東京近郊でウキフカセ釣りを楽しむなら伊豆半島は外せない。メジナの数は当然多く表情豊かな岩礁帯が各所にある。この半島周りで春夏秋冬メジナを追い、腕を磨くトップトーナメンターが友松信彦さんだ。
豊かな岩礁帯を厳選。沖磯・地磯どこに乗る?
友松信彦 解説
東京近郊でウキフカセ釣りを楽しむなら伊豆半島は外せない。メジナの数は当然多く表情豊かな岩礁帯が各所にある。この半島周りで春夏秋冬メジナを追い、腕を磨くトップトーナメンターが友松信彦さんだ。ここでは友松さんが惚れ込む東伊豆の地磯と南伊豆の沖磯群から一級の釣り場を厳選。各磯の特徴や攻略法の解説はもちろんのこと、風向きやその強さ、波高やウネリの方向から、どの磯ならサオがだせるのかも詳解する永久保存版ガイドである。
友松信彦◎案内
1983年生まれ。兵庫県神戸市出身で’10年に神奈川県横浜市に移住。20歳のころからトーナメントに参戦し、シマノジャパンカップ磯(グレ)釣り選手権では’07年に24歳で栄冠を手に。同大会の最年少優勝記録を塗り替えた。近畿大学在学中には『メジナ幼魚の水温変化による捕食行動解析』なる調査をするほどメジナ釣りに傾倒。’12年には同大会で2度目の優勝を果たす。季節を問わず伊豆半島に通い詰め釣技を研鑚する若武者である。
この記事は『つり人』2016年2月号に掲載した記事の一部を再編集しています。
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東伊豆地磯①富戸、城ヶ崎、蓮着寺
南西のウネリに強い富戸と一級のオナガ場も点在する地磯パラダイス




昭和30年代の磯釣り開拓期の象徴ともいえる東伊豆の玄関口が富戸、蓮着寺エリアである。北は富戸のスズメ岩~南は蓮着寺のダセンバまでに大室山をはじめとする伊豆東部火山群からの溶岩が海に流れ込み、固まった岩礁が何本もの小さな岬を形成している。
釣り座から海面までが高い釣り場が多く、タモは6mあったほうがよい。沖には相模トラフが海岸線まで迫る。水深1000mまで落ち込む深海が側にあるのも特徴的。そのせいかメジナが沖の広範囲に分散しにくくシーズンオフの夏場でも比較的安定してオナガメジナ、クチブトメジナともに40㎝オーバーの良型が釣れる。
潮の流れは伊豆半島に沿って南北どちらかに流れ、一部を除いてゆっくり流れる場所がほとんどである。この海域は北から南の潮が速く反対は遅い傾向がある。これも相模トラフと黒潮が関係しているようで、石廊崎から相模湾に入ってきた潮が相模湾奥で西側は反時計回り、東側は時計回りに反転する。東伊豆のある西側は反時計回りの潮になることが多いので北から南向きに流れやすいのである。実際の釣り場はこの沖の本流に引かれる反転潮を釣る場合がほとんどなので一概に南方向の潮が多いとはいい難い。
富戸エリアの磯は悪天候に強い。東伊豆は冬期の大西が吹いても風裏になり比較的サオをだせるが、八幡野より南のエリアは強い南西が吹くと半島の南側から回り込んだ波が押し寄せ、磯に乗ることが難しい場面も多い。しかし富戸エリアは門脇崎が南西の波・風を遮ってくれるので、八幡野エリアが大シケでも驚くほどナギの場合が多い。また、台風(低気圧)の季節も同様に南西~南のウネリには比較的強い。とはいえ台風が南海上、石廊崎の真南より東にあると南東~東のウネリが入ってくる。そうなると東伊豆全域の磯でサオをだすのはほぼ不可能になる。
門脇灯台周辺の磯は沖の本流が直接磯をかすめるため、東伊豆で数少ない本流釣りができる。潮の速い海域を好むオナガメジナ、青ものなど地磯とは思えない型、数が釣れるのだ。オナガメジナといえば伊豆半島の場合、高水温期がシーズンと思われがちだが、フタマタ~カドカケは春のナッパ潮以外であれば、水温が13℃台に下がる真冬も良型のオナガメジナをねらうことができる。良型に備えハリスは最低でも2号以上が好ましい。また門脇灯台周辺は本流が直接当たらない磯でもオナガメジナが多く、マヅメ時、潮止まりからの動き出しには、かなりの確率で良型が口を使う。油断は禁物である。
問合先:エサ=あおき釣具店(℡0465・68・3001)
釣況=イシグロ伊東店(℡0557・44・5666)
富戸:長根
ナライ、南西どちらの風向きでも快適な釣り座あり

