住澤直樹さんが35年ほど前から通いこんでいるという南伊勢の海は魚種が豊富。スーパーライトジギングのシーズンの走りという6月中旬に、ライトジギングと併せたリレー釣行で魚種を選ばない五目釣りが楽しめる。
住澤直樹さんが35年ほど前から通いこんでいるという南伊勢の海は魚種が豊富。スーパーライトジギングのシーズンの走りの初夏に、ライトジギングと併せたリレー釣行で魚種を選ばない五目釣りが楽しめた。
写真と文◎編集部
魚種豊富な南伊勢のジギング
三重県南東部に位置する南伊勢町、志摩市、鳥羽市といった外洋に面したエリアは、英虞(あご)湾をはじめとする複雑に入り組んだ地形が特徴的だ。志摩半島を境に鳥羽方面(北側)は島が多く潮の流れが複雑で青物ジギングが盛ん。南伊勢方面(南側)は青物の他にもマダイやイサキ、根魚がSLJ(スーパーライトジギング)やLJ(ライトジギング)で楽しめ、冬になればトンジギと呼ばれるビンチョウマグロねらいのジギングも盛り上がる。
南伊勢町では7、8月にSLJのハイシーズンを迎える。6月中旬、三重県伊賀市在住の住澤直樹さんはSLJとLJのタックルを用意して南伊勢町の礫浦港から出船する三吉丸に乗り込んだ。住澤さんはまだSLJと名前が付いていない35年ほど前から三重県でこの釣りを楽しんでいるエキスパートだ。

SLJをイサキが奥深くする
SLJを住澤さんはPE0.6〜1号で15〜80gまでのジグを使う釣りだと定義づけしている。「SLJのターゲットは多彩です。根魚はもちろん、青物やマダイもねらえます。中でもねらって面白いのがイサキですね。意外とテクニカルで釣果に差がつくことも多いです。SLJだと30cm以下はまず掛からないので引き味もいいんですよ」
マダイ以上に叩き、時には鋭く突っ込むような引きは極細タックルではなかなかにスリリング。しかしながら口が小さく弱いためバラシも多い。SLJは五目釣りであり、釣りやすい根魚がメインターゲットになりがちだが、一度でもイサキを釣ったことがある人はその虜になってしまうそうだ。
「イサキをねらうならスピニング一択。なぜならジギングといえどキャストが必要だからです」
マダイや根魚と比べてタナが上層になることが多いイサキは、船の陰やエンジン音に警戒心を抱きやすいと住澤さんは話す。投げる方向は込み側、なるべく遠くへキャストすることで反応はぐんと増えるという。
この日はSLJ用にPE0.8号と0.6号の2タックルを用意。五目釣りなら0.8号だが、イサキねらいなら15〜30gのジグが基本となるため、操作性のよい0.6号が断然おすすめとのこと。ジグは同じ重量でもシルエットを小さくできるタングステン合金製が有利なことが多い。


住澤さんのSLJタックル
ロッド:ソルティガ SLJ 64MLS-SMT
リール:イグジスト PC LT3000-XH
ライン:PE デュラセンサー×12EX+Si3 5c 0.8 号
リーダー:ソルティガ フロロリーダー X’LINK(クロスリンク) 16lb
ロッド:ソルティガ SLJ 60LS-SMT
リール:イグジスト PC LT2500
ライン:PE デュラセンサー×12EX+Si3 5c 0.6 号
リーダー:ソルティガ フロロリーダー X’LINK(クロスリンク) 16lb
※全てダイワ製品

