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つり人編集部2025年7月28日

【敦賀沖イカメタル】激シブ攻略のヒントとは?釣り方とカラー選択で釣果に差

釣り人たるもの、新製品は気になるに決まっている。ましてや新作シリーズとなればなおさらだ。論より証拠というように、どんな説明よりもこの釣果がすべてを物語る。

関西で人気の遊漁船『エフバイエフキックス』の船長を務める田中亜衣さんは、タイラバゲームの黎明期よりシーンを牽引するエキスパートアングラー。イカメタルゲームにも造詣が深く、シーズンが始まるとケンサキイカを求めて日本海へ釣行する。今回は連日の海荒れが治まった6月2日、敦賀港の『一美丸』に乗り込んだ。

写真と文◎伊藤巧

深場での流し釣りにスルメイカがヒット

午後6時前に出港して1時間ほど敦賀沖を北上し、スルメイカが好調に釣れている水深100mほどのエリアに入った。

潮が利いていたので船長はパラシュートアンカーを投入し、25号のスッテを使うようアナウンス。夕日を眺めながら流し釣りがスタート。ミヨシに釣り座を構えた田中さんは、さまざまな状況に対応するためタックルを4セット用意。空が明るいこともあって、まずはオモリグタックルを手に取った。

「まだ明るいので釣れるとしたらボトムです。イカメタルで縦に釣るよりも、キャストしてボトムを線で探ったほうが効率的なのでオモリグから始めます」田中さんはオモリグを潮上にキャスト。

ワンピッチで5回巻き上げてはロングステイを繰り返して船下まで寄せ、そのまま3mずつ刻みながらボトムから20~30mを探っては打ち返した。この日の主役はスルメイカ。底から中層まで広く散らばっており、入れ掛かりとはいかないまでもポツポツと上がっている。

オモリグ用ドロッパーの選択方法

オモリグの鍵はドロッパーエギ。場面ごとに釣れるドロッパーエギを選択できるか否かで明暗が分かれる。イカの反応を伺いながらローテーションさせていくことが極めて重要。カラーローテーションは多くのアングラーが実践しているが、フォールの“速度"や“姿勢"を選択肢に加えることで、より幅広い対応が可能になる。

田中さんは汎用性に優れる「ゲキダキドロッパー」に加え、「ゲキダキドロッパーゴーマルフォール」と「ゲキダキドロッパードリフト」を持参。ノーマルは15度の姿勢で5秒/mでフォールする。ゴーマルは50度の姿勢で7秒/m、ドリフトが水平姿勢で10秒/mでフォールする。このゴーマルやドリフトでしか釣れない局面がある。半夜便でも船上が沈黙する時間帯が何度か訪れるが、そんな場面でこそ積極的にドロッパーエギを交換して、渋ったイカの反応を引き出したい。

ゲキダキドロッパー
フォールの姿勢と沈下速度が異なる3種類のゲキダキドロッパー。潮の流れ具合やイカの活性に応じて使い分ける

田中さんのお気に入りはゴーマル。「ゴーマルは極端な前方重心に設定しているので、潮が緩い状況下でのロングステイでも上に引っ張られてテールが垂れず、じっくりと誘うことができます。ドロッパーの近くにイカの気配を感じながらも抱いてこないときや、イカパンチはあるけれど掛からない場面で、瞬間的にサオ先を下げてテンションを抜いてやると、潮に乗って水平姿勢をキープしているゴーマルが一瞬下を向いて再び水平姿勢に戻ります。このリアクションに訴えるメソッドは、イカの活性が低い場面で抜群の威力を発揮します。同じようにドリフトも、じっくりイカにフォールを見せることができるので、潮が流れていない局面や活性が低いと感じたときに結びます。どちらのドロッパーエギが有効なのかは、実際に現場で試して確認してください」

また、リーダーの長さを調整することでもイカの反応は変わる。「ゲキダキイカメタルリーダーオモリグ」は、リーダーが150cmと長めの設定なので、イカの活性や掛かり具合に応じて短くカットして使うと効果的とのことだ。

ゲキダキイカメタルリーダ
4タイプのゲキダキイカメタルリーダー。地域ごとのルールに則って使いたい。オモリグのリーダーが長めなのでカットして使うこともできる

イカメタルタックルに切り替え、ケンサキねらい

午後7時を回って辺りが暗くなって集魚灯が効いてくると、上層でもスルメイカが釣れだした。単発的なケンサキイカも含めて船中ではドロッパーを付けたイカメタルリグで釣果が上がっていたので、田中さんもイカメタルタックルに持ち替える。そして、ほどなく穂先が大きく入って待望のヒット。オモリグと同じようにボトムから3m刻みで巻き上げてはロングステイでアタリを待っていたところ、ボトムから10mほど上でドロッパーに乗ってきた。ボトムでのヒットだったのでケンサキイカを期待したが、顔を出したのはスルメイカだった。

