バスルアーメーカーのデプスが初のエギ「サカマタダート」「サカマタダートTR」を送り出す。これまで培ってきたルアー開発の発想をエギへ投入。代表の奥村和正さんに、その開発経緯とねらいを聞いた。

解説◎奥村和正(おくむら・かずまさ) まとめ◎月刊つり人編集部
1996年にデプスを創業。バスロッド「サイドワインダー」、スピナーベイト「Bカスタム」を皮切りに、ビッグバスに照準を絞ったルアーで確たる支持を集める。2015年、ウェブメンバー向けに「サイドワインダーエギングモデル」を発売。2023年、京丹後沖へ社内スタッフ数名とティップラン釣行をしたことをきっかけにエギ開発に着手
目次
バスルアーメーカーのデプスがエギを作ったきっかけ
デプスはバスルアーメーカーですが、ウェブメンバーという会員限定制度があって、そのメンバーの中には秋のイカのシーズンになるとエギングに行って、その帰りに琵琶湖に立ち寄ってエギングロッドでライトリグを遠投してバスを釣るなんて人が結構いた。ぼく自身はエギングをやろうとは思わなかったけど、夢中になる人が多くいる面白い釣りだという話はずっと聞いていました。そこで、メンバー向けに限定販売のエギングロッドやティップランロッドを作って販売していたんです。
2023年に、たまたま海の船を譲り受けた。ちょうどティップランロッドも作っていたことだし、じゃあ社員研修みたいな感じでスタッフを6、7人乗せてティップランに行ってみようか、となった。ぼくは船長で、イカ釣りなんか全くやったことがなかったんですが、フィッシュイーターだからだいたい居場所は一緒だろうと思ってやってみたら、行く先々でスタッフはイカを掛けていました。
ティップランで自分だけ釣れなかった理由
ただ、午前中はぼくだけゼロだった。「なんでやろう」と考えて、アタリがとれていないことに気づいた。そこからティップでアタリを感じ取るようにしていったら、1パイ目が釣れた。そのときに、こんなに今まで見逃してたんかと思った。同じようにイカがエギを抱いていたのに、自分だけ全然釣れなかったのは、ちゃんとアタリを取れていなかったからだとわかって、そこからだんだん数を伸ばして、結局その日はスタッフの中でサオ頭にはなれました。
それでバスとは違う面白さがあると感じて、そうなるとすぐ「作りたい」となるのが性分です。面白いエギが作れないかと思ったとき、バスで培ってきたものをフィードバックできないかと考えました。それが「サカマタダート」「サカマタダートTR」開発のきっかけです。
バスルアーから受け継いだフィンとスプリングウエイト
サカマタダートの特徴のひとつが、バス用ソフトベイトのサカマタシャッドにつけている頭部のフィン。サカマタシャッドはノーシンカーリグのジャークで水面へ跳ね上がるようなダートが出せるシャッドシェイプのバス用ワームとして発売したルアー。
もっと言うと、キャロライナリグのスティックベイトを上反りになるようフックにセッティングしてジャークすると上に跳ね上がる動きになる。それを琵琶湖を拠点にしていた某有名アングラーが使っていて、琵琶湖のガイドたちが誰も釣れなくて頭を抱えているときにボコボコ釣っていたという話があった。ただ、フックのセッティングが非常に難しいという話も聞いていて、じゃあ、まっすぐ刺しても上に跳ね上がるルアーを作ればいいじゃないか、というのがサカマタのフィンの裏話です。そのフィンをエギにつけたらどうだろうと。明確な目的があったというよりは、思いついたので試してみることにしたんです。
パルスコッドのスプリングウエイトを、エギで初めて搭載
もうひとつはポッパーのパルスコッドに搭載しているスプリングウエイトです。ボディーにバネ付きウエイトを内蔵するこの仕組みをエギへ搭載するのは世界初で、特許を出願しています。パルスコッドでは、アクションの後に細かな波紋がずっと出続けてポーズ中もバスを誘える視覚的な効果が主なねらいです。エギの場合は目的が違い、イカが触った瞬間に生命感を感じさせられるのではないかと考えました。
ダートのキレと浮力を両立させたボディー形状
最初に作ったサンプルは全然ダメで、ダートもしなかった。そこから意外と難しいぞとなって、本腰を入れて取り組みました。オフシーズンも泳ぎのチェックに行ったりして、2025年の秋にはいい感じに仕上がってきた。
普通のエギには鳥の羽がついてますが、あれってダートの時に抵抗になる。フィンならその抵抗がないので、シュッとキレよく横に飛んでくれるようになった。ダートのキレという点では圧倒的に差があると思っています。さらにフォール中もちゃんと水を押してくれて、ジャークでのダートとフォール中の存在感、その両方をフィンで出せている。
