夏休みならバーベキューをしながら、天気がよければ泳ぎたくもなるような場所で楽しめるのが、オイカワやハヤ(ウグイ)といった清流の小魚をねらうピストン釣りだ。ピストン釣りでは、短いサオと簡単な仕掛けで川に入り、中腰になってサオを前後に動かす。
竿を前後に動かす簡単かつユニークな釣り
写真と文◎編集部
都会から少し郊外に入った河川の中・上流部。夏休みならバーベキューをしながら、天気がよければ泳ぎたくもなるような場所で楽しめるのが、オイカワやハヤ(ウグイ)といった清流の小魚をねらうピストン釣りだ。
ピストン釣りでは、短いサオと簡単な仕掛けで川に入り、中腰になってサオを前後に動かす。名前はこの特徴的な動きから来ていて、冷たい水にしっかり浸かることになるので主に夏に行なわれる。エサは川で採取する川虫だ。
この記事は月刊『つり人』2017年9月号に掲載したものを再編集しています
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釣り方:オイカワ・ウグイのピストン釣り
鮮やかな婚姻色に染まったオスのオイカワ
ハヤ(ウグイ)もよく釣れる対象魚
川に入ったら、ハリにエサを付け、下流を向いた状態でサオ先を水中に入れ前後に動かす。この時、川虫がなるべく川底から離れないように、サオを手前に引く時はサオ先で川底をなでるようにする。反対に前に押し出す時は、サオ先を川底に突っかけないように、手首を少し上に向けてやるとよい。浅い場所なら川底に膝を付き、サオを握る手も水の中に入れて動かす。
ピストン釣りでは浅い岸寄りの瀬でも思っている以上に釣れる。そこで釣れなければ、立つ位置を変えながら、腰より下くらいまでの深さまででいろいろな深さの場所を流してみよう。サオを動かすリズムは、「イチ、ニ、イチ、ニ……」と一定にするが、急ぐ必要はない。この釣りは上流に引っ張り上げたエサを、川の流れに乗せて流すという動作を繰り返している。そして魚がエサに食いつくと、上流に引いた時にブルブルっと手応えが伝わって、そのまま釣りあげられる。
ピストン釣りは、下流を向いてサオを前後に動かす!
下流を向いてサオを前後に動かす。サオは軽く持って手首を柔らかく使う
サオ先がなるべく川底から離れないほうが釣れる。竹ザオに慣れた人は、その操作がしやすいように、使用前にじわっとサオ先を曲げてクセを付けることもある
釣れる時間帯と釣り場
朝夕のマヅメ時のほうが反応がよいとされるが、昼間でも問題なく釣れ、朝の水温が低い時はむしろ昼間のほうが釣れることもある。広い川でも狭い川でも釣れるが、川岸から川の中まで水深がそれほど大きく変わらない、広い浅瀬がある川が釣りやすい。
ピストン釣りは浅い瀬が釣り場になるので、親子で一緒に楽しみやすいのも特徴だ
こんな広く浅い瀬は絶好のピストン釣り場になる
道具とエサ
流れに立ち込む釣りなので、大人も子どもも救命胴衣を着用しよう。サオはサオ先に曲げグセを付けられる2mほどの細い竹ザオ(釣具店で束で売っている安価なもの)があれば最適だが、笹竹が入手できれば自分で枝を落としてサオにしてもOKだ。長めの金魚ザオなど丈夫で安価なサオも向いている。ミチイトは0.6号くらいを選び、ハリはオイカワ釣り用の袖バリを結ぶ。仕掛けは釣具店で売られているオイカワ釣り用のものを購入し、余分なウキやオモリが付いていたら外して使う方法でもよい。
もう1つ大切なのがエサだ。エサは釣具店のサシでも大丈夫だが、釣り場で採取した川虫が最良。その川虫も種類によって魚の釣果に差が出ることがよくある。ピストン釣りで反応がよいのは「ヒラタ」。ヒラタカゲロウ類の幼虫で身が柔らかく、オイカワやハヤが特に好む。カワゲラの幼虫(キンパク、オニチョロ)、マダラカゲロウの幼虫、トビケラの幼虫(代表的なものはクロカワムシ。石をひっくり返すと細かい石を集めた巣を作ってその中に入っている)などでも釣れるが、まずはヒラタを捜したい。採取した川虫は、濡らした腕に張り付けておくのが一番簡単な保管法。渓流釣りのエサ箱があればもちろんそれでもよい(その際は中に水コケを入れる)。川虫は釣っているうちに形が崩れてしまったりしたら、新しいものに交換する。
エサになる川虫
これがヒラタ。名前のとおり平たい体型をしている
クロカワムシを使う場合は小さなものがよい
オニチョロなど他の川虫はヒラタに比べると魚の食いが落ちる
クロカワムシにウグイが飛びついた
注意点:遊漁券(雑魚券)が必要
オイカワ・ハヤのピストン釣りをする際は、その川を管轄する漁協の遊漁券(雑魚券)が必要になる。遊漁券は近隣の釣具店や遊漁券取り扱いの幟があるコンビニエンスストアで購入できるが、いくつかの種類があり、購入した券の対象魚種以外が釣れた場合はリリースしなければいけない。一般にオイカワ、ハヤ(ウグイ)、コイなどを対象とした雑魚券では、アユやヤマメは釣ってはいけないので覚えておこう。
オイカワを飼育するには、広めの水槽を用意し水流も作ってやることが必要になる。おすすめは釣った場所で透明な水槽に入れて観察すること。また、清流のオイカワは食べても美味しい。ウロコと内臓を取り除いて、空揚げ(2度揚げ)にするのが簡単だ。