専門的で敷居が高いイメージを持たれがちなタナゴ釣り。しかし、最近では大手釣り具メーカーの道具が充実しており、釣り具量販店でも充分揃えることができる。道具選びから実釣を通して1尾釣るまでの流れを大手釣具チェーンの店長を務めたこともある大沢健治さんにレクチャーしていただいた。
気ままに楽しむ水辺の小もの
大沢健治◎講師
専門的で敷居が高いイメージを持たれがちなタナゴ釣り。しかし、最近では大手釣り具メーカーの道具が充実しており、釣り具量販店でも充分揃えることができる。道具選びから実釣を通して1尾釣るまでの流れを大手釣具チェーンの店長を務めたこともある大沢健治さんにレクチャーしていただいた。
この記事は『つり人』2017年1月号に掲載したものを再編集しています。
◆こちらの動画も要チェック!
釣りあそびジャーナル連動動画レッスン/小さな魅惑 タナゴ釣りに挑戦!
道具選び編
サオ
「ある程度張りのあるものを選ぶと、アワセも入れやすいですし、操作性が高く使いやすいと思います。長すぎても短すぎても使いにくいので、フィールドに合わせて購入しましょう。これからの時期はエンコ釣り(イスに腰掛けて一ヵ所で釣る)でねらうことが多いと思います。この場合、長さ60~90㎝のサオがよいでしょう」
ひなた
ダイワ(グローブライド)
タナゴ、マブナなどフィールドの大きさに合わせて小ものをすべてカバーできる2.4 ~ 9 尺(0.75 ~ 2.71m)の8 ラインナップ。
価格オープン
小粋たなご
アルファタックル
小もの用の万能小継ぎザオ。タナゴ以外にも小ブナ、テナガエビなど幅広く使える。90 ~150 の4 ラインナップ。
幸釣
ティムコ
1本で3 通りの長さで使える三段スライドのノベザオ。『二三四』は0.95m、1.2m、1.4m、『456』は1.4m、1.6m、1.8m、『七八九』は2.2m、2.4m、2.7mで使える。フィールドに合わせて長さを選びたい。
タナゴ道68
ダルマ
全長68cm の小ものザオで、水面まで近い釣り場で使い勝手がよい。握り部分はEVA 製であり、削ってカスタムも可能
ミチイト
「扱いやすいナイロンがまずはおすすめです。慣れてきたらアタリが出やすいポリエステルラインを使ってみるのもよいでしょう。ビギナーであれば太さは0・3号が標準。これ以上細くすると扱いが難しくなると思います」
タナゴNL(ナイロン)
ラインシステム
細くても強い強度が魅力。真っ黒な原着カラーでよく見える。光の乱反射を防ぎ、タナゴへの警戒感を取り除いてある。0.2 号、0.3 号、0.4号のラインナップ。30m 巻き。
タナゴ PET
ラインシステム
張りのあるポリエステルを使っているためアタリが出やすい。比重は1.41と、ナイロンとフロロカーボンの中間に位置。適度な比重で沈みやすく、流れや風の影響も受けにくい。ラインカラーブラック。30m 巻き。
バルカン タナゴ・ハエ・ヤマベ
サンヨーナイロン
光を吸収するブラックを採用し、乱反射を防止し魚にラインが見えにくくなっている。極限の細イトだが、耐摩耗性に優れる。イトグセが付きにくく、しなやかな質感で手返しアップ。50m 巻き。
親ウキ
「繊細なタナゴのアタリを出すために高感度かつ小さなウキを選びたいです。少し前まで、タナゴウキは自作するか専門店で購入するしかありませんでしたが、最近では大手メーカーからも実戦的なウキが発売されていて、手に入りやすいです。まずは極小のウキ止メタイプから入っても構いません。『もっと釣りたい』、『ステップアップしたい』と思ったら、より本格的な斜め通しタイプのウキを選ぶとよいでしょう。水色によって見え方は変わってくるので、フィールドに合わせて視認性に優れたものを用意したいですね」
たなごウキ 極小
オーナーばり
タナゴの繊細なアタリに反応する高感度ウキ。ボディー全体を蛍光色にすることで視認性がよくなっており、逆光でも見やすい。
匠技 淡水小物ウキ 斜め通しタイプ
ささめ針
より繊細にねらいたい人には斜め通しタイプがおすすめ。ボディートップはオレンジ色で視認性に優れる。
斜め通し たなご浮子
おかめ工房
上州屋オリジナルブランド『おかめ工房』製の斜め通しタイプのウキ。ベテランも納得の仕上がりで、ステップアップしたい人におすすめだ。
イトウキ
「親ウキと組み合わせて使います。親ウキには表われないような微細なアタリを取ることができます。親ウキ同様に、こちらも水色に合わせて何色か用意し、フィールドによって使い分けるとよいでしょう」
