沖釣りファンの間で「姉さん」の愛称で親しまれる、実力派の船釣りエキスパート・三石忍さん。今回は近年人気を高めている和歌山のカワハギ釣りに挑戦し、その理論に基づいた「エサへの工夫」と「ハリの使い分け」を解説してもらった。

解説◎三石 忍
写真・文◎可児宗元 協力◎マルキユー
年間釣行は130日超え。がまかつ「テクニカルインストラクター」、マルキユー「インストラクター」などを務める。カワハギ釣りにおいても、メジャーな全国大会で女性初の優勝を飾るほどの腕前を持ち、その理論に基づいた解説は初心者からベテランまで多くの支持を集めている。著書に、自身のノウハウを凝縮した『すぐに身につく! 釣れる『船釣り』最新テクニック』がある。
目次
三石忍流カワハギ釣りテクニック
今回は近年人気を高めている和歌山のカワハギ釣りに挑戦!和歌山の日ノ岬沖は、古くから関西の人気カワハギ釣り場として知られる。11月上旬、三石さんがやって来たのは比井漁港の岬丸。今年は10月まで暑い日が続いた影響でシーズンの開幕が少し遅れていたが魚のようすはどうだろうか?船は日ノ岬灯台の沖、水深40m前後の海域に向かった。
カワハギの食い方をチェックし、ハリを使い分け
ポイントに到着すると、さっそく仕掛けを投入。三石さんがフワフワとサオ先を揺するとガツガツッとエサ取りのアタリ。いきなり果敢にハリ掛かりしてきたのは小さなエソ。その後もしばらくエサ取りのアタリが止まらず、着底した途端にキタマクラ、その他のフグ、トラギスなどの猛攻に遭う。
三石さんはエサ取りをかわすため、底を少し切ってフワフワと揺すりながらサオ先をじわっと持ち上げた。すると「カンカンッ」というカワハギらしい金属的でサオ先を激しく叩くアタリ。上がってきたのは20cm級の良型カワハギだ。そこからはハリスをまめに交換しながら数尾の本命を釣りあげていく。
「やっぱりシーズン初期ということでカワハギの群れがまだ固まっていない感じ。あと、今日はカワハギの捕食スピードが遅いですね」とのこと。
朝イチからいろいろと試しながらチョイスした正解のハリのセッティングは、上の2つのハリに『競技くわせ』(セイゴ系)の4.5号のハリス10cm、下バリに『ワッペン速攻』(ハゲバリ系)の3号のハリス10cmの組み合わせ。
「ハリスは最初より少し長いものに替えました。食いが渋い時なのでロングハリスでなるだけナチュラルな動きを演出しつつ、主にセイゴ系のハリを使ってエサを吸わせて釣っています」と三石さん。
「私は1日中ハリをミックスさせながら、いろいろと試してみて、魚がどの位置で掛かるか?どのハリがいいのか?を常に模索しながら状況にアジャストさせていくことを意識してます。その際に大切なのは、第1に『魚の捕食スピードが速いか遅いか』、第2に『エサを吸い込んでくれるのか?あるいは吸い込んでくれないのか?』です。その2つをしっかり見極めて仕掛けやエサをセッティングすること。ちなみにパッと見では分からないだろうけれど、エサもセイゴ系とハゲバリ系とで2種類を使い分けてるんですよ」と言う。
エサの硬さを調整する
三石さんが見せてくれたのは2つのアサリエサ。一見すると色や大きさに違いはないのだが……。
「よぉ~く見て。『カワハギゲッチュ』に入ってるままのアサリがこっち。全体がギュっと硬く締まっているでしょ?これはハゲバリ用に使っているものです。で、もう一方はよく見るとワタの部分がぷっくりとみずみずしく、柔らかくなっています。分かるかな?」
「このぷっくりしているほうは、カワハギゲッチュを前の晩から『軽締めアミノリキッド』に浸けたものです。アミノリキッドに浸けておくことでワタの部分だけが柔らかくなる。つまりカワハギがエサを吸い込みやすくなるんですよ。で、アミノリキッドの凄いところは、ワタの部分は柔らかくするんだけど、水管やベロの部分、つまり締まっていて欲しい部分はしっかり締まった状態をそのままキープしてくれるところなんです」と言う。
ハゲバリでエサがカワハギの口先に入った瞬間を捉えて掛けにいく場合は、エサは取られないようにしっかり硬いものであることが大事。カワハギゲッチュはエサを取られにくい、硬く締まったしっかりとした身が特長なので、その場合は元のまま使う。一方、アミノリキッドに浸けたものは魚に違和感なくしっかり吸わせられるエサというわけだ。
「ちなみにアミノリキッドは生剥きアサリの保存にも最適なんですよ。海水で締めた場合と違って、ダレたり腐ったりしないのもポイントです」とのこと。カワハギ釣りでは多用途に使える便利アイテムなのだ。
基本の仕込みとフレーバー加工
カワハギ釣りのエサ作りで大切なのは「エサの硬さ」と「集魚効果」と三石さん。
「アサリって、カワハギが普段食べているエサではないですよね。カワハギは普段はイソメなどの虫エサだったりロープや岩礁帯にいるエビ、カニといった甲殻類を食べています。だから人間側が使いやすいアサリというエサに、普段食べている甲殻類のフレーバーを足す。いつも私が使っている『ウマミパワー』のエビフレーバーをアサリにかけることで、マッチザベイトが成立するというわけです。すると集魚効果が各段に向上するんです」と三石さん。
その後、船は水深50m前後の漁礁周りを経由したあと、最後は水深35mのポイントに入ると入れ食いタイムに突入。上がってくるカワハギは一日をとおして小型が少なく、20cmクラスの良型が揃って楽しめた。これからが最盛期を迎える日ノ岬沖のカワハギ釣りは、今年も期待できそうだ。
カワハギエサの加工手順まとめ

【基本の加工】
【ワタをふっくらさせる場合】
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- 全体を軽締めアミノリキッドに浸ける。前の晩にやっておくとよいが船上でもよい。
【さらにアサリ全体を締める場合】

アミノ酸αやウマミパワー(エビフレーバー)で魚を寄せる成分を添加しつつアサリを締め、さらに締めたい場合はバクバクソルトや旨〆ソルトも使うと効果的。
※このページは『つり人 2026年1月号』の記事を再編集したものです。