イカメタルで釣れたスルメイカ
今シーズンの福井沖はスルメイカが好調に釣れている。

グラスのソリッド穂先が仕掛けを安定させる

イカメタルゲームにおいて釣果を伸ばす秘訣は釣れている人を真似ることだが、田中さんはあえて周囲と合わさずボトムを中心にスローな釣りを展開してケンサキイカをねらった。ケンサキイカねらいの鉄則は、貪欲なスルメイカに気付かれないようこっそり釣ること。大きく仕掛けを動かさず、ロングステイでアタリを待つ。仕掛けは動いていなくても、潮に乗ったドロッパーはフワフワとケンサキイカを誘い続ける。そんな繊細な釣りには、船が揺れても仕掛けが暴れないしなやかなロッドがマッチする。

今回田中さんがメインで使った「ゲキダキシャフトエクストロGDX-C68UL」は、サオ先がグラスソリッド、ベリーからバットがカーボンソリッドというハイブリッドなフルソリッドロッド。長めのグラス部分が余分な動きを吸収して仕掛けの安定に大きく貢献する。

波やウネリで船が揺れる日やミヨシに釣り座を構えたときでも仕掛けを安定させやすく、アタリの回数も増える。身切れも軽減する。

「最大の魅力は海が荒れて仕掛けのコントロールが困難な状況下でも、サオ先が揺れを吸収して仕掛けを安定させてくれること。自分の技術ではどうにもならない場面で持っていると重宝します」

今回のように重いメタルスッテを背負うとサオ先が大きく曲がり込んで水面に対して垂直に立つので、サオ先の塗装部分をウキに見立ててアタリを捉えることができる。たとえ不透明なアタリでも荷重変化がカーボンソリッドを通して手元に伝わってくるので手感度も上々とのこと。また、6ft9inと長いのでストロークが大きく、サオ全体を使った誘い上げや送り込み、鋭いフッキングなど、メリハリの効いたゲームが楽しめる。

ゲキダキシャフトエクストロ
田中さんはあらゆる局面を想定してゲキダキシャフト4セット持ち込んだ。上から順に
ゲキダキシャフトGDS-S65M-OMO/しなやかに曲がってキャストをフォローするライトオモリグスピニングロッド。目感度に優れる
ゲキダキシャフトGDS-C510MH / 30~40号の重いメタルスッテをストレスなく操作できるベイトロッド
ゲキダキシャフトGDS-C510ML /全国的に使用頻度の高い20~30号のメタルスッテを軽快に操作できるベイトロッド
ゲキダキシャフトエクストロGDX-C68UL /船が揺れる状況下でも10~ 30号のスッテをストレスなく操作できるフルソリッドロッド

ケンサキねらいは厳しい状況

「ケンサキイカを釣りたいので、イカメタルもオモリグと同じようにボトムから30mまで誘っては落とすを繰り返します。中層でスルメイカが釣れ盛っているならタナを合わせていきますが、そこまでの勢いで釣れていないですし広く散らばっている雰囲気なので、ケンサキイカが期待できるボトムを中心にネチネチと探っていきます」と、ボトムを意識して打ち返したが、それでもヒットするのはスルメイカだった。

「どうやら今夜はケンサキイカが極端に少ないようなので、ある程度で見切りを付けてスルメイカねらいに切り替えるつもりですが、100mの水深で上から下まで散らばっているので、なかなか釣りづらい局面ですね…」

明確な攻略パターンが見えないので、切り替えのタイミングをつかめないまま時間が流れていった。

広範囲に散らばるスルメの攻略法

ボトム付近の釣りに徹していた田中さんだが、上から30mでケンサキイカが釣れたとアナウンスが流れたのをきっかけにボトムを見切り、残2時間は中層の釣りに切り替えた。

「今からスルメイカをねらいますが、広範囲に散らばっているので釣りとしては非常に難しい状況です。浅場ならボトムから広く探っても苦になりませんが、さすがに100m超えともなると効率が悪い。そこで上から10mずつ刻みながら下に探っていきます」

70mにイカをねらう大型魚が回遊しているので、20mから60mまで探っていくとのこと。この上層から下に刻みながら探っていくスタイルが見事にハマり、仕掛けを止めた直後に穂先に明確なアタリが連発。手返しよく上層で次々とスルメイカをキャッチした。

