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つり人編集部2025年8月16日

【アユルアー(アユイング)】水中観察で見る“ヒットの瞬間” 野アユを掛けるためのルアーローテーション術

アユがアユルアーの掛けバリにフッキングするメカニズムは複雑である。ドンっと体当たりすれば掛かるのか。それとも身を絡めるように交差したときに掛かるのか。あくまでもこの日の一例であるが、人気の牧田川でルアーをアユにフッキングさせるまでの過程と、その瞬間を水中観察した。

アユがアユルアーの掛けバリにフッキングするメカニズムは複雑である。ドンっと体当たりすれば掛かるのか。それとも身を絡めるように交差したときに掛かるのか。あくまでもこの日の一例であるが、人気の牧田川でルアーをアユにフッキングさせるまでの過程と、その瞬間を水中観察した。

写真と文◎編集部

人気のアユルアー河川・牧田川へ

アユの名川ひしめく岐阜県にあって、牧田川は知る人ぞ知る存在だった。岐阜の名水50選に入るほど水質はよく、天然遡上も多く、アユの味もよさでも定評があるという。しかし、友釣りファンの高齢化等に伴い遊漁券の売り上げは減り続け、周辺のオトリ販売店も減る悪循環にあったが、周辺河川の中ではいち早くアユルアー解禁へ踏み切って好転した川としても知られる。

牧田川漁協の理事を務め、上石津町でおとりのますお屋を営む小山内伸晃さんによれば、アユルアーを解禁してからの年券の売り上げは以前の3倍にまで増加しており、従来の友釣りファンのために友釣り専用区をしっかり残したうえで現在はアユルアーも楽しめる釣り専用区を設け、ますますアユルアーファンが増加中という。

もともと名神高速・関ヶ原ICと養老SAスマートICのどちらからでもアクセス至便で、川の勾配も緩くてビギナーに優しい川であったことも人気が高まった理由であるが、もうひとつ忘れてはならないのはダイワが主催するアユイングバトルの試合会場になっている点だ。

滋賀県安曇川、神奈川県相模川とここ岐阜県牧田川で開催されるアユイングバトルだが、定員に達する早さは牧田川が最速といわれ、それだけアユルアーファンが多いことを物語っている。

「自分も全会場に足を運んでいますが、牧田川さんはアユルアーへの本気度をひしひしと感じます」

そう語るのは木森直樹さん。自身、勤め人でありながら夏前から週末の休みはアユルアーに関連したイベントや取材が目白押しで、全国津々浦々のアユルアー河川を駆け回るアユルアーの伝道師だ。実は今回の取材の前日もアユイングバトルin安曇川が開催され、ゲストとして会場の盛り上げ役として一肌脱いでいた。

その会場へ視察に訪れていたのが牧田川の漁業組合員の有志たち。8月に控えるアユイングバトルin牧田川を成功させるために他会場の大会運営の方法などを学びに来たという。

「そういう姿勢が素晴らしい。だからボクとしても応援したくなる川です」

と言いつつ、木森さん自身は大会ゲストで何かと忙しく、牧田川でしっかり釣りをしたことがなかったこともあり、安曇川大会の翌日に牧田川へ。

向かったのはアユルアーファンが最も多いという岩崎堰堤から和田橋にかけて。堰堤下流の左岸には釣り人専用の広い駐車場があることから、アユイングバトルの本部になるところだ。

「大会じゃなくても普段からアユルアーファンがたくさんいるんですね。親子連れもたくさんいますね」

そう言うと木森さんはイベントのときと同じように親子連れに声を掛けてアドバイスを送るのだった。

牧田川の様子
釣り専用区(昨年まではアユルアー優先区)になっている岩崎堰堤下流は多くのアユルアーファンと友釣りファンで賑わっていた

野アユに近づくためのルアーローテーション術

まずは岩崎堰堤(堰堤上下20mは禁漁区)から和田橋にかけての釣り専用区と、支流の藤古川下流でサオをだした木森さんは「支流の藤古川が景観も石の色もよかったですね」とすっかり気に入ったようす。

そんななかで時間を割いたのが釣り専用区の最上流にあたる岩崎堰堤下流の右岸。ここにナワバリを張ったアユがいるとの情報を得て、水中カメラの前でルアーを操作してもらった。

牧田川・岩崎堰堤下流
岩崎堰堤下流の左岸には釣り人専用駐車場があり、ダイワアユイングバトルの会場にもなっている。今回水中を撮影したのは右岸寄りの消波ブロックの前の流れ

ルアーへの反応はあるがフッキングせず

「堰堤下の禁漁区のプールから落ちてきた流れが、ここでぶつかって割れる場所だったので、とにかくルアーをボトム付近で落ち着かせることを心掛けました」

流れは強く、水深も腰程度まであることから最初にチョイスしたルアーはシンキングタイプのアユイングジョイント110S(LIギラギラアユ)。フックはアユイングフックSSのキープ7.5号をセット。

