港に停泊した船の上でアジを釣る?沼津・戸田港の係留船「カルモア」が熱い。オカッパリの手軽さと沖釣りの釣果を兼ね備えたこのシステムで、エキスパートの新保明弘さんがアジングに挑む。明るいライトに集まる群れをジグ単で迎え撃つ、大人の遊び心満載の攻略ガイド。

解説◎新保明弘 写真と文◎編集部
沼津市在住。伊豆きっての「尺メバルハンター」として名を馳せる一方、同エリアにおけるアジングの可能性にいち早く着目したパイオニアでもある。 幼少期より戸田港に通い詰め、現地の釣りを熟知するスペシャリスト。幅広いルアー釣りに精通しており、著書に『海のルアー釣り入門』がある。
駿河湾の係留船から楽しむアジング
日本最深の海、駿河湾に面し、世界最大のタカアシガニをはじめとするさまざまな深海の恵みを水揚げする戸田港は、湾口を取り囲むように延びた御浜岬に守られた天然の良港だ。
四季を通じて駿河湾から多くの魚が出入りすることから堤防からのオカッパリのほか遊漁船も多いが、それとは別に係留船というシステムが古くから親しまれている。港内の水深30~40mと深いため、外海に出ずとも港内に停泊している船から手軽に沖の魚がねらえるからだ。
クロダイのカセ釣りに似ているが、戸田港の係留船は古い釣り船や漁船を再利用していることから10人以上が一緒に釣れるところが多い。波穏やかな湾内で、しかもアンカーで固定されているため船に弱い人でも安心だ。
快適すぎる戸田港「カルモア」の船上空間
そんな戸田港の係留船で最近人気を集めているのが『カルモア』。代表の宮﨑綾子さんに話を聞いた。
「私はもともと沼津市出身ですが、漁師になりたかった旦那と戸田に越してきたのが15年ほど前。旦那は念願の漁師になり、今は独立してキハダマグロなどを自分の船でねらっています。私が戸田港で係留船カルモアを始めたのは4年前。ちなみにカルモアとは凪を意味するcalmと係留船を意味するmoorをくっつけた造語です(笑)」
水深が深い戸田港では係留船からの撒きこぼし釣りやコマセ釣りでマダイやクロダイ、アジ・サバ、青物ねらいが盛んで、この港に通い詰めるベテランも多い。が、カルモアにはこれまでとは違う釣り客の利用も多いようだ。
「いま、2隻の係留船があるんですが、どちらもがっつり釣りだけというよりも、船内で釣魚料理を楽しんだり、屋根の下のリクライニングチェアで寛いだり、家族や仲間同士の船上釣りパーティーや船遊びの場として気軽に楽しんでもらっています」
と言うように、現役を退いた船とは思えないほど明るいカラーで船体も船内も塗り直し、カセットコンロを持ち込んで船上パーティーを開きたくなるようなオープンな造りにこだわったところ、これまで係留船の釣りに興味がなかったアングラーやファミリーたちの利用が増え、また、ライトルアーファンも増えているそうだ。
「同じところに係留していますので、釣果に関しては風向きしだい、潮しだい、釣り人の腕と運しだいという感じです(笑)。ただ、釣りやすさには一番気を配っていて、特に夜間はライトなしでも明るい視界が得られるようにLEDライトを船内各所にふんだんにセットしています」
この明かりが夜焚き効果を生み、プランクトンや小魚を集め、さらにフィッシュイーターも集まることからアジングファンの注目を集めている。
戸田港はアジング有望スポット
そんな戸田港の釣りに古くから親しんでいるのが、同じく沼津市在住の新保明弘さんだ。
「戸田港は幼少期から親に連れられ釣りに来ていました。学生時代には夏の海水浴でライフセービングのお手伝いをしていたこともあり思い入れが強いですね。釣りに関しては日中エギングの創世記に通いつめ多くの1kgアップをキャッチしましたし、黒潮の分流が入るのでワラサクラスの青物やシイラの回遊も多いことから今でもショアジギングでよく通っています」
と言うように個人的にも大好きな釣り場という。
「戸田港は伊豆半島の西海岸にあり、太古の昔に伊豆半島が本州と陸続きになった際に噴火でできたカルデラがそのまま湾になったのでここだけ水深が深いんですね。西側は御浜崎で囲われているから西風を防いでくれる。そして東側は伊豆半島があるから東風を防いでくれる。湾内は台風でもなければほぼ釣りが可能なので、悪天候時の釣り人の逃げ場となっています」
係留船は岸よりもサイズのいいアジがねらえる
新保さんといえば伊豆きっての尺メバルハンターとして知られるが、伊豆でのアジングにもいち早く注目していたひとりだ。
「正直、伊豆半島ではアジのシーズナルパターンはほぼないように思います。年によって多い、少ないがある程度ですね。というのも、駿河湾は水深が深いためアジが好む水深の面積が狭く、成長するとすぐに深場に落ちてしまい、一般的な岸からのアジングタックルを使ったキャスティングでアジをねらうことが難しいからです。豆アジなら夏場のマヅメ時にサビキ釣りやトリック仕掛けで釣れますが、サイズが上がるにつれて遠投のカゴ釣りでしか届かなくなります」
