Basser本誌では、20年間アメリカのトーナメントシーンのトップを走り続ける「フカシン」こと深江真一さんが世界基準のフィッシングメソッドを毎月紹介している。 今回のテーマは"「レッジフィッシング」とは!?【夏編】"
Basser本誌では、20年間アメリカのトーナメントシーンのトップを走り続ける「フカシン」こと深江真一さんが世界基準のフィッシングメソッドを毎月紹介している。テーマは“「レッジフィッシング」とは!?【夏編】”。後編となる今回はアプローチ方法やルアーセレクトなど、実践的なテクニックを解説してもらった。
写真と文◎Basser編集部
写真◎フカシン応援団
深江真一(ふかえ・しんいち)プロフィール:1972年生まれ。大阪府出身・アメリカ在住。2004年に渡米以来、初年度にAOYを獲得するなどFLWを中心に輝かしい成績を残し、現在はアメリカ最高峰のトーナメント組織MLFのトップエンドであるBPTツアーに参戦。アメリカのトーナメントのみでの獲得賞金額は2億5000万円を超えている。YouTubeチャンネル「GLAMPING LIFE in USAby Shin & Miyu」。
レッジフィッシングは、まずは魚探掛けから
前回に引き続き、今回は深江さん的なレッジ(水中のチャンネルに絡む、旧河川跡の棚状のブレイク)の具体的な釣り方を解説してもらう。
深江「条件のいいレッジ(岬やインターセクションに絡むスポット)は誰もがやるんだけど、基本は魚探でバスを探して、それを直接ねらう。これは2D魚探の時代から変わらないね。たとえば、2Dならレッジの上を流していって『への字』に映った魚影に対してアプローチする。
そのうちサイドスキャンが出てきて、より効率的に魚探しができるようになった。必ずボートをレッジの深い側にポジションして、岸側(浅い側)を魚探掛けしていく。浅い側から深い側を映そうとしてもそこが全部真っ暗な陰になって何も映らないからね。ちなみに、サイドスキャンではバスは小さい米粒のような映り方をする。いる魚のすべてが映るわけではないから、イメージでは映った米粒の数の3〜4倍は魚がいると思っていい。サイドスキャンは基本ボートの両サイドに120ft(40m)くらいビームを飛ばしていて、広い範囲を見られるようになってる。
で、今は魚を見つけたらFFS(フォワードフェイシングソナー)の出番やね。昔はそれこそプリプラで数100リットル燃料焚いて、隅から隅まで魚探掛けしたで。釣りなんか一切しない。バスが着きやすいハードボトムやシェルベッドを2Dの2次反射3次反射で探して、最後はタングステンシンカーで本当にボトムが硬いかどうか確認してね。バスがいるか確認するために釣りをする場合は、フロントでエレキなんて降ろさないで、運転席からピュッと投げるだけ。他の選手に見られたくないからね(笑)」
ルアーとアプローチの選択肢の多さが釣果の秘訣
使用ルアーに関しては、魚探のハイテク化に伴って変化が生まれているようだ。
深江「まずはディープクランク。アピール力が強いし、レンジにも一気に入ってくれるし、バスにスイッチも入れやすい。次にジグを落として食わせたり、逆にマグナムスプーンでさらにリアクション方向に振ってみたりする。さらにフォローとしてヘアージグや、近年ではアラバマなんかも定番のベイトになったよね。ライブスコープをはじめとしたFFSが出てきてからは、映ったバスをより精度高く釣ることができるようになったから、ジャークベイトでスイッチを入れたり、今ではジグヘッドミノー、日本でいうところのミドストが定番化してる」
釣り方はダウンヒルが基本。深い側にボートを浮かべて、浅い方に投げて引いてくる。この際、流れに対するバスの頭の向きや、影のでき方も考えつつ、様々なアプローチを試みる。ここに正解はないという。
深江「基本はバスの下流側からルアーを投げるんだけど、それで反応がなければ上流側から投げてバスをルアーが追い越すように引いてみたり。もちろん、浅い側からアップヒルで引くこともある。とにかく、ルアーの種類も、アプローチの方法も、バスを飽きさせないためのバリエーションが大事やね。
あとはタイミングも重要。たとえば、テネシーリバーなら発電のために放水する(≒カレントが生まれる)タイミングが決まっているから、それを把握したうえでエリアを回る。ダムから離れるほどカレントが発生するタイミングに時差ができるから、いいタイミングでいい場所に入れるように計算して立ち回るね。
流れ以外にも、ベイトがバスのいるスポットに回ってくると水中ボイルが起きるから、これを何とかして当てられると3投で5匹のリミットメイクできることもある。つまり、うち2投はダブルヒットってこと。それくらいレッジの水中ボイルは爆発力があんねんな」
バスのケアとリリース方法にも工夫を
また、時には50ftというスーパーディープを釣ることもあるレッジフィッシングでは、バスのケアもしっかりとする必要がある。
深江「エア抜きの技術は当然として、一気に巻き上げると魚への負荷が大きいからゆっくりファイトしたり、水温も表層とディープでは違うから、ライブウェルに氷を用意したり。あとは、逃がしたバスがもといた群れの中に帰っていくと、なぜか警戒心が広まるのか釣れなくなることがあるから、釣ったバスはなるべくボートの後ろから逃がす。もちろん投げたりはせんよ。でも、ボートの後方にバスの頭を向けてスッと水中に押し出してやると、勢いづいてそっちのほう(群れから離れるように)に泳いで行ってくれんねん。湖上計測、湖上リリースのMLFでは釣った魚はすべてその場で逃がすから、これは結構意識してる。」
※このページは『Basser 2025年9月号』を再編集したものです。