船のタコ釣りの基本を解説！　2022年最新トレンドも　第2回（全3回）

竿釣りの魅力と道具

レポート◎編集部

　ここ数年で人気が急上昇中の船からのマダコ釣り。これ以上ないという手軽さが魅力であり釣りビギナーでも充分にチャンスがある。と同時にハマると奥が深く、抜け出せない沼のごとしだ。手釣りとサオ釣りのキホンのキから応用まで解説する。

この記事は月刊『つり人』2020年8月号に掲載したものを再編集しています

竿釣りの魅力と道具

　キャスト自体が楽しい。ボトムを感知しながらのズル引きやボトムバンピングはまさにボトムとの会話でこれまた楽しい。アタリを察知して掛けていく攻撃的なスタイルも楽しい。ルアーやリグを工夫することも楽しい。これこそがサオ釣り、つまりエギタコあるいはタコエギなどと呼ばれる釣り方が受けている理由だろう。

終始ニコニコしながら良型をコンスタントにキャッチしたのぞみさん。やはり去年からタコ釣りにハマったという

　サオ釣りは数釣りも得意だ。遠投して広く探れるためとテンヤよりもタコ餌木のほうがフッキングさせやすいからだ。また千田船長は「餌木の力もありますね。タコは本当に餌木が好きでチョッカイを出してきますから」と。

　サオはタコ釣り専用ロッドがおすすめだ。これら専用ロッドの特徴は１５０～１８０cmと船からキャスティングのしやすい長さであること、タコが抱いた重みを察知しやすく根掛かりをかわしやすい先調子であること、アワセが決まりやすくボトムに張り付いたタコを剥がすことのできるバットパワーがあること。これらの特徴が備わっていれば、ヤリイカザオやテンヤタチウオザオ、ロックフィッシュロッドなどを流用しても構わない。

専用ザオのティップは乗りを弾かないようにしなやかに曲がるが、バットにパワーがあるためアワセがしっかりと決まって底から一気に剥がしてくれる

　リールはＰＥラインの３～５号が１００ｍ巻けるベイトリールで、巻き上げる力の強いローギアタイプの丸型タイプがベター。

　ＰＥの先にはフロロカーボン８号前後を１ヒロ前後結ぶのが一般的。スムーズにキャストをするにはリーダーの結束部分が小さいほどガイドの抜けもよくＦＧノットに代表される摩擦系ノットなら強度も申し分ない。結び目をガイドまで巻き込まないでキャストするなら電車結びやループtoループなどの簡単な結束方法でもＯＫ。

タコ餌木は2本セットで使うことが多い。オモリ用とは別にスナップが2つある専用スイベルがあると便利

　太い渋イトに重いオモリを使った釣りに比べると総じてライトであり、感度のよさにつながる。タコ釣り歴５年でサオ釣り歴は１年という安藤直輝さんによれば「手釣りのときは乗りを察知して、じっくりと聞いてからアワセを入れていたのでタコに張り付かれてしまうことも多かったですが、サオの釣りになってからは最初の触りを察知したら即アワセを入れるので底に張り付かれることがほとんどなくなりました」という。これも大きなメリットだ。

糸はPE。リーダーはなしでもOK

もちろんリーダーあり派が主流。ド派手な集魚パーツをセットするのも容易だ。指でしごいてキズの有無もチェックしやすいのでこまめにカットして万全の状態が保ちやすい

右舷の胴の間で20パイ以上をキャッチしていた木村則和さんはリーダーなしのＰＥ直結の仕掛けだった。ちなみに黄色い餌木の背中に乗っているのは豚の脂身

　一方、タコ釣りの場合は小突くことはあっても連続したシャクリなどは入れないためＰＥラインのフック絡みなどのトラブルはほぼない。また、リーダーがないからといって乗りが極端に悪くなることもなく、この日も直結の人が20パイ以上釣っていた。

　リーダーがあれば、タコベイトやティンセルなどのアピールギアをセットしやすいこと、強すぎるＰＥラインだけだと根掛かり時に難儀してしまうこと、先端にキズが入ったらこまめにカットして常に安定した強さで挑めるなどメリットも多い。

　一方、ＰＥ直結の場合は、結び目のガイドの巻き込みを気にしなくていいのでキャスト時のトラブルが減ること、リーダーの結びなおしの手間がなく結びの失敗によるすっぽ抜けなどもないことがメリットだが、直接ガレ場に触れることからキズが入りやすいのはデメリット。フロロカーボンリーダーのように指でしごいただけではなかなかキズの有無の判別はつかず、思わぬタイミングでプツっと切れてしまうこともある。

第3回「餌木はタコ専用のものを」へ続く……

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『イカ・タコは海の魔術師（マジシャン）である！』

イカ・タコの観察をライフワークにしている水中カメラマンの尾崎幸司さんがこれまで見てきたイカ・タコの不思議や知られざる生態を詳らかにする。日本のイカ・タコ生態の権威である東京水産大学・奥谷喬司名誉教授をはじめ、イカ・タコ釣りの名人やイカ・タコ漁師との興味深い対談も収録。また生態に関して全編を奥谷教授に監修の協力を仰いだサイエンス本である。