所変われば品変わる。駿河湾のバチコンはアジだけがターゲットではない。アマダイやイサキ、ソコイトヨリなど多彩な魚種が楽しめるのが魅力だ。今回紹介するのは、自由すぎる仕立船で楽しんだ日中&夜のバチコンリレー船。

文◎新保明弘
写真◎編集部
駿河湾内で10年ほど前からバチコンゲームを楽しみ、アジだけでなくアマダイやソコイトヨリ、イサキといった五目バチコンを実践。昨年からは焼津沖でシロアマダイにバチコンで挑戦し釣果を上げている。
目次
静岡のバチコンは五目釣り!アジだけがターゲットじゃない
駿河湾における私がイメージするバチコンゲームはひと言でいうとターゲットフリー。その時ねらえるものを臨機応変に楽しむというスタイル。
バチコンのターゲットと言えば全国的にアジだが、駿河湾内のみならず伊豆半島をはじめ静岡県の東部沿岸ではアジのバチコンは盛んではない。では、静岡県東部ではバチコンでアジが釣れないかというとそうとも言い切れない。
私は駿河湾内で10年ほど前からバチコンゲームを楽しんでいるが、そのターゲットはアジだけではなく、アマダイやソコイトヨリ、イサキといった五目バチコンである。メインターゲットはアジと思っていてもゲストでヒットしてくる魚はさまざまだからだ。昨年からは焼津沖でシロアマダイにバチコンで挑戦し釣果を上げている。これも今後が楽しみなゲームである。
とはいえ、まずはアジに着目して話を進めていくとしよう。
駿河湾のアジねらいは深場と浅場の2パターン
駿河湾のアジねらいは大きく分けて二つに分かれる。水深50m、深いと100mを超える深場を探り、40cmは下らないメガアジ、さらには50cmを超すテラアジまでをねらう釣り。もうひとつは水深30m以浅で30cm前後のアジをねらう釣りである。急深な駿河湾では浅場も深場も港から30分圏内で行けるが釣果を望むのであればどちらも夜焚きの釣りが有利である。
アジは夜行性であるが故にやはり集魚灯を使用した夜釣りのほうがレンジも浅くなり、明かりに寄ったベイトフィッシュを意識したアジはジグヘッドリグへの反応もよい。対してアマダイなどのバチコン五目なら日中に砂地を流す釣りになる。
静岡県東部では夜焚きイカなどに便乗するスタイル
ちなみに静岡県東部でバチコンゲームの遊漁船はほとんどなく、バチコンをしたいならイカねらいなどの乗合船に同船させてもらって船長の許可を得て楽しませてもらうスタイルとなる。バチコンゲームが盛んな東京湾にはない夜焚きスタイルで楽しめるのも駿河湾の大きな魅力である。
日中のバチコン五目も同様で、アマダイ船に同船させてもらい、船長と相談して、他の釣り人の迷惑にならない範囲で楽しませてもらうというスタイルだが、バチコンもテンビン式であればエサ釣りと仕掛けは大きく変わらないのでトラブルは少ないはずだ。砂地の底を小突く誘いはアマダイのみならず多くの魚の食性を刺激するため何がヒットするかわからない楽しさがある。
バチコンゲームのおすすめタックル
駿河湾のバチコンゲームにおすすめロッドはシマノから昨年発売されたソアレSS BOATシリーズ。スピニングはS68MH-S、S68M-Sの2機種、ベイトはB66M-Sがあり、ネーミングにアジングと付けなかったのはターゲットフリーでバチコンを楽しんでもらいたい思いも込められている。
組み合わせるリールはスピニングならばC2500~C3000番クラス、ラインはPE0.6号を200m以上。カラー分けされているハードブル8+が特におすすめである。ベイトならばNEWスティーレやアルデバランに同様のPEライン。
仕立船で楽しむ砂地五目&夜焚きのバチコンリレー
今回利用させていただいた遊漁船は、沼津内港の「遊真丸」さん。船長の望月真二さんは現役の漁師さんで、遊漁は仕立専門。仕立なのに少人数制で2人から出船してくれて料金も1人1万1000円からとリーズナブル。
先ほど、乗合船に同船させてもらうスタイルが普通と書いたが、こうした便乗スタイルはやや肩身が狭いのに対して、仕立ならば気兼ねすることなくバチコンが楽しめる。しかも自由度が高い仕立船ということもあって今回は夜焚きの前の明るい時間から出船してもらい、日中は砂地でバチコン五目をして、暗くなったら夜焚きという、駿河湾ならではの贅沢なバチコンリレーを行なった。
マルイカ釣りのゲストにアジが混ざる状況
ちなみに取材当時、沼津周辺ではマルイカ(ケンサキイカ)が非常によく釣れていた。望月船長によればマルイカスッテにアジがヒットすることが多く、バチコンに切り替えてアジを専門にねらう人もいるのだとか。
つまり、マルイカ釣りをしていればアジの回遊も察知できるというわけで、今回助っ人として同船をお願いしたのが、沼津を伊豆に向かって走る国道414号線沿いにある年中無休24時間営業の「釣り具のタイシ」に勤めるじゅなぽよこと高橋珠楠さん(私はぽよよ姉さんと呼んでいる)。超元気印の彼女はマルイカ釣りが大好きでバチコンにも興味津々。駿河湾のマルイカは今ゼロテンの釣りが大流行中で、じゅなぽよさんのゼロテンの誘いに寄ってきたアジを私がバチコンでいただこうという作戦だ。
