フロロカーボンの性質は硬い。それが食わせの障害にもなる。「もっと柔らかくできるじゃろ」そう言って磯釣り界の鬼才・松田稔さんが監修したのが、柔軟性極まる食わせ特化型ハリスである。

文◎月刊つり人編集部・佐藤
1946年創刊の雑誌「月刊つり人」を始め、数々の釣りに関するコンテンツを作成してきたつり人社の編集部。
磯釣り界の鬼才・松田稔が求めた究極の「食わせ特化型」ハリス
発売から20余年。「極めて強い」と絶賛されているフロロカーボンハリスが、サンライン「トルネードブラックストリーム」だ。監修したのは、磯釣り界の鬼才と称される松田稔さん。60cmクラスのオナガメジナを1.5号で取る──松田さん本人がそんな荒業を成し遂げ、テレビや雑誌で強度を証明してみせた歴史がある。また編集部に入って約20年、これまで取材した多くの名手が「1ランク細番手が使える」と全幅の信頼を置くハリスでもある。
フロロカーボンの正体は、ポリフッ化ビニリデンというフッ素系樹脂(プラスチック)だ。耐摩耗性が高いため根ズレの多い磯釣りにマッチし、比重が高いことも、軽い仕掛けを落とし込むウキフカセ釣りに向いている。
イト質が硬いという特性はあるが、サンラインでは3、4種の異なる原子を混ぜ込み、その調整によって強度、伸度、しなやかさの異なるフロロカーボンハリスを生み出してきた。そして「トルネードブラックストリーム」は、その中でも最高峰の強度を誇る。このハリスを「もっと柔らかくしたい」と言う松田さんの一声で生まれたのが、「トルネードブラックストリーム極」(以下「極」)である。
柔軟性を追求した「トルネードブラックストリーム極」
HPの製品解説によれば、『通常のブラックストリームの柔軟性を6段階評価で4とすると、「極」は特許秘術により、10cm間隔で5と6の異なる柔軟糸質に変化させている』とある。やや分かりにくいため、サンラインの渡辺一正さんに話を聞いてみた。
「ハリスをしなやかにするには、イト質を柔軟に変化させる成分(液体)を注入するんです。仮に6という柔軟成分があったとして、それをイト全体に均等量入れるのではなく、6の成分と5の成分を10cm間隔で交互に入れ込む。すると、柔軟性の異なる部分の境界が支点になり、曲がりやすくなるんです。鎖のようなイメージの構造と言えます」
想像すれば分かるとおり、この製法は相当な手間がかかる。通常品が70m巻きなのに対し、「極」が50m巻きで販売されているのは、この手間賃といってもよいだろう。
柔らかいハリスのメリット:違和感のない吸い込みと素早い馴染み
ハリスを柔らかくするメリットは2つある。ひとつは、魚がエサを吸い込む際に違和感を抱きにくいこと。もうひとつは、ハリスの馴染みが早くなることだ。
フカセ釣りは寄せエサの沈下に付けエサを同調させてフワフワと落とし込む釣り。この際、ハリスが硬い(張りが強い)と、タナへの素早い到達をさまたげてしまう。松田稔さんが特に注意するのは、付けエサの先行である。魚からはハリスが見えず、エサが点として見える角度で流し込む。そのためには仕掛けの馴染ませ方が極めて重要で、この操作に松田さんは全神経を集中しているといっても過言ではない。百戦錬磨の鬼才が「もっと柔らかく」と求めたハリス。そのニーズが、いかに仕掛けの馴染みに影響するかが分かるだろう。
もちろん通常モデルと同等に強度は高い。松田さんはクチブトメジナのテストでは0.8号も使うそうだが、今作は0.6号からラインナップ。それだけ細いハリスでも対応できるメジナがいる自信の証といえるだろう。食い渋る魚に、しっかりと口を使わせられるハリスほど心強いアイテムはない。
トルネードブラックストリーム極 スペック

カラーは光の反射率を抑え、潮によく馴染むサンライン独自のブラッキーカラー。50m巻き。
商品名:トルネードブラックストリーム極
号数:0.6・0.8・1・1.25・1.5・1.75・2・2.25・2.5・2.75・3号
価格:3,400円
公式ページ:サンライン公式サイトへ
※このページは『つり人 2026年3月号』に掲載した記事を再編集したものです。

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