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つり人編集部2026年7月19日

【ショアジギング】そのジャーク、見切られているかも?青物が食う3つのプロセス

何のためにジャークをするのか? 撃投ブランドを立ち上げ、30年にわたって育て続けてきたオーナーばりの吉成秀人さん。3つのプロセスを意識することで、ジグの釣りは奥深いものになると話す。ショアジギングの先駆者に、その楽しさを余すところなく語ってもらった。

著者:吉成秀人

解説◎吉成秀人

写真と文◎つり人社編集部

オーナーばり企画営業課。トレブルフックST-66をはじめ、数多くのルアー用品を手掛ける。撃投ブランドの開発者であり、ショアからのジギングを広めてきたパイオニア。

岸から青物が釣れることを誰も知らなかった時代

ロックショアというジャンルも黎明期と発展期を過ぎ、いまは成熟期となった。撃投ジグを企画した当時は「岸から青物を釣る専用ジグです」と営業先で案内しても「岸から青物なんか釣れんやろ」と言われるような時代が確かにあった、たかだか30年ほど前の話ですと吉成さんは振り返る。

吉成さんはオーナーばりの営業と企画の両方を長年担ってきた。ST-66やSTXなどのトレブルフック、ジグヘッド類、そして撃投シリーズ……。物の形をつくることが好きだという吉成さんが手がけてきた製品には、一貫したコンセプトがある。

「心がけてきたのは、ロングセラーとするために、地味に地道に長く提案をし続けること。釣具店・メーカー・ユーザーその三方向全てにメリットがあること。この2つですね。4年にひとつのジグというペースで新タイプのジグをリリースし、気付けば30年経ちましたね」

今でこそ大手釣り具メーカーも参入し、トップウォータープラグの釣りを中心にロックショアというジャンルが盛んになりつつあるが、トップの誘い出しというジャンルができてからまだ15年ほどだという。その登場によって大型魚が釣れるようになり、人気に一気に火がついた一方で、最近始めた人はジグを経験せずにプラグの釣り一辺倒になっている人が多いのが現状だと吉成さんは言う。

「見えない水中をイメージして食わせる。そんなジグの奥深さを知れば、プラグの釣りにも必ずフィードバックされますから、ジグの水中探知の味わいを知らずにいるのは実にもったいない。大型魚って長く続けていればいつか釣れるんですよ。でも水中を感じ取りながらイメージして1匹を釣っていく面白さは、プラグの釣りとはまた違う奥深い楽しみがありますよ」

撃投ジグシリーズ6種。左から発売順に、撃投ジグ、撃投ジグエアロ、撃投ジグレベル、撃投ジグウルトラスロー、撃投ジグストライク、撃投ジグレイドバック(オーナーばり)
撃投ジグシリーズ6種。左から発売順に、撃投ジグ、撃投ジグエアロ、撃投ジグレベル、撃投ジグウルトラスロー、撃投ジグストライク、撃投ジグレイドバック(オーナーばり)

青物ならではの3つのプロセスを理解する

青物の捕食行動には、他の魚にはあまりない特有のプロセスがあると吉成さんは言い、それを1.発見、2.追尾、3.捕食という3段階に整理している。この3つを意識するかどうかで、ジギングの深みはまったく変わってくる。

「1は魚がルアーに気付くこと。ルアー側からみれば光や波動でアピールするということです。2が他の魚と圧倒的に違うところで、青物は20mでも30mでも追いかけてくる。遊泳力があるがゆえに付き場に固執せずに追ってくるんです。たとえばヒラメならせいぜい2mくらいでしょう。そして3がジグの前に回り込んで頭から捕食するということです」

この3プロセスを踏まえると、ジャークの意味が見えてくる。1段階では魚に気付かせるため、2段階では見切らせずに追尾させるため。3段階ではフォールをきっかけにして食わせるということだ。

「セミナーで、何のためにジャークしていますかと聞くと、答えられる人はまずいませんね。たとえば、潮がさほど濁っていないなら、4~5回ジャークすればキャスト範囲の魚はジグに気付いているはず。だから1の割合は少なくていいんです。2でいかに見切られずに追尾させるかが重要となり、3の捕食へ移行する瞬間を見極める。トップやプラグではそれがわからないんですよね。波紋が見えたとしても、それは2の終盤であって、実ははるか前から水中では魚が追いかけてきているはずなんです」

