7月中旬、最盛期を迎えた京丹後エリアのイカメタルに「つり人オンライン」編集部・ワタナベが初挑戦。乗船したのは京都府・浅茂川港から出船する遊漁船『萌愛丸(もあまる)』だ。お世話になった萌愛丸船長の岡山俊雄氏は、かつてルアーメーカーのスタッフを務めていたほどの生粋のアングラー。船長としてだけでなく、一人の釣り人としてもイカメタルを深く探求している。そんな岡山船長に「釣れる人・釣れない人の差」など、釣果が伸びない人やこれからイカメタルにチャレンジしたい人向けにアドバイスを伺うことができたので紹介する。
7月中旬、最盛期を迎えた京丹後エリアのイカメタルに「つり人オンライン」編集部・ワタナベが初挑戦。乗船したのは京都府・浅茂川港から出船する遊漁船『萌愛丸(もあまる)』だ。
お世話になった萌愛丸船長の岡山俊雄氏は、かつてルアーメーカーのスタッフを務めていたほどの生粋のアングラー。船長としてだけでなく、一人の釣り人としてもイカメタルを深く探求している。そんな岡山船長に「釣れる人・釣れない人の差」など、釣果が伸びない人やこれからイカメタルにチャレンジしたい人向けにアドバイスを伺うことができたので紹介する。
写真と文◎編集部
イカメタルで釣れる人と釣れない人の差
岡山船長が語る、釣果を伸ばす人の共通点は以下の通り。
1. 積極的に誘い、タナを探る
「よく誘ってタナ(イカのいる層)を探る人が、やはり一番釣りますね。釣れない方のほとんどは、サオがあまり動いておらず、誘っていない人がほとんどです」岡山船長は、釣果を分ける核心の部分をそう語る。
イカメタルは、ただ仕掛けを投入して待つだけの釣りではない。積極的にロッドを操作して多彩な誘いを試し、その時々のヒットパターンを見つけ出すことが釣果への鍵となる。そのため、たとえアタリが遠のいた時間帯でも、集中力を切らさずに誘い続ける人ほど釣果を伸ばしやすいそうだ。
特に初心者のうちは、どう誘えばいいか分からず、つい手が止まってしまいがち。まずは釣行前に動画などで基本的な誘い方をいくつか学んでおくと、自信を持ってチャレンジできるだろう。また、低活性時に有効な実践的な誘いも船長から教わったので後半の実釣レポートで紹介する。

2. スッテやドロッパーのカラーローテーションを怠らない
イカメタルの基本仕掛けは、一番下に鉛製の「メタルスッテ」を付け、その上のリーダー(枝ス)に「ドロッパー」と呼ばれるエギや浮きスッテを接続したものだ。そして、これらルアーの選択、特にカラー選択が釣果を大きく左右すると岡山船長は語る。
「スッテやドロッパーのカラー選択も、釣果を大きく左右する重要な要因です。アタリが遠のいたら、こまめにローテーションを行い、その時の“正解カラー”を探すことが重要になります。そして、その試行錯誤の幅を決めるのが、手持ちのドロッパーやスッテのカラーバリエーションの豊富さ。これが最終的な釣果を分けることも少なくありません。」
イカの活性や潮の色、時間帯によって、イカメタルのヒットカラーは刻一刻と変化する。当日の釣りでも、誘い方は同じでもカラーを変えた途端にヒットが連発する場面があった。反応がなければ、どんどんカラーチェンジを試すのが有効なので、初心者でもスッテやドロッパーは十分なカラーバリエーションを揃えてチャレンジしたいところだ。
また、当日は釣行前に宮津市の「フィッシングナカジマ」で最近の実績カラーをリサーチして挑んだが、その“鉄板カラー”にヒットが集中した。釣果を伸ばす上では事前の情報収集も重要になる。

