平戸島といえば島内のほとんどの港でアオリイカが釣れ地磯に出ればさらにサイズアップがねらえるエギングパラダイス。秋イカシーズン開幕にはまだ早いタイミングながら、ここなら季節を先取りして楽しめるのではないかと和歌山からやって来たのは木森直樹さん。過去にショアから5.2kgという特大レッドモンスターをキャッチしたデカイカハンターだ。
平戸島といえば島内のほとんどの港でアオリイカが釣れ地磯に出ればさらにサイズアップがねらえるエギングパラダイス。秋イカシーズン開幕にはまだ早いタイミングながら、ここなら季節を先取りして楽しめるのではないかと和歌山からやって来たのは木森直樹さん。過去にショアから5.2kgという特大レッドモンスターをキャッチしたデカイカハンターだ。
写真と文◎藤原武史
秋エギングは難易度上昇中?
釣りが上手くなるために必要なことはと問われたら、サイズはともかく数を釣ることだと言えるのではないだろうか。
そう考えると秋に始めるのがエギングの近道と言える。なぜなら、好奇心旺盛な若いイカが群れでいることが多く、数が釣れる可能性が高いからだ。さらに言えば、浮いていることも多いから、イカがエギを追って抱きつくとこを目視で確認できるのもこのシーズンならではの妙味。どんなアクション、どんなフォール、どんなカラー、どんなサイズのエギに、イカたちがどんな反応を示すのかをよく知る機会になるだろう。
ところで近年、アオリイカの産卵パターンに変化が見られるように感じるのは異常な高水温の影響だろうか。これまでなら春の終わりか夏にしか見なかった生まれたばかりの赤ちゃんイカを秋や冬にも見かける。つまり、産卵が春から初夏以外にも行なわれているということだろう。
それでも、5月になれば春イカは最盛期を迎え、10月になれば秋イカが最盛期を迎えるという、これまでどおりのシーズナルパターンもいまだ健在であることも確かだ。
秋はコロッケサイズから始まり、だんだんとサイズが上がっていき、春から初夏には1kg、2kg、そして夢の3kgという大型のイカが釣れる流れは変わっていないのだが、産卵期が分散してしまったことで以前と比べると秋の爆発力はおとなしくなっており、エギングスキルが高くないと数も釣れにくくなっている。
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エメラルダスAIRの新作をエギングの楽園平戸島で試す
九州の西端にある長崎県の平戸島は、九州北部の中では季節の変化が先取りできるフィールドとして知られる。そんな平戸島にやって来たのが木森直樹さん。過去にショアから5.2kgという特大レッドモンスターをキャッチしたデカイカハンターだ。
「九州にはよく足を運んでいますが、平戸に来るのは初めてです。平戸の話は周囲の仲間からもよく聞きますね。エギングをやっている人間なら一度は聞いたことがあるだろうし行ってみてみたいと思う場所ですよね」と語る木森さんが持参したのは、エギングロッドのエメラルダスシリーズの中から、自身が監修したエメラルダスAIR75UL-S。
開発コンセプトは、ブランクの柔軟性を最大に生かし、マイクロサイズのエギを軟らかく躍らせる操作感の追求。ULクラスのしなやかさと、AIRシリーズならではのシャープさがこれまでにない使い心地を提供。穂先にメガトップを採用したソリッドチューニングは小イカのアタリも目感度で確実に表現する。
「シャローエリアを2.5~3.5号のエギでガンガンと手返しよく釣りができるショートモデル。まさに秋のエギングに最適な1本で、バットに強さを持たせているので思わぬ大型にも対応ができます」
汎用性も高く、使おうと思えば2.0号でも4.0号でもストレスなく扱うことができる。キャスト時にしっかり曲がり、曲がったあとの収束も早いため細かなロッド操作でエギを思い通りに確実にアクションさせられるという。
そしてもう1本も木森さん監修のインターラインロッド。ランガンセミショートモデルのエメラルダスAIR IL77MLM・J。こちらも、しなやかなティップはML、バットはMクラスへとチューニングすることで、軽快な操作感はそのままに不快なガイド絡みなどのライントラブルを解消している。
