さまざまな船釣りに精通し、その技術力、製品開発力、一般アングラーへのわかりやすい釣り方アドバイスに定評のある三石忍さん。釣り業界内はもちろん、現場で出会ったアングラーやメディアの視聴者からも高い評価を得ている。2026年5月1日、その三石さんがシマノと契約したことを発表。きっかけやこれからの活動についてうかがった。あわせて記事後半では、以前に三石さんに聞いたこの仕事を始めたきっかけや同じ仕事をめざす人へのアドバイスを紹介したい。

聞き手◎月刊つり人編集部
三石忍(みついししのぶ)プロフィール:長野県出身。1973年生まれ。プロアングラー。船釣り分野における実力派女性アングラーの草分けとして、長年にわたりメディアや釣り教室で活躍。釣りメーカー・釣りエサメーカーの新製品開発にも携わる。シマノフィールドテスター、マルキユーインストラクター、XBRAIDアンバサダー、Fish Arrowテスター。月刊『つり人』の奇数月発売号にて「三石忍 船釣りテンポアップ!」に出演中。
新たな挑戦へ!シマノとのフィールドテスター契約と今後のビジョン
――釣りフェス2026が終了したあとの1月28日、ご自身のインスタグラムで長年続けてこられたがまかつとの契約を双方円満に終了したことをご報告されましたね。「決してネガティブな理由ではなく、新たな形で釣り業界の発展に貢献したい」とのことでした。
三石:はい。まったくそのとおりで、がまかつさんには今もとても感謝しています。
――何か心境の変化のようなものがあったのですか?
三石:20代の終わりから、もうずっとこの仕事にしてきました。その中で今も仕事に対する熱量は変わらないのですが、最近は後進にもっと育ってほしいと感じるようになったり、取材やロケにこだわらず、たとえば釣り船のお客さんともっと直にコミュニケーションを取って、新しい形の釣り教室をやってみたり、これまでと違う取り組みも何かできたらいいなと思うようになりました。
――長いキャリアの中で何か環境を変えてみようというアイデアが湧いてくる点は理解できます。そして5月1日、新たにシマノと契約されたことを公表されましたね。
三石:おかげさまでというか、がまかつとの契約が終了したことをご報告したあと、いくつかのメーカーからお声をかけていただいたんです。そもそも新しいメーカーと契約するかも決めていませんでしたが、それぞれお話も聞いて、お手伝いできることがあるなら新しい環境でまたチャレンジしてみようと思い、フィールドテスターとして契約させていただくことにしました。
――決まっている具体的な取り組みはありますか?
三石:それはこれからですが、今後少しずつ活動を展開していきますので、ぜひ変わらずに応援していただけるとうれしいですね。シマノのリールは以前から使用していましたが、契約をさせていただいたからには、私もこれまで以上にさまざまなフィードバックをさせていただければと思っています。
――ファンの皆さんも三石さんの今後の活動に大いに注目していると思います。ますますのご活躍を期待しています。

