「キャストしているだけでも楽しいし、癒しですよ」とソルトの現場で常に結果を求められる郡司さんは別の顔を見せる。透き通った水、苔むした岩、そしてきれいなパーマーク。宮崎・一ツ瀬川の一日。

解説◎郡司和福(ぐんじ・かずよし) 写真と文◎藤原武史
ヤマガブランクスの多くのロッド製作に携わるエキスパートで遊漁船オーシャンエデンも営む。ソルトだけでなくあらゆるルアーフィッシングに精通。
海での取材がきっかけで渓流の魅力に気づいた
ヤマガブランクスのフィールドテスターである郡司さんと海で取材をしている時、不意に郡司さんが「渓流はいいですよね。景色はいいし、いいポイントにルアーが入れば素直に出てくれるし。キャストしているだけでも楽しいし、癒しですよ」と言いだした。
その日は予想に反して苦戦し、五里霧中でひたすら魚を探して延々と車を走らせていた。海は広くポイントも多い。そのため、オカッパリで魚が消えてしまうとどんなにいいポイントであっても釣りにならなくなることがある。そんな苦行のなかで出てきた言葉だった。
あれから数年が経ち、ヤマガブランクスの渓流ロッドがリニューアルされた事を機にあのときの郡司さんの発言を改めて確認すると共に、その癒しの世界を見に行ってみた。
渓流釣りの癒しスポット「宮崎・一ツ瀬川」
有名河川である五ヶ瀬川と耳川を有する宮崎県は、九州では渓流の聖地のように思われている。その宮崎に在住の郡司さんは、一ツ瀬川をホームとして渓流を楽しんでいる。
「この一ツ瀬川は私の家からも近いですし、流域が広いので支流が多くさらに奥行きもあります。そのため他人が入っていても釣りができる場所に困らないですし、それにダム(一ツ瀬ダム)の上にはいいサイズの魚も多い。ちょっと釣りに行きたいなぁってときにいいですね」と郡司さんは言う。
渓流域の美しい自然が心を癒してくれる
渓流域での釣りは、山地で高低差のある谷間を流れる川で行なうため、大岩がゴロゴロしていて、比較的足場の悪いケースが多い。しかし、それは山深く緑多く透明度の高い水が流れる美しい景色な場所でもある。それに美しい魚が泳ぐなかで釣りをすることでもある。そして季節ごとに山桜や岩つつじ、山藤などの花が目を楽しませてくれる自然豊かな場所である。苔むした岩、透き通った水、豊かな緑、それらの目に映る豊かな自然が郡司さんには大いに癒しになっているという。
郡司さんの普段の釣りは、ロッドのテストや取材、遊漁船の船長業務などで常日頃結果を求められるためどうしても緊張感があるものだ。そんな郡司さんが今回のルーパスのテストは「かなり楽しめた」という。
渓流域にこだわる理由は一尾の満足度
先ほどから、渓流域という言葉を使っているのは、今回は里川を含めず、源流とまではいかなくても地理上の渓流域での釣りにこだわりたいためである。釣果だけを求めれば、放流魚の多い里川のほうが数を釣れる。渓流域では魚の数が少なく釣果としては多くを求められない。その分一尾の満足度が高いと郡司さんは考えている。
「渓流域での釣りは、まずポイントへの正確なキャストが必要ですし、ポイントにビシッとキャストが決まると気持ちいいです。そのうえでねらったポイントから魚が出たときにはもう興奮しますよ。そして、ふっと目をあげればきれいな景色が目に入ってくる。最高じゃないですか?」
渓流釣りがソルトの釣りにも役立つ理由
ソルトに精通する郡司さんは以前、ルアーフィッシングにおいて渓流釣りはいい勉強になると言っていた。流れが目に見えるので流れと魚の位置関係を理解することに役立つし、流れに対してルアーをどう通すといいのか、といった経験値を積める。アジや青物もルアーの対象魚だから、魚のいる場所というものには共通項があり応用ができるのだ。
ルーパスのベイトモデルが見せた実力
今回、ルーパスの開発で一番じっくりと時間をかけたのがベイトロッドだという。最初にベイトモデルで方向性を固めて、他のロッドをテストしていったという。
「なのでこのベイトロッドを見てもらえば今回のルーパスがわかってもらえると思います」と郡司さん。
簡単に言えば、今回のルーパスはどんなキャストであっても正確さが出しやすく、投げやすい設計となっている。実は記者はベイトを使い始めたばかりで現在のベイトリールでもバックラッシュしまくりという初心者なのだが、そんな記者でも非常に投げやすかった。もうちょっと慣れてくるとアキュラシーもあがり、飛距離も伸びてくるのではと思われた。
ティップの張りがキャスト精度とルアー操作に直結する
さらに言えば、ロッドのアクションがそのままルアーのアクションに反映されている感じがする。ロッドのティップの張りが余計な遊びをなくしてくれている。これはキャストのアキュラシーをあげることにも反映されているようだ。
上級者にはさらなるキャストのアキュラシー、初心者には投げやすさとロッド操作の技術的な進歩を施してくれるロッドで、これは今回新しくなったルーパスすべてに言えることだという。
ライン:アップグレード X8 0.8号(XBRAID) リーダー:UP-G リーダー V12 ハード 10Lb(XBRAID) スナップ:SPスナップ(スミス)
一ツ瀬川の景色とグルメも楽しむ渓流釣行の一日
朝9時くらいに川へやってきた。解禁明けから非常な渇水が続いていたが取材前の雨で取材日はかなりの増水だった。ただ、ちょっと増水しすぎではあった。川の工事があちこちに入っているので増水とともに濁りもひどく、入れる場所がかなりの上流域に限られる。そのため、魚が上がれず止まる堰などを最初にチェックしていく作戦でこの日の釣りを組み立てていた。
「上流域だといって小さい魚ばかりだと思わないでくださいね。いい魚もいますから。何よりきれいなパーマークの魚たちが待っていますよ」
尺超えのヤマメを求めて上流を歩く
郡司さんは、きれいなパーマークの入った尺超えの魚を求めて上流を歩くことが多いという。そんな中で上流域といえどもいい魚がいると確信したらしい。
その日は実際に尺ありそうな魚体を数度確認したし、9寸を筆頭に8寸を3尾、7寸以下も数尾という釣果だった。
川の駅・百菜屋のグルメと西米良温泉で心身を癒す
昼には「川の駅・百菜館」まで降りて昼食をとったり、ネイティブの固有系統がいるという支流を覗きに行ったりと観光のように景色を楽しみ、川辺でコーヒーを飲んだりしてグルメも合わせて楽しんできた。
いい景色の中でゆったりとした時間を過ごし、さらに釣果も楽しむ。最後には、「天然温泉・西米良温泉ゆた~と」で風呂にも入り心身ともに癒されて川を後にする。
また行きたい、そう思える郡司さんの釣行だった。
※このページは『つり人 2026年7月号』に掲載した記事を再編集したものです。



