パコンッという小気味よい音でルアーが吸い込まれる魅惑のトップゲーム。なぜトップウォーターなのか。そしてどうすれば多くのバイトを引き出し、フッキングに持ち込めるのか。そのA to Z をキャスティング新大宮バイパス店の石川さんに教えてもらった。
叩き続けるとアタリ連発?!
写真と文◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2021年9月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
近年、東京湾の沖釣りで人気沸騰のタチウオ。これまではテンビン仕掛けの釣りやジギングが主流だったが、昨年ブレイクを果たしたのがテンヤタチウオである。大阪湾周辺で盛んだったテンヤ仕掛けを東京湾で使うととにかく大型が釣れると大評判!食わせるというより、引っ掛ける要素が強い。掛けにいく、攻めの釣りが面白すぎる!
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港前に定着する神出鬼没な幽霊魚
7月初旬、大津港いなの丸のタチウオ船は平日にもかかわらず2艘出しの満船だ。なぜならポイントは大津港から約5分。目と鼻の先に釣り場があり、連日大盛況なのである。この日の7日前に進水したばかりという新造船を操る22歳の野池吉友船長は言う。
「ここ数年、大津沖では大型の台船が停泊しています。海底を掘ったり、夜でもライトを煌々と点けて作業をしています。そのおかげでタチウオのエサとなる小魚が集まりやすくなったんですね。まるでオフシーズンがなくなったと思えるくらい、ずっと釣果が出ています」
タチウオは「神出鬼没」、「幽霊魚」と言われるくらい群れの所在が変わりやすい魚であるが、それが定着しているというのだから驚く。また大津港は走水に観音崎とタチウオの名ポイントがすぐ側にあり、もともと群れが密集しやすい環境なのも釣果が持続する要因のひとつだろう。また温暖化の影響か東京湾のタチウオの漁獲高は増加傾向にある。周年群れが抜けにくくなったともいわれている。
最盛期は夏
さて、夏はタチウオの盛期である。食い気満々な中、小型サイズも増え、活性が高まった群れは水面付近の浅ダナまで浮く。例年7~8月はジギングおよびテンビン仕掛けのエサ釣りが大にぎわいとなる。そして急激な盛り上がりを見せる第三の釣法、テンヤタチウオの釣果も上向いてくる。
テンヤタチウオはもともと大阪湾でフィーバーしたエサ巻きテンヤを使用する釣り方。東京湾ではごく近年ムーブメントになり、完全に火が点いたのは昨年からだろう。人気の理由は異様に高いヒット率で指5本、6本以上のメータオーバーが釣れるのだ。なぜ大型ばかりが釣れるのか? 高槻慧さんは言う。
「まずテンヤは小型が食べにくい仕掛けです。エサのイワシも頭を切るだけで、ほぼ丸のまま付けるのでアピール度も高いです。それと小さな切り身を使うテンビン仕掛けと比較すれば、ハリを飲まれにくい。結果的に大型が取りやすいのだと思います」
もともとテンビン仕掛けのタチウオ釣りが得意だった高槻さん、4年前に大阪湾の洲本沖でテンヤタチウオに初挑戦。「これは面白い!」と熱くなり、すぐに作法を覚えたという。大阪湾は東京湾のように格別ドラゴンがヒットしやすいわけでもない。つまり、サイズアップだけがテンヤ釣りの魅力ではないのだ。「テンビン仕掛けはテンビンオモリの先にハリスがあり、小さな切り身エサが付いています。テンビンの先にある小さなエサの動きをイメージして釣りますが、テンヤの場合はもっとダイレクト感の強い釣りになります。食わせるというより、掛けにいくイメージで釣ることが多い。とことん攻める釣りだから面白いんです」
している釣法はとてもアクティブな「動」の釣りである。見た目はカワハギ釣りのタタキ、もしくはエギタコ釣りのシェイクという感じの、とことんロッドを上下してテンヤを揺すりまくる釣り方だ。複雑な操作はないものの運動量はとにかく多い。その名も「ノンストップバイブレーション」と言う。
とことんタタキ続けるノンストップバイブレーションの構えは、グリップ上部を支えてサオを揺すると楽ちん
次回はテンヤタチウオに必要な道具について紹介します!▶▶▶ ドラゴンをねらう。東京湾のテンヤタチウオ その2(全3回)