<img height="1" width="1" style="display:none" src="https://www.facebook.com/tr?id=170559842213036&amp;ev=PageView&amp;noscript=1">
つり人編集部2026年7月12日

1ヵ月半で370尾の名手に聞く【ヒラスズキの釣り方】ランカーのコツやルアー選び

「徹底的にヒラスズキを探求したい」。圧倒的に魚影の濃い島で荒磯の夢を叶えるべく、長崎県・上五島の中通島に移住を決めたロックショアフリーク・清宮康介さん。そんな彼に、ヒラスズキの釣り方やランカーを獲るためのコツを聞いた。

著者:つり人編集部

写真と文◎月刊つり人編集部

1946年創刊の雑誌「月刊つり人」を始め、数々の釣りに関するコンテンツを作成してきたつり人社の編集部。

ヒラスズキ釣りの最盛期は春から初夏

春から初夏の時期はヒラスズキの好機である。産後の魚がベイトを求めて磯に群れなし荒食いを始めるからだ。カタクチイワシやキビナゴも磯際に接岸しやすく、群れが入れば10尾以上が釣れ盛ることもある。こんなタイミングを「春爆」と言う。

五島列島・中通島に住む清宮康介さんと落ち合ったのは3月末。南東風が吹き荒れ、博多港から出船するフェリー太古の運休が危ぶまれた日の翌朝である。

「昨年は3月から4月中旬までの1ヵ月半で370尾のヒラスズキを釣りました。もともと魚影の濃い島ですが、春爆のタイミングは本当によく釣れる。朝の2時間で30、40と釣れることもあります。昨夜は南寄りの風だったので水温は上がりそうです。今日は島中のアングラーが春爆の期待をしています」

青方港から釣り場に向かう道中で、清宮さんは興奮気味にそう語った。

opt-content-17-Jun-17-2026-06-33-22-2976-AM
釣り専用レンタカーや釣り宿、釣りガイドと中通島の釣りをサポートしてくれるGOTO FISHING。清宮康介さん(左)とGOTO FISHING代表の松林直希さん(右)。清宮さんと松林さんは釣友の仲である

五島・中通島に移住を決めた理由

「磯が好きでヒラスズキやヒラマサが大好きです。人生をロックショアに捧げたいと五島への移住を決めました。移住者には支援金も出るし、島の親切な人たちも後押しをしてくれました」

新上五島町に属する中通島は五島列島で2番目に大きい島だ。人口は約1万7000人。本土からのアクセスはフェリーもしくは渡船のみだが、島の中心部となる有川地区にはコンビニやスーパーマーケットもあり生活しやすい。4月から清宮さんはこの地区でバーを開店するという。朝から昼は釣り、夜はバーテンという暮らしを始める。

ハイシーズンの釣りは週5ペースで地磯を探る。離島のよさは周囲のどこかで風が当たる面があり、サラシの広がる好場所がどこかにあること。毎日ヒラスズキと出会える可能性も高いのだ。

opt-content-19-2-1
清宮さんが4月からオープンの「フィッシングバーリオン」。内装の半分以上を自分で手掛けたというオシャレな造りで、アピアロッド(青物、ヒラスズキ、オフショアキャスティング用)も展示されている。釣り客にぜひ訪れてほしいという

地磯をめぐるヒラスズキ釣りの面白さ

この日の第一釣り場は島の東面にある蝙蝠鼻というメジャーポイント。春爆を期待していた清宮さんだが、磯に立つと「水潮っぽい」と表情を曇らせた。前夜は風も強かったが雨もひどく降ったのだ。ヒラスズキは濁りを嫌う。海が荒れ、サラシが広がらないと活性は上がらないが、底荒れの濁りや水潮になると途端に渋くなる。その不安は的中し、蝙蝠鼻ではノーバイト。早々に見切って雨の影響が少ないだろうポイントに車を走らせた。

「ヒラスズキはランガンしてこそ面白い。最初から最後まで、自力で釣りを完結させる地磯が好きです」

と清宮さん。ただし安全装備は重要だ。清宮さんはMAZUMEのスパイクシューズを履き、ウエットタイツ、ライジャケを着るのはもちろん、ヘルメットを必ず被る。高場でなくてもゴロタや低い磯でも足が滑ると頭を打ち付ける可能性があるからだ。

「地磯のルートには先人が結び付けたロープをよく見かけますが、いつ張られたか分からず劣化しているものばかり。全体重を乗せるのは絶対にやめてください。あと背後の岩がどう張り出しているか分からないので、右でも左でもキャストできるようになったほうがいいです」

