キャップにデニム、首から道具箱、手にしているのは江戸和竿。霞ヶ浦のホソをテンポよく釣り歩く野崎駿さんは在来タナゴを求めて遠征する一方良型オカメにもときめくタナゴフリーク・野崎駿さんのミニマル装備のタナゴ探索。

写真と文◎つり人編集部
1946年創刊の雑誌「月刊つり人」を始め、数々の釣りに関するコンテンツを作成してきたつり人社の編集部。
デニムに和ザオで霞ヶ浦のホソを釣り歩く
関東地方の田園地帯ではゴールデンウイークに代掻きや田植えが行なわれることが多い。その影響もひと段落するかという5月9日、東京都在住の野崎駿さんが霞ヶ浦周辺を訪れた。
野崎さんにとって霞ヶ浦は思い入れのあるフィールドだ。
「20年くらい前、電車とバスを乗り継いでよくタナゴ釣りに来ていたんです。そのころはまだ本湖の湖岸からアカヒレタビラが釣れたんです。霞ヶ浦本湖の在来タナゴの釣りを楽しめた最後の世代になってしまいました」と当時を懐かしむ。
それでもタナゴ熱は冷めず、オカメ(タイリクバラタナゴ)やオオタナゴをねらいに足繁く通う。それと同時に在来タナゴとの出会いを求めて遠征釣行も行なう。
「いちばん好きなタナゴはシロヒレタビラです。ターコイズブルーのボディーが美しい。ゴールデンウイークには新しいポイントを開拓に西日本を釣り歩いていました。遠征では毎回1ヵ所は新しいポイントを見つけるのを目標にしています。いまの霞ヶ浦周辺ではバラ(オカメ)がメインになりますが、こちらも色づいた良い型を釣りたい派です」
そんな野崎さんと落ち合うと、キャップにデニムという服装。首から道具箱を下げ、和ザオを手にしていなければ、オカッパリのバス釣りマンと見間違えていただろう。釣りを始めてもらうとそれも納得で、オカメねらいと言えども良型を求めてどんどん釣り歩くスタイルを見せてくれた。
装備はシンプルにまとめてラン&ガン
ラン&ガンを主体にするから装備はシンプル。その野崎さんのスタイルは、これからタナゴ釣りを始めたい人が道具をそろえるのにも参考になるはずだ。
首から下げている道具箱に入っているのは、替えバリケース(フェルトのワレットタイプ)、プライヤー、オモリケース、エサ、グルテンエサ入れのミニタッパー。仕掛けやエサの準備は車のそばで済ませてしまうことが多い。これに釣ったタナゴをストックするエアレーション付きの桶(活かしバケツでも)を持ち歩くのみ。
「遊んでくれたタナゴはなるべく元気にその場でリリースしたいですから」と野崎さん。
まるふじの完成仕掛け「たなご・クチボソ」の実力
この日の仕掛けはまるふじの完成仕掛け「たなご・クチボソ」がメインになった。まるふじのタナゴ仕掛けシリーズのなかで最も小さい親ウキがつき、専門店などの手作り仕掛けに迫る繊細さが評価されている。量販店でも購入でき、タナゴ釣り入門にもピッタリの仕掛けである。
真冬に極小サイズをいかに掛けていくかというシビアな勝負の世界なら職人の手による研ぎバリが欲しくなるが「オカメも良型を」という野崎さんのスタイルにならうなら純正のハリが充分に仕事をしてくれる。
ウキの浮力調整はシモリバランスとトップバランスで使い分ける
オモリも調整済みで、ウキがじわじわ沈み込んでいく「シモリバランス」になっている。沈むスピードをゆっくりに調整したいときや、ウキのトップが水面に出て波紋でアタリを知らせてくれる「トップバランス」にしたいときは、ガン玉を外して板オモリで調整すればよい。
この日はオカメが上ずっていて沈むスピードを遅くしてじっくり誘いたい場面があり、ガン玉を外して多めに巻きつけた板オモリを少しずつカットしては沈むスピードを確かめて調整していた。
「この仕掛けのウキは水を吸わないので、一度調整してしまえばそのまま釣り続けられるのがいいですね」
競技の世界で使われるタナゴウキは斜めにイトを通す穴があり、それによって鋭敏な反応を得られるのだが、繊細なだけあってその穴に水が満たされるなどすると浮力が変わってくるので、こまめなオモリの調整が必要となるのだ。その必要がない手軽さはビギナーにとってメリットになるだろう。
オオタナゴやヤリタナゴには「特選たなごスレ鈎」仕掛けを使う
オオタナゴやヤリタナゴが期待できるポイントをねらった際には「特選たなごスレ鈎」仕掛けを使った。これらのポイントでは比較的流れが速い場所をねらうため、「たなご・クチボソ」より大きめのウキが付いたこの仕掛けがベストマッチだという。
エサはねらうタナゴの種類で使い分け
オカメねらいのエサはマルキユー「タナゴグルテン」。都度、少量を紙コップで作っていた。「時間が経って水分が飛ぶと反応が悪くなりますから。あとから水を足してもダメなんです」。ダンゴ状にしたらハリで引っかくようにしてつける。
ヤリタナゴなどの在来種ねらいでは黄身練り(マルキユーの粉末タイプ)を使用。ほかにアカムシも用意して、各ポイントでローテーションする。

