<img height="1" width="1" style="display:none" src="https://www.facebook.com/tr?id=170559842213036&amp;ev=PageView&amp;noscript=1">
つり人編集部2026年7月8日

元プロ野球選手・和田一浩、八丈島で強烈クチジロと真剣勝負!結末は……?

プロ野球で2050安打を積み重ねた和田一浩さんが、また新たな磯へと向かった。五島列島・福江島でスピニングタックルによるイシダイ宙釣りという仮説を証明した男が、次に目指したのは「鳥も通わぬ島」と恐れられた八丈島だ。今回の標的はクチジロ(イシガキダイの老成魚)——2050安打の男が、初めてのターゲットに本気で挑んだ3日間を追った。

著者:つり人オンライン編集部

写真と文◎山根和明(株式会社つり人社代表)

つり人社代表取締役社長。日本釣振興会理事。大学在学中にアルバイトとしてつり人社に入り、卒業後に入社。1946年創刊の月刊「つり人」編集部に配属される。
2006年に同誌編集長、2015年に代表取締役社長に就任。釣りメディア一筋で、企画・編集・事業開発までを一貫して手がけてきた。また、釣り文化の普及と次世代育成にも力を注いでいる。2026年4月刊行の著書『カッパのいない川で子どもは育つか』は、発売2日目でAmazonカテゴリランキング1位を獲得。

元プロ野球選手・和田一浩が八丈島でクチジロ(イシガキダイ)をねらう

先に公開した「元プロ野球選手・和田一浩が五島列島・福江島の磯に挑む!独自のスピニング宙釣り釣法で攻略」は、釣りファンのみならず野球ファンにも広く読まれ、大きな反響を呼んだ。その第二弾として、和田さんが次に目指したのが八丈島だ。

西武ライオンズ、中日ドラゴンズで活躍し、2015年に史上最年長で2000本安打を達成した和田一浩さん。通算1968試合、2050安打、319本塁打、打率.303。ベストナイン6回、首位打者1回。2004年アテネ五輪、2006年第1回WBCでは初代侍ジャパンの一員として日の丸を背負った名球会打者は、引退後に磯釣りへと情熱を傾けている。メジナ(グレ)やクロダイ(チヌ)をねらう「上もの」だけでなく、イシダイやイシガキダイをねらう「底もの」もこなす二刀流。春から秋は底もの、冬はメジナ──ほぼ一年を通して磯に立ち続けている。

現役時代、数字という重圧と向き合い続けた和田さんが磯釣りに惹かれた理由の一つは、「考えて、試して、修正する」というプロセスが野球と重なるからだという。狙いを定め、仮説を立て、結果を見て修正する。そのDNAは磯の上でも変わらない。

「ある意味で、こんなに近いのに今まで一度も行ったことがないんですよ。一度は行ってみたいとずっと思っていました。というよりも、クチジロ(イシガキダイの老成魚)を狙いに行くこと自体初めてなんです。現役時代はどうしても紀伊半島がホームグラウンドでしたので、底もの釣りの本命といえば、本イシ(イシダイ)だったからです」

今回の釣行の様子はYouTube「釣り人チャンネル」でも公開中だ。ぜひあわせてご覧いただきたい。

羽田から1時間で亜熱帯へ!「鳥も通わぬ」八丈島の魅力

江戸時代、罪人たちの流刑地でもあった伊豆諸島。中でも南方に位置する八丈島は政治犯などの重罪人の流刑地であり、「鳥も通わぬ島」と恐れられた。八丈島と三宅島の間を黒瀬川(黒潮)が流れ、逃げ出すことはほぼ不可能であった。そんな八丈島も、今は羽田空港からANAに乗れば1時間足らずで上陸することができる。

午前7時35分羽田発NH1891に乗ると、8時30分には八丈島空港に着く。距離にして約290km。「鳥も通わぬ」とは思えないほど近いが、気候や植生はガラリと変わる。八丈島は黒潮の影響を強く受ける海洋性亜熱帯気候で、年間を通じて温暖多雨(年平均気温約18度)であり、年中風が強いのが特徴だ。

島内にはシダ植物が群生し、ジャングルのような瑞々しい景観が広がる。ヘゴやソテツなどの亜熱帯植物が自生するほか、島を代表する「アシタバ」が野山を彩る。火山島特有の豊かな湧水と黒潮の恵みが、独自の生態系を育んでいる。