また、ジグにはラインが張るという特性から、潮の水圧を感じ取れる。等速でジャークしてくると、ラインのテンションが緩む瞬間がある。それは魚がチェイスしてきているサインだと吉成さん。

「これはその日の海に自分の感覚が馴染み、鋭敏になっているときにわかるのですが、追尾したり、まとわりついているときはジグにかかる「圧」が変化するんです。それを感じたらジャークのリズムを、追尾してきた魚から逃がすように早めた後に突然フォールさせればバイトに持ち込める。追尾から捕食へ意図的に移行させる妙味は、ジグならではのものだと思います」

疲れにくいロッドの持ち方は、握り込まず、下から支えるだけ。手首を捻るだけでジグをしゃくることができる
疲れにくいロッドの持ち方は、握り込まず、下から支えるだけ。手首を捻るだけでジグをしゃくることができる

ジグはセンサーでもある~潮の変化を感じ取る力

吉成さんがジグを投げ続ける理由は、ジグには潮の変化を感じ取る「センサー」としての役割があるという。

「水面には何も変化がなくても、潮が動き出したというのがわかるのがジグです。潮の向きが変わるときというのは、いきなり逆方向には動かないんですよ。少し揺らぐ時間がある。長ければ数分もの間、右に行ったり左に行ったりを繰り返しますね。このタイミングが絶好のチャンスなのですが、これはプラグだけ投げていても、感じ取ることができない。ジグを投げ続けているからこそ“今がプラグを入れるチャンス!”とわかるんですよ」

その揺らいでいる時間は濃密な時合だ。ジグに反応しなければ即座にダイビングペンシルやポッパーに切り替え、それでも反応がなければ次々にルアーを変えていくと吉成さん。

「僕は決してジグ信者じゃないですよ。センサーとしてのジグとランディングに有利なプラグ、これをしっかり使い分けることが大切です。ジグで掛けるとプラグと比べてランディング率が著しく落ちますからね。なぜかと言うと、プラグは魚が追尾しフッキングするまでの1秒程の間に人間側が先に迎撃態勢を取れる。人が先です。ジグはそれが逆。いきなりドスンとくる。魚が異変を察知するほうが早く、アングラーが態勢を整えるのに1~2秒はかかる。バイト前と後の合計わずか3秒の違いは、魚の疾走距離にして15m以上にもなる。そこがジグだとランディングが不利になってしまう正体だと思います」

撃投ジグのフォールの違いと速度の緩急を活かす方法

撃投ジグは現在6タイプのラインナップがある。飛距離特化のエアロを除く5タイプは水平姿勢でフォールする設計で、それぞれフォール中の挙動が異なる。これを使い分けてほしいと吉成さん。

「水平姿勢だから食うという訳ではなく、ジャークからの速度の緩急を大きくすることができ、タメを作れることがポイントだと考えています。魚はジャーク後にフォールへ入る減速のタイミングをねらいすまして食ってくる。撃投ジグではフォールの仕方に違いがあり、きりもみするように落ちていくレベル、ある程度わかっている人が使うと思い通りに動かせて釣れるのがノーマル、激流仕様で真下に落ちるストライク。ジグを使いこなせる自信があるならレイドバックをぜひ使ってみてほしい。ここぞというときに効きます。一番人気があるのは誰でもよく釣れるレベルかな」

素材面にも独自のこだわりがある。耐久性こそがショア用を謳える理由だと吉成さんは言う。撃投ジグには軟らかい鉛を使うことで、ぶつけた箇所だけ塗装が剥がれる仕様になっている。しかし、そのままだとすぐに曲がってしまう。そこでタフボーンと呼ばれる鉄板を内部に入れることで頑強になっている。もし曲がってしまっても曲げ直せば使えるのだ。

撃投ジグがショア専用設計たる所以は耐久性の高さ。塗装の剥がれにくさに加え、タフボーンという、SUS製のプレートで頑強
撃投ジグがショア専用設計たる所以は耐久性の高さ。塗装の剥がれにくさに加え、タフボーンという、SUS製のプレートで頑強

ボトムで食わせるのはジグにしかできない

ジグの扱い方で差がつく場面として、吉成さんが特に強調するのが着水直後の姿勢管理とボトムでの動き出しだ。

「意外とみんながやっていないのが、着水後5mくらいまでのジグの姿勢管理です。それ以降はリーダーやPEが水圧を受けてジグが引っ張られるので立って沈んでいくんですが、それまでにラインをパンッと張ってジグを立てないとフォールが遅くなって最悪の場合は着底もわからなくなります。どんなジグでもやるべき基本の所作です

