多くのルアーフィッシングにおいてリーダーに対するこだわりは強度や感度、そして号数や長さについてであろう。しかしアユルアーにおいては、視認性にも大いにこだわるべきという。
多くのルアーフィッシングにおいてリーダーに対するこだわりは強度や感度、そして号数や長さについてであろう。しかしアユルアーにおいては、視認性にも大いにこだわるべきという。
写真と文◎編集部
アユルアーに見えやすいリーダーを使うメリット
アユのルアー釣りを始めるにあたって、ロッドは専用のものを用意する人が多いのではないだろうか。この釣りが登場したばかりのタイミングはまだ各社から専用ロッドが出揃っておらず、エギングロッドやメバルロッド、あるいはバスロッドなどを流用して始めた人が多かったが、数回やってみれば、そうした他ジャンルからの流用では物足らなくなってくる。
「実際にやってみると、アユルアーはラインを送り込む釣りだと気づいてベイトタックルを選ぶ方も多いと思います。そして全長は小河川でも9フィートクラス、大河川であれば10フィート以上が欲しくなる。この長さのベイトロッドは限られてきますので、やっぱり専用ロッドから選ぶことになると思います」
とは、パズデザインを展開する株式会社ザップの吉島一郎さんだ。自社から発売中のアユルアー、TAGIRIブランド流斬100Fの中心人物であり、当然アユルアーにどハマり中のお方だ。
「このようにロッドには大いに考えを巡らせて自分にぴったりの1本を探している方が多いと思うんですが、ことライン、特にリーダーに関してはわりとテキトーに選んでいる方が多いように感じます。僕からすると、リーダーこそ厳選していただきたいです」

釣りの快適さが段違い
たしかにロッドやルアーに比べるとリーダーはそれこそ4~8ポンドのフロロカーボンであれば、あとは長さを好みで矢引きにするか1ヒロにするかといった考えでいる人も少なくない。
「そこがアユルアーをやり込んでいる人とやり込んでいない人の違いです。基本的にこの釣りはリールが付いているんだけどショートディスタンスの釣り。ロングキャストをすることもほぼありません。長いロッドのメリットは遠くの真上から直下の筋がねらえること。アユザオほどは長くないですが、長くなる傾向にあり、視認性のよいリーダーを使っている人と使っていない人では釣りの快適さがまるで違ってきます」
そう語る吉島さんが愛用しているのは鮎ルアーAMSリーダーFC(サンライン)。「僕はこのリーダーをPEラインの先に130cmほど接続しているんですが、まあ見やすい。配色が絶妙なんですよ」
スナップと接続するリーダーの先端65cmはクリア。「この部分は水中にあるから色はいりません」クリアの上にオレンジが15cm。そして5cmのブラックを挟んでイエローグリーンが15cm。そして5cmのブラックを挟んでピンクが15cm。そして10cmのブラックがあって、クリアカラーと続くカラーパターン。
「このブラックが非常に効果的です。三色だとグラデーションになって曖昧になるんですが、ブラックが引き締めるから棒ウキの目印みたいに目立つんです」

1サイクルの内訳はクリア65cm、カラーリング部分が65cmで計130cm。その上に結ぶPEラインはオールマイト(サンライン)。コア(芯)に高比重繊維を内蔵させた比重1.48のシンキングタイプで「これまた非常に見やすい」とお気に入りだ。
「オールマイトはピンクの単色やオリーブも見やすいですが、今年追加されたオレンジがとても見やすい」配色はオレンジが450cm、ブラック10cm、ホワイト30cmブラック10cmと来て、またオレンジ450cmと続く。
「見えやすいだけじゃないんです。強い流れを受けてもスラックが出にくくルアーに対して直線的な軌道を描きますので、圧倒的な操作感と高感度が得られます」

長良川下流でラインとルアーの実力をテスト
7月上旬のこの日、吉島さんが向かったのは長良川下流。長良川は上流から郡上漁協、長良川中央漁協、長良川漁協と3つの漁協が管轄しており、その中でアユルアーが楽しめるのは最下流の長良川漁協管轄で、禁漁区を除く全域でリールを使ったアユルアーの釣りがOKだ(長良川中央漁協管轄の片知川でも金門橋より上流800mはアユルアーができる)。
都内在住の吉島さんだが、出身が美濃であることと、会社の関連施設も美濃にあり、アユルアー関連のイベントも西日本を中心に多いことから、アユルアーが解禁となった昨年以来、アユルアーのホームグラウンドは長良川下流とのこと。
「今年は天然遡上が良好でして、6月の解禁から非常によく釣れています」

リーダーが友釣りの目印と同じ役割を果たす
この日、一緒にサオをだしたのは地元の小川隆さん。サオも格好もすべて本格的な友釣りマンだが、メタルラインを張った仕掛けの先にはアユルアーのTAGIRI流斬100Fがセットされている。
「趣味のアユ釣りは郡上へ行って友釣りを楽しんでいます。ただ最近は下流でアユルアーができるようになったのでやってみたら、これが想像以上に面白かったですね。下流エリアはもともとオトリ店もなく、釣り場としてのポテンシャルは地元民ながらよく知らなかったんですが、アユルアーをきっかけにサオをだしてみると、意外と釣れるんで驚いています(笑)」
と笑う小川さんの仕掛けは友釣りの流用ということもあり、水中イトの部分には化繊で編み込まれた目印が4~5個並んでおり、いま、自分が操作しているルアーはこの目印を見て大体の位置を把握している。
「ルアーを上に引いたり、ちょっと下流に送り込んだり、斜めに横切らせて扇状に探る際も目印を見ています。自分はアユルアーもノベザオでしかやったことがないんですが、目印がないと釣りがアバウトになってしまいます」と小川さん。
「目印は効果的ですよね。でもリールザオにはガイドがあるから目印を巻き込んでしまうとロッドを破損するなどのトラブルが起きてしまう。目印を付けずに目印に近い効果が得られるのがこの鮎ルアーAMSリーダーFCなんですよ」と吉島さん。