富戸:大根
波高4mくらいならサオがだせ、沖の潮を直撃したい

城ヶ崎:モズガ根
本流がぶち当たる好釣り場。南西が15m吹いてもOK

城ヶ崎:カドカケ
半島周りで1、2を争う超一級の地磯

蓮着寺:陸平根(おかひらね)
どこで食うか分からないほどポイント豊富

東伊豆地磯② 八幡野、赤沢、稲取
駐車場から近い一級地磯が目白押し。ゴロタ浜広がる稲取岬も熱い



八幡野から赤沢までは蓮着寺周辺と同様に溶岩がそのまま海中に延びる地形になっている。狭い範囲に岬が多くポイントは無数にある。潮流は門脇崎とダセンバに当たった本流が沖にはけるので直接潮がぶち当たる釣り座は少なく、その反転流を釣ることになる。駐車場もあり遊歩道が海岸のすぐ脇に整備され入釣時間も15分以内の磯がほとんどのため、まさに地磯天国といえる。
八幡野港のすぐ横にあるヒナダン・マサキは駐車場から徒歩1分!それでもシーズンになれば良型メジナが数釣れる夢のような釣り場である。そのため周年釣り人が絶えないのでキタマクラをはじめとするエサ取りも多い。これをかわす対策が釣果を左右する重要なポイントとなる。磯先端から沖の潮を釣るのか、ワンドの中を釣るのか、足もとの磯際を釣るのか、明確な意思を持ってねらうようにしないと一面がキタマクラだらけになる。また、ダセンバからサイツナまでは南西風の影響を受けやすい磯が多く冬型の気圧配置が強まる時は避けたほうがよい。
赤沢から稲取まではゴロタ浜が多く、そこに小磯が点在している。もちろんメジナだけでなく砂地と岩場の両方を好むクロダイも多く生息しており50㎝オーバーも充分にねらうことができる。これは意外と知られていないが、カワハギの30㎝オーバーもウキフカセで釣れる。専門にねらっても面白いかもしれない。さらに南下して稲取周辺はトモロ岬.黒根周辺が本格的な磯釣り地帯となる。
黒根は駐車スペースもあり南西風なら北側の平床、ナライなら南側のウノクソ・ゾレと全天候型の磯がある。しかし波が這い上がりやすい地形なので悪天候時の釣行は何度か通ってからにしないと事故の原因になる。黒根からさらに南下すると温泉地としても有名な稲取岬と続く。稲取岬は周囲をゴロタ浜に囲まれた浅場が広がりメジナだけでなくメバルをはじめとする根魚が多く生息している。周辺はクチブトメジナが多いが稲取岬の先端は潮が切れる影響でオナガメジナの40㎝オーバーも期待できる。浅場が広がっているため、波が海岸線に近づくと急激に大きくなるので波の方向を頭に入れてポイントを選びたい。最後に東伊豆の地磯はオナガメジナは44㎝以上、クチブトメジナであれば46㎝以上が納得のいくサイズといえる。
問合先:エサ=あおき釣具店(℡0465・68・3001)
釣況=イシグロ伊東店(℡0557・44・5666)
八幡野:カンノンガ根
浅場の付け根で良型が食う

八幡野:イガイガ根
ナライの日がベスト。磯際が面白い!

