2026年春、ヤマガブランクスのショア青物ゲーム用ロッド「ブルースナイパー」に待望のライトクラスが登場した。新潟県を中心に通年青物をねらい続けているフィールドスタッフが実釣レポートにまじえてこのロッドの真価を解説する。

写真と文◎猪俣敬太(YAMAGABlanks)
新潟県在住。ロックショアのみならずシーバス・アジ・メバルなどのライトゲームまで、ルアーフィッシング全般を楽しんでいる。YAMAGABlanksフィールドスタッフ。
足しげく通う二大フィールド~佐渡島・粟島と伊豆諸島~
厳寒期を越え、春の気配を感じ始める頃。青物の気配が漂い始める季節だ。
私が住んでいる新潟県では青物のシーズンインは例年、大型連休明けの5月頃となる。そのため冬から春にかけては太平洋側への遠征釣行が主体となり、5月以降は地元エリアへ移行する。そして秋は再び太平洋エリアを中心に釣行しつつ、状況に応じて地元エリアも並行してねらうサイクルだ。猛暑の夏を除けば、ほぼ通年で青物を追い続けている。
こうした釣行を重ねる中で、近年主に通っているフィールドは大きくふたつに絞られている。ひとつ目は地元新潟県の離島である佐渡島・粟島。ふたつ目は太平洋沖に位置する伊豆諸島だ。いずれも明確なターゲットとシーズナルパターンが存在するため、まずは各エリアの特徴から整理していきたい。
佐渡島・粟島のヒラマサねらいとシーズナルパターン
ここでは、両島におけるヒラマサを主軸に解説する。
ひと昔前は両島とも、5月中旬から6月にかけて産卵期のトビウオの接岸があり、それを追って超大型ヒラマサの声が多数聞かれた。しかしここ数年トビウオの姿を見なくなった。対馬海流の水温変化なのか、個体数の減少なのか、理由は定かではないが、トビウオパターンの超大型ヒラマサは幻だ。
そのため現在は、時期や適水温を見極めての釣行が鍵となっている。具体的には、5月から6月、そして10月から年末にかけて、シーズンが2度訪れる。猛暑の時期はショアへの青物の接岸が少なくアングラーも体力の消耗が激しいため、ここは充電期間に入る。
小型個体とアングラーの増加
また近年は、2~3kgの小型が増えたと感じている。これによりロックショアのハードルが下がりアングラー人口も増加傾向にある。一方で、その結果としてフィールド全体のプレッシャーは確実に上昇している。のちに解説するが、トップウォータープラグに限定した戦略では1本を手にする難易度は明らかに高まっているのが現状だ。
小型個体とアングラーの増加が釣果に比例すればよいのだが、自然条件も絡むので現実はなかなか厳しい。この傾向は、佐渡島・粟島のいずれにおいても共通している。
伊豆諸島ではカンパチがターゲット
東京湾から南へ連なる伊豆諸島は、大小さまざまな有人島で構成され、各島で青物をねらうことができるフィールドだ。時期によっては大型のキハダマグロが堤防から釣れると話題になり、大きな夢が泳ぐフィールドとしても注目されている。
アクセスは東京・竹芝桟橋、あるいは静岡県下田からフェリーが運航し、大型船であれば運航率が高いため宿の予約など日程が組みやすい。飛行機もあるが、船内でのタックル準備やチェックも、遠征独特の楽しい時間である。
主なターゲットはカンパチ。1kg前後の個体が多く、ショゴサイズも含めれば数釣りが楽しめる。厳寒期でもいいサイズが釣れるので、雪国県民の私にとって非常に魅力的だ。青物御三家の中でも、同サイズであれば最も引きが強く、根に対する執着心が強いため、気の抜けないファイトが楽しめる好敵手だ。
ライトタックル遠征の魅力
ここへの遠征はライトタックルが中心となり、大型一発ねらいよりは、自然環境の美しさと暖かい島民とのふれあい、ライトタックルでの駆け引きを遠征の楽しみとしている。
昨年秋からは、ある1本のロッドを軸に釣行を重ねてきた。ヤマガブランクスの2026年新製品「ブルースナイパー96L」だ。ショアから大型青物をねらうカテゴリーとして2024年にフルモデルチェンジが行なわれ、要望の多かったライトクラスがリリースとなった。ただの軟らかいライトなモデルではなく、あらゆるシチュエーションに対応できる幅広いルアーの操作性を持たせながら、厳しい状況での戦略転換に対応できる新機軸の1本だ。
サブタックルとしての「ブルースナイパー96L」
ここからは実釣を交えたふたつのテーマについて書いてみよう。
私はヒラマサねらいの沖磯渡船では、基本的に3タックルを用意する。プラグ用、ジグ用、そしてサブタックルだ。96Lはこの中だと、サブタックルの枠に入る。だが、このサブタックルとしての96Lは他魚種をねらうためのものではなく、本命であるヒラマサを獲るための「戦略転換用」の1本と位置付けている。