地磯はたどり着くまでのルート探しも楽しみのひとつ。ルートファインディングで清宮さんが目安とするのは沢や川だ。川筋をたどることができれば海に着ける
地磯はたどり着くまでのルート探しも楽しみのひとつ。ルートファインディングで清宮さんが目安とするのは沢や川だ。川筋をたどることができれば海に着ける

春爆期待の釣行スタート

訪れたのは島の南西部にある矢堅目公園。潮が高いので膝くらいまで海に浸かりハナレに渡る。ウエットタイツを通して感じる水温は冷たかった。「水温が下がっていますね。春爆はないかもしれません(笑)」と嘆くもサラシはいい感じだ。水潮の濁りもない。最初の立ち位置は反応なし。

2ヵ所目でワンドの先のサラシを撃つとヒット!エラ洗いを見せたのは50cmクラス。しかし、この魚をバラしてしまい清宮さんは天を仰いだ。気を取り直して地方の磯とハナレの磯の間にある幅4mほどのスリットにルアーを通した。最初はただ巻き、続いてジャークを織り交ぜ、さらには高速巻きというぐあいに反応を見ると、体高のある魚体が急浮上してルアーを追った。

「出た!」と思わず清宮さんも声を上げるが、ヒットに至らず。今度はルアーをアピア「マスターピース120FL」にチェンジ。リールを3回転ほど高速巻きしてはストップさせる誘いを3回ほど繰り返し、先ほどのバイトポイントでルアーをビタ止め。フローティングミノーなのでルアーがふわふわと浮き上がる。すると、根から魚が飛び出して猛然とルアーに襲いかかった。

愛竿「ブラックフィン103MH」が弧を描く。突っ込みやエラ洗いを落ち着いていなしてやり取りする。足もとまで寄せると激しく上下する波が這い上がったところで一気に磯に乗せた。すかさずつかみ取った魚は体高がある。黒い尾ビレが団扇のように大きい。ファーストキャッチは68cmだった。

1781682694902_08
ルアーを「マスターピース120FL」に変えて誘いを止めた。ゆらゆらと浮き上がっていく最中に食らいついた。巧な技術が組み合わさった技ありの一尾だ

ヒラスズキのルアー選びとアクション

清宮さんは自身でルアーの制限を課している。

「使うのはミノーかトップかシンペンのみ。ワーム、ブレード系、メタルジグ、バイブレーションは持ち歩きません。理由はシンプル。楽しいからです。表層や水面まで魚を引き出したほうがバイトの興奮度も高いです。食わせの能力でいえばワームの力は凄いですが、頼り過ぎると技術が深まらない。面白みがないんです」

求められるプラグの性能とは?

「大切なのは泳ぎ出しが早いことです。それと水平姿勢で漂ってくれること。アクションはどちらかといえばロール主体のほうがよくて、ブリブリと尻を振り過ぎないルアーを使います。ヒラスズキの捕食はベイトを追い回すのではなく、大半が根の陰に潜んでエサを待ち構えています。根の上にサラシが広がり、そこに漂ってくるベイトを食べる。だからどんなルアーを使っても浮遊感を演出するのが大事です。ミノーはよほどガチャガチャに荒れていない限りは、フローティングかサスペンドしか使いません」

磯の難しさはサラシや流れが刻々と変わること。サラシが伸びるベストなタイミングにルアーを投げ入れるのも大切だし、見切りの判断も重要になる。では同じ立ち位置でどれだけのルアーを試せるのか?

「ミノーひとつとっても一種類では食わせきれない。リップのありなしで水の受け方も泳ぎも変わり、魚の反応の出方が変わります。僕の場合は最低4種類を試します。もっと多くのルアーを試したいですが、持ち運ぶには限界があるし、投げすぎれば魚はスレます」

「ラムタラバデル130SPL」は清宮さんの監修カラーが間もなく登場。コンセプトは濃厚なサラシの中でシルエットを際立たせるため、腹部を黒くしているのが特徴だ
「ラムタラバデル130SPL」は清宮さんの監修カラーが間もなく登場。コンセプトは濃厚なサラシの中でシルエットを際立たせるため、腹部を黒くしているのが特徴だ

