バスとソルトの両ジャンルで存在感を放ち、近年はイカメタルでも注目を集めるジャッカルが、2026年8月、満を持してショアエギング用の新作エギ「ゲキダキカミナリ」を発売した。企画段階から深く携わった佐々木平磨さんに、開発コンセプトからこだわりの機構、カラー設計、実釣での使い分けまでを伺った。

解説◎佐々木平磨(ささき・ひょうま)まとめ◎伊藤巧
1985年生まれ。滋賀県大津市在住。ジャッカル開発部所属。趣味は鉱物採集と昆虫採集
目次
入門者にも扱いやすい基本性能。約20年ぶりのショア用エギ
今回ジャッカルが送り出した「ゲキダキカミナリ」は、ショア用のエギに求められる基本性能を徹底的に見直して完成した1本だ。ねらったのは、ビギナーでも扱いやすく、それでいて経験者が使っても物足りなさを感じないエギ。「よく飛び、よく動き、よく釣れる」という、いわば王道の性能を高い次元でまとめることを目標に開発が進められた。
ジャッカルがショア向けのエギを手掛けるのは、「餌美」以来、実に20年近くぶりになる。これまでも社内でエギング関連アイテムの企画が持ち上がることはあったが、市場にはすでに数多くの製品が並んでいる。後発で参入する以上、中途半端なものは出せないという判断があったという。それでもアオリイカやケンサキイカをねらう釣りは、いまやルアーフィッシングのなかでも確固たる人気を築いている。ジャッカルとしても、イカというカテゴリーに本格的に取り組む方針を固め、2024年からはイカメタルを起点に「ゲキダキ」シリーズを展開。2025年にはティップラン用の「ゲキダキTR」を投入し、その流れのなかで、ついにショア用の「ゲキダキカミナリ」が形になった。開発期間は約2年。納得できる完成度に到達するまで、細かな調整を積み重ねたという。
エギングは現在も高い人気を維持しており、シーズンごとに新たなファンが加わる裾野の広い釣りでもある。その魅力は自分でエギを積極的に動かしてイカを誘っていく優れたゲーム性にある。だからこそ目指したのは、ビギナーでも簡単にアクションをつけられ、エキスパートであればイメージ通りに操作できるエギだった。このエギに求められる基本性能を突き詰めて、ショアエギングで使用頻度の高い3号と3.5号からリリースとなった。
専用シンカーが生む鋭いカミナリダート
ゲキダキカミナリの開発で重視したポイントのひとつが飛距離だ。ただし、単純に最大飛距離だけを追い求めたわけではない。着目したのはキャストごとの飛距離の誤差を抑え、安定して飛ばせることだった。そのため重要になるのが飛行姿勢の安定である。ゲキダキカミナリでは、テール部にスチール製のカウンターウエイトを配置。これによってキャストから着水までの姿勢が安定し、飛距離のバラつきを抑えている。
近年はマグネット式の重心移動や、エギを逆向きにセットするロケットスタイルなど、飛距離を伸ばすための機構を備えたモデルも少なくない。もちろんそれらの機構は飛距離を伸ばすのに貢献するのだが、トラブルなく使いこなすにはキャストの慣れが必要だったり、セッティングが手間だったりする。ビギナーがストレスなく楽しむことを考えたとき、最初からテール内部にウエイトを固定し、飛行姿勢そのものを安定させたほうが飛距離も伸びて実用的だと判断。それぞれの号数に合わせて最適なウエイトが組み込まれている。
ウエイトの重さを浮力で補うマッスルキール
一方でテールにウエイトを配置すると、強くシャクったときにエギの立ち上がりが鈍くなったり、動き始めが尻下がりになって根掛かりしやすくなるのではないかという懸念も出てくる。そこを解消するためにカウンターウエイトの下に浮力スペースを持つマッスルキールを設けた。このマッスルキールはエギの動きを安定させるための重要な機構であると同時に、テール側に増えたカウンターウエイトの重量を浮力で補正する役割も担っている。もしこの構造がなければ、フォール姿勢が水平に近づき、アクション時にカンナが下がって根掛かりのリスクが高まりかねない。
斧の刃のような専用シンカーがダートの心臓部
製法にはジャッカルのルアー開発で培ってきたノウハウを生かしたインジェクション成形を採用。プラスチック樹脂を金型に流し込むことで、内部パーツの配置精度を高めている。ここではカウンターウエイトの位置決め精度が、安定した性能を支える土台になっている。ボディーの断面は逆おにぎり型。ロッドで鋭くシャクると背面で水を受け、左右へキレよく飛ぶ。
そんな鋭いダートのカギを握るのが、ゲキダキカミナリ専用に設計されたシンカーだ。このシンカーは斧の刃を思わせる独特の形状をしており、先端のわずかな出っ張りを削るだけでも動きが変わってしまうほど繊細だという。コンマ単位の調整を繰り返し、何十個もの試作を経て、ようやく現在の形にたどり着いた。佐々木さんによれば、ここがもっともこだわったパーツであり、製品名の由来にもつながる鋭い「カミナリダート」を生み出す心臓部でもある。
この専用シンカーのおかげで、ビギナーでも簡単にダートアクションを引き出せるという。さらにショートピッチによる細かな連続ダートから、スライド幅を活かしたスラックジャークまで対応。上級者なら状況に応じて思い描いた通りに操作できるはずだ。