メインタックルがPE4~6号+リーダー80~130Lbに対し、サブとなる96LはPE2号+リーダー40~50Lb。このセッティングが、磯というフィールドでヒラマサと対峙するうえでの最低限のバランスだと考える。
小型プラグやジグとの相性がいい
ある日の釣行を例にすると、ベタ凪、澄み潮、快晴に加え、潮も止まりかけという難しい条件。時間帯も朝マヅメを外したタイミングだった。この状況で選択したのは95mmのシンキングペンシル。ボトムまで沈め、スローに誘い上げていくアプローチに対して、1本のヒラマサと座布団級のヒラメが反応した。
この状況でトップの釣りにこだわり続けていたら、どのような釣果になっただろうか? その答えは磯というフィールドでしか返ってこないのだが、結果が出たことに素直に喜びを表現した。またガイドしてくれた仲間への感謝も強く感じた釣行だった。
また96Lは、小型プラグやジグとの相性にも優れている。30~50gのジグや、130mm前後の小型ダイビングペンシルを組み合わせることで、不意のナブラやマイクロベイトパターンにも柔軟に対応可能だ。限られた釣行時間と日々変わる条件に対応するためには、アングラーがタックルを合わせていくしかない。ライトラインでありながら、条件しだいでは大型魚とも渡り合えるポテンシャルを持つ1本。96Lは、そうした局面で確かな役割を果たすサブタックルである。
ライトショアジギングのメインタックルとしても優秀
伊豆諸島遠征での、ライトショアジギングにて使用するメインタックルとしての96Lを解説してみよう。磯、サーフ、堤防と異なるシチュエーションでカンパチをねらえる点が、このエリアの大きな魅力だ。
各島共通しているのが、荒天時に風裏のポイントへ入ったり、混雑具合で場所を変えたりと、比較的自由にポイント選択ができること。しかし釣果を出すためには、基本の釣りを続けることが最も重要になる。
基本アクションを快適に行えるバランスと、不意の大物に対応するパワー
具体的には、ジグを遠投してボトムを取り、誘いを入れた後は再びボトムを取り直す。この一連の動作を丁寧に繰り返すことに尽きる。これをストレスなく続けるためにはタックルバランスが重要で、PE1.5~2号にリーダー40Lbというセッティングを軸にしている。
使用するジグは40gが中心で、96Lが最も快適にアクションできるバランスである。冒頭でも触れたが1kg前後のカンパチが主体となるため、小型でもしっかりとロッドを曲げてやり取りできる一方で、時折想像外のサイズがヒットしても安心できるタックルが望ましい。
特にヒレナガカンパチが混じるエリアでは、同サイズであっても本カンパチよりも荒々しいファイトで抵抗するため、キャッチ難易度は一段と上がる。ライン強度の限界を感じながら、しっかりロッドを曲げること。文面では簡単に表現できても、実際には幾度も悔しい結果を経験してきた。だからこそ、このエリアには毎年足を運び続けているのだ。
シビアな状況でのライトショアジギングの可能性
最後に、自身の青物遍歴に触れて本稿の締めくくりとしたい。
初めて伊豆諸島・三宅島へ遠征した際、これまで経験したことがないフィールドに圧倒され、何もできないまま3日間を終えて帰路についた。水深や潮流の速さに対応できず、ノーバイト以上に精神的なダメージが大きかったのを覚えている。
そんな中、隣のアングラーが3kgクラスのヒレナガカンパチをポッパーで釣りあげた。黒々として神々しい魚体に一気に引き込まれ、「どうすれば釣れるのか」を必死になって考えた結果がメタルジグの釣りだった。
これまでショアジギングと呼べるヘビーウエイトのジグを使用したことがなく、少し足を踏み入れたが疲労感だけが先行し、その後はなかった。しかし、目的の魚にたどり着く近道と考え、シャクリ方やカラー選択を見直し、潮流に合わせたウエイトのジグを使うことで、2.5kgのヒレナガカンパチを手にした瞬間は今でも忘れない。
ジグの釣りが広げた青物ゲームの引き出しと未来への展望
ジグの釣りを覚えたことで青物ゲームの引き出しは大きく広がった。現在では1日をジグで通すことも少なくない。この延長線上にシンキングペンシルの釣りがあり、ミノーを使うことも増え、自分自身の引き出しが増えながら釣果も出る現実世界にますます引き込まれてゆく。
タックルの進化とアングラーの培った経験値があれば、どこまでこの釣りは前へ進めるのだろうか。青物の中にマグロ・カツオ類を含めれば、キャッチ可能なサイズと種類は無限の可能性を秘めている。常に最先端を意識しながら、私も時代に取り残されない様にフィールドへ通いたいと思っている。
※このページは『つり人 2026年6月号』に掲載した記事を再編集したものです。



