流れに同調させて漂わせるだけで、魚が口を使う。そんなスローシンキングミノーの可能性と魅力を存分に秘めた『モルフ50SS』を携え、道東の渓流へ。ダウンクロスでも扱いやすい操作性も武器にして、盛期前のやや低活性なトラウトを見事に誘いだした。

写真と文◎North Angler's編集部
北海道での釣りをメインに、北海道の自然を体感するキャンプの情報や、フィールドを守るための環境問題にも光を当て、多角的な視点からアウトドアライフを提案している「North Angler's」の編集部。
スローシンキングミノー「モルフ50SS」の実力を試す
新緑が渓流を鮮やかに彩り、本格的なトラウトシーズンの到来を予感させる5月下旬。株式会社ティムコ・フィッシング部企画営業課の小林友剛さん、同社フィールドスタッフの渡部真吾さんとともに、道東地方の川を訪れた。ここに来るのは昨年11月中旬、本誌「North Angler's 2025年冬号」の取材以来およそ半年ぶり。
「あのときは朝の気温が氷点下でしたよね。タフコンディションに苦労しました」
準備を整えながら渡部さんがそう言うと、小林さんも笑顔を見せる。
「今日は暖かくなる予報ですし、条件としては悪くないと思います。ただ、魚がどんな反応をするかはやってみないと分かりませんね」
そんな会話を交わしつつ、午前4時に支流と本流の合流点へ降り立つ。河畔にはまだ朝特有の張り詰めた空気が漂っている。期待と不安が入り混じるなか、開始早々にドラマが起こった。
開始早々に46cmニジマスをキャッチ
「食いました!」
小林さんのロッドが弧を描く。慎重なやり取りの末、ネットに収まったのは46cmのニジマス。かすかにサビの残る魚体には、厳しい冬を越えてきた力強さが感じられた。
「岸際でライズした魚が見えたので、鼻先へルアーを送り込むイメージでドリフトさせたら、すぐに反応してくれました」
ヒットルアーは『モルフ50SS』。スローシンキング仕様ながらしっかりと水をつかむためダウンでも扱いやすく、泳ぎだしからアクションレスポンスがよいのが特徴。
「ヘビーシンキングだとドリフト時に沈みすぎてしまうことがあります。その点、スローシンキングのほうが意図したレンジをじっくり探りたいときに有利ですね」
小林さんはそう話す。横で聞いていた渡部さんも続けた。
「この絶妙な〝浮遊感〞がいいんですよ」
確かに、モルフ50SSが水中で見せる存在感はきわめて自然。流下する陸生昆虫や水生昆虫を連想させる。トップウオーターに反応しきらない魚へのアプローチとしても大きな武器になりそうだ。
ダウンクロスで「送り届ける」モルフ50SSの使い方
幸先のよいスタートを切れたが、その後は沈黙の時間が続く。二人は支流を釣り上がるものの、トラウトからの反応はなかなか返ってこない。
「まだ少し時期が早いのかもしれません。魚の活性も低い気がします」と、川を見つめながら渡部さんがつぶやく。
ここまでアップクロスとダウンクロスを織り交ぜて探っていたが、徐々に後者主体の組み立てへ移行していく。追い気のない魚に対して、ルアーをじっくり見せる作戦だ。
「こういう日にも、モルフは強いです」
キャストの合間に渡部さんが話す。
「アップでもダウンでも使えるんですけど、流れを利用して送り込むような釣りだと、さらに持ち味が活きます。沈めて流しているだけで食う場合もありますし、魚のいるスポットへ〝届ける〞感覚で操作することが多いです」
送り届ける―。その表現は、モルフ50SSの特性を端的に表わしている。流れと同調させたときに生まれる自然な漂いが、警戒心の強いトラウトに口を使わせるのだろう。
移動先でもモルフ50SSが結果をだす
しかし、依然として状況は厳しいまま。午前7時を迎えたタイミングで移動を決断。向かった先は、半年前に渡部さんが値千金のニジマスを手にした川。ところが、入渓地点には先行者の姿があった。
「やっぱり入っていますね」
「休日ですし、考えることはみんな同じです(笑)」
予定を変更し、上流側からエントリー。プレッシャーの高さを懸念したが、再び小林さんが結果をだす。ダウンクロスで流心へ送り込んだモルフ50SSに、丸々と肥えた40cmクラスのアメマスがヒット。
「見えましたね。完全に下から食い上げてきました」
あろうことか、ここでカメラマンに痛恨のミス。撮影準備中に魚が脱走してしまったのだ……。頭を抱えていると、小林さんは笑ってフォローしてくれた。
「まあ、パターンは合っているということで(笑)」
ファストシンキングミノーとの使い分け
途中、渡部さんはファストシンキングミノー『ナビア50FS』にチェンジ。流れの強い淵をダウンで探っていく。するとヒットしたのは、婚姻色に染まった美しいウグイ。本命でないとはいえ、魚が反応するレンジやコースを確認できたことは大きかった。
「アプローチ自体は間違っていませんね」
そう話す渡部さんの表情には、確かな手応えがうかんでいた。
52cmニジマスをダウンクロスで仕留めた歓喜のハイタッチ
渡部さんは本番に強い。それをあらためて実感したのは、取材終盤だった。
手前が岩盤、その先が深く掘れた淵になっているポイントに立つと、渡部さんはモルフ50SSをダウンクロスでキャスト。ねらったレンジまで沈めた後、軽くトゥイッチを加えながら引いてくる。
「出た!」

渡部さんが叫んだ次の瞬間、ロッドが一気に絞り込まれる。ひったくるようなアタリだった。魚は流心へ向かって走り、何度も激しく抵抗する。冷静にいなしながら距離を詰めていくと、やがてレッドバンドが水面近くに浮上した。

「今です!」
小林さんの差し出したネットに魚体が滑り込み、勝負あり。52cmの見事なニジマスだった。
「やりましたね!」
「いやぁ、うれしいです!」
思わず交わした二人のハイタッチと歓声が、静かな渓流に響き渡る。
朝イチの良型から始まり、沈黙を経て最後にたどり着いた大もの。自然に流し込み、魚の潜むスポットでじっくり誘えるというモルフ50SSの本領が、最高の形で発揮されたのであった。
使用タックル解説
◎使用タックル(渡部真吾さん)

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ロッド ティムコ『パスプルーバーPRV51GSL-2 Spicy“G”』:カーボンをコンポジットしたグラスロッド。柔軟なティップがショートバイトも自然に乗せてくれる一本。「モルフとの相性は抜群です」と渡部さんは言う。
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リール シマノ『19ヴァンキッシュC2500HG』
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ライン シマノ『ピットブル8』0.8号
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リーダー サンライン『トルネードSV-1』3号
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メインルアー ティムコ『モルフ50SS』:モルフ(Morph)は特定の遺伝子によって生まれた、通常とは異なる色や模様のバリエーションを指す。水平フォールとスローシンキングならではの浮遊感を備えた小粒ミノー。キレのあるローリングでベイトフィッシュを演出し、トゥイッチでは逃げ惑う姿を再現。さらにドリフト時は、流下する陸生昆虫や水生昆虫を思わせるナチュラルなアプローチが可能。状況に応じて複数のベイトを演じ分け、幅広いシーンでトラウトを魅了する。 サイズ:50mm 3.1g

※このページは『North Angler's 2026年夏号』に掲載した記事を再編集したものです。