たなご小丸目印
オーナーばり
極小オカメの繊細なアタリをキャッチ。小さいがよく目立つイトウキ。ピンク、イエロー、ホワイト、オレンジの4 色。
小粒目印 ジンタン糸ウキ
まるふじ
樹脂製の目印でミチイトにも簡単に取り付けられる。小粒でもよく見える。夜光、混色、白、黄、赤の5 ラインナップ。
ジンタン目印
オーナーばり
小さくてもよく見えるのでタナゴの微妙なアタリも取りやすい。天然ゴムを使用し、イトを傷付けにくい。
ハリス止メ
「タナゴ専用のハリス止メを選びましょう。極小に作られていて、繊細な仕掛けが作れます」
匠技 極小両ハリス止
ささめ針
極細ハリスでも使いやすい。両ハリス止メタイプなので仕掛け交換がスムーズに行なえる。
極小たなごハリス止 カン付
オーナーばり
ミチイト側はカンになっていて、ハリス側が自動ハリス止メになっている。超小型に作られていて、繊細な仕掛け作りにぴったり。
たなごハリスキャッチ
NT スイベル
極小、極細、軽量のハリス止メ。板オモリを取り付けるスペースを作っているのが特徴。ミチイトが引っ掛かりにくいシンプルスタイル。
板オモリ
「浮力調整がしやすい薄いタイプを選ぶとよいでしょう」
TOOLS 匠板オモリ
景山産業
薄くて柔らかい素材を採用した使いやすい板オモリ。厚さ0.1mm。
ハリ
「ハリ先の小さいものを選びたいですね。手研ぎを意識した極小のハリも売られているので、そちらがおすすめです」
糸付 極タナゴ
がまかつ
“手研ぎ鈎にせまる短い鈎先”がキャッチコピー。極小オカメタナゴをねらう時に心強い。なめらかで吸い込みのよいテトロン#100 を使用したハリス付き。
別誂 研ぎたなご
まるふじ
極小オカメがねらえるようにハリ先は極短仕様。吸い込みやすいテトロンハリス付き。
匠技 新虹鱗タナゴ 糸付
ささめ針
ハリスにはテトロン#100 使用し、違和感なくタナゴに口を使わせることが可能。全長2.5cm のチチワ仕様で交換しやすい。
完成仕掛け
「まずは完成仕掛けからスタートするのもよいと思います。ただし、ハリは紹介した極小のものに交換したほうがよいと思います。あとは、浮力調整をするために板オモリも用意したいですね」
たなご・クチボソ
まるふじ
親ウキとイトウキがセットになった完成仕掛け。替えバリと仕掛け巻き付き。
たなご浮子仕掛
オーナーばり
繊細なアタリもとらえる高感度・流線ウキを採用。ウイリーイトウキが親ウキに出ないようなアタリも拾ってくれる。
その他のアイテム
「エサは自分で作る黄身練りなどがありますが、ビギナーは市販のグルテンが使いやすいでしょう。釣った魚をキープしておくバケツやズックビクも用意したいですね。タナゴ用品は合切箱にまとめるのが一般的なスタイルです。ベテランは木製のものを使っていますが、ルアー用のタックルボックスを使うのも今流です。これに腰掛けられるので便利です」
タナゴグルテン
マルキユー
さまざまな釣り場に幅広く対応するスタンダードなタナゴ専用グルテンエサ。ハリ先に残るグルテン量が多いのが特徴。ニンニク成分も配合し、タナゴを寄せる効果も期待できる。
タナゴストッカー
ダルマ
ハリ外しが付いた小もの釣り専用のフタ付きバケツ。釣りあげた魚を内蔵のフックに引っ掛けるだけで、魚に手を触れることなくハリを外せる。
バケットマウスBM-5000 / BM-7000
明邦化学工業
『5000』は座れる収納BOX「バケットマウス」のシリーズ最少サイズ。強度と収納力、機能性が凝縮されたコンパクトサイズ。ドリンクホルダーなど、別売のオプションパーツを実装することも可能。大容量の『7000』もある。
ドカット4700 / 5000
リングスター
もともと工具入れ用として発売されていたが、使い勝手のよさと頑丈さから釣り人にも広く愛用されている。タナゴ用品をすべて入れる合切箱にも使える。
タナゴ・手長エビ用 ズックビク
ダルマ
ポイントを移動する時など、底のズック部分に水が溜まるので魚を傷めずに移動できる。全長70cm。
実釣編 4ステップでタナゴ入門
繊細な仕掛けを使うタナゴ釣りの道具立てはシンプルとはいえ、「難しそう」と思ってしまうのが、ビギナーの本音だろう。大型量販店で売っている道具で充分仕掛けを組めて、楽しむことができる。1尾釣るまでを3ステップでレクチャー。
①仕掛けの作り方とエサの準備
用意した仕掛けのパーツを使って実際に仕掛けを組んでみよう!