着底からの底切りで青物を食わせる演出

そしてボトムでの操作。ここを疎かにしているアングラーは非常に多いと吉成さんは言う。ジグは大抵の場合、着底から10シャクリ以内で食ってくるというのが、長年の経験から導き出した答えだ。

「着底からの底切りをタン(着底)→タン(ベールを返しリフト)でやるよりも、タタン!を意識するべきです。つまりタ(着底)→タン(瞬時にリフト)が理想。スプールのエッジにPEラインを指で強く押さえて、まずリフトし、その後ベールを返すようにしています。30cmでもいいから即座にジグを底から離す。その後はゆっくりシャクっても大丈夫。青物はフォール中にジグに付いてきており、ボトムに追い詰め、逃げ場を失って進路変更した直後のベイトを吸い込もうとしますからベイルを返すような「タン・タン」というリフト挙動では遅いんです。偽物であると見切られてしまいます。根魚を釣るわけではなく、すでにジグを追尾してくる青物を底切りの演出で食わせる。とても集中するところです。この演出はジグにしかできません」

ただし、ヒラマサやカンパチをボトムで食わせるのは危険だとも話す。なぜなら着底前にプロセス発見と追尾を終えており、着底のタイミングでいきなり捕食のプロセスに入るため、あっという間に根に潜られてしまうからだ。ヒラマサ、カンパチねらいなら着底後すぐに早巻きで15シャクリくらいして根から離してから食わせるという作戦が有効だ。

吉成さんはタイイングツールを持ち歩き、出張先などでアシストフックを自作している
吉成さんはタイイングツールを持ち歩き、出張先などでアシストフックを自作している

ブリとヒラマサで異なるジグの選び方

青物の二大ターゲット、ブリとヒラマサ。その違いを吉成さんはこう話す。

「ヤマメとイワナの違いに近いですね。ヒラマサはヤマメのように扁平なので反転が得意で、足もとまで寄せてもキュッと回れる。ブリはイワナみたいに丸いから反転が難しい。これがジグ選びにもつながっていて、ブリは8~10kgクラスになると動きの大きなジグには付いてこられないのか反応が悪くなってくる。レイドバックのような真下に穏やかに落ちていくジグのほうが効果的。ヒラマサは大きくなっても反転できるから問題ないけど、ブリにはこういったジグの差があるんですよ」

フォールのタイプを選ぶことは、カラーセレクトよりもはるかに大切だと吉成さんは強調する。ジグの色については「反射か発光かの違い程度」という考えで、信じ込める色を持っていて投げ続けるメンタルを維持できればよいとのこと。

「おすすめの色ありますか?ってよく聞かれるんですけど、何色で釣ったことがありますか?って聞き返すんですよ。たとえばピンクと言われたら、それがあなたの釣れる色ですと答えます。爆釣タイムに別の色も試して、信用できる持ち駒を増やしていくのがコツですね」

ドラッガーブレイクスルー 910H-3 JS(ダイワ)は、実は吉成さんが監修したジグスペシャルのロックショア用ロッド。「わがままをかなり聞いてもらいましたが、おかげで素晴らしいサオになっています」
ドラッガーブレイクスルー 910H-3 JS(ダイワ)は、実は吉成さんが監修したジグスペシャルのロックショア用ロッド。「わがままをかなり聞いてもらいましたが、おかげで素晴らしいサオになっています」。ガイドは軽さを最優先してシングルフットになっている。強度も問題ない。

掛かりと刺さりは別物~アシストフックの選び方と自作の極意

アシストフックについて、吉成さんは基本的に自作するという。ジグに合わせたサイズや形状を自由に選べるだけでなく、できるだけ水圧抵抗を受けないようにスリムに仕上げる。熱収縮チューブを使わずにマニキュア等でコーティングするのが吉成流だ。

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「ジグに何も付いていない状態が理想ですからね。アシストフックはハリの形状だけでなく、ツインかシングルか、リングの大きさ、アシストラインの太さや長さ、中芯の太さでもジグの動きや操作性に影響してくるんです。いろいろ試していくとこれまた奥が深い」

吉成さんが今最も多用しているのはファイアフックだ。特に4.5/0サイズは、20kgのヒラマサにも対応しつつ100~120gのジグに最適な、4/0の大きさに5/0の太さというサイズで、「ほぼ自分用(笑)」と語る。完成品アシストフックであるファイアツインも人気だ。