空港まで迎えに来てくれた八丈ビューホテルの宮代支配人が送迎車を運転しながらそんな説明をしてくれたが、和田さんの頭の中にはクチジロのことしかないようだった。さっそく向かうのは黒潮の海だ。

wada3 (1)
火山島の八丈島には6か所の温泉がある。写真は末吉温泉「みはらしの湯」。

多彩な魚種がねらえる八丈島の磯釣り

渡船屋「優宝丸」には支配人から連絡してくれていたので、荷を解いた和田さんは早速八重根港へ向かった。八丈島の磯釣りのポテンシャルは高い。しかし、知っておくべき現実もある。

メインターゲットはクチジロ、ヒラマサ、オナガメジナだが、近年はオナガメジナの状況が芳しくない。20年ほど前までは、ロクマル(60cm超)がねらって釣れるとあって、多くのメジナ釣りファンが訪れたが、今は底ものファンかルアーアングラーの方が多い。ルアーではヒラマサ、カンパチ、キハダ、ハガツオ、スマ、アカハタ、オオモンハタなどが狙え、モンスター級のアオリイカの実績も高い。

一級ポイントは八丈小島の周囲に点在する沖磯だが、渡礁率は決して高くない。八丈島本島にも大根、御正体根、横瀬、ウロウ根、モロ根、神子様などがあるが、数は多くない。どちらかというと沖磯はベテラン向きで、渡船をしなくても南原千畳敷、クニノミチ、ヨノモウ、石積ケ鼻など実績の高い地磯がある。

エサについては事前準備が必要だ。島内には数軒の釣具店があるが、底もの用のエサは決して多くない。持参するか、前もって送るかする必要がある。和田さんが用意したのはガンガゼ、シラガウニ、マガニの三種。クチジロの実績が高いのはガンガゼだ。

ちなみに八丈小島は今でこそ無人島だが、昭和44年までは人が住んでいて、小学校もあった。そんな歴史を持つ島の磯に、今まさに渡ろうとしている。

hachijyo-kojima
沖合に見える島が、これまでに数々のドラマが繰り広げられてきた八丈小島

嵐の八丈小島でイシガキダイ連発!圧倒的な自然のスケール

南西の強風が10m以上吹く予報だったが、船は八丈小島の北西沖に鎮座する小地根に進路を定めた。八丈小島が風よけになるため、南西風には滅法強いポイントだ。

開始してしばらくは風もまだ呼吸をする間があり、雨も気にならなかった。しかし、しだいに風が巻き込むようになり、雨足も強くなった。それと比例するように、アタリが連発するようになった。エサが効いてきたのだろうか。それほど大きくはないが、40cmを超えるイシガキダイが連続ヒットした。

「大きくはないですが、引きは強いですし、それに口の周りが白いんですね。私が普段釣っている紀伊半島のイシガキダイとは体型も顔つきも少し異なりますね。本当に同じ種類なんですかね」

そのとき、沖合で異変が起きた。ダツの群れが水面を飛び始めたかと思うと、その群れを目掛けてイルカの群れが飛びかかってきた。風雨がたたきつける水面が突然爆ぜ、イルカが宙を舞う。口元にはダツ。荒れ狂う海の上で展開される、命のドラマだった。

「いや、スケールが大きいですね。すごい島です、八丈島は。来た甲斐がありました」

結局、3時間ほどの実釣で7尾のイシガキダイをキャッチ。最大は45cmだった。初日から八丈島のイシガキダイの引きを体に叩き込んだ和田さんを、二日目はどんな磯が待ち受けるのか。

dolphin
小地根で起きたイルカの衝撃ボイル

地磯ヨノモウで本命クチジロをキャッチ!

二日目はさらに予報が悪かったので渡船は諦めた。向かったのは北東部に展開するヨノモウだ。南西風の風裏になる地磯だが、底もの・上もの共に実績が高い。全日本磯釣連盟の現会長である高尾敏さんはかつて、ここで超ド級の石ものを掛けてサオごと持っていかれたという(タックルは翌日に回収)。それだけの実力を持つポイントだ。

