「魚をさばけるようになりたい!」と思ったら、まずはマダイから始めるのがおすすめです。体高があり、骨もしっかりしているマダイは、魚の基本構造を理解するのに最適な教材。ここでは、料理研究家の石井ちか江さんによる「マダイの三枚おろし」の基本手順を、豊富な写真とともに徹底解説。これを覚えれば、他の魚にも応用が利きます。
マダイの下処理とさばき方の基本
マダイは釣魚として抜群の美味しさを持っているのはもちろん、さばき方を覚えれば、体高のある他の魚(クロダイ、メジナなど)をさばきたい時も応用が利きます。なお、マダイ以上の大きさの魚をさばくには、ある程度の刃渡りがある出刃包丁があると便利です。
用語集
| 部位 | 解説 |
|---|---|
| 中骨 | 背骨およびそこから上下に伸びている骨全体のこと |
| 血合い骨 | 身の中心部近くに生えている小骨 |
| 腹骨 | 内臓を包んでいる肋骨部分 |
実践!マダイの三枚おろし手順
今回は家庭の包丁でも捌きやすいように、頭を落とさずに三枚おろしにする手順を解説します。
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1.マダイはウロコが硬く飛び散りやすいので、専用のウロコ落としを流水の中で使ってウロコを取る。また、ウロコが残っていると包丁がスムーズに入らず怪我の元になるので、特にヒレの周りなどは意識してしっかり取る -
2.胸ビレを前に向けて頭を押さえたら、頭の後ろから腹ビレの後ろに向けて切れ目を入れる。また、腹ビレの後ろはあらかじめしっかり切断しておく -
3.肛門から包丁を入れて腹ビレを切った所まで切り進む -
4.さらに尾ビレに近い下の部分に切れ目を入れたら、中骨に刃先が当たるようにしながら頭のほうに向けてなぞるように切れ目を入れていく -
5.尾ビレの手前に切れ目を入れる -
6.頭を手前にし、中骨に沿って尾ビレまで切れ目を入れていく。マダイは体高があるので、一度で包丁を背骨まで届かせる必要はない -
7.尾ビレの手前では包丁を深く入れ、下側の切れ目とつなげておく -
8.身をめくりあげながら、背に再び包丁を入れ、背骨まで届くように徐々に深く切っていく。背骨まで切ったら、さらに刃先を奥に入れて背骨のすぐ下の身も骨から剥がす(この過程は12も参照) -
9.尾を手前にして身を持ち上げる -
10.身と背骨の間に包丁を入れたら、背骨をさぐるようにしながら包丁を頭に向けて進めると片身が切り離せる -
11.反対側の身を切り離す時も基本的な手順は同じだが魚の向きが反対になる。まず腹側を切っておき、次に尾から頭に向けて包丁を入れる(最初は浅く切り、続けて中骨まで包丁を入れる) -
12.さらに身をめくるようにしながら、背骨の下まで刃を入れる -
13.身を持ち上げながら、背骨と身の間に包丁を入れて切り離す -
14.三枚おろしの完成
マダイを刺身にする
三枚おろしが完了しましたが、まだ身には「腹骨」と「血合い骨(中骨)」が残っています。焼き物にする場合はこのままでも料理に使えますが、刺身にするためには、まずこれらの骨を取り除き、その後に「皮引き」を行って「サク」の状態にする必要があります。ここからは、口当たりの良い刺身にするための下処理から、見た目を決める「包丁の入れ方(切り付け)」までの手順を解説します。
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15.刺し身用の「さく」にするため腹骨をすき取る -
16.マダイは血合い骨もすき取る(手では抜けないため)。その際は身の中心にある線を触って血合い骨の位置を確認し、どちらか片方に中骨が残るように上下に切り分ける -
17.血合い骨を残した側の身から血合い骨を切り取る -
18.マダイの皮は包丁を使って引く。その際はまず皮を下にし、皮と身の間に包丁の刃先を当てる(包丁を立てて皮を切らないように注意)。皮は滑らないようにキッチンペーパーで持つとよい -
19.手で持った皮を引いて皮と身の間に包丁を滑り込ませていくときれいに皮が引ける -
20.刺身の場合はシンプルに縦に切り分ける「平作り」にする -
21.釣ったばかりで身にかなり弾力がある場合は、あらかじめ1~2ヵ所に切れ目を入れてから切り分けると歯ごたえと柔らかさを楽しむことができる -
22.マダイは中骨や腹骨などのアラ、頭の下の部分のカマ、白子や卵など多くの部分が料理に使えるので、刺し身以外も捨てずに活用する
※このページは『つり人』2016年5月号の記事を情報更新・再編集したものです。


