたりするんだよ」
チャブルSR(キンクロ)を巻く。
移動中の会話
「(2尾目のキロフィッシュについて)シングルフックのスピナーベイトは掛けたらゴリゴリ巻いて一気にランディングしたほうがいい。今回の魚は口の奥にしっかり掛かっているのが見えたし。一方でクランクベイトとかのトレブルフックのルアーで掛けた魚は、ハリ先が乗っていてしっかり掛かっていない場合も多いから、魚に持っていかせてじっくりとファイトした方がいい」
11:43
最初のスポットに戻る。朝イチ同様に様々なルアーをローテーションさせて探る。
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▼利根川・若草大橋下流 スロープ対岸
12:07
目に見えるブッシュや竹杭をプロトワーム5gダウンショットで撃つ。
12:30
若草大橋下流の消波ブロック帯(茨城県側)
プロトワームの5gダウンショットリグで消波ブロック帯を撃つ。
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▼津宮の消波ブロック帯
13:09
「オールスターじゃなけりゃ、こんなエンジン全開で走ることないよ。エンジンぶっこわれるんじゃないかと思うよ」
プロトワームの3.5gダウンショットリグ、5gダウンショットリグで探る(5gはよりカバーの奥を撃つ用で、消波ブロックの穴の奥に入れるときに使用)。
消波ブロックの一番外側を中心に撃っていく。着水したらすぐにクラッチを入れて数回リーリングしながらシェイクして回収。テンポよく撃ちながら下流へ向けて流していく。
「消波ブロックは他の場所が機能しないときに、急に魚を呼ぶようになる。以前オールスターを勝ったときもそうだった」
「今日は結局流れなかった。激釣れないカレントの日だね」
13:25
鳥居前の消波ブロックが切れる場所でヤミィAR 0.9gネコリグにルアーチェンジ。下流には河辺選手の姿が見える。
土手の上にいた、孫を連れたおばあちゃんを見てほっこり。
「あのおばあちゃん、絶対に幸せだね」
13:30
「この水系には2本の壁がある。3本、4本釣るのってすごいなあと思う」
13:35
消波ブロックの穴を5gダウンショットリグで探る。
「こんな難しい日。穴撃ちとか釣れそうだけどな」
13:45
チャブルSRで上流方面に流し直す。
13:51
ヤミィAR 0.9gネコリグを消波ブロックの外側に落としてシェイク。
13:54
「思ったけど、今釣れても間に合わないよね?帰着だな」
帰着へ向かう。
DAY2
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▼スタート前~直後
「今日は巻きの展開をします」
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▼根木名川
6:40
根木名川下流部の岩が沈んでいるスポット。スーパーイラプションJr 3/8oz(ホワイト)のタンデムウイローをキャスト。前日とは異なり、岸に向かって投げる。プロトワームの2.5gジグヘッドリグやソウルシャッドにローテーションして探る。
6:50
根木名川・下流から1本目の橋脚周り
前日2尾をキャッチしたスポットに入る。プロトワームの2.8gジグヘッドリグをシェイクしながらボトム付近を探る。パワーポールを下ろして橋脚自体や斜め護岸が切れたあたりの沈み物をじっくりと探る。
「流れが逆流してるよね」
水面に浮かぶ泡やゴミがゆっくりと上流方面に流れていくのが目視できる。
7:02
スーパーイラプションJr 3/8oz(ホワイト)のタンデムウイロー、ヤミィ4.5ARカスタムの0.9gネコリグ(カラーはグリパンミミズ)、プロトワームの3.5gダウンショットリグ、プロトワームの2.8gジグヘッドリグをローテーション。
「水温が昨日よりも高い」
7:26
フッキング動作を軽く入れるも根掛かり。回収してキャスト再開。
7:38
トッパー系のアングラーと談笑。
7:44
「釣れないぞ。終わったか?」
7:52
スーパーイラプションJr 3/8oz(ホワイト)のタンデムウイローをキャスト。
「いないことはないと思うんだけど」
アタリもなく厳しい状況。
「とりあえずここから脱出しよう。なんもない」
移動中の会話
「水が悪いから釣れないとは限らない。昨日釣った橋脚付近の水は見た目あまりよくなかったけど釣れた」
8:27
朝イチのスポットに戻る。
チャブルSR(色はキンクロ)を岸に向けて投げる。リーリングスピードは1秒間にリールハンドル2回転くらい。
「釣れそ~。釣りたい」
一瞬、フッキング動作に入るも「他の魚がスレがかった」とのこと。