掛かりと刺さりをなるべく両立させた万能型がファイアフック。完成アシストフックのファイアツインは合わせるジグウエイトも表記されており人気
掛かりと刺さりをなるべく両立させた万能型がファイアフック。完成アシストフックのファイアツインは合わせるジグウエイトも表記されており人気

フック形状はアクションで使い分ける

掛かることと刺さることは別です。両方を極めたハリというのは実現できない。ストレートポイントは掛かりはいいけど刺さらない。カーブしたハリ先は掛かりにくいが、掛かってからはハリ先と力の向きが同じベクトルになるから刺さり込んでいく。使い分けとしては、巻きやジャークで掛けに行くイメージならストレートポイントのジガーライト早掛やジガーミディアムロックを、フォールで食わすならジガーライトシワリや、ジガーミディアムチェイスを選んでください。またすべてをひとつのタイプでこなす万能型としては強度的にもサイズ、重量的にもファイアフックがお勧めです。4.5/0と5/0のツインを持っておけば、ほぼ磯では万能です」

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ストレートポイントのフックは掛かりがよい。しかし、力とハリ先のベクトルがずれているため刺さり込むには力がいる。ハリはジガーライト早掛。写真左)
ハリ先がカーブしていると力とハリ先のベクトルが同じになるため刺さり込みやすい。しかし、ハリ先が内側にねむっているため掛かりはよくない。ハリはジガーライトシワリ。写真右)

ナイロンのロングリーダーでジグの動きを変える

リーダーシステムはとても大事と話す吉成さん。大多数のアングラーとは大きく異なり、ナイロンを6~8mと長くとっている。理由はシンプルで、伸びを利用するためだ。

「ジグがカクンカクンとアクションするときにバイトがあった試しがない。跳ねたらダメなんです。バイトに持ち込むにはヌメヌメした曲線的な動きのほうが有利なんですよ。カクカクした動きは、せいぜいプロセス1の段階だけで充分で、2~3ののときにそんな動きを入れたら見切られる。軟らかい動きをPE+フロロカーボンという伸びの少ないシステムでやるのは難しくて疲れてしまいます」

ナイロンロングリーダーのメリットはそれだけではない。ライントラブルが少なく飛行姿勢が安定するため飛距離も伸びる。魚が掛かった時も伸びてくれるから口切れしにくく、バラシも減る。ジグが水面に出た瞬間の重みによってハリが外れることも防げる。

ナイロンを6~8mと長く取り、伸びを利用することでジグの暴れを防いでいる

ロックショアではどうしても根ズレが課題になるが、吉成さんは先端にフロロカーボンを1ヒロ追加することで、対策している。また、ずり上げ時にはこの結び目が手に引っかかって滑らずに扱えるというメリットも生まれるそうだ。

「PEは4~5号、ヒラマサなら80ポンド中心に50~100ポンドのナイロン、先イトにフロロカーボンの20~24号を入れています。PEとナイロンはFGノットで結束していて、ナイロンとフロロカーボンは電車結びか三つ編みで結んでいます」

ただし、リーダーは1日に2~3回は交換しているとのこと。

ナイロンリーダーと先イトのフロロカーボンは電車結びか写真のような三つ編みで結ぶ
ナイロンリーダーと先イトのフロロカーボンは電車結びか写真のような三つ編みで結ぶ

ロックショアにもメタルジグの選択肢を

「ロックショアはプラグの釣りが登場してから一気に大型魚が釣れるようになり、人気にも火が付いた。でもそのスタイルに限界が来つつあるのが今だと思います。改めてジグを使ってもらって魅力を知ってほしいですね。個人的には磯釣り文化の末席にルアーを認めてほしいというのを目標にしてこの釣りを伝え続けてきました。最近は磯釣りジャンルのひとつとしてルアーが認められるようになった。渡船文化の存続にもなる。これが何よりうれしいんです」

ルアーも磯釣りの1ジャンルとなった。渡船文化も含め、このフィールドでの釣りを残していきたいというのが吉成さんの想いだ
ルアーも磯釣りの1ジャンルとなった。渡船文化も含め、このフィールドでの釣りを残していきたいというのが吉成さんの想いだ

※このページは『つり人 2026年6月号』に掲載した記事を再編集したものです。

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