反応が悪い時は、早巻き+フォールが◎
出船して程なく五ヶ所沖にある水深20mほどのシャロー帯に到着。ベイトの群れに付いているイサキをねらい、タングステン合金製のジグであるTGベイトの15gをキャストする。時折水面を割るイサキの姿が見えて期待は高まるが、ジグへの反応は悪い。同船した他の人も時折アカハタなどの根魚が釣れる程度だ。
「多分、ベイトには付いているけど捕食はあまりしていないんでしょうね。基本的なフワフワしたゆっくりなワンピッチジャークでは反応がありません。こういった状況では早巻き+フォールでリアクション気味に口を使わせる釣り方が効きます」
船長のアナウンスではベイトの反応が全層に出ているそうだ。この場合は着水後すぐに巻き出したほうがよい。というのも、活性の高いイサキは上ずっているためだ。反応がなければ5カウントずつ沈めていくなどしてアジングのようにレンジを刻むことが釣果アップのコツとなる。住澤さんは早巻き+一瞬のフリーフォール+カーブフォールの組み合わせでバイトを引き出し、ヒットまで持ち込んだが、痛恨のバラシ。
「釣れないとどうしてもボトムまで沈めてしまいがちで、そうすると根魚が釣れます。するとついそっちをねらいたくなるんですが、イサキの反応は遠のきます。グッと堪えて表層からレンジを刻んでいき、アタリを捉えたときはきっとイサキの面白さに目覚めるはずです」

誰でもできるのがLJの魅力
ベイトの群れを追ってキャストを繰り返したが、日が高くなるにつれてアタリは遠のく一方。LJに移行して仕切り直すことになった。
40分ほど沖に船を走らせて到着したポイントは水深140m地点。そこから20m付近まで反応が出ていると船長。さっそくジグを落としていく。ジグは沈下の速いTGベイトの180gを選び、流され具合と魚の反応を見てみる。ラインはPE1.5号、ロッドはソルティガLJEX61XHBTG、リールはソルティガ300だ。住澤さんは、PE1〜2号で100〜200gのジグを扱うのがLJとしている。ねらう水深は50〜150m前後のことが多い。
「LJは誰でも疲れず、釣れることが大切だと考えています。ガチな青物ジギングのようなスピニングタックルでのワンピッチジャークは意外と難しくてできない人も多いんですが、そういう人でもベイトだとうまくできたりするのでベイトタックルがおすすめですね。今年発売されたソルティガ300は負荷が掛かった状態でもかなり軽く巻くことができます。今日みたいにラインが150m近く出るような場所でも疲労が少ないです」


住澤さんのLJタックル
ロッド:ソルティガLJ EX 62XHB-S
リール:ソルティガIC300
ライン:PE デュラセンサー×12EX+Si3 5c 1.2 号
リーダー:ソルティガ フロロリーダー X’LINK(クロスリンク) 25lb
ロッド:ソルティガLJ EX 61XHBTG
リール:ソルティガ300
ライン:PE デュラセンサー×12EX+Si3 5c 1.5 号
リーダー:ソルティガ フロロリーダー X’LINK(クロスリンク) 30lb
※全てダイワ製品

ご当地ターゲットも登場
着底したらジャカジャカ巻きを5回してからワンピッチジャークに移行するのが住澤さんの基本的な釣り方だ。緩急をつけるのがコツで、スピードが変わったタイミングでバイトしてくることが多いという。
すると一流し目からヒットし、ロッドが根本から絞り込まれる。さらに立て続けに同船者全員がヒット。上がってきたのは真っ赤な深海魚ルックスのハチビキだ。
「ハチビキを釣ったのは2回目ですね。釣れるところが限られているらしく、この辺りでは志摩や南伊勢ならではの魚なんじゃないかなと思います。青物のようなパワーはありませんが、60cmを超すサイズになれば結構引いて楽しいですね」
この日はハチビキの活性が高く、流すたびにヒットする。かといって強引なファイトをすると口が弱いためバレやすい。決してイージーな魚ではないため、LJのターゲットとしては申し分ない魚だろう。このポイントでは他にもメダイやクロムツの他、青物やマダイも混じるそうだが、この日は不発だった。

ハチビキを多数釣って満足したところで沖上がりとなった。7月に入るとベイトが一層シャロー帯に集まり、イサキがねらいやすくなる。アカハタなどの根魚も水温が上がるほうが好反応となりSLJのハイシーズンとなる。LJの釣果も上向いてくるそう。
また、夜のバチコンやイカメタルも盛り上がる頃合いだ。豊富な魚種をねらえるSLJ&LJで南伊勢の夏を満喫してみてはいかがだろうか。

※このページは『つり人 2025年8月号』を再編集したものです。