流れに強い「流斬100F」で若アユをキャッチ
そんな会話をしながら、鵜飼い大橋上流にある、この区間では一番大きな瀬をねらうふたり。6月前半から中旬にいい思いをしていた吉島さんに対して地元の小川さんは「6月下旬も天然遡上のよく引く魚が楽しませてくれていたんですが、6月末から急にサイズがダウンしました。魚が移動したのか、それともこの辺りは投網も盛んなのでその影響なのか。それでも天然遡上ですので型は小さくとも引きはかなり強いです」と話す。
この流域では一、二を争う規模の瀬が金華橋下流と鵜飼い大橋上流にある。吉島さんたちはこの2つの瀬を上下にローテーションして探ることが多い。
「私どもがリリースしている流斬100Fは激流専用を謳っております。アユは流れの強い瀬を好みますし、ナワバリを持つ強いアユほど速い流れにいると思っています。ですので、長良川下流域でも流れが強くて速いこの2つの瀬を中心に探っています」

当日も金華橋下流での1投目から若アユがヒット。強い瀬の中で掛けると一気に下るため一瞬いい魚が掛かったかと思うが、抜き上げてみるとルアーと大差がないサイズで苦笑い。鵜飼い大橋上流で小川さんと並んで数尾ずつをキャッチしたが6月に釣れ盛った良型は姿を消して若アユばかり。
「これはこれでとっても楽しいですが、できればこのラインとうちのルアーの組み合わせによるバラシの少なさも証明したいですね」と吉島さん。
流斬100Fには流心にステイさせやすくするためのアウトシンカーや、潜行しながらもルアーの動きを抑制させる水の抵抗を逃がす構造のリップなどさまざまなギミックが施されているが、中でも愛用者から支持されているのがBN(BareNikui)システムだ。
「友釣りの逆バリから着想を得たこのシステムは、アユが掛かった際にテール部のチューブシステムがルアー本体から外れることで、テール部からの短ハリスがフロントアイにセットしたハリス止めからの長ハリスになることでやり取りの際の遊びが大きくなりバラシが減ります。また、テール部を基点にしたやり取りはルアーそのものの水抵抗が大きくバラシが増えますが、フロントアイを基点にすると水抵抗が減ってバレにくい。さらに鮎ルアーAMSリーダーFCはフロロカーボン特有の硬さやごわつきがなく、適度なクッション性を備えているので、さらにバレにくいシステムが完成します」

昨年よりアユルアー解禁の益田川支流へ
午後になってアユの活性は若干高くなってきたが、サイズに大きな変化はない。夕食みに賭けるかと思案したのち、「小川さん、ボクらは門和佐へ行ってくるよ」と吉島さん。
益田川漁協が管轄する益田川本流の中山七里(中原大橋~帯雲橋)と門和佐川全域で昨年からアユルアーが解禁になり、吉島さんも今年、門和佐川へ何度か足を運んでいるという。
「追い気の強い湖産アユを放流しており、今の長良川下流よりは型もいい。このところ渇水でよくないと聞いていますが、昨日は久しぶりに夕立ちがあって増水からの引き始めでいいかもしれない」と、急遽、下呂方面まで大移動。支流の門和佐川に架かる田ノ尻橋に到着したのは16時前。まだまだ明るい時間帯ながら山が深いため太陽が隠れるのはもうすぐだった。

橋の下流の堰堤の下から続く絞られた早瀬が吉島さんのお気に入りエリア。「小場所なんですが流心が掘れていて水深が1mくらいあります」
基本的に立ち込むのは膝下までの浅場ねらいが信条の吉島さんだが、立ち込まずにこんな深みもねらえるようにと現在、流斬100FのMR(ミディアムランナー)を開発中。
「といってもほとんどすでに完成しています。来年のシーズン前には発売できるはずです」と言ってアウトシンカーがない流斬100F MRを流心に送り込む。すると間もなくルアーの周りで黄色い閃光が見え始める。夕食みが始まったのか、それともナワバリへの侵入者を追い回しているのか。
「うお、来た!」道中、追い気が強いナワバリアユがいれば一発で来ると語っていたとおりの展開だ。しっかりBNシステムが作用して、ほどなくして水面に浮かせたのは体高のある20cmオーバーだ。時間をかけて撮影したのち、同じ筋でもう一発激しいアタリをものにして同サイズを追加。これには「往復3時間以上の寄り道も苦にならないよ」と満面の笑みで帰途に就いたのだった。


\あわせて読みたい/ アユルアー(アユイング)完全ガイド【仕掛け・ルアー・釣り方・装備まで解説】

\あわせて読みたい/ アユルアー(アユイング)を1年やって気づいた4つの大事なポイント
※このページは『つり人 2025年9月号』を再編集したものです。