低活性時はリアクションバイトで食わせる

カタクチイワシやキビナゴなどのベイトが溜まっているスポットであれば、サラシに漂わせるようにリトリーブするだけで簡単に食ってくる魚もいる。しかし、低活性な魚は「リアクションバイトを誘発しないと釣れにくい」と清宮さんは言う。リアクションバイトを誘うには主にミノーを使い、時にトップウオータールアーも効果がある。その操作方法は主にふたつ。

・チョンチョンとジャークして止める
・リールを高速巻きしてビタ止め

まずはサラシの先などルアーを魚に見せられるだけのストロークを取ってキャストする。ジャークや高速巻きのストップ&ゴーをしつつ、魚がエサを待ち構えているであろう沈み根の際や流れのヨレでルアーをピタリと止める。

何より大事なのは精度の高いキャストです。ヒラスズキはサラシの中を大雑把に通せば食うと思う方もいるでしょうが、高活性時以外は「ピン」でしか食わない魚です。根の際や根の間に正確にキャストが決まらないとヒットしないことが大半で、コースを定めるにもルアーの着水点が重要です」

魚は流れに正対してエサを待ち構えている。その向きにルアーを漂わせたい。清宮さんはひとつのスポットに対し、できることなら3つのコースを通したいと言う。たとえば右、左、正面というぐあいである。「2、3歩横にずれただけでルアーのコースは変わります。それだけで反応が明らかに違うことがよくあります」と話す。

サラシの払い出しに対して横からキャストして食わなくても、正面に立ってルアーを引き、ピックアップに入るルアーが浮上した瞬間にパン!と水面を割って出ることも多い。特に足もとにしかサラシが出ない釣り場ではよくある。

opt-content-13-Jun-17-2026-06-33-11-4553-AM
中通島の西面は崖や高場の多い地磯となる。清宮さんは写真のようなハナレがあると、その裏側(沖側面)にルアーが着水するようテンプラ気味に遠投することも多い。この時は右からの強風が吹いており、この風を利用してウインドドリフトを行なった

タックルへのこだわり

精度の高い釣りをするには当然タックルも重要だ。清宮さんの愛用ロッドは「ブラックフィンEX III」のS109H、S103MH、S110MHである。

「僕好みのシチュエーションは向かい風10m以上、波高1.5~2.5mです。ブラックフィンEX IIIは12~13mの向かい風でもブレずに振り抜け、ルアーを押し出せる張りがあります。それでいてティップは軟らかく、ルアーが飛び出しにくいのと、ヒラスズキ特有の硬いバイトを弾かずに乗せられます。高場での抜き上げを強いられる釣り場はH、そうでなければMHがいいです。3ピースで持ち運びやすいのも魅力ですね」ヒラスズキは「カンッ」という金属的な高音のバイトが出る。吸い込むと同時に反転しているかのような速さで捕食をしている。この速いバイトによって口の外側にフックが掛かることも多く、ティップがある程度しなやかでないとバイトを弾いてしまう。

リールはシマノ「ステラSW4000XG」もしくは「ツインパワー5000XG」。ラインスラックを素早く回収しなければならないこの釣りではギヤ比は高いほうがいい。愛用ラインはXBRAID「アップグレードX8」の1.5号(30ポンド)か2号(40ポンド)である。抜き上げざるを得ない高場の磯では2号を使用する。

「適度に張りがあるので使いやすい。柔らかすぎるPEは風をはらみすぎてルアーが動いてねらいのコースを通しにくいです。それとルアーの位置やコースを把握するのにラインの視認性はとても大切。グリーンのカラーはとても見やすい」

リーダーは「D-SPECアブソーバー」の10号(35ポンド)か12号(40ポンド)。

「リーダーは柔軟に流れを受けてくれるナイロンのほうがルアーをナチュラルに漂わせやすいと思っています。D-SPECアブソーバーは12号という太さを感じさせないくらいしなやかです」

ヒラスズキ釣りはラインのどこが擦れているか分からない。5釣行に1回はラインを引き出して傷を確かめるが、「アップグレードX8」は耐摩耗性が高く交換頻度は少なくて済むという
ヒラスズキ釣りはラインのどこが擦れているか分からない。5釣行に1回はラインを引き出して傷を確かめるが、「アップグレードX8」は耐摩耗性が高く交換頻度は少なくて済むという