戸田港のアジも本来は遠投カゴ釣りでねらう魚を、係留船というシステムを利用して釣っているともいえる。つまり、岸から釣るよりもひと回り大きなアジがねらえることも魅力だ。
「実はカルモアさんを利用したのはつい最近でして、知り合いから『仲間たちと夜に貸し切るんで新保さんも遊びに来てくださいよ』と誘われたのがきっかけです。係留船というスタイルでの釣りは初めてでしたが、戸田港に仲よくしている遊漁船があり、港内に船を係留してアジやタチウオを釣った経験は何度もあります。そのときから戸田港は伊豆半島の西海岸でいいサイズのアジが数釣れる貴重な釣り場だと思っていました」
初めてカルモアさんに乗った新保さんは、まず外装も内装もオシャレなのにびっくり。しかもライトが煌々と海面を照らすと船の周囲にイワシ、サバ、ケンサキイカ、アオリイカなどがたくさん浮いてきて、そのうちにアジのライズが始まったという。
おすすめは夕マヅメが楽しめる15時半便
「乗合船の場合は乗船人数にもよりますが、それでもカルモアさんに乗るならワンタックルではもったいない」と新保さん。アジングを楽しむなら5つある区分のうち、15時半~20時半の便か18~22時の便がおすすめという。
「いきなり真っ暗よりもしだいに暗くなる夕マヅメのほうが楽しいですね。陽があるうちはスピンテールなどでボトム付近を探ればオオモンハタやカサゴがヒットします」
宮﨑船長によれば、ハタは冬になると外海から港内に入って来るというから、冬でもヒットする可能性が高い。そのほか、マダイやアマダイ、シーバスがヒットする可能性もあるし「ルアーだけにこだわらないならカワハギも楽しい時期です」とのこと。
ちなみに港内にアジが着く根が4つあるそうで、「だから戸田のアジは沖の回遊アジではなく居着きの金アジですから美味しいと評判なんです。基本的には周年港内にいますが、年が明けるとやや釣果は厳しくなりますので、アジねらいなら水温が下がり切る前の年内がおすすめですね」と宮﨑船長。
ジグ単で攻略する係留船アジング
新保さんの初めてのカルモア乗船日は表層付近にアジの群れが目視でき、ライズも頻繁にあったことから岸からの釣りと同じくジグ単の釣りでヒット連発を楽しんだ。

「風向きによって水深は変わります。東風なら岸寄りに船が振られて水深20m弱になり、西風なら水深30m強になります。この水深なんでバチコンを楽しむ人もいるようですが、あれだけのライトで照らしますからアジも表層付近に浮いてくると思いますので、僕はジグ単だけで楽しみました。8g以下のメタルジグがあれば少し深場も探れます」
釣ったアジを泳がせてアオリイカをねらう人も多い。角度が真下になることから、ヤエンよりも掛けバリを背負わせた、泳がせの仕掛けが主流という。
「僕が以前来たときはまだ水温が高くてマルイカも多かったですね。一緒にいた仲間たちはメタルスッテでも楽しんでいました。乗合船といってもここは係留船ですから、他人に迷惑さえかけなければ釣りスタイルは自由です」
具体的に新保さんはアジング用としてエステル0.3号+フロロリーダー3Lb、エステル0.2号+フロロリーダー0.2号という繊細なジグ単タックルを2本を持参。そのほかはハタねらいのPEタックルを1本という布陣。
「あれもこれもと楽しめそうで、意外と時合は日没直後に集中しますから、僕はタックルを絞りました。あとは深場でバチコンやメタルスッテを楽しめるタックルを用意するなど個人の好みで楽しめばいいし、もちろんアジングタックルのみで挑むのもありでしょう」
| カテゴリー | アイテム名 |
|---|---|
| ロッド | (タックル1)シマノ ソアレXR S54SUL-S (タックル2)シマノ ソアレリミテッド S58UL-S |
| リール | (タックル1)シマノ ソアレXR 500SPG (タックル2)シマノ ソアレXR 2000SSPG |
| ライン | (タックル1)ソアレサイトレーザー 0.2号 (タックル1)リーダー:フロロカーボン 2Lb (タックル2)ソアレサイトレーザー 0.3号 (タックル2)リーダー:ソアレリーダーEX フロロ 3Lb |
| ワーム | エコギア アジ職人アジマスト (1.8inFAT / 2in) |
| ジグヘッド | シマノ TG ファインヘッド(0.8g / 1.6g) エコギア シラスヘッド(0.9g) エコギア アジチョンヘッド(0.6g) |
※このページは『つり人 2026年1月号』の記事を再編集したものです。



