都心から1 時間で本格的な磯釣りが楽しめる三浦半島。休日になるとメジャー釣り場はよほどの悪天候でない限り満員御礼となってしまう。そこで三浦をホームグラウンドにするベテランの穴場捜しを拝見!
穴場を見つける思考法
写真と文◎上坂哲史
こちらの記事は月刊『つり人』2021年6月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
冬の終わりから春の始まりにかけては海の中が大きく変わろうとするタイミング。 産卵のため捕食のため岸寄りに集まるターゲットの数と種類が増える。 そしてこれから初夏にかけてますます身が美味しくなる魚もいる。 適度なキープで海の恵みを美味しくいただきます!
目次
そもそも「穴場」とは?
「一般の人にあまり知られていない、いいところ」「穴場」を辞書で引くと、こんな言葉が書いてある。隠れ家的なバー、のびのび泳げるビーチ、満開の桜を独り占めできるスポット等々、穴場とは日常でもしばしば目にする、実に香ばしいワードである。 釣りにおける穴場とは、人が少なくポイントを独占できて、かつ大きな魚がたくさん釣れる場所、となるだろうか。しかし、単に人が少ないといってもさまざまな要因が考えられる。純粋に広く知られていない場所ということもあるし、何らかの理由で人が行きたがらない、その場所は誰もが知っているけれど釣り場として認知されていないといったケースもある。筆者が見聞したなかで穴場になりうる要素を整理すると次のようになる。
潮位に合わせて立ち位置を変えて 丁寧に釣りをする原田さん
穴場に共通する5つのこと
①遠い
駐車スペースや駅、バス停など交通の基点から距離があり、入釣するまでに長時間の歩行を強いられる場所。八丈島の地磯・小岩戸ヶ鼻の入磯ルートは45分から1時間コースだ。釣れるとわかっていても気軽に入れない場所は人が少なく、穴場と称されることが多い。
②しんどい
距離はさほどなくても、アップダウンの激しい磯道を歩くのは実に疲れる。このような場所は敬遠される傾向があり、よほど釣り場的な魅力がないかぎりは空いていることがほとんど。
③危ない
入釣ルートの途中に、急な崖を下ったり、ヘツったりする場所は危険が伴う。その先に楽園が存在するとしても、積極的にはおすすめできないタイプの穴場。
④しょぼい
極端に浅いなど、魚が釣れるようには見えない場所、至近に一級ポイントがあって、つい見過ごしてしまうような小場所などのこと。見栄えしないが実はよく釣れる所は、身近な場所にも無数に存在する。鉱脈を掘り当てれば1人で大釣りという快楽を味わえる穴場中の穴場。
⑤条件を選ぶ
潮位が下がらないと渡れない、潮位の高い時間のみ釣りになる、海が荒れると魚が入ってくるなど、自然条件によって限られた時間のみにパラダイスと化すシンデレラタイプの穴場。浅場の多い三浦半島や外房の磯に多く見られる。
穴場スポットを見つけて良型のクロダイを手にした
人によって体力に差があるし、アウトドアスポーツである釣りは何よりも安全を優先すべきなので、「遠い」「しんどい」「危険」な釣り場への入釣は個人で適切に判断していただきたい部分である。しかし、しょぼくても実は魚がよく釣れる場所、条件によって大釣りポイントに化る場所については、知っている数がそのまま釣り場選択の引き出しになる。特に海が荒れた時に好ポイントと化す場所は、シケの日の逃げ場となるので、ひとつでも多く知っておいて損はないはずだ。