日中のバチコン五目で内浦方面のアマダイをねらう
タイシから車で10分ほどの沼津内港から出船したのは午後3時。東寄りの風が強いなか、向かったのは内浦方面。底延縄漁でシロアマダイが釣れているという水深50mラインからスタート。
ぽよよ姉さんはオモリ60号にタイシオリジナルのアマダイ2本バリ仕掛けをセットしたテンビン仕掛け。私はバチコンゲーム用のモモンガ天秤(シリコンチューブを使用した小型テンビン)にオモリ15号、ハリスはフロロカーボン4号を1メートルほど取り、その先に0.4gのジグヘッドを結び、エコギアメバル職人ストローテールグラブをセット。オモリの重さが大きく違うが、バチコンタックルは操作性、バランスともに優れているため底取りは決して難しくない。
駿河湾特有の藻に苦戦し日中は不発
一投目からぽよよ姉さんにアタリがあって幸先がよいかと思いきや、その後は当たらず、仕掛けを上げるたびに、ヌク(細かい産毛状の藻)が絡みついてくる。
春先の駿河湾では表層の水と底の潮が入れ替わるタイミングの底潮があまりよくない時に見られる状況。自然相手のため仕方がないとは言え、ラインに絡みまくり釣りづらいうえにアタリも取りにくい。そこで砂地のアマダイねらいをあきらめ、アジらしき反応があるカケアガリを探ってみたが、テンビン仕掛けでねらう地形ではなかったこともあり根掛かりも多く日中の五目部門は不発に終わった。
マルイカが入れ掛かり!本命を特定しない面白さ
沼津の夜釣りは基本アンカーを打ってのカカリ釣りスタイル。無線からはマルイカも反応が悪いとのこと。ダメなときは何をしてもダメなのかと思っていると、ゼロテン釣法修行中のぽよよ姉さんが一投目から入れ掛かり! ムギイカも交じりハイペースで釣りあげていく。魚探を見ると底ベタ付近にアジらしい反応。試しに置きザオでサビキ仕掛けを底付近に入れると20cmほどのアジがヒット。よし、アジも回ってきたと気合を入れ、バチコンで底付近を丁寧に探るが触らない。サビキ仕掛けもその後は沈黙。
とはいえマルイカねらいのぽよよ姉さんは「これ束釣りペースかも!」と絶好調。本来の夜焚きはこちらが本命とはいえ、ここまで乗りがいいのも珍しいと漁師モードに突入したぽよよ姉さんだったが、本日はバチコン取材であることを思い出し、イカ釣りは2時間ほどで終了。ここからは2人でバチコンに専念することに。
バチコンでムツやアジをねらう
望月船長によれば前回のマルイカ釣行で、スッテではなくバチコンでアジが多く釣れたという我入道海岸沖の30mラインへ移動。
ぽよよ姉さんにらしきアタリが一回あるもワームの傷つき方からしてアジではない様子。船長と相談し、最後に沼津港沖の水深50mにある漁礁をねらってみたところぽよよ姉さんの「何か来た~!」との賑やかな声。
待ちに待ったバチコンでの初釣果は25cmほどのムツ。私の思うバチコンゲームはターゲットフリーで釣れる魚を楽しむというスタイル。この時期のムツは小型でも脂が乗って美味のため大歓迎なのである。
ベイトフィッシュを意識したワームチェンジが奏功
続いて仕掛けを入れなおそうと巻き上げてきた私に中層でヒット。突っ込みの感じからアジの可能性があったが、痛恨のバラシ。魚の動きが出てきたようである。水面にはイワシが集まってきていることから「活性の高い魚はこのベイトフィッシュを追っているので今までのスローなアクションよりもジャークを入れた速めのアクシションがいいかも」とアドバイスすると、ぽよよ姉さんに再びムツがヒット。さすがである。
するとムツが5cm程のカタクチイワシを吐き出した。やはり読みは間違っていない。そこで自分はマッチザベイトを意識してワームをアジ職人アジマストLB3.3inに変更。引き続き早いアクションで誘うと頻繁にアタリが出る。イワシを意識したターゲットにとって3.3inという大きさはベストマッチで、バチコンに限らず大型ねらいのアジングにも欠かせない存在となるだろう。
ぽよよ姉さんがアジをキャッチ、筆者もムツで応戦
しかし、当たっては来るが、なかなか掛けきれず悶絶していると、再びぽよよ姉さんがついに待望のアジを釣った。もう敵いません。最後にボトムまで落としたリグを数回シャクってステイ。リグが馴染んだタイミングでロッドティップをゆっくり下げていくとコツンとダイレクトなアタリ。アワセを入れると私にもついにヒット。アジであれと期待したが、上がってきたのはムツ!もちろん嬉しい!
バチコンは苦戦でもお土産ばっちり!
今回、バチコンは苦戦したとはいえマルイカも含めるとお土産もばっちりなのが自由度の高い仕立船のいいところ。そしてこれからは日中のアマダイ五目のほか湾内や西伊豆沿岸でイサキのシーズンを迎える。昨年チャレンジした仲間がバチコンで釣果を上げているのでこれも楽しみである。
※このページは『つり人 2026年5月号』に掲載した記事を再編集したものです。

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