大物との真っ向勝負にセルテートHDで挑む北の海。荒波のサーフや潮風にさらされる磯、規格外のパワーをもつ魚たち。北海道の海では、タックルに求められる条件も自然と厳しくなる。そうしたフィールドで真価を発揮する『セルテートHD(ダイワ)』が登場。高剛性ボディーと強力・安定のドラグ、実釣で感じた操作感まで、佐藤博之さんが、南十勝の海で試した実力を詳しく紹介する。

写真・文◎佐藤博之
1976年北海道帯広市生まれ。20代前半で海サクラマスと出会い、その魅力に取り憑かれる。サクラマスを筆頭に、北海道のフィールドを知り尽くしたエキスパート。
過酷な環境に立ち向かうリール「セルテートHD」
北海道の海は、多くの釣り人にとって憧れの舞台である一方、国内でも屈指の厳しさをもつフィールドでもある。荒々しい波が打ち寄せるサーフ、風と潮にさらされ続ける磯場、そして大型魚との力勝負。こうした環境のなかで、アングラーを支える道具の信頼性は極めて重要となる。とりわけ魚と直接的に力のやり取りをするリールには、高い剛性と耐久性、そして確かな操作感が求められる。2026年、ダイワから登場した『セルテートHD』は、まさに北海道の海で真価を発揮する一台だ。過酷な環境と規格外の魚たちに立ち向かうための、ヘビーデューティー・モデルである。
北の海に潜むターゲットは実に多彩。春から初夏にかけてサーフを回遊するサクラマス、海底に張り付く“座布団”級ヒラメ、力強いファイトで釣り人を翻弄するアキアジ、そして磯や根周りの大型アイナメ。こうした強烈な引きで知られる魚と対峙するとき、リールの性能は釣果を左右する大きな要素となる。セルテートHDは、それらのターゲットを見据え、パワーと信頼性を高い次元で両立したモデルとして誕生した。
高剛性でも巻きは軽やか!フルメタルモノコックボディの恩恵
このリールの核となるのが「フルメタル(AL)モノコックボディ」である。一体成型されたフレームに、ねじ込み式のプレートを組み合わせる構造によって高い剛性を実現。内部スペースを最大限に活かしながら、ボディー全体を強固な金属フレームで支えている。手に取った瞬間、まず感じるのはその密度の高さだ。ハンドルを回したときに伝わる感覚は極めてダイレクトで、ロッドから伝わる情報がそのまま手もとに届く。力を込めれば、その入力が歪むことなくラインへ伝わる。まさに金属の塊を操っているかのような剛性感がある。
セルテートHDにはアルミ製ローターが採用されている。一般的にアルミローターは樹脂製と比較して重量が増し、回転慣性も大きくなるとされる。しかし、このモデルでは精密な設計によって回転の立ち上がりを大きく改善。実際にハンドルを回してみると、その動きは驚くほど滑らかで、重さが気にならないくらいのスムーズさがある。アルミ素材特有の剛性の高さによってローターがたわまず、力の伝達がより正確になる点も大きな特徴だ。
たとえばサーフでアキアジ(サケ)がヒットした瞬間を想像してほしい。強烈な引きで一気に走りだす魚を相手に、最初の対応が遅れれば主導権を奪われてしまう。セルテートHDはローターの剛性が高く、フッキング直後からラインコントロールを行ないやすい。瞬時に魚の動きを制御し、頭をこちらへ向けることができる。この初動の速さと力の伝達の正確さこそ、キャッチ率に大きく影響する要素だ。
さらに、ボールベアリングは従来モデルから2個追加され、合計12個を搭載。ボディーからローターまで全身を金属で構成することで高剛性を確保しつつ、滑らかな回転性能も両立している。強さと軽快さを兼ね備えた巻き心地は、このリールの大きな魅力といえるだろう。
パワーと耐久性を生み出すテクノロジー
魚のパワーを巻き上げ力へ変換する心臓部には、「超々ジュラルミン製MC(マシンカット)タフデジギア」が搭載されている。高強度素材を精密に削り出して作られるこのギアは、非常に高い耐久性と硬度を誇る。アルミローターと超々ジュラルミンギアの組み合わせは、強大なトルクを生み出す。
座布団級ヒラメが海底に張り付こうとするときや、モンスタークラスのアイナメが根に潜ろうとするときでも、リールは力強く巻き上げ続ける。ローターがたわまず、モノコックボディも歪まないため、ギアへ無駄な負荷が掛からない。不意にヒットした大型魚にも落ち着いて対応できる安心感がある。北海道の海で求められる「粘り強さ」を備えたリールといえるだろう。
ドラグ耐久性は従来比3倍以上
大物に真っ向勝負を挑むうえで、欠かせない機能のひとつがドラグだ。単に滑り出しが軽いだけでは不充分で、長時間のファイトでも安定した性能を維持する耐久性が求められる。とくにサクラマスの強烈なファーストランや、ヒラメの重量感ある抵抗を受け止めるには、信頼できるドラグ性能が不可欠となる。