タナゴ釣りはとても小さな魚をねらう釣り。仕掛けも繊細だ。親ウキとイトウキを組み合わせた極小サイズの連動シモリウキ仕掛けが定番。
ミチイト、ウキ、イトウキ、ハリス止メ、ハリ、板オモリを用意する
ミチイトを引き出し、先端にダブル8の字結びを作って穂先にぶしょう付けする
サオ全長より長めに取って、ミチイトを切る
続いてウキのセッティングに移る。ゴム管をミチイトに通す
ウキをゴム管に固定する
イトウキのセッティング。今回は2 色を使って交互の配色パターンにした。イトウキがセットされたライン先端の輪にミチイトを通す
イトウキをミチイトのほうにこき上げて行く。これをお好みの個数(6~8個)通したらイトウキ部分は完成
ハリス止メを結ぶ。ハリスの長さを考えて、手尻よりじゃっかん短くしておく
ワンポイントアドバイス
サオ全長と仕掛け全長を合わせると魚の取り込み、エサ付けがしやすくなる
板オモリを1cm ほど切り出し仕掛けに巻いていく
板オモリを巻く時は、写真のようにハサミなどで少し折り目を付けると巻きやすい
ハリをセットして終了。ハリ先端のチチワを自動ハリス止メに引っ掛けるだけでOK
完成! あとは浮力調整をすれば完璧だ!
②エサを作ろう!
タナゴ釣りではアカムシなど虫エサは使わず、グルテンや黄身練りエサを使うのが一般的。ビギナーは作り方が簡単なグルテンがおすすめだ。
タナゴグルテン』のみでもよいが『つなぎグルテン』を入れるとエサ持ちがよくなる。こちらはお好みで
パッケージの分量に従ってタナゴグルテンをボールに入れる。つなぎグルテンは少量でOK
適量の水を入れる
よく混ぜ合わせる
3分ほど寝かせれば完成
③ウキの浮力調整!
タナゴ用仕掛けでは浮力バランスを整えることが重要。浮力バランスは主に3パターンある。1つ目は親ウキの頭が水面からわずかに出る「トップバランス」、2つ目は親ウキが沈み水面下で定位する「ゼロバランス」、3つ目が微速でごくゆっくりと沈んでいく「シモリバランス」。ウキの抵抗が少ないシモリバランスやゼロバランスにしておくと、渋いアタリも取りやすい。仕掛けに巻いた板オモリを微量ずつカットして調整しよう。
オモリを少しずつ切って浮力を調整しよう
ウキが水中で定位するかジワリとゆっくり沈んでいく遅ジモリに仕上げる
④タナゴを釣ってみよう!
浮力調整も終わったらいよいよ実釣。エサ付けはグルテンの表面をハリ先でチョンチョンと数回引っかいて、グルテンの繊維をハリ先に絡めるようにまとめる。釣り始めは集魚効果を高めるために大きめにエサを付けて打ち込む。アタリが出たり、タナゴが寄ってきたと感じたら小さくして食い込みをよくしてねらう。
ポイントを移動して魚を捜していくというより、一ヵ所のポイントに陣取って集中的にねらうエンコ釣りが基本だ。
タナゴが活発に動くのは水温が上昇する時間帯。寒の釣りではお昼前後から魚の活性が上がってくる。
タナゴの遊泳層は宙層。しかし、水深が40~50㎝の浅場では底から5~10㎝の底層にウキ下を合わせる。水深が1m前後と深いポイントではタナは40~50㎝の宙層から釣り始め、状況を見ながらウキ下を上下させて魚の反応を探っていくとよい。
アタリは親ウキが引き込まれる派手なものもあるが、どちらかというとイトウキに出る微細なアタリが多い。この微細なアタリを捉えられるかで釣果の良し悪しが決まってくる。イトウキが左右に振れたり、途中で止まったり、少しでもおかしいと思ったら合わせよう。
アタリがあるのに乗らない時はグルテンを小さく付ける、ハリを小さくしたり交換したりするとよい。
タナゴの世界は奥が深い。ベテランからみれば、今回紹介したものは入口のドアに手を掛けたぐらいかもしれない。だが、釣り具量販店で売られている道具を組むだけでもタナゴ釣りは充分に楽しめる。まずは難しく考えず気軽に挑戦してみてほしい。
グルテンの繊維をハリ先に引っ掛けるようにエサ付けする。ハリ先に小さくまとまればOK
魚は観察したら優しく水に返してあげよう
実釣はびん沼川で。障害物の際などポイントを決めたら、腰を据えてじっくりねらおう
月刊『つり人』で、首都圏近郊小もの釣り場の紹介記事を長年執筆してきた著者が、その圧倒的な釣り場情報量をはじめて一冊にまとめた! 東京都心部、水郷周辺、千葉、埼玉、神奈川県まで60の釣り場を厳選してピックアップ。 釣り場のようすがひと目で分かる写真付きで、釣り方を含めていねいに解説しています。