スプリングウエイトが振れる空間とスクエアに近い断面
ボディーの形状も工夫していて、お尻に浮力を持たせるのはどこのメーカーさんも考えてらっしゃると思うんですが、うちはスプリングウエイトが上下左右に振れる空間をワイドに取っているんですよ。この空間が狭いとバネの可動域が狭くなってすぐ止まってしまうんで、そこの余白を広げた。それと断面をスクエアに近い形状にして浮力を確保した。ダートのキレと浮力の確保、そのバランスに答えを出すのはもうトライアンドエラーしかなかったのでそこは苦労したところです。
イカパンチのあとすぐ抱く。シーズン後半に差が出る理由
2025年の秋、仕上がってきたプロトタイプを持ち込んで釣りをしたら、ボコボコに釣れたんですよ。そのとき感じたのが、イカが触った瞬間にボディーが身震いしてるっていうのが効いている感覚で、イカパンチだけで終わらずに、そのまますぐに抱いてくるってことが頻繁にあって。これはちょっと他と違うところだなと思いました。
ティップランって基本的には、イカパンチのアタリがあったら、そこからもう一度フォールさせてボトムまで落として、またシャクり上げてステイさせて抱かせるというパターンが多いでしょう。でもサカマタダートだとイカパンチをもらってすぐフォールさせたら、フォール中にラインがすぐ止まって「あ、もう抱いてた」ってことが何度もあった。触った瞬間に生き物やって思わせて、そのまま抱かせる。スプリングウエイトが効いてる釣れ方だと実感しました。
着底バイトみたいなアタリが他のエギより多いような気もしていて。これも着底時の余韻でボディーがしばらく揺れ続けて、触った瞬間に生命感を感じさせるところが確かに効いてると思っています。はっきり数字で出せるもんでもないんですけどね。
従来のエギとの差がとくに出てくるのはシーズン後半。11月後半になってくると、釣られずに生き残ってきた賢いイカしか残ってないような状況で、頑張って1日2~3バイかなという釣行でも、もうちょっと釣れてくる感じがある。そういう場面を経験すると、やっぱりスプリングウエイトが効いてるんじゃないかと実感することが多いですね。
布巻きなしのモデルと、シリコンスカートの着脱機構
サカマタダートはあえて布巻きなしのモデルもラインナップに入れています。ぼく自身、布があるかどうかで釣れ方に差を感じたことがない。イカにかじられてだんだん布がボロボロになっていくから、全部むしり取って使ってみたけど、同じように釣れた。布巻きなしで発売されたエギがワゴンセール行きになりがちなのも知ってるけど、それでもちょっとざらざら感のある素材を使った布巻きなしのモデルも出そうと。バスルアーで使うようなカラーも入れてますし、釣りは遊びなんやから遊び心があってええと思っています。
お腹側にシリコンスカートを着脱できるギミックも搭載していて、フォール中にスカートがパタパタと震えてくれる動きを出せる。ティップランだと常にエギが船に引っ張られてるんで、フォールだけじゃなくてステイ中もスカートが動いてイカを誘ってくれる。羽がない代わりにそういう仕掛けを乗せられるようにしておこうと。スカートはフラット形状のものを使ってもらったほうがよくて、震え方が全然違います。これもシーズン後半の、釣れなくなってきた時期に効いてきます。
釣れにくくなるシーズン終盤にこそ使いたいエギ
釣りって釣れすぎたら面白くないし、釣れなくても面白くない。このエギについて「釣れすぎて面白くないかも」ってのはあんまり言いたくない。安っぽい売り文句だし、なんか嫌味に聞こえそうやから。ただ、もし釣れすぎて面白くなかったらごめんっていう気持ちも、正直あります。
どのエギでも釣れるときには使ってもらわんでええんですよ。難しくなったタイミングで使ってみてほしい。うちがバスフィッシングで培ってきた技術をふんだんに搭載したエギなので、バスルアーメーカーがエギを作るとこうなる、っていうところを感じてもらえたら嬉しいですね。
サカマタダートTRとサカマタダートの仕様

・サカマタダートTR
3.5号:40g/30g(2ウエイト発売)
3.0号:21g
2.5号:16g
価格:1700円~1800円+税
ECサイト「デプスウェブショップ」で販売中
※2026年10月、3.5号に60g・50gを追加
サカマタダート(2027年春頃販売予定)

・サカマタダート
3.5号:19g
3.0号:15g
2.5号:11g
2027年春頃販売予定
※ウエイトは変更の可能性あり。価格未定
※このページは『つり人 2026年11月号』に掲載した記事を再編集したものです。



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