フォールの安定が抱かせのポイント
フォールスピードは3号、3.5号ともに1m/4秒に設定。フォールの感覚が変わらないので、エギを交換しても同じリズムで釣りを続けやすい。なお、フォール角度はおよそ45度に設定されている。
カンナには、軽さと硬さを両立したカーボンカンナシャフトを採用した高強度二段カンナを搭載。ボディーに対してやや大きめにすることでフックポイントをロングテーパー化。アオリイカがかすかに触れただけでも食い込んでいく鋭さを備えているので取り扱いには充分な注意が必要だ。カンナの本数は上下それぞれ10本。
ボディー形状の最大の特徴が、先にも触れたマッスルキールである。もともとはゲキダキTRに採用された構造で、フォール姿勢を安定させるキールとして機能するだけでなく、ダート時に必要以上に暴れすぎないようアクションを制御する役割も持つ。キールは後方寄りに配置するほどエギの直進性が高まってアクション時のブレも抑えやすいので、カウンターウエイトの下に設けた結果として、フォールもダートも安定して誰にとっても扱いやすいエギに仕上がった。
ショアエギングでは、アオリイカがエギを抱くタイミングの多くがフォール中だ。だからこそ重要になるのが、ダートからフォールへいかにスムーズに移行できるかだ。アクション後の挙動が不安定だとイカが抱くまでに余計な間を与えてしまい、警戒心の強い個体には見切られてしまうこともある。ゲキダキカミナリは、左右へ飛んだあと慣性を最小限に抑えながら自然にスライドし、すっと頭を下げてフォールへ移る。その違和感のない一連の流れが実釣性能の高さにつながっている。
全10色のカラーと、秋の使い分け
カラーは蛍光、グロー含め全10色をラインナップ。後発メーカーとして市場に入るからこそ実釣に基づいた高実績カラーと、ジャッカルらしいオリジナルカラーも打ち出した。
マックスオレンジ、ライトニングブルー、ナジミブルーの持ち味
最もアピール力が高いカラーがマックスオレンジ。蛍光オレンジをベースに、腹側へ蛍光ピンクを配したハイアピール仕様で、朝マヅメのパイロットカラーとして使いやすい。広範囲を手早く探っていきたい場面でも効果的だ。ライトニングブルーは水中でなじみやすい自然なアピールが持ち味。加えて深いレンジでもブルーは視認されやすいとされ、提案色として加えられた。ナジミブルーは、ゲキダキTRから継続採用されている実績カラーだ。オーソドックスに見えて、とりわけ澄み潮で強い。注目したいのはボディー側面のシルバーテープで、近年主流のゴールドテープや赤テープとは異なる存在感を放つ。クリアウォーターではボディーが周囲になじみ、ダート時にシルバーテープがフラッシングしてイカを刺激する。現在シルバーテープのエギが市場に少ないので、1個持っておけば独壇場となることもある。
秋は蛍光カラーで活性をチェック。スレたらハイプレッシャーグリーン
佐々木さん自身の秋の釣りでは、まずマックスオレンジのような蛍光カラーでアオリイカの活性をチェックするという。メインサイズは3号だ。特に秋は効率を重視してエギをボトムまで沈め切らず、上層をテンポよく探っていく。反応のよい個体が近くにいれば寄ってくるので、フォールを織り交ぜて抱かせる。サイトフィッシングなので、視認性に優れる蛍光カラーが扱いやすい。
それで素直に乗らない場合、たとえば先行者が入ったあとのポイントなどでイカが警戒していると判断したときは、より淡いナチュラル系カラーにローテーション。それでも反応が薄ければ、ハイプレッシャーグリーンを切り札として投入する。この色は蛍光でもケイムラでもないナチュラル系で、エギにスレた状況でも抱いてくる場面が多々あるという。
蛍光カラーとノーマルカラーでは、アオリイカの反応が大きく変わることがテストでもはっきり表われたという。蛍光に強く反応する日もあれば、その逆の日もあるため、どちらも必ずチェックするのが実釣での基本になる。
発色の違いを理解してローテーションする
もっともアオリイカが実際にエギをどう見ているかは分かっていない部分も多い。蛍光やケイムラはいずれも紫外線を受けて発光するタイプで、グローは蓄光によって暗所でも発光する。そうした発色特性の違いを理解しながら、状況に応じてローテーションしていくことが重要だ。なお、ゲキダキカミナリの二段カンナにはバイトマーカー的な役割としてグローが取り入れられている。
久々に登場したジャッカルのショア用エギは、奇をてらうことなく、あくまで王道の延長線上で基本性能を磨き上げた1本といえる。飛距離、アクション、フォールを突き詰め、ジャッカルらしい設計思想で答えたのが「ゲキダキカミナリ」である。ショアエギングの新たな選択肢として、今秋注目したいモデルだ。
※このページは『つり人 2026年11月号』に掲載した記事を再編集したものです。


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