秋の河川シーバスを代表するのが、産卵を終えて弱りながら流れ下るアユを食わせる「落ちアユパターン」。いつ、どんな川で、どう流せば食うのか。シーバスやトラウトの釣りを得意とする浅川和治さんに、時期の見極めから投げる方向、流し方、使うルアーまで基本を教わった。

解説◎浅川和治
シーバスやサクラマス、そしてトラウトの釣りを得意とする。モーリスフィールドテスター、ジップベイツプロスタッフ。
落ちアユは、産卵を終えて弱りながら流れ下るアユ
秋を代表するベイトパターンのひとつとして知られるのが落ちアユ。各種のベイトが入り乱れる秋ではあるが、アユの遡上する河川ならば、産卵後のアユを捕食する「落ちアユパターン」でエキサイティングな釣りを楽しめる。
「アユという魚は年魚。つまり、一年で産卵を終えて世代を継いでいく魚です。その産卵後の体力の弱ったアユが瀕死の状態で流下していく。この状態をシーバスファンの間で『落ちアユ』と呼ぶわけです」
アユは人間が食べても美味しい魚ゆえに、捕食が簡単な落ちアユは、さまざまなフィッシュイーターのターゲットとなる。鳥ではカワウやサギ類、そしてミサゴがねらい、魚ではナマズやシーバスの栄養素となる。まさに大人気のベイトフィッシュだ。
時期は水温でずれる。ピークは10月後半〜11月、12月末の例も
パターンの成立には、アユが産卵を終えて流下し始める必要がある。これは、いったいいつ起こるのか。
| 段階 | 目安 |
|---|---|
| 始まり | 早い川で9月終盤から。関東は10月前後から |
| ピーク | 10月後半〜11月いっぱい |
| 終わり | 11月下旬ごろまでが一般的 |
| 遅くなる例 | 水温が下がるのが遅い年は晩秋〜初冬。高知県の河川で12月の終わり |
「地域によって異なりますが関東地方だと10月前後からが多いです。全国だと早いところでは9月の終盤から始まり、11月下旬ごろまでが一般的だと思います。ただ、温暖化の影響か、水温の低下が後ろにズレる傾向があり、アユの産卵が晩秋から初冬にかけてというケースも出てきています。実体験として高知県の河川では12月の終わりに、他の釣り方では釣れず、落ちアユパターンだけが成立したこともありました。基本的にピークは10月後半~11月いっぱいくらいだと思います」

