O.S.P代表の並木敏成さんに、影響を受けたクランクベイトを伺いました。
O.S.Pの名作「ブリッツ」につながった、アメリカンシャロークランクとは
O.S.P代表の並木敏成さんに、影響を受けたクランクベイトを伺いました。
この記事は「俺たちのヘビロテBASSルアー大全」を再編集しています
並木敏成(なみき・としなり)
1966年生まれ。日本国内およびアメリカのトーナメントで数々の輝
かしい成績を残す生粋のプロアングラー。O.S.P.代表
O.S.P https://www.o-s-p.net/
こちらの記事は 「俺たちのヘビロテBASSルアー大全」に掲載されています。バスプロ、ルアービルダー、釣具店の方々が自信を持っておすすめするヘビロテルアーを忖度なしで大掲載!!!本当に釣れるルアー教えます↓↓↓
バンデット100がきびきび動く理由
並木敏成がデザインしてきたO.S.P.のルアーは、なぜ現在のような不動の人気を獲得できたのだろうか? よく釣れるから? もちろんそうだ。ではなぜよく釣れる? ひとつ言えるのは、物理学的な思考を働かせてデザインされている点……ではないだろうか。それに加えて、O.S.P.のルアーには、並木本人がアメリカで長期間バス釣りをしてきた経験が色濃く反映されている。ブリッツはその筆頭株といっていい。
「アメリカに行って、最初に学んだのはシャロ―クランクの釣りでした。あの当時はシャロ―を上手に釣った者がトップテンに入る時代だったんです」
並木によると、シャロークランクとスピナーベイトがシャロ―を制するための2大ルアー。とくに晴天無風のシチュエーションや、試合の2日目、3日目になると、スピナーベイトの力が落ちてしまい、クランクベイトの重要度はかなり高まったようだ。しかし、当時の彼は既存のシャロ―クランクに少なからず不満を抱いていたという。
「当時、いいシャロ―クランクがほとんどなかった。バグリーのバルサ製クランクにはいいのもあったけれど、それも限られたロットの製品でしたよ。プラスチック製のシャロ―クランクできびきび動くのはバンデット100か、レーベルのウィーRくらいしかなかった」。
この「きびきび動く」こと、つまりハイピッチで動くことこそ、シャロ―クランクの優劣を決めるひとつの指標であると並木は判断した。バルサには及ばないものの、プラスチック製にしてはきびきびと動いてくれるバンデット100は、ブリッツにつながるモチーフとなったようだ。
「バンデット100は、まずサイズ感がよかった。それからワンウェイトだったと思う。普通のプラスチック製クランクはフロントフックの前後にウェイトを入れている。でもそれでは動きがハイピッチにならないんです。重心は1点集中のほうがハイピッチになるから。そして、同じ重さでも、動きの支点から遠くにある部分を軽くしたほうが、物理学的にハイピッチで動く。その点、プラスチック製のルアーは中空で、いちばん外側の壁が重くなっていますよね。だから発泡素材や、それ以上に軽いバルサのほうがハイ ピッチで動くんです」
でも、バルサはどうしても品質にばらつきが出る。そこで彼は、軽いハニカムボディーと、ワンウェイトというコンセプトで、プラスチックボディーでのハイピッチアクションを実現。ブリッツを完成させた。その浮力の高さは、障害物回避能力にも大きく寄与している。それにしても、強度を保ったまま樹脂量を約40%削減できるというハニカムボディーは、革新的なアイデアだ。
「ハニカムボディーは、ブリッツの前のHPFクランクを開発した際に思いついたんです。アメリカに向かう機内で飛行機の翼を見ていて、『この中はきっと中空なんだろうな。でも、どうやって強度を出しているん だろう?』と思ったんですね。それがハニカム構造だと気づいたので、アメリカに着いたらすぐにそれをルアーに応用するようにと、設計スタッフに伝えました」
「エコノミーだから、翼が視界に入ったんですよ。ビジネスクラスじゃ翼は見えないもんね。エコノミーでよかったよ(笑)」
バンデットルアーズ/バンデット100
日本でもアメリカでも評価の高い、シャロ―クランクの代表格。比較的安価だが、釣る能力に秀でている。プラスチックでありながら、きびきびと動いてくれるのが人気の秘密
O.S.P. /ブリッツ
ボディー外に露出したワンウェイトと、ハニカムボディーによってハイピッチアクションを実現。障害物回避能力にも優れる。横アイなので、前後のフックも絡みにくい