セルテートHDには「ATD TOUGH」が搭載されている。このシステムは『セルテートSW』にも採用されている実績ある機構で、カーボンワッシャーを使用することで高い耐久性を実現している。フェルト系素材と比較すると、耐久性は3倍以上。長時間のやり取りでもドラグ性能が低下しにくく、常に安定したテンションを保ち続ける。
その結果、アングラーはドラグ設定を過度に気にする必要がなくなる。突発的な突っ込みに対しても、意図したテンションのまま魚を受け止めることができるため、ファイトに集中できる。この安心感は、大型魚をねらう釣りにおいて大きな武器となる。
砂や塩の内部への侵入を防ぐ「マグシールド」
そして忘れてはならないのが、防水技術「マグシールド」の存在だ。北海道の海は、波しぶきや潮風に常にさらされる環境である。冬場には氷点下の気温となることも多く、リールにとっては過酷な条件が揃っている。もし内部へ塩分や砂が侵入すれば、回転性能は急激に低下し、メンテナンスなしでは長く使用できない。
マグシールドは磁性流体を利用した防水構造で、これらの異物の侵入を防ぐ。回転性能を維持しながら内部を保護するこの技術は、長期間にわたりリールの性能を安定させる。フィールドで突然リールが塩を噛むリスクを大幅に減らしてくれる点は、釣り人にとって大きな安心材料となる。
南十勝のサーフで実感したスムーズな巻き心地
ここからは実釣での使用感を紹介したい。昨年7月、セルテートHDのLT4000-CXHを手に、南十勝のサーフへサクラマスをねらいに出かけた。
このリールを初めて手にしたとき、まず感じたのは外観のカッコよさだ。ブラックを基調としたカラーリングが全体を引き締め、いかにも剛性感のある印象を与える。どんなロッドにも合わせやすいデザインで、『カムイランケタム109ML/M+AGS』との相性も非常によかった。
アルミローターを採用しているため、確かに樹脂ローターのモデルより重量は増している。しかし実際にセットしてみると、想像していたほど重さを感じることはない。ローターを手で挟んで押してみると、ほとんどたわみがない。この剛性が釣りのなかでどのように作用するのか、早く試してみたくなった。
小砂利の広がるサーフに立ち、『Aiveセミロング-H』35gを結んでキャストを開始する。ハンドルを回した瞬間、まず驚いたのは巻きの軽さだった。高剛性のリールというと重厚な巻き心地を想像しがちだが、セルテートHDは非常にスムーズだ。サーフの釣りは一日中キャストを繰り返すため、巻きの軽さは大きなアドバンテージとなる。
しばらく探っていると、消波ブロックの脇でサクラマスの跳ねが見えた。すぐさま『Aiveセミロング-H』35gのブラックシェルをキャスト。数回巻いたところで、ロッドに明確な衝撃が伝わる。待望のヒットだった。
南十勝のサーフはウネリの強い日が多い。この日も例外ではなく、波打ち際は急なカケアガりになっていた。引き波に持っていかれそうになりながらも、リールの操作は終始安定していた。ラインコントロールがしやすく、落ち着いて魚を寄せることができる。結果として、無事ランディングに成功した。
波打ち際の攻防を制する安定したドラグと追従性
休憩を挟み、次は海藻の多いポイントへ移動する。サクラマスは沈み根周辺に付くことが多く、こうした場所は有望だが、同時にルアーが海藻に引っ掛かりやすい。実際、このポイントでは何度か海藻を拾ってしまった。
ところが不思議なことに、コンブなどに絡んだルアーが比較的簡単に外れる。最初は偶然かと思ったが、同じ状況が何度も続く。ローターがたわまないことで力が正確に伝わり、ルアーが外れやすくなっているのではないかと感じた。もしそうであれば、フッキング時の力の伝達にも同じ効果が期待できる。
根周りを丁寧に探り続けていると、再びサクラマスがヒットした。掛かった瞬間、魚は一気に沖へ走りだす。ウネリも強く、なかなか手前へ寄ってこない。それでもATD TOUGHの追従性が安定しており、無理せず魚をいなすことができた。
慎重にやり取りを続け、ようやくネットに収まったサクラマスは、鼻の曲がった立派な個体だった。強烈な走りを見せたのも納得である。
カムイランケタム109ML/M+AGSの柔軟なブランクと、セルテートHDの高剛性、そして滑らかなドラグ。この組み合わせは、サーフでのサクラマスゲームにおいて非常に安心感のあるものだった。
セルテートHDスペック