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▼利根川・若草大橋下流 スロープ対岸(茨城県側)
8:51
目に見えるブッシュをや竹杭をプロトワーム5gのダウンショットリグで撃つ。
9:02
スーパーイラプションJr 3/8oz(ホワイト)のタンデムウイローにルアーをローテーション。ショートキャストで沈み物や竹杭を撃つ。
9:07
DビルシャッドMR(キンクロ)にルアーをローテーション。ショートキャストで岸際をテンポよく釣り上がっていく。
「ソウルシャッドより、波動の強いクランクっぽい動きを意識してDビルシャッドを選んだ」
9:23
若草大橋上流・千葉県側
プロトワームの5gダウンショットリグでブッシュを撃つ。
「あ~釣れねえ。釣れねえよ。とりあえずめぼしいところはことごとくバッティングしている。ここも昨日やっている人いたし」
9:41
上流に流しながら、正確なロングピッチを決めていく。
「ここ昔、エリート5で勝ったときに釣ったスポットなんだよね」
「大幅に作戦を変えなければダメだ。水中堤防に入りたいけど入れるかどうか。みんな食わせの釣りをしているだろうから巻きモノを入れていく」
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▼利根川・長門川合流地点の上流にある乱杭エリア
スーパーイラプションJr 3/8ozのタンデムウィローをキャスト。プロトワームの5gダウンショットリグにルアーをローテーション。
10:06
長門川合流部よりも下流の水門前に移動。スーパーイラプションJr 3/8oz(ホワイト)のタンデムウイローやプロトワームの5gダウンショットリグで探る。
10:14
「なんか場所もルアーも決まっていない。自信が持てなくなってきた。ワームに食わなくなっているけど巻き物を通しても反応しない。巻き物でバーンと出てくれればそこからリズムに乗るんだけれど」
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▼根木名川
10:45
根木名川の下流から1本目にある橋に移動(前日2尾をキャッチしたスポット)。
スーパーイラプションJr 3/8oz(ホワイト)のタンデムウイローをキャスト。
「利根川だとバッティングもあるし、今は自信が持てなくなっている厳しい状況なので、魚がいるこのエリアでリセットしようと思う。さあ、釣りを楽しむぞ!」
防寒着を脱いで釣り再開。
10:52
ヤミィ4.5ARカスタムのネコリグ0.9g(グリパンミミズ)をキャスト。パワーポールを下ろしてじっくりねらう。
11:10
「冬に備えてお引越しですか~」
根木名川から魚が抜けてしまったのかと疑心暗鬼に。
11:23
「考え直そう。大きく移動します」
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▼利根川・常総大橋下流 千葉県側
11:50
ブッシュをプロトワームの3.5gダウンショットで撃つ。スーパーイラプションJr 3/8oz(ホワイト)のタンデムウイローを巻いて周辺を探る。
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▼利根川・圏央道上流の消波ブロック帯 千葉県側
12:05
スーパーイラプションJr 3/8oz(ホワイト)のタンデムウイローとプロトワームの3.5gダウンショットリグをローテーションして探る。ダウンショットリグはワームをフォールさせたら数回シェイクして回収する。
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▼利根川・水郷大橋上流 利根川両総水門
プロトワームの3.5gダウンショットリグ、ヤミィ4.5ARカスタムのネコリグをローテーション。2連水門のあいだのコンクリ壁を撃つ。
12:35
水門上流にある消波ブロック帯に移動。スーパーイラプションJr 3/8oz(ホワイト)のタンデムウイローを岸に投げて沖まで引いてくる。
「ボラがいっぱいいるな。何かすげえことが起こるかも」
12:50
やや上流の乱杭スポットに移動。プロトワームの3.5gダウンショットリグで撃つ。
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▼利根川・会場対岸の消波ブロック帯
プロトワームのダウンショットリグで探る。
「オールスターでここまでは外しているのは久しぶりだな。まあまあいつもどうにかなっているんだけど」
13:26
帰着へ向かう。
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Basser Allstar Classic2022 最終成績表