ゲストに釣ってもらうために編み出したジャークベイトメソッドは、「ハヤノポンプ」とでも呼びたくなるような彼のオリジナルだった。 今回は、2014年4月に行なった取材のようすを時系列で追いながら、その釣り方を紹介したい。
朝の無風時は「ジャークベイトのズル引き」
Basser編集部=写真と文
JB TOP50に参戦するトーナメントアングラーにして、高いプロフェッショナル意識をもつガイド、早野剛史さん。ゲストに釣ってもらうために編み出したジャークベイトメソッドは、「ハヤノポンプ」とでも呼びたくなるような彼のオリジナルだった。
今回は、2014年4月に行なった取材のようすを時系列で追いながら、その釣り方を紹介したい。
※この記事はBasser2014年6月号に掲載されたものを再編集しています
●早野剛史(はやの・たけし)
1988年2月20日福岡県生まれ。元・バスケットマンで日常生活は両利き、釣りの利き手は右。2012年のJBマスターズで年間5位の成績を収め、2013年よりTOP50に参戦。河口湖、山中湖、西湖、野尻湖、桧原湖でガイドを営業しており、WFG(ワールド・フィッシング・ガイド)にも加盟。詳細は下記ホームページで。
■Hayano Guide Service
■WFG
●湖波(レンタルボート&食事処)
難しくないベイトフィッシュパターン
「基本はウインディーサイド」「得意な釣りはシャロー全般。とくに春のジャークベイトが好きです」
2014年の春、横浜で開催された国際フィッシングショーで早野剛史さんと話す機会があり、彼が河口湖を中心にガイドをしていることを知っていた記者はネタを集めようと釣りの話を振った。答えは上記のとおりで、かなり自信をもっていることがうかがえた。
取材をお願いしたのは4月8日。河口湖で船外機を使えるようになる朝7時を待って、レンタルボート湖波の桟橋からスタートした。
「今日、見ていただくのは、春限定のジャークベイトメソッドというよりも、ベイトフィッシュに関連した使い方(=高速ポンプリトリーブ)です。今回は、場所は河口湖でベイトフィッシュはシラウオの群れですが、効くのはこの組み合わせに限りません。『霞ヶ浦とイナッコ(ボラの幼魚)の群れ』でも釣れますし、『亀山湖とワカサギの群れ』でも効きます。試したことはないですが、『琵琶湖とコアユ』でも効くでしょうね。ハマるのは、風が吹いてウインディーサイドに小魚が寄せられるタイミングです」
リレンジ130SP(ジャッカル)
リレンジシリーズは早野さんが監修したジャークベイト。ジャーク時のきれいなダートに加え、操作を止め静止に移る直前の身もだえするようなアクションが持ち味。さらに「TGゼロフリクションスライド構造」により優れたキャスタビリティーを実現している
早野さんは、釣りをわかりやすく説明する言葉をたくさん持っている。さすが普段からゲストに教えているガイドだ。
ベイトフィッシュパターンについても、「基本はウインディーサイドを釣っていくだけ」と言う。バスのエサ=ベイトフィッシュの群れが風と波で吹き寄せられている岸を選んで、これから紹介する誰でも実践可能な釣り方でテンポよく探っていく。「ベイトフィッシュパターン」と聞くと「ボートじゃなきゃできないんでしょ?」「魚探がなきゃダメなんでしょ?」と思われるかもしれないが、風と波が寄せている側の岸に入ればいいのだからエリアの見極めが簡単で、オカッパリでも大丈夫。ということは、もちろん魚探もマストアイテムではない。
しかし、この日は朝の時間帯には風がなく、正午近くになってから吹き始めるという予報が出ていた。風がない時間帯は諦めるしかないのだろうか? 早野さんの答えはNOだ。
「風が出るまでは、お客さんに『ジャークベイトのズル引き』と説明している方法で探っていきます。簡単ですよ」
こう言うと早野さんは、南岸の溶岩帯へボートを進めた。
太陽が低い時間帯に無風の場合
「ジャークベイトのズル引き」水面下にメリハリのある凹凸が見えるような溶岩帯の穴やシェードは、いつ見てもバスが潜んでいそうな期待感がある。が、まだ朝で太陽が低いため、光は浅い角度で湖面に照射されていた。湖面で反射される光の割合が高く、暗い水中のようすを観察できるのは自艇の近辺のみ。溶岩帯の穴や、凸部が作るシェードを遠目から確認して釣っていくのは難しい状況だ。
「そこで『ズル引き』なんです。太陽を背にして正面にキャストして引いてくると、ジャークベイトが時おり溶岩帯にコンタクトするので、そこでちょっとポーズ。朝の水温が10℃を超えているので、もうそんなに長いことポーズしなくて大丈夫です。これが12、3℃まで上がったら、一瞬でいいから〝完全静止の間”がとれればOK。長すぎるポーズはバスにルアーを見切られてしまうので、これからの時期は逆効果になることが多いです」
早野さんが言うようにルアーを引いてきた場合、モノにコンタクトした瞬間にポーズを入れると、ルアーが静止するその場所は、シェードの中、もしくはシェードの真上だ。つまり、水中のようすを遠目に観察しにくい条件下でも、バスが潜んでいるスポットへルアーを導き、そこでポーズを入れることができるわけだ。
太陽が低くて水中のようすが観察しにくい時間帯は、常に太陽を背にしながら釣りをすることで、ルアーがバスの潜むスポットに入る確率を高める
「無風のときはコレですね。モノのシェード側についてぽけ~っとしてるバスが多いので、それをリアクションで釣っていくときにこのズル引きを多用します。
日中になってもベタ凪のときは同じように釣っていきますが、太陽が高くなると水中が見やすくなって、岩やシェードを目で確認できるようになる。そしたら、ズル引きの過程は省いて、いいスポットだけをジャークベイトで撃っていきます。
けど、この使い方は前座みたいなもので、真打ちの出番は風が吹いてからになります。無風でバスがぽけ~っとしてるのは、ベイトフィッシュの群れとリンクしてないから。今日は昼からちゃんと吹くみたいなので、それまではこの釣りをしながら、どのエリアに小魚が多いか確認していきます」
風待ちの間にベイトフィッシュが多いエリアを魚探で確認しておくことは、吹き始めの時合を捉えるために非常に有益な下準備だ。
当日の午前中は風が回っていた。常に風が当たる側へ回り込みながら釣りをする。同時に、本格的に吹き始める前にベイトフィッシュが多いエリアを確認しておく
好評発売中のBasser2017年6月号。巻頭記事では、伊豫部健さんが牛久沼に初挑戦! 「バスの個体数は少ないが、出ればデカい」と言われる老舗レイクで、伊豫部さんが春を追い求めます。人気連載「オカッパリで行こう!」、「THE TAKE BACK」のほか、橋本卓哉さんや折金一樹さんによる5月の表層攻略法を紹介。実践すれば釣果に直結するヒントが満載です。特別付録の『fenwick Aces Concept Book』では、フェンウィックの新たなフラッグシップ「Aces(エイシス)」の全モデルをウエイト別のベンディングカーブとともに紹介。お見逃しなく!
2017/05/01