東京湾で旬のマダコを釣ろう!今主流の「エギタコ」釣りは、海底をトントン小突き、「ムニュッ」と乗ったら合わせるだけのシンプルな釣法で初心者にも最適。エキスパートの三石忍さんが、基本の釣り方から釣果アップの秘訣まで、分かりやすく手ほどき。
東京湾で旬のマダコを釣ろう!今主流の「エギタコ」釣りは、海底をトントン小突き、「ムニュッ」と乗ったら合わせるだけのシンプルな釣法で初心者にも最適。エキスパートの三石忍さんが、基本の釣り方から釣果アップの秘訣まで、分かりやすく手ほどき。
写真と文◎編集部
協力◎マルキユー
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今年は東京湾のマダコが絶好調。多くの場所で自主解禁となる6月以降、各所で好釣果が聞かれている。晴天で蒸し暑くなった6月下旬、三石さんは千葉県袖ケ浦市の長浦港から出る「こなや丸」にやって来た。
東京湾のマダコ釣りといえば、サオを使わず、カニを縛った重いテンヤを船べりから下ろして、太い渋イトを手で持ってトントンと海底を小突くという手釣りが定番だった。しかし、オモリとエギを組み合わせ、サオで操作する関西流のエギタコ釣りが導入されると、わずかな過渡期ですっかり釣り方の主役が交代した。
現在はその「エギタコ釣りブーム」がバージョンアップして継続中という状況になっている。とはいえ、この釣りの基本は非常にシンプル。海底でこまめにテンヤやエギを動かし続け、その存在をマダコにアピール。エサだと思ったマダコが覆いかぶさって来たら、ムニュッという感触を感知できるので、あとは「よいしょ」と大きくアワセを入れれば、最高に美味しい軟体系ターゲットを捕獲できる。

エギタコ釣りの基本と釣果UPテクニック3選
出船は朝6時。釣り場となるのは、岸壁を離れて沖に出たらすぐのポイントだ。水深は6~12m。周囲は工場地帯の岸壁や突堤が広がっているが、マダコはその壁際の消波ブロックや基礎の周辺にいたり、あるいは壁際から離れて障害物がなくなった平らな砂地にもいる。船長はアタリの数を見ながら、よさそうなポイントに船を入れては、少しずつ流したり、なるべくポイントに留めるように操船。「どうぞ」の合図がありしだい、乗船者がいっせいに仕掛けを下ろして釣り開始となる。
「最近はエギのほかにワームタイプのものも登場したり、好奇心旺盛なマダコの興味を引くアイテムがとにかくたくさん登場しています。どれを使ってもよいのですが、その時によく釣れる当たりカラーはやっぱりありますね。もちろん、色は関係なく釣れる時もありますが、よく釣れている人のカラーはやっぱり参考にしたほうがよいです」と三石さん。
エギの定番カラーは、白、黄色、緑、オレンジなど。迷ったらまずはこれらをそろえておきたい。

エサの代わりに手軽にスタンプ
そしてもうひと手間かけたいのが、エギやワームにマダコが好む誘引成分を塗布しておくことだ。エギタコ釣りでは、地域によって薄い豚バラ肉や豚の脂身をエギに巻き付ける工夫も行なわれる。それらももちろんよいのだが、やはり巻き付ける手間がかかるし、使い終わったエギも汚れやすい。
そこで今や定番となったアイテムが『ノリノリタコライダースタンプ』だ。マダコが好む甲殻テイストの抽出物を、ポンポンとハンコのように塗布できるアイテムで、三石さんもエギタコ釣りでは常用。塗った直後にマダコが乗ることもよくあり、釣り中や船の移動中に手軽に利用できる。この日、左ミヨシで釣っていた三石さんの釣り座の反対側には、サオ頭常連のお客さんがいらしたのだが、「私もいつも使ってますよ~」と見せてくれた。

キャストで広範囲をねらうのも効果的
もう一点、人気が高まって乗船者が多い今シーズンのマダコ釣りにおいて、意識しておきたいのがキャスト。お客さんの多い船の上で無理にキャストし、トラブルを起こしてしまうことは避けたいが、慣れてきたら船の直下に仕掛けを下ろすだけでなく、アンダーハンドで無理のない範囲で、エギをキャストしてなるべく広範囲を小突くとやはりアタリを得られるチャンスが増える。
「キャストについては、無理は絶対にしないで欲しいですが、根掛かりの心配がない沖の砂地などを釣る場合は、やっぱり活用したほうが釣れますね。その際は、船がOKな範囲で少しオモリを軽めにするのもありです。そのほうがキャストもしやすく安全に投げられます」と三石さん。
もちろん、船釣りには船宿のオモリ指定があるので、そのルールは守るが、今回のこなや丸の小沢一滋船長も「基本は30号指定でやっていますが、扱える方は自分で調整していただいても大丈夫です」とのこと。

「あとはやっぱり根掛かりを回避することと、リールのドラグをしっかり締めておくこと、アワセを大きく入れることがコツかな。特に岸壁沿いのポイントでは、エギを底に置きっぱなしにしないこと。こまめに底を取り直して、危うい時はすぐに巻き上げましょう。その際、PEは3号以上、リーダーは10〜14号くらいで、軽い根掛かりであればカンナを伸ばして回収できるくらい、しっかりしたラインシステムにしておくことも大切です。いざ大ダコが掛かった時もチャンスを逃さないし、根掛かりの際に高切れするトラブルも減らせます」
「そしてマダコが乗った感触があったら、あせらず誘い続けながらリールを巻いてサオ先を下げて行き、ラインを張った状態で充分なストロークを確保したところで大きくスイープアワセ。この準備動作とアワセが不十分だと、フッキングが弱くなってマダコが途中でバレてしまいますよ」といった点を意識したい。

マダコはワームがお好き?
この日、三石さんがもう一つ試していたのが、カニの形をした大きめのワーム。近年、プラスチック製のエギの代わりに、ワームとカンナのセットもマダコ仕掛けとしてよく使われている。ワームはマダコにとっても触り心地がいいのか、通常のエギで渋い時に乗りがよくなるといった効果もあるようだ。ちなみにこれらワームタイプのものにも、前出の『ノリノリタコライダースタンプ』は使える。
三石さんも、1日の釣りの中では、通常のエギだけの組み合わせで釣ってみたり、スッテとワームの組み合わせを試してみたり、マダコを飽きさせないことも意識して、仕掛けは頻繁に取り変えていた。それにより終始アタリも継続。こういう目先を変えられるアイテムを用意しておくことも、マダコ釣りで釣果を伸ばすには有効な手だ。
今年はマダコの湧きがよく8月も継続して出船している船宿も多い。ぜひ出かけてみてはいかがだろう?

※このページは『つり人 2025年9月号』を再編集したものです。