3. 釣れている人を真似る
「イカメタルは、その日のヒットパターンを見つけ出す釣りです。だから、船中で釣れている人がいたら、まずはその誘いやカラーを真似してみるのが釣果への一番の近道です」岡山船長は、そうアドバイスする。
周りが釣れているのに、自分だけ釣れない……。そんな時は、自分の誘いや使っているスッテなどがその時のパターンからズレている可能性が高い。これは初心者だけでなく、自分のスタイルが確立している中級者でも陥りがちなこと。まずは釣れている人のロッドアクションや誘いのリズム、スッテのカラーまで観察し、真似してみると釣果に繋がるはずだ。
さらに岡山船長は、同船者との情報共有の重要性も説く。釣れたタナ(水深)やヒットカラー、誘い方といった情報を積極的に交換し合うことで、より早く、より正確にヒットパターンを絞り込める。仲間内はもちろん、乗り合いでも周りの人と積極的にコミュニケーションを取ってみるのがいいだろう。
4.オモリグはリーダーの長さが重要
「オモリグ」とは、スッテの代わりにオモリを使い、長いリーダーの先でエギをナチュラルに漂わせる吹き流し式の仕掛けだ。速い潮の流れでも仕掛けをコントロールしやすい操作性に加え、スローに誘えるので、通常のイカメタルリグではアタリが出ないような厳しい状況を打開する切り札にもなる。
釣果を伸ばしたいならぜひ用意しておきたい仕掛けだが、このオモリグを使いこなす上で、釣果を大きく左右するポイントがあると岡山船長は語る。
「オモリグで特に気にしてほしいのが、リーダー(ハリス)の長さです。たった10cm違うだけで、釣果に差がでることもありますよ」
オモリグでは、このリーダーの長さがエギの水中での「漂い方」を決め、イカへのアピールが大きく変わる。そのため、その日のイカの活性や潮の速さに合わせ、最適な長さを調整することが求められる。
オモリグを試しても釣れないときには、この「リーダーの長さ」も意識したい。
京丹後イカメタル釣行レポート
ここからは実際の釣行レポートを元に、船長から聞いたテクニックを紹介していく。
明るいうちは体力温存もアリ
当日は夕方に出船したものの、明るい内は船中アタリなし。夕暮れ時でも強い日差しが体力を容赦なく奪っていくタフコンディションだった。
そんな中、船長からこんなアドバイスが。「イカメタルは、日没後に集魚灯が効きはじめ、船の周りにイカの餌が集まりだしてからが本番。もちろん、明るいうちからしっかり誘う人が釣果を出すのも事実ですが、それで変わる釣果は1、2杯という日も多いです。周りも釣れていない状況なら、暗くなるまでは食事休憩をしたり、デッキの日陰で休みつつ釣りをするなど、体力を温存しておくのも賢い選択ですよ。一番大事な“時合”で集中力を切らさないほうが、結果的に釣果を伸ばせます」
船長の言葉通り、実際にイカが釣れ出したのは日が沈んでから。この日は35度を超える猛暑日だったが、日没後は日中の暑さが嘘のように、心地よい潮風の中で快適に過ごせた。暑さの中で誘い続けるのはかなり体力を消耗するので、日が落ちてからの本番に備えるという戦略も有効だと感じた。

低活性時に意識したいこと
太陽が沈むと、待望の本命であるケンサキイカが釣れ出し、筆者もイカメタルでの初キャッチに成功。事前に予習して来た誘いを色々試すと、シャクってステイからの、フリーフォール後のステイというパターンでドロッパーに乗ってくることが多く、順調に桶にイカが溜まっていく。
しかし、時合は1時間ほどで終了。その後は、忘れたころにアタリが出る修行タイムに突入。アタリは海底付近から3m以内に集中しており、長めのステイに反応が良いものの、明確なヒットパターンはつかめない状況が続く。そんな中、ドロッパーのカラーをこまめに替えることで、なんとか拾い釣りを展開。カラーローテーションの重要性を改めて実感させられた。
また、誘いの方法についても船長にアドバイスを求めると、イカの活性が低い状況ではヒットパターンが刻々と変わることも珍しくなく、誘いの“引き出し”は多いほど有利だと教えてくれた。
例えば、イカの活性が低く、「スッテやドロッパーが動きすぎるのを嫌う」と感じる時がある。そんな状況では、基本となるシャクリやフォール、シェイクといった動きとは違うアプローチが必要だ。そこで有効なのが、ナチュラルにエギを漂わせることができる「オモリグ」への変更である。
通常のメタルスッテの釣りでも、ただ上下に誘うだけでなく、軽くキャストして手前にカーブフォールで引いてきたり、足元でサオを水平に動かしてドロッパーを横方向にスライドさせるなど、縦の誘いだけでなく横の誘いも意識しながら工夫すると効果的だそうだ。
実際、アドバイスを参考に、横の誘いも織り交ぜながら誘うことで、ヒットするペースが早くなり数を伸ばせた。
時合でヒットパターンを見つけ連釣
終盤に入ってもなかなか渋い状況が続いたが、終了間際に再び時合が到来した。筆者が「細かいピッチのジャーク&ステイ」でヒットさせたことを仲間に共有すると、しばらくして「細かいジャークで誘い上げた後、一度底までフォールさせてからステイさせる」と、高確率でヒットするとの情報が返ってきた。
早速試してみると、面白いようにヒットが続く。イカメタルらしい、じっくりとイカを焦らしてステイで乗せる、という醍醐味を存分に味わうことができた。刻々と変わる状況のなか、仲間と協力して正解のパターンを見つけ出していくプロセスも、イカメタルの大きな魅力と言えるだろう。

この日の釣果は、竿頭36杯に対し、筆者は30杯。釣行日前後の釣果では50~80杯近く上がっていたことを考えれば、決して簡単な日ではなかった。しかし、イカメタル初心者ながら、テクニカルな展開を岡山船長のアドバイスのおかげで最後まで楽しむことができた。
なお、今年のケンサキイカはシーズン開幕が遅れたぶん、盛夏を迎えたこれからが本番。7月末には、100杯超えの釣果も聞かれるようになっている。
駆け引きのゲーム性が高く、食味も抜群なイカメタル。この夏、ぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか。


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