ランカーヒラスズキが出る場所と潮回りの考え方

記者が訪れた2日半の潮回りは大潮で、朝マヅメの潮位が高かった。

「ヒラスズキを釣るのに満潮は一番難しい時間帯です。活性が高まるのは干潮前後、特に上げっパナです。潮が下げて磯が露出するほどサラシは広がりやすく、沖の浅瀬までそのサラシが伸びてくれます。潮回りでいえば大潮は潮が動くのが一瞬で時合が短い。潮がダラダラと動き続ける小潮とか長潮のほうが釣りやすいと思います。ただ、ヒラスズキは潮回りよりもサラシの出る風向きと波高が重要です。全方位で釣りができるのが離島のよさですから、サラシの出やすい風当たりのよい位置や前日までの風向きをチェックして釣り場を選びます」

立ち位置を決めるには、岩が濡れていない場所を選ぶのが基本だ。同時に取り込み場所もシミュレーションしておく。また安全対策として、釣りをしている時も常に沖の波やウネリを観察すること。

「上げ潮時の入釣は慣れるまで避けるべきです。突然大きな波が立って、磯が乾いている場所まで這い上がってくることがあります。周期8秒のウネリ・波高2mのような比較的穏やかな状況でも、30分に一度ドカンと波が上がります」

特に注意が必要なのは雨の日だ。磯が全体に濡れるため乾いた位置が分からなくなるのと、低気圧の通過に伴い急激に荒れる。またウネリのセットは通常3回、台風や低気圧で発生したウネリは5回のセットになることが多く、このうち一番波が高くなるのは3回なら3回目、5回なら5回目と最後のウネリだ。このリズムも考慮してルアーを投げるタイミングや、立ち位置の移動を考えるとよい。

opt-content-09-Jun-17-2026-06-32-59-3140-AM
初日の午後の上げっパナ。シモリの際で掛けたのは70cm

2日半の釣行で70cmを含む7尾をキャッチ

今回の釣行は2日半行ない、ランガンした地磯は9ヵ所。そのうち清宮さんが手にしたヒラスズキは最大70cmでトータル7尾。そのほとんどが沈み根やヨレをタイトに攻めて、リアクションバイトを誘発してヒットさせた

「今はとにかくさまざまな磯に立ち、風向きや波の状況で魚がどう反応するのかデータを蓄積している段階です。なぜ釣れたのかを解明していく過程がたまらなく面白いし、夢の1尾に出会うにはデータを集めるのが肝心です。今のところ自分の中でランカー以上の魚が付きやすいと思っているのは、大きなサラシではなく、少し奥まった位置にあるショボサラシです。意外なところでデカイのは食ってきます」

清宮さんが地磯で目標としているサイズは90cm。島暮らしのロックショアドリームはまだ始まったばかりだ。

春の中通島では1発大物のヒラマサもねらえる。秋は10kgクラスがショアラインに寄りやすく、1日に5、6尾釣れることもある。清宮さんの夢は地磯で手にする20kgオーバーだ
春の中通島では1発大物のヒラマサもねらえる。秋は10kgクラスがショアラインに寄りやすく、1日に5、6尾釣れることもある。清宮さんの夢は地磯で手にする20kgオーバーだ

※このページは『つり人 2026年6月号』に掲載した記事を再編集したものです。

魚種別釣りガイド ヒラスズキ ショアジギング ロックショア

月刊つり人 最新号

つり人 2020年5月号

列島をゆるがすコロナウイルス。けれども、日増しに暖かくなる春の日を、じっと家にこもって過ごすのはやっぱり体によくない。その点、手軽な海の釣りは、風も気持ちよく、大人も子どもも、思い切り深呼吸しながら時間を過ごせる。ウミタナゴ、メジナ、クロダイ、カレイ、アオリイカ、カサゴ……。元気な魚たちが泳ぐフィールドで、がんばろう、ニッポン! そのほか、3名手の渓流解禁レポート、里川で見つかる美味しい道草、みちのくタナゴ旅など旬の釣り満載でお届け。

記事検索

月刊つり人 最新号

つり人 2020年5月号

列島をゆるがすコロナウイルス。けれども、日増しに暖かくなる春の日を、じっと家にこもって過ごすのはやっぱり体によくない。その点、手軽な海の釣りは、風も気持ちよく、大人も子どもも、思い切り深呼吸しながら時間を過ごせる。ウミタナゴ、メジナ、クロダイ、カレイ、アオリイカ、カサゴ……。元気な魚たちが泳ぐフィールドで、がんばろう、ニッポン! そのほか、3名手の渓流解禁レポート、里川で見つかる美味しい道草、みちのくタナゴ旅など旬の釣り満載でお届け。

×
拡大画像