三石忍の原点:28歳からプロアングラーへの道を歩んだきっかけ
【ここからは『さかな・釣りライフ100人』(つり人社)に収録している、自身の仕事のルーツや同じ仕事をめざす人へのアドバイスを紹介したい】
――三石さんは、何歳で今の仕事(プロアングラー)を始めたのでしょうか?
三石:海釣りを始めて数ヵ月後のたしか28歳の時です。当時、お世話になっていた「こうゆう丸」(神奈川県横須賀市の船宿)の船長が、面白い子がいると関係者に紹介してくれたことがきっかけです。それからスポーツ新聞のフィッシングライター、釣り大会のゲストアングラー、釣り雑誌のモデルなどをするようになりました。
――最初からプロをめざそうと思っていたのですか?
三石:そういうつもりはなくて、ただ上記のような機会をいただく中で、釣りに真剣に取り組んで、船宿の商品を開発・宣伝したり、レポート記事を書いて船のお客さんが増えたりすれば、それがお世話になった人への恩返しになると思って行動するようになり、気づけばそのままプロアングラーが仕事になっていました。
商品開発からメディア出演まで!プロアングラーの仕事内容とやりがい
――具体的な仕事の内容は?
三石:まずは釣りに行くことです。私はタチウオ、カワハギ、マダイ、ライトアジ、アマダイ、ライトヤリイカ、オニカサゴ、フグ、マダコなど、船のエサ釣り全般のプロアングラーをしています。その中で商品開発も行ない、具体的には、釣りエサ、仕掛け全般、ロッド、アパレルなどの開発に携わっています。
釣りに行けば周りの方が使っているものを見て次の流行を考えたり、スーパーに買い物に行けば釣りエサにいいものはないか常にチェックしています。生活の中でいつも釣りに関連するアイデアを捜しながら行動していますね。
あとは雑誌やテレビなどのメディアやイベントへの出演です。自宅は4畳半1部屋と約3畳の物置き2つが釣り道具でいっぱいで、バッカンはロケのたびに中身を入れ替えるのが手間なので、必要な道具一式を入れたものを釣りの種類ごとに常備しています。
――この仕事のやりがいは何ですか?
三石:釣りをしていなければ出会えない多くの方々とつながれることです。職業年齢関係なく、普通は出会えないような人と釣りを通してお友だちになれます。若い頃は自分よりずっと年上の先輩とお友だちになれましたし、今は自分と同年齢くらいの母親がいる若い子と釣りをしたりもします。仕事で遠方に行くことも多く、各地に友人・知人ができて、どこへ行ってもさみしくないですね。本当に人との出会いがこの仕事の魅力です。
――プロアングラーになりたい人へのアドバイスをお願いします。
三石:まずは船長の皆さんに愛され認められるアングラーになることです。そのためには、釣りが上手いだけでは不充分。人を蹴落としてまでサオ頭になっても仕方がありません。船長たちは釣果だけでなく、その人のマナーや人間性、行動をよく見ています。
釣りメーカーの方は船宿と接点を持っていて、時にはいい子がいないか船長に聞きますが、その時もまた、釣りの上手さだけでなく人間性を重視しています。私も「こうゆう丸」の船長の紹介がなければ、今のようにプロアングラーになることはありませんでした。

原点である「タチウオ釣り」への思い
――今後の抱負や夢を教えてください。
三石:もう50歳を過ぎたので、これからはもっと自分の時間を持ち、全国の知り合いを訪ねて楽しい釣りライフを送りたいと思っているのですが……なかなか実現できません(笑)。
――この仕事に就いていなければ何をしていたと思いますか?
三石:マネージャー業をしていたかもしれませんね。今もそうなのですが、人を応援したり育てたりすることが大好きですし、若い子がどうしたらうまく成長できるかというプロデュース的なことをいつも考えています。このような性格が活かせるのは業界を問わずマネージャー業なのかなと思います。
――今、好きな釣りはなんですか?
三石:やっぱりタチウオですね。師匠である「こうゆう丸」船長に「とにかく東京湾でタチウオといえば三石忍といわれるようになれ。そうすれば一生タチウオがお前を助けてくれる」と言われてこの仕事を始めました。そして、本当にタチウオの釣りが自分を助けてくれています。
――特に大切にしている釣り道具はありますか?
三石:古くても捨てられない唯一の釣り道具がシマノの「幻波タチウオ」です。まだ船宿の貸しザオでしか釣りをしていなかった頃、「世の中には専用ザオってもんがあるんだよ」と教えてもらい、初めて自分でお金を出して買ったサオでした。そして、初めてサオ頭になった時のサオでもあります。
――将来行きたい釣り場や釣ってみたい魚はいますか?
三石:世界中のタチウオを釣ってみたいのですが、普段から釣りのことばかり考えているので、海外旅行に行く時はリフレッシュのため釣りはしないようにしています。なのでこれは悩ましい質問ですね(笑)。

さかな・釣りライフ100人
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