ビッグベイトはその強烈な個性とアピール力から、バスの活性が高いハイシーズン用と思われがちだ。
しかし、青木大介さんは水温がひと桁台となる極寒の時期に投入し、驚くべき実績を残している。
この記事では相模湖を舞台に冬のビッグベイト使用法を解説してもらった。
アプローチこそフィネスに!
Basser編集部=写真と文
ビッグベイトはその強烈な個性とアピール力から、バスの活性が高いハイシーズン用と思われがちだ。しかし、青木大介さんは水温がひと桁台となる極寒の時期に投入し、驚くべき実績を残している。
この記事では相模湖を舞台に冬のビッグベイト使用法を解説してもらった。
この記事はBasser2010年4月号に掲載されたものを再編集しています。
アプローチは大胆かつ繊細に
前回の記事で解説したのは、冬のビッグベイトゲームでねらうべきエリアついてだった。では、そのエリアでルアーをどのように操ればいいのだろうか?フィネス・ビッグベイティングのアプローチは基本的に接近戦である。その最大の理由は1にも2にもアプローチの精度を高めるためだ。誤解を恐れずに書けば、ビッグベイトの釣りのアプローチは、かなり大雑把なイメージがある。しかし、かえってそれがビッグベイトのよさを引き出す要因になる場合もある。たとえば、着水音。バスにプレッシャーを与えないよう、静かに着水させることがアプローチの基本だが、ビッグベイトの場合は派手な着水音でバスにアピールする方法が時として有効だ。また、意図したトレースコースから多少ズレても、そのバスを惹きつける強いアピール力がミスを帳消しにしてくれる。
しかし、青木さんが考えるフィネス・ビッグベイティングでは、着水音で誘うのは冬に限っては厳禁。わずか数mのボートポジションのズレ、わずか数十cmのトレースコースのズレが命取りになるという。
「静かに正確にルアーを撃ち込み、ねらったコースをトレースし、ここぞというピンスポットで止めたりトゥイッチするためには、できる限り至近距離でアプローチしたほうがやりやすい。かといって近づきすぎるとバスにプレッシャーを与えてしまう。河口湖のような比較的クリアな水質のフィールドではなおさらです。プレッシャーをかけず、しかもバスを視認できるギリギリの間隔というのがあるんですが、この距離ばかりは数字で説明できないですね……。コツとしては、次に探るスポットを常に意識しながらアプローチすること。”あっ、あのスポットはバスがいそうだな。だったらこうアプローチしよう”と決めてボートを流せば必要以上に近づくことはありません。その際、魚探の電源を切ったりエレキの水流をねらうスポットに当てないことは言うまでもありません」
では、バスを発見したとき、青木さんはどのようにアプローチしているのか。キーワードは”バスから逃げる”演出をすることだ。まず最初にバスがどの方向を向いているのかを確認した後、バスの頭と反対側の離れたスポットに静かに着水させ、バスに警戒心を与えないようにゆっくりとリトリーブし、バスとの距離を徐々に詰めていく。そしてバスの斜め前方へルアーが逃げていくイメージで、リトリーブスピードを変えずにゆっくりスイミングさせ、バスがルアーに気づいているかどうか確認する。ここでルアーとの距離を詰めながらチェイスしてくるようならそのままリトリーブし続ける。このケースは比較的イージーにバイトするという。一定の距離を保ったままチェイスしてくる場合は、バスがまだ疑心暗鬼の状態なのでステイさせてバスの出方を見る。そのままふら~っと寄ってきてバイトすることもあるが、たいていはバスも止まってようすを窺う。そのときはバスにバイトする決心を後押しするようにトゥイッチを入れてステイさせるという。
杭周辺にバスがステイしていることを想定して、プレッシャーを与えないために少し離れたスポットに着水させること。直撃は厳禁だ
「この釣りはラインメンディングとロッドワークが大切。バスの目の前にルアーやラインを通すことは厳禁です。バスの目の前にルアーをポチャンと落とすことも当然NG。自然界においてベイトフィッシュがバスの目の前を悠然と泳ぐことはありえませんから。いかにバスにとって違和感なく、でも興味を惹くようにルアーを操作するかが重要なんです」
まるでサスペンドシャッドを操るように繊細なロッドワークでビッグベイトに命を吹き込んでいた。アプローチは完全にフィネスである。バスに存在感をアピールするためのビッグベイト、使い方(誘い方)はフィネス。これこそがフィネス・ビッグベイティングの真髄なのだ
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