流れが速いため、2つのアイのうち直進性を高くする前方のアイを選択(大きくボディーを動かしたい時は後方のアイを選択)。すると苦もなく強い流れの底にルアーを送り込むことに成功。時折ジョイントボディーがくねるたびに3Dマルチ反射構造によるフラッシングで強烈アピール。一等地に陣取っていたナワバリアユは気になって仕方がないといったようすで終始ルアーのそばを旋回したり、時にはルアーとボトムのわずかな隙間に潜り込むなどして追い出そうと必死のようす。

アユイングジョイント110
最初にチョイスしたアユイングジョイント110S(LIギラギラアユ)。レーザーの反射は確実にナワバリアユへのインパクトが大と感じた
ルアーを追い払うアユ
自分のナワバリに居座られるのが相当にイヤなようで、体格の違いを見せつけるかのようにルアーとボトムの隙間に割り込んでいく

カラーチェンジでも反応が変わる

次の一手はカラーチェンジ。同じくアユイングジョイント110Sのまま、見た目のインパクトがさらに強めのLI縄張りアユカラーにチェンジ。さらに浮き上がり防止のためのアユイングシンカーで一番重い3gをセット。

このねらいは的中し、シンカー効果による一点シェイクでギラギラアユ以上に苛つかせているのが見て取れる。実際、何度か体当たりもしていたように見え、木森さんの手もとにもケラレとなってロッドからのシグナルが伝わっている。

シンカーに体当りするアユ
黄色いシンカーが気になるのか体全体で追い払っている。アタリがない状況でも実は水中でこんな光景が繰り広げられているのかもしれない

かなりヒットに近づいているように思えたが、次の一手はアユイングミノー94SFにフックはキープ7号。これまたリップ裏のアイに3gのシンカーをセット。たまたまかもしれないが、ナワバリアユを威嚇するというよりも群れアユの中に馴染んでおり、一度は群れアユの側面にフックが触っているようにも見えたが、それだけではフッキングにはなかなか至らないようだ。

群れアユに囲まれるルアー-1
たまたまこのタイミングで群れが通過しただけかもしれないが群れアユに囲まれてしまった。体当たりではないものの、これでフッキングすることもあるだろう

追い気があれば正解は必ずある

「流れが強く水深があるとついついシンカーに頼ってしまいますが、シンカーがルアーの動きを制御してしまっているのかも……」

そう言うと、今度はシンカーを外して2025年の新作ルアーであるアユイングミノーフラット110SF110SFをスナップに繋いだ。ショートワイドリップが流れの緩いポイントでもしっかり水を掴み、フラットサイドボディーによる平打ちアクションはいかにもアカを食むアユの動きを再現する。

「浅場用ではありますが、複雑な流れの中のヨレの弱い流れに入れるとスッとボトムまで送り込めて、ロッドアクションに対してレスポンスもいいなあと思っていたらドンッと来ました」

縄張りアユカラーで、フックはキープ7号。ボトムまで送り込んだ瞬間からナワバリアユは今日一番の不機嫌モードになり、何度もガンを飛ばすように間近で威嚇行動を見せた。さらにフラット110SFが底のアカを食むような動作を見せると、その背後でアカを食みながら凝視。そしてついに我慢の限界を超えたのか、背後から回り込んで下腹部に頭を入れて反転した直後にフッキングが決まったのだった。

アユがルアーにフッキングする瞬間
背後に回り込んでテール付近に攻撃を加えたように見えた瞬間。ハリ先が魚の肌の上で立てばここで初めて釣り人に衝撃が伝わるのだろう
ルアーに掛かったアユとのやり取り
魚が反転したり頭を振ることでより深くフックが刺さり込む

「110cmのルアーが小さく見えるくらい迫力のある魚体ですね。追い星も尻ビレも真っ黄色な追い気の強いナワバリアユですよ」

アユルアーの釣りは粘るか見切るかがとても重要で、追い気のないアユを相手に粘るのは禁物だが、このように追い気満々のナワバリアユが相手なら、ルアーのタイプを変える、サイズを変える、カラーを変える、フックを変える、シンカーを変える、あるいは流す筋を変えることで、こうして掛からなかった1尾を手にすることができる。

28rr (カスタム)
木森さんのタックル(すべてダイワ)
・ロッド:AYUING EX 99MLB-SMT
・リール:アルファスSV TW 800S-XHL
・ライン: UVF PEデュラセンサーX8EX+Si3ライムグリーンマーキング0.5号
・リーダー: フロロショックリーダーXの3Lbを1.5m
ダイワのアユルアー
写真上から(すべてダイワ)
アユイングジョイント110S(LIギラギラアユ)※実際はシンカーなし
アユイングミノー94SF(メッキギラギラアユ)
アユイングジョイント110S(LI縄張りアユ)※実際にシンカーをセットしたのはこちら
アユイングミノーフラット110SF(縄張りアユ)

※このページは『つり人 2025年9月号』を再編集したものです。

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