成立するのは、シーバスが遡上できるアユの川
アユが生息する川のどこで落ちアユパターンの釣りが成立するのか。
「最も重要なのは、シーバスの遡上能力です。いくら、その場所でアユが産卵して流下していても、そこにシーバスがいなければ落ちアユパターンは成立しません。シーバスの遡上の一番の障害となるのは堰堤です。上流まで遡上したアユも、中流~下流まで川を下ってから産卵しています。その産卵を終えたアユが流下する場所に堰堤がないほうがチャンスは大きいですね」
シーバスの遡上を妨げる堰堤がどこにあるか?産卵場所がどこにあるか?そして釣りをしやすいロケーションであるか?そこからベストな場所を読み解くのがキモになる。
釣りやすいのは夜。アユの産卵は夕方から夜半
「アユの産卵は、ほぼ夕方から夜半にかけてです。シーバス自体は、産卵が始まる前からアユの群れを意識していると思います。そして産卵後だけでなく、産卵準備のアユをねらったシーバスもいるはずですよね。ただ、産卵後の落ちアユは上流に遡る体力は残っておらず、ピクピクと生体反応を残しながら流下していく。捕食しやすいのは、こうした落ちアユが集まりやすい場所と時間帯。となると釣りやすいのはナイトゲームですよね」
また夜明け後など、明るい時間帯にも落ちアユの流下はあるだろうが、日が出るとカワウやサギなど鳥類のエサにもなってしまう。夜間はシーバスが落ちアユを捕食しやすい時間帯なのだ。
落ちアユパターンの釣り方はアップクロスが基本
「一般のリバーシーバスの釣りではクロスや角度の薄いダウンクロスでドリフトさせるのがセオリーですが、落ちアユパターンに関してはダウン側から引っ張って上流に泳いでしまうと、それは落ちアユではなく、通常のベイトになってしまいます。それで釣れればいいんですが、やはり落ちアユに依存して偏食状態になったシーバスは口を使わないケースもあります。なので、落ちアユでマッチ・ザ・ベイトの釣りをするならアップクロスです」
巻く速さは流れと同じに。ロッドは立て気味で
「アップクロスだとルアーの泳ぎを感じづらいですが、だからといって速く巻きすぎないでください。下流側に泳いではダメ。キモは流れと同じ速度で巻いて流すことです」
それでも流れの速度と方向は一定ではないため、流下しながらもルアーは流れに揉まれながら揺らぐ。この動き、泳ぎが落ちアユパターン攻略には重要なのだ。
「流れにシンクロさせて流すコツは、ロッドの角度を立て気味にして巻いてくることも大事です」
使うルアーの種類とおすすめルアー5選
「ミノーは一般的にシャローミノーと呼ばれるフローティングかフォール速度の速くないシンキング。トップは自分的には、ただ巻きでウェイクアクションを出してくれるモデルの使用頻度が高いですね。そしてシンキングペンシルですが、これを最初に使うことはないです。まずはトップとミノーで様子をみて、それで反応がない時に中層からボトムにかけて転がすように流して使用します。ただし、この釣りは根掛かりの可能性もあるので注意です。根掛かりを外そうとすると場も荒れてしまうので、最後の手段とします」
| ルアー | 使い方 |
|---|---|
| トップウォーター | ただ巻きでウェイクアクションを出すモデル。使用頻度が高い |
| ミノー | フローティングか、沈下の遅いシンキングのシャローミノー |
| シンキングペンシル | 最初には使わない。反応がない時に中層〜ボトムを流す。根掛かりに注意 |
トップウォーター/K-TEN リップルポッパー140
浅川さんが昔から落ちアユの釣りで多用するモデルで、ただ巻きでウェイクする。「ザ・スプラッシャーやポッキーなどもよいと思います。落ちアユの釣りではロッドでアクションを入れることはほぼありません」

ミノー/ジップベイツ ザブラシステムミノー15F
細身でオスの落ちアユに似たフォルム。使用頻度の高い落ちアユベーシックモデル。ちなみにどのルアーでもナイトでは落ちアユ系カラーや暗い川ではパールホワイト系を多用。デイではマットチャートとマットブラックが高実績

ミノー/ジップベイツ ザブラミノータイダル111Fリボーン
シャローの釣りに特化させるために作ったミノー。細かいウォブンロールで流れていく。体高があって薄い偏平ボディなのが特徴。最近の小型化したアユの多いエリアにもマッチ。シャローエリアでも根掛かりがしづらく使いやすい

ミノー/ジップベイツ ザブラウィスパー127SY
流れの速度と強さにシンクロする特性を持たせたスローシンキングミノー。流下させながら巻いてもノー感じになりにくく、流れの強弱と流速を感じやすい。潜るためのスローシンキングではないので、根掛かりもしづらい

シンキングペンシル/アイマ ハニートラップ95Sカルトラ
数多くのシンペンがあるなか、浅川さんが落ちアユの釣りで愛用するのがこのモデル。少し軽めのウエイト設定で、キャストして一発目での根掛かりを避けられるのがメリット

釣果を伸ばすシークレットアイテムは「PEにシュッ!」
通常のシーバスゲームでは1号以上をほぼ使わないが、落ちアユパターンでは1.2号を使用することが多いという。
「浅瀬を釣ることもあり、ラインが岩のすき間に入ってしまうこともあるので太めを巻いています。あと、この時期はいいサイズのシーバスが釣れるのも理由ですね」
そして、シークレットはPEにシュッ!の使用だという。
「アップ系の釣りではラインがフケやすく、そのまま巻いてくるとフカフカ巻きになりやすい。PEにシュッ!を吹いておくと張りがアップしてフカフカになりづらいのが利点です」
この記事は『SEABASS Life』No.14に掲載したものを情報更新・再編集しています。