イカメタルで釣れたスルメイカ2
沈黙するケンサキイカの穴を埋めるに充分なサイズのスルメイカが次々と釣れた

上層から探る釣り方の手順

この釣り方の手順は次のとおり。

  1. サオ先を下げた状態でリールをフリーにして仕掛けを10m落とす(近くのスルメイカが反応して仕掛けを追いかける)
  2. 10m落としたところで、すぐに大きくサオを目一杯シャクり上げる(目の前からスッテが消えてスルメイカにスイッチが入る)
  3. サオ先にスッテの負荷を感じながらゆっくりテンションフォール(フォール中にテンションが抜けたら即アワセ)
  4. サオ先を下げたところでステイ。仕掛けを止めた直後にアタリが出るので穂先の変化に集中する
  5. 5秒ほど待って反応がなければ1に戻る(ケンサキイカも釣れる状況なら、ステイの時間を長くする)
イカメタルの誘い-1
サオいっぱいのシャクリからテンションフォール。仕掛けを止めた瞬間にアタリが出る

カラーローテーションも意識

さらにスルメイカを意識したメタルスッテとドロッパーのカラーローテーションも連続ヒットを演出した。田中さんは2回打ち返して反応がなければ手早くドロッパーやメタルスッテを交換していた。

イカを強く刺激するケイムラの紫や赤でようすを伺い、蛍光オレンジ、ピンクと、次々とローテーションさせてヒットカラーを探った。今回は黄色のドロッパーに黒のメタルスッテ、ピンクのドロッパーにケイムラ紫のメタルスッテの組み合わせで連続ヒットとなった。カラーが合わなかったり、同じカラーを使い続けると、すぐにスルメイカがスレてアタリが途切れがちになり、反応があっても掛かりが悪くなるのでこまめにローテーションすることが肝要とのこと。

田中亜衣さん
この日はケイムラ紫のメタルスッテにピンクのドロッパーの組み合わせが抜群によかった

最後にケンサキイカも登場

そして、午後11時30分の沖上がり直前に小さく穂先が入り、最後の最後に切望していたケンサキイカがヒット。田中さんは「完全に諦めていたのに、本当に釣りって分からないものですね」と笑顔でサオを置いた。イカメタルはゲーム性に富んでいる。イカの行動を予測しながら自分なりに試行錯誤することでより多くのアタリを引き出すことができる。自分でヒットパターンを見つける楽しさを味わったら、きっと魅了される。

ケンサキイカ-2
最後にケンサキイカが登場。この日は渋かったものの7月以降に期待

見事に反応が変わるスッテのカラー選択

イカメタルゲームの要となるメタルスッテとドロッパーは、なるべく多くの種類を用意しておきたい。田中さんは10~40号の「ゲキダキスッテメタル」と「ゲキダキスッテ」の75と90を用意。

ゲキダキスッテメタル
ゲキダキスッテメタルは10~40号の13カラー。ケンサキなら地味な緑や黄緑、スルメには赤やケイムラ紫、黒が効く

ドロッパーとメタルスッテのカラーセッティングについては同系色を避け、どちらに反応するのかを見ながらローテーションさせていく。カラーの選び方は、強→中→弱を意識すると分かりやすい。強いカラーは赤と紫、そしてシルエットがはっきり出る黒。弱いカラーが緑や黄緑。中間に位置するのが白や黄が混ざったピンクにチャート。いずれもケイムラやグローが加わると一段強くなる。

強いカラーからようすを見て、反応が今ひとつならば徐々に弱くしていくのがセオリー。日没直後から深夜に向かって光量は変化していくので、いつまでも同じカラーで通さないこと。周囲に気を配って全体に釣れているカラーに合わせ、さらにケイムラやグローでアレンジするとアタリが多くなる。ただし、スルメイカをかわしてケンサキイカを釣りたいのであれば、目立たせないよう弱いカラーのなかでローテーションさせるとよい。

今回ケンサキイカは厳しそうと考えた田中さんは、中盤からスルメイカが好む黒(クロオレゼブラ)と紫(パープルヘッドイレグイケイムラ)のメタルスッテを多用して釣果を伸ばした。ドロッパーは黄(レッドヘッドイレグイイエロー)を筆頭にイレグイピンクやイレグイブルー、アオハラミカンがよかった。

ゲキダキスッテ
ゲキダキスッテは75mmと90mmの2サイズで13カラー。ゼロ浮力設定なので潮乗りは抜群で、巻き上げを止めるとぴたりと止まる

※このページは『つり人 2025年8月号』を再編集したものです。

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