八幡野:サイツナ
際から10mの水深。地磯とは思えない雰囲気も魅力

赤沢:大灘(おおなだ)
往年のヒラマサ釣り場はウキフカセも好適

稲取:稲取岬
秘境ムード漂うゴロタ浜の岬

南伊豆沖磯① 須崎、下田、手石、石廊崎
“準”離島を体験できる下田沖根、根の荒い石廊崎周辺はクチブト場


須崎から手石周辺は海水浴場が多いことからも分かるように、手前が岩盤でも沖は砂地であることが多く磯際がポイントになりやすい。横根、沖横根、石取根、豊根、平根からなる下田沖磯でも同様である。横根の際にはオオカミクラスのシマアジも棲み付くがこれは砂地があることも影響している。一帯はナライが吹き荒れると低気圧からのウネリと重なり分厚い大波になる。釣行の際は天気予報と船長の指示に従うようにしたい。
下田沖磯から神み こもと子元島に続く沖合は一級の沖磯がずらりと連なる。ここは半島回りの沖磯とは数・型とも別モノになりクチブトメジナなら50㎝オーバー、オナガメジナなら45㎝オーバーが射程圏内のトロフィーサイズとなる。もちろんそれ以上の実績もあるので自己記録をねらうなら下田沖磯か神子元島である。魚のサイズだけでなく潮の強さ、波の大きさ、風の強さも半島の釣りより離島の釣りに近い。“準”離島を体験することができ、仕掛けもワンランク~ツーランク上げて臨みたい。
田牛、下流、大瀬までは遠浅の磯が続き溝を釣る釣り場が多くクチブトメジナが多い。伊豆半島最南端の石廊崎まで行くとそれまでの平坦な海岸線が一変して高低差のあるリアス式海岸が海にせり出し断崖絶壁がそのまま海に落ち込む。石廊崎灯台を西側に回り込むとその傾向は顕著で磯に立っているだけで景勝地を楽しむことができる雄大な海域となる。
石廊崎は南伊豆エリアでもトップクラスに根が荒い。半島最南端に位置するものの、オナガメジナよりもクチブトメジナのほうが多く釣れる。根が荒いことから居着きの魚体が多く、シーズンオフでも40㎝オーバーが有望だ。
豆知識として伊豆半島の風の読み方について。冬場の西風は日本海側から太平洋側まで高い山が少ない濃尾平野で集約され強さを増して伊豆半島の南端をかすめる。冬型が強いと半島全体が西または南西風になるが、西日本で冬型が崩れ北日本で冬型を保っていると中央アルプスを迂回してきた風が関東平野を抜け北東風になりやすい。東伊豆はナライ、西伊豆は西風という変わった風になるのだ。だがこの風は長く続かずしだいに西伊豆もナライに変化する。つまり冬型でも西日本で崩れた気圧配置ならば、意外と西伊豆でもサオをだすことができるのだ。このことを頭に入れて半島の西へ行くのか東へ行くのかを選択すると大波で怖い思いをせず、せっかくの休日を棒に振ることが少なくなる。
渡船:須崎=喜一丸
(℡0558・22・3970/渡船料金=横根・石取根6000円。平根・小根7000円)
下田=伊豆下田フィッシング
(℡0558・23・0289/渡船料金=神子元島7500円)
石廊崎=宮島丸(℡0558・65・0108/渡船料金=5000円)
須崎:横根
メータークラスのシマアジが足もとに!?

下田:神子元島 沖青根
オナガメジナ45㎝オーバーも有望

下田:神子元島 本場1 号
西.南のウネリが入る日にチャンス大

石廊崎:陸の丸島
磯周りのすべてがポイント。ハエ根に注意

石廊崎:ウノ根
根周りを止めてねらえばクチブトの良型が

南伊豆沖磯② 中木、入間、妻良、伊浜
紺碧の冬海でバラエティーに富んだ荒磯を堪能



伊豆半島最南端の石廊崎を回り込むと中木から西伊豆まで延々と荒磯が海岸線を形成している。東伊豆と比べ沖磯が多く渡船に適した地形である。そのため各港には数軒の渡船店があり、沖磯の釣りが盛んな地域だ。
冬場の西風をモロに受け、寒メジナのベストシーズンはなかなか出船機会に恵まれないことが多い。が、ナギさえよければダイナミックでありながら繊細な寒のクチブト釣りを堪能でき、ハイシーズンの出船率の悪さが自然の禁漁期間となり、このエリアの魚影を保っている。
一部を除いてそれほど水深もなく、うっすらと海底が見える水深7~10 mの磯が大半。メジナを釣りやすい地形といえる。また各渡船区で磯の地形が少しずつ異なるので、その時のやりたい釣法に合わせて渡船区を選ぶこともできる。このエリアではオナガメジナなら45㎝以上、クチブトメジナなら48㎝以上が自慢できるサイズといえる。
中木は大きな磯が多くグループでの釣行に適している。磯際から水深があるため、立体的な釣りに適した釣り場が多い。入間は沖磯から地方磯までバラエティーに富み、磯も大きくこちらもグループ釣行に適している。妻良は地方磯やゴロタ場ねらいの場所が多く、磯が小さいので2~3名の小グループで行くとよい。シモリ周りの釣りがメインとなるので半遊動の釣りが威力を発揮する。
伊浜は伝統的な和ザオでの底物釣りが伝承されイシダイファンが多い。雲見側は磯が切り立っており魚が多いとはいえないがテクニカルで釣り応えのあるウキフカセ釣りができる。また、妻良側にある宇留井島周辺は浅瀬が広がっており数釣りに適した磯が多くある。また、半島の南に行くほど西風はもちろん、回り込んだ東風の影響も受けやすく波が荒い。半島の南へ行くほど数釣り場、北上するほど大もの釣り場となる傾向があるので数ねらいか型ねらいかで渡船区を選んでもよいだろう。伊浜の波勝崎を境に黒潮の影響がガラリと変わり海の色、潮の質が一変するのもこの海域の特徴といえる。
中木:大根 平島
西風に弱いが厳寒期は50cmオーバーが期待大

中木:イガミ
やり取りはスリリング。昼過ぎの時合に集中

入間:赤島
サオ1.5~2本分の深ダナで良型魚が当たる

妻良:サメノリ
サオ2本のタナまで探る本流。オナガメジナの宝庫

伊浜:黒島
足もとから10mの水深。全遊動でタナをじっくり探りたい