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秋イカシーズン先取り
木森さんの耳にも届いたように、かつての平戸島はエギング天国だった。現在でも、季節を先取りしていいサイズが釣れることや福岡や熊本からも日帰り圏内であることから毎年多くのエギングファンが訪れているが、かつてのようなパラダイス感は薄れている。
今回の取材は8月末という、秋イカを釣るにしても早すぎるタイミングだったが、平戸島の季節を早取りできるチカラに賭けてみたのだが、立ち寄った地元の釣具店のスタッフの方からは「さすがにこの時期は釣れてもコロッケサイズで、それも潮回りなどの条件が悪いとそれすら釣るのにひと苦労します。ただ、そんな状況で200gとか300gじゃなくて、ポロっと釣れるのが800g」
この両極端の釣れ方こそ産卵期の分散を意味するものだが、とはいえ大多数はエギを抱くのもまだ難しいサイズということである。
仕事の都合で朝イチの新幹線で大阪から博多に入り、記者の車で平戸へ向かい、釣りをする前に地元ショップでリアルな情報を聞いた木森さん。
「状況は理解しました。正直、コロッケサイズをコツコツ釣っていくしかないようですね。そうしてポイントを回りながらサイズアップの手がかりを探していきましょう」
事前に航空写真で確認していた気になるポイントを回ってみることにした。

エギの使い分けとラインへのこだわり
今回使うエギはエメラルダスシリーズのダートLC、アモラスジョイント、アモラスジョイントのタイプS、シャインLCレーザーインパクトの4種類で、それぞれ2.5号と3号を用意してきている。中でもダートLCは木森さんのメインのエギ。磁着式重心移動システムが組み込まれているため遠投性能に優れている。その名のとおりダートのキレもいい。特に目を引いたのがシャクリ上げて水平姿勢になってからフォールに入るところの姿勢のよさ。やはり、フォール安定性が保たれエギに違和感を与えないのだろう。
そしてジョイント式のアモラスは、その見た目から跳ね上がり系のエギのため縦の動きを重視しているが、それほど大きい跳ね上がりではない。フォールへの入り方は他のエギより優れているように見えた。
レーザーインパクトは、エギの種類というよりもカラーバリエーションのひとつとしてローテーションの中に組み込んでいるとのこと。
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ラインとリーダーはあえて太め
木森さんのエギングで特徴的なのがラインとリーダーの太さだろう。九州では鹿児島の特殊な事情(海中に浮遊する軽石によるライン切れ)を除けば、一般的にPEは0.6号にリーダーは2号が標準だろう。秋イカでは、エギの大きさを考慮してさらに細めにする人も多いなか、木森さんはPEは0.8号でリーダーはフロロカーボンの3号を使っている。
「これはラインやリーダーにあえて潮を噛ませて、潮の状況やアタリを取りやすくするねらいがあります。ラインでアタリを取る際は海中にあるラインの状態は最重要です。それにリーダーの太さはあまりイカの捕食行動に支障があるように思いません」
釣果は苦戦も平戸島のポテンシャルは実感
平戸では、いきなり道路の崩落で大回りを余儀なくされるなど、ちょっとしたトラブルが多発したが、多くのポイントを回って小さいながらも数ハイのアオリイカをキャッチしていった。
「う~ん、潮通しのいいところで反応がなく、港内に入ると小さくて、それよりマシなサイズが港の奥で釣れたり。最後までヒントをもらえませんでした。電車での遠征だったので、初日は午後、2日目は午前を中心に探りましたが、ポロっと800gには出会えませんでした(笑)。でも、かなり迷走したおかげで2日間のわりにはたくさんのポイントを回ることができました。素晴らしいロケーションも多く、たしかにここはパラダイスなんやろうな~と実感しました。今度は季節先取りではなくオンタイムで楽しみたいです(笑)」と木森さん。
この2日間で出会ったイカたちが順調に育っていれば、9月後半以降には楽しませてくれるはずだ。
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※このページは『つり人 2025年11月号』掲載の記事を再編集したものです