江戸和竿「東作」へのこだわり
そして、愛用のサオについて聞けば、江戸和竿の始祖である泰地屋東作の直系である「東作」のオーダーメイド品を愛用しているという。
「いなり町の東作本店には中学生のころから仕掛けなどを買いによく行っていたんです。でも和ザオに手を出したのはここ5年くらいです。東作の松本亮平さんと修平さん(七代目東作・松本耕平さんの息子)とは同世代なこともあって、オーダーするようになりました。見た目が美しく釣り味もいい、なにより所有欲を満たしてくれる魅力があります」といい、釣り仲間から譲り受けたサオも合わせて10本超を所有している。
ビギナーがいきなり和ザオを使う必要はないが、タナゴ釣りにはこんな世界も広がっているのだ。
霞ヶ浦のホソで有望な水色「ササ濁り」を追え
霞ヶ浦周辺エリアの経験が豊富な野崎さんは、ホソの水質を見ながらポイントを回っていく。
「ここは水の色がいい感じ」というスポットを見つけると仕掛けを振り込んでみる。その色とは……。
「透き通っていたり、茶色い濁りが入ってしまったりしている場所は今の時期はNGです。そうではなく白っぽいササ濁りのところをねらって釣っています」と野崎さん。
ファーストヒットは小ブナ
するとファーストポイントでさっそく反応アリ。
しかし、アタリを掛けにいくとこれは小ブナだった。オカメも掛かってくるものの、小ブナ3、オカメ1といったペースである。
「小ブナも大好きなんです。見た目がかわいいし、引きにトルク感があります。だから秋になると小ブナメインで釣行するのですが、いまは君じゃない」と言いつつ、楽しそうに釣っている。
オカメが上ずっているようだ、と察すると前述のように仕掛けの浮力を調整。するとオカメのペースアップに成功した。エアレーション付きの桶がにぎやかになってきたところで次のポイントへ移動する。
ホソを重点的にねらい、納得のオカメタナゴに出会う
しかし、なかなか次の反応を得られない。オオタナゴはどうか、と園部川河口などに寄り道したり、流速のあるヤリタナゴのポイントで黄身練りを使ってみたりするもののこちらも不発。4月に来たときは反応も良好だったというが、代掻きなどのイベントで付き場が変わってしまったか。
気を取り直してホソを重点的にねらっていく。霞ヶ浦湖岸沿いの土手を車で走りながら土手と田んぼの間にあるホソをチェック。土手から他のタナゴ釣りファンも見えるが、釣り人が多い場所と全くいない場所がはっきりしている。やはり条件のいい場所は限られているようだ。
お昼を挟み、何度目かに入ったホソでようやく納得のいくサイズのオカメが「たなご・クチボソ」仕掛けのウキを動かしてくれた。
時代や対象魚が移り変わっても、美しいタナゴを求めてラン&ガンする野崎さんの足は止まらないのだ。
※このページは『つり人 2026年7月号』に掲載した記事を再編集したものです。

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