釣り場まではクルマ止から徒歩15分ほど。最初の30分はほとんどアタリがないまま経過した。やはり、八丈小島とは魚影が違うのかと思っていると、エサが効いてきたのかアタリが出始めた。しかし、50cm前後のカンムリベラが3連発。手強いエサ取りだ。

kanmuribera

「ポイントを変えてみよう」——和田さんは少し遠投して沖の沈み根周りをねらうことにした。狙いを変えた直後、ロッドが鋭く絞り込まれた。48cmの本命がヒットした。長さはさほどでもないが、体高があり、肉厚で、口元が完全に白くなっている。クチジロの風格が漂う一尾だ。

「こんなクチジロが地磯から釣れるなんて、やっぱりポテンシャルが高いですね。この一尾だけで充分に満足できます」

kuchijiro
ヨノモウで釣れたイシガキダイ。48cmだが口の周りはしっかりと白い

動画でクチジロとのファイトシーンを見る

大物ヒットも痛恨のバラシ

翌日もシケ予報。だが、この日は当初から八丈島役場で町長を表敬訪問する予定だったので、地磯の予定を組んでいた。午後、向かった先は、石積ケ鼻。底ものの実績が高い一級ポイントだ。

釣り開始して2時間ほどが経った頃、フワフワとサオ先が舞い込む本命のアタリが来た。アタリといい引きといい、イシガキダイの可能性が高い。ロッドが大きく絞り込まれる。しかし——次の瞬間、無情にもハリが外れた。

和田さんはその場で膝から崩れ落ち、しばし動けなかった。プロ野球で2050本の安打を積み重ね、数え切れないほどの勝負を経験してきた男が、八丈島の磯で本気で悔しがっている。その姿が、この一尾の大きさを何より雄弁に物語っていた。その悔しさが、最終日への原動力となった。

wada (2)-1
愛竿ダイワ「幻覇王 石鯛」を絞り込むイシガキダイ。強烈な引きを受け止め、真っ向勝負を挑んだが……

超一級磯「カンナギ」でのリベンジなるか!?

残すところあと一日。風向きは北東風に変わり、ウネリも落ちる予報だ。船長に連絡を取ると、超一級磯のカンナギにも渡れるかもしれないとのこと。石積ケ鼻での悔しさを胸に、高鳴る思いを沈めて、早めに床に就いた。果たして和田さんはカンナギに渡礁できるのか——後編は近日公開予定だ。

【和田一浩さん推薦 著者・山根和明の最新刊】カッパのいない川で子どもは育つか

✍️ 著者:山根和明 📅 発売年月:2026年5月

子どもの自殺者数が過去最多を更新し、不登校は35万人を超えた。 豊かで安全なはずの日本で、なぜ子どもたちはこれほど追い詰められているのか。 自然体験が、待つ力、やり抜く力、折れない心を育てる。 創刊80年の釣り専門誌『つり人』編集長を10年務め、親子向け魚釣りイベントにも多く携わる筆者が、記者として、父として、水辺と子どもに30年かかわり続けてたどり着いた育て方のヒントとは。 巻末には、政治の側から子育て支援と水辺の環境問題に取り組む、元滋賀県知事で参議院議員の嘉田由紀子さんとの対談も掲載。

海の岸釣り 全国おすすめ釣り場 東京 海のエサ釣り-陸っぱり

月刊つり人 最新号

つり人 2020年5月号

列島をゆるがすコロナウイルス。けれども、日増しに暖かくなる春の日を、じっと家にこもって過ごすのはやっぱり体によくない。その点、手軽な海の釣りは、風も気持ちよく、大人も子どもも、思い切り深呼吸しながら時間を過ごせる。ウミタナゴ、メジナ、クロダイ、カレイ、アオリイカ、カサゴ……。元気な魚たちが泳ぐフィールドで、がんばろう、ニッポン! そのほか、3名手の渓流解禁レポート、里川で見つかる美味しい道草、みちのくタナゴ旅など旬の釣り満載でお届け。

記事検索

月刊つり人 最新号

つり人 2020年5月号

列島をゆるがすコロナウイルス。けれども、日増しに暖かくなる春の日を、じっと家にこもって過ごすのはやっぱり体によくない。その点、手軽な海の釣りは、風も気持ちよく、大人も子どもも、思い切り深呼吸しながら時間を過ごせる。ウミタナゴ、メジナ、クロダイ、カレイ、アオリイカ、カサゴ……。元気な魚たちが泳ぐフィールドで、がんばろう、ニッポン! そのほか、3名手の渓流解禁レポート、里川で見つかる美味しい道草、みちのくタナゴ旅など旬の釣り